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第39話 こんなところに攻略対象の冒険者がいたよ

「こんにちは。私、メグっていいます」

 女性たちの方に、ペコンと挨拶をする。こういう場合、男は後回しで良い。女性との関係の方を先に良好にしておかないと、後々面倒くさいことになるから。


「あら、礼儀正しいのね。私はキャロルよ、炎系の攻撃の魔法が使えるわ」

 え? ローブ着てていかにも支援系の魔術師って感じなのに攻撃系……ですか。

 じゃあ、そちらの魔女っ娘が……

「私は、防御系で~す。シンディーだよ。よろしくね」

 ふんわり広がった短いスカートから見えるフリルたっぷりのペチコート、長めのブーツ。

 本当に大丈夫なの? そんな恰好で旅して……って、ああ、ちゃんと身体に防御結界を張っている。自分の身体とはいえ、常に結界を張ってられるなんて結構能力的には高いのだと思うわ。

 でも、この二人ビジュアルが何か間違っている。


 女性陣の自己紹介が終わったところで、カウンターに行っていたダグラスが戻って来た。

「それで、そちらの御仁は?」

 男性二人が少し警戒気味に言ってくる。


「ダグラスだ。この国の騎士をやっている。メグの保護者だ」

「なるほどね。俺たちは、ただこの国に寄っただけの冒険者だ。だから圧をかけてくるのは、やめてくれないか」


 圧? ダグラスが?

「ああ、すまない。つい習慣でな」

「どんな習慣だよ。俺は、クラーク。見ての通り剣で飯を食っている。武器に魔法付与も出来るが、盗賊相手じゃな」

「最後は俺か。ハワードだ。俺は剣を振るだけしか能が無いな」


「……で、メグ。何でこいつら律義に自己紹介なんかしているんだ?」

 みんなの自己紹介が終わってからそんな疑問をダグラスが言ってきた。

 いや、確かにそうなんだけどね。


「情報が欲しいんだよ。ルーブルシア王国に行く前に」

 クラークが話し始めた。このパーティーのリーダー格なのかな?

「ルーブルシア王国に行くの?」

 私は思わず声を上げてしまった。慌てて自分の手で口をふさいだけど。

「メグ、大丈夫だ。今、腕に自信のある冒険者や民間の護衛傭兵なんかは、皆ルーブルシア王国に集まっている。全世界の冒険ギルドを通じて魔物の討伐依頼が出てるからな」

 ダグラスが、受付嬢に訊いた情報を私にくれる。別に隠された情報では無いと……。


「なんでも、王族が通る道の近くの結界が壊れて、そこから瘴気が国に流れ込んでいるらしくてな。何か、スライムとか魔物って言うのか? そういうのが発生し始めているらしいんだ」

 王族が通る道の横の結界破壊……ものすごく、心当たりがあるのですが。

 チラッとダグラスの方を見ると、結界なんてあったっけ? って顔をしてるけどね。

 そう思っている間も、クラークは話を続ける。


「それで魔物の討伐依頼がギルドに出ているんだけど、なんかおかしいんだよな」

「おかしい?」

 思わず訊いてしまう。

「だってそうだろう? 聖女様がルーブルシアに戻ってるのなら結界を張りなおせるんだから」

 結界はともかく発生してしまった魔物は無理……かなぁ。

 聖女がいたとしても、そこまで来たらやっぱり冒険者のような人たちはいる。

 ルーブルシア王国はまだしも、薄い結界しか張っていない隣国のリーフランド王国の方にも魔物が流れ込みそうだし。

 聖女とはいえ、万能では無いのよ。


「それとな。聖女様が本当にソルムハイム王国にいたのか、という話なんだが……」

「私たち、聖女様の祝福の日、ソルムハイム王国にいたのよ。だけど、あの光はあの国というより、こちらの国の方向だった気がしてね。それでこの国に立ち寄ったってわけ」

 クラークの話の続きを、キャロルが言ってきた。

「それで、何か分かったのか?」

 ダグラスが訊いていた。分かるはずが無い、女王陛下が私の願いをきいて情報統制をしている。街の噂ならまだしも、ギルドはどこの国も王立だ。

 私が直接聖女ですと言っても、否定されてしまうだろう。

「いいや。何も……。下町の酒場や大衆食堂ですら、情報が得られなかった」


 すごいわね、女王陛下の情報統制……。過度な罰則が無ければ良いけど。

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