表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/77

第24話 『女神様の祝福を得る儀式』 私は、ただ待っているだけですけどね。

 翌日、(みそぎ)をするためにアイストルスト王国の神殿に連れて行かれてしまった。

 今日から儀式が終わるまではダグラスを含め、誰も男性を近づけることが出来ない。

 本当は(みそぎ)なんて、聖女本人であればいらないはずなのに、どうあってもダグラスと引き離したいようだった。

 

 神殿の奥の『神聖なる湖』という名の前世で言うところのプールで水浴び……じゃない、(みそぎ)を行う。その後は巫女たちに囲まれて過ごすだけである。

 巫女と言っても若い女性が中心の集団、『キャハハ、ウフフ』の世界で楽しんだ。


 後で知ったのだけど、彼女たちは高位貴族の令嬢たちで幼少期に家の(けが)れを払うために、神に捧げられた乙女達なんだそうだ。前世の武家が家の悪い因縁を払うため、息子の内の一人を出家させているのと同じ理屈なのかもしれない。


 儀式前に聖女様候補が見つかったならば、(みそぎ)の後は本来ならそのまま神殿に留まってルーブルシア王国が『女神様の祝福を得る儀式』を行うのを待つのだけれど、セキュリティの問題で今回は王宮の謁見の間で待つことになる。


 セキュリティの問題という割には、神殿に巫女たちと泊まるのだけど。

 せっかく(みそぎ)まで済ませた聖女候補にうっかり男性が近づいてしまったらいけないので神殿から出すわけにいかないというわけだ。

 なんだか、苦しい言い訳の様だわ。



 儀式の当日、女王陛下の謁見の間まで私は巫女に囲まれて入っていった。

 正面の段の高いところに、女王陛下と王族の方々。

 両サイドには高位貴族の方々と護衛の近衛騎士と兵士。

 その中に、ダグラスの姿も見えてホッとする。


 昨日仲良くなった巫女たちは、薄着の私を守るように囲んで不躾な男性たちの視線を一蹴(いっしゅう)してくれていた。

 それでも、ルーブルシア王国で儀式が行われる時間が近くなると、巫女たちも離れていってしまう。



「そろそろ、時間だな」

 女王陛下は、そう言ったけれどしばらくは何も起こらなかった。

 自分は聖女じゃ無かったと安心した頃に、金粉のようなものが舞い、光が舞い降りる。

 

 もう、周りが何も見えないくらいの光。


「うわっ」

「まぶしい」

 男性たちの叫び声が聞こえる。


『愛しい。

 愛しい、聖女メグ。その存在で世界を救いし者。

 世界は彼女を愛し、慈しむことで救われるであろう』


 この言葉が私の耳に入る前に、まばゆい光にかき消されていった。

 謁見の間に立ちながら、光の中。白い空間に立つ。

 


『もう、探しましたよ、園山里美さん。なんで、神殿にいらっしゃらないのです』

「なんか、危ないらしくて王宮の方が安全だと……」

 私は呆然としている。なんなの? この状況。


『まぁ、安全でしょうけどね。だけど、王宮はどの国も空気悪くて好きじゃないんですよね』

 私をここの世界に転生させた光の玉が、目の前でブチブチ言い出した。

『この国に来ることは想定内でしたけど、王宮で儀式を待たせるとは……何を考えているやらですよね、全く』

 言葉とは裏腹に光の玉は楽しそうだけど。


 そうだ、思い出した。光の玉にあったら、文句言ってやろうと思ってたんだ。


「ちょっと、あなた。元々私をこの世界に召喚させるつもりだったんですって? どういう事なのよ。それに、約束ののんびりライフは?」

 そういう約束でここに来たんだよねっ、私は。


『園山実さんに聞いたんだ』

「そうっ、それ。何で元夫までここにいるの?」


 私がそう質問をすると、光の玉は『う~ん』と考える仕草(多分)をして答える。

『のんびりライフは、保証します。私の用事が終わったらですが……』

 そう言って、光の玉はゆっくりと光の女性型に変わっていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ