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第5話 王妃様からの呼び出し

 学園がお休みに入って数日後、王宮からの迎えの馬車が来ていた。

 私はわけもわからず、侍女から支度をされている。

 だって、私は正式に婚約破棄をされた身、今さら王宮からの呼び出しがあるなんて。



 呼び出したのは王妃様だった。王宮は、かなり慌ただしいことになっている。

 各国の国王とその配偶者が我が国の王宮内に集まっているのだから仕方ないのだけど。


 本日は、持ち回りで開催国になり、瘴気や魔物の事に関する情報交換をする日。

 今回は我が国で開催される。

 婚約破棄をされなかったら、私もホスト国の王族の一員として忙しく立ち回っているはずだった。

 もう関係ないけど。


 馬車が王宮に着くなり、文官の方から王族が住まうエリアに連れてこられた。

 文官の方が王妃様の私室をノックし、入室許可をとっている。


「ごめんなさいね。急に呼び出したりして」

「いえ、何か御用でしょうか?」


 王妃様は、正装をしている。今日は忙しく、本来なら私などに会う余裕も無いはずなのに。


「これを……」

 王妃様は、侍女に持たせていた小さなカバンを渡してくれた。

 アイテムボックス?


「それに、当面必要なお金と衣類、食料なんかを入れておいたわ。もし、国外に出なければならなくなったらお使いなさい」

「王妃様?」

 王妃様は何か不穏な事を言っている。これでは、まるで……。


「今日、これから聖女と各国の王妃様たちがいるお部屋に行ってもらうわ。貴女はもう中に入れないけど、聖女がどうしてもというものだから……。それは、その報酬よ。今でないと渡せないから」

 王妃様は、優しい目で私を見ている。家族よりも優しい、その雰囲気に涙がでそうになる。


「ごめんなさいね。5歳でウイリアムの婚約者になって、ずっと大変な思いをしてきたのにこんな事になってしまって」

「とんでもないことでございます。わたくしが(いた)らなかったばかりに」


「王妃様。お時間でございます」


 文官の方が、扉越しに告げてきた。

 私は慌てて、王妃様からもらったアイテムボックスを装着すると、体になじむようにスゥ~と消えた。

 私は、王宮での最後の仕事と思い、気を引き締めて王妃様と共にゲストルームに向かって行った。

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