表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

65/77

第65話 聖女の二重結界……

「私は行かないわよ」

 水のおかげもあって皆の疲労が回復したので、さぁ出発という時になってエミリーがゴネ始めた。

「聖女様。竜魔王との戦いを支援するために来られたのではないですか。聖女様は、私がお守りしますから」

 流石にデイミアンも焦ってエミリーを説得している。ここでリタイアされては、何の為に連れて来たのか分からないと思っているのだろう。

 世界中に、エミリーが聖女だって認めてもらわないといけないものね。


 だけどまずいわね、デイミアンは戦力外でも良いけど、エミリーがしているネックレスの瘴気を払う結界が無いと困る。昨晩考えてたよりここの瘴気が強いんだよね。

 だから今日エミリーがしているネックレスの事を知って、その結界をついつい当てにして作戦を考えてしまっていた。私だけの結界でこの場をってなると、常時魔力を使ってないといけなくなる。

 そうなったら、光ちゃんが昨晩言っていた最後の作戦が、最悪魔力切れで使えなくなるわ。


「来ないなら来ないで構わない。だけどその首にかかっている奴、こっちにくれよ」

 クラークが冷たい目でエミリーを見て言う。

「な……何よ。あなた、聖女は保護対象だって言ったじゃない」

「その聖女の役割を降りるんだろ?」


 エミリーは、怖い雰囲気のクラークに何も言えなくなり、ネックレスを外そうとした。

 ダメだ。あれを外したエミリーを置き去りにしたら、魔物の餌食になってしまう。

 弱い魔物しかいないだけで、瘴気の濃いここでは無限に魔物が湧いて出ている。


「とれない。……何で?」

 エミリーが困惑している。私の女王陛下の通行証(ネックレス)と同じ仕組みなのかしら。

「じゃあ、一緒に来い」

「は……離してよ。ヤダだってば」

 喚いているエミリーをガン無視して、クラークは連れて行く。よく見ると離れないように魔力を使っていた。

 私とダグラスは、皆に離れないように付いて行った。皆がいる範囲が二重結界になるように。

 




 洞窟の中に入り、瘴気が濃くなればなるほど私達半径10メートルに結界が張られていることがはっきりわかる。

「これは……メグの周りには結界が張られていたのか?」

 ぼそぼそと私に言ってくる。

 騎士と言うだけで、普通の人間のはずのダグラスにも認識できるレベルだ。


 だけど、この二重の結界内に竜魔王を入れないと有利に戦えないんだよね。

 竜魔王との戦いの前に、瘴気との戦いになってしまう。さて、どうしようかな。

 ダグラスに認識されているくらいだから、エミリーにもみえてるだろうし……。

 竜魔王を結界内に入れるには、私達が離れて、また再度近づいて私がネックレスの力を使う必要があるのだけど、協力してくれないだろうなぁ、エミリーは。

 それどころか、計画を知られたら逃げ回られそうな気がする。


「ダグラス、私、竜魔王に近付こうと思うのだけど」

 前方を歩いているエミリーに聞こえないように、極力声をおとして言う。

「わかった」

 ダグラスは何も言わず同意してくれる。意味わかってるのかなぁ。


「ねぇ、ダグラス。私が何をしたいのか」

「結界内に竜魔王を入れるんだろう? あの2人はともかく、俺とデイミアンは結界の外に出た途端、動けなくなるからな」

 あ……ちゃんとわかってた。なら話は早いや。

「うん。じゃあ、よろしく、ダグラス」

 私が危なくなっても動かないでねって思って言ったのだけど……。

「おう。盾役は任せておけ」


 …………わかってなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ