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地獄を滅茶苦茶にしよう

登場人物紹介

・近藤 由美

前回スライムのようにドロドロにされた少女。

なんとか再生するが……。


・シィ

地獄の獄卒長。

嗜虐趣味のドS女。 由美との再会を果たしテンションが上がってるとか。


・セコンド

地獄の獄卒長。

普段は丁寧な口調で話すがスイッチが入ると暴走気味。

シィ以上に嗜虐性が強いため、拷問の際はシィがブレーキ役になる。

外見は長身で細身の男。 身体は他の獄卒のように煙みたいだがが、ハッキリと人型をしている。体色は白


・川口さん

由美が苛めてた少女。 前にアンタやアイツで表現されていた。


・上田&三木

ヤバイ不良だが金と女には弱い。 比較的裕福で顔もそこそこの由美にとっては中々使い勝手のいいコマ。


・益田

オタク系男子。


・クラスメイトの子

女子。由美と共に川口さんを苛めてるが、時折やり過ぎと感じている。

う、うーん……。 はっ!?


こ、ここは? あぁ、私ったらあの後気絶してたのね。


私は腐敗した地に咲く一輪の花、近藤 由美。


前回、地獄タクシーの主人に謎の液体をかけられ、身体がドロドロになった上に、下水道に捨てられた。


あの後、私は地獄の地下深くを汚水やヘドロとともに流れていき、現在地に流れ着く。


その間、ドロドロになったスライム状の身体は分解と再生を絶え間なく繰り返す程のダメージを負い、私は堪らず気絶してしまったというところだろう……。


今はスライム状になった身体も完全に元通りになった。


あれ、元通り? 何か違和感がある。


ペタペタと自分の身体を触ったり、この目で確認をするがおかしい様子はない。


次にキョロキョロと周囲を見渡してみた。


なるほど、そういうことね。


おかしいのは私の身体ではなく、周りの風景だ。


何がおかしい? それは周りがミニチュアから? いや違う、多分、多分私が……。


「おっきくなってるーっ!?」


そう、私の身体が数百倍にまで巨大化していた。


塀に見えるあれは、大きな丘。 その下に広がる草むらに見えたそれは、森だ。


それにしてもどうして巨大化なんて……。 いくら私の身体が自由自在だからっておかしくない?


あっ、そうか!


ただ一つだけ心当たりがあるぞ。


多分、前回のスライム化が原因ね。 スライム化といういつもと違う状態が水中で不完全な再生を引き起こした結果、汚水やらゴミも一緒に吸収したってところかな……。


なら多分、今の私の身体って……。


くんくん……ぶっ!?


ゲホッ、ゲホッ、く……臭い。 生ゴミの臭いがする。 あーもう最悪、女子中学生がゴミ臭いなんて有り得ないーっ。


まぁ、これもこの地獄だからこそ起こりうる事象。 多分元の世界に戻れば戻るよね?


よいしょっと! 私はようやく腰を上げ一歩動く。 すると。


プチっ!


「ギャァァッ」


えっ、何この悲鳴? そっと足の裏を確認する。


するとそこには圧死した獄卒の姿が……。


あちゃー、私ったら大きいんだから気をつけないとー、てへぺろ〜。


「あっ」


そうか、今の私は獄卒より強いんだ!


ふふふ、ついにこの時が来たわ。


この身体なら獄卒を怖れることなく出口に向けて散策できるだけじゃない。


そう、復讐よ。


私を散々コケにしてきた獄卒達に復讐してやるわ!


———


「ねぇねぇ、川口さん?」


「ひっ、どうしたの……、近藤さん」


イラっ、川口のやつ、わたしの顔を見るなりビクビクしてムカつくわー。


パシリで許してやるところだったけど、ちょっときついミッションを与えてやる。


「アンタ、教室で大暴れしなさいよ。 ちょっとはハジけて一皮剥けばアンタもビクビクしなくなるよ」


「えっ、でも……、何をすれば……」


うーん、何させようかなぁ。 そーだなぁ、それじゃ……。


「一番後ろの席の益田君居るじゃん? あいつなんか暗くてキモいよね? だからちょっと叩いてきちゃってよ」


「えっ、やだぁ……ぐっぅぅ」


いうことを聞かない川口の首を押さえつける。


「できなきゃいいよ? 私がお前を代わりにボコボコにするから。 もちろん私だけじゃない、三木と上田にも手伝って貰っちゃう」


三木と上田。 恐喝いじめ、喧嘩ばかりの頭のネジが飛んだ不良。 だけど金さえ渡せば簡単に従う従順な犬。 それに女には弱い。 月に3万円貰ってる上に美少女の私にとっては都合のいい手駒ってところね。


もっとも前に一度、私がコイツらを使って川口を脅したことがある。 だから今の川口は三木と上田の名前を出すだけで……。


「わ、わかったよ……。 やります」


川口はトボトボと肩を落としながら益田に近寄っていく。


「川口さん? どうしたの?」


川口は益田の前に立ち……。


いまだ、やれっ!


「あぁぁぁぁぁ!!!」


バチーン!!!


「いったー、何するんだよぉ……」


キャハハ! 益田の奴、女子にビンタされたくらいで半べそかいてるよ。 ダッセー!


「ごめん、益田君!」


「か、川口さん?」


ぷぷっ、なんか益田振られたみたいになってんじゃん。


いいこと思いついた、さっきのビンタで皆注目してるし、話のほとぼりが冷める前に川口は益田と最近まで付き合ってたって作り話を広めてやろっと。


「ねぇ、由美」


「ん〜?」


クラスメイトの一人が私を呼ぶ。


「川口が……」


それにしてもいいタイミングで話しかけられたわ。 よし!


「さっきの川口さん見た? 凄いビンタだったよね〜。 あれ実はさ、益田君と別れ話で……」


「由美っ!」


えっ、何? ビックリした。 話を最後まで聞きなさいよ。


「もうやめようよ。 川口さんが益田君叩いたのって、由美の差し金だよね?」


はぁ?


「何、アンタは私が悪いって思ってる?」


「えっ、そういうわけじゃ……」


はっ、思ってた癖に。 顔に書いてあるよ、まったく……。


まぁいいわ。 脅しとけば逆らわないでしょうし。


「いい? 私が川口さんに命令して叩かせたなんて有らぬ噂をしたら、アンタも川口さんと同じにするよ? それに私に逆らえば三木と上田も黙ってないよ?」


「……ごめんなさい」


「ならいいわ、私気分悪いからどっか行ってて」


「うん……ごめん」


私に疑いの目を向けたクラスメイトは私(のバックにいる三木と上田)に恐れをなしてそそくさと退散した。


てか疑いっておかしいね。 たしかに命令したのは私だけど、アイツは……、川口は私の赤松君を取ったんだからこれくらい許されるの。


そう、川口の罪は川口のもの、私の罪も川口のものなんだからっ!


———


「ギャァァ、退避! 退避ーッ!」


「グギャッ!」


「わーん、パパー」


ギャーギャー、ワーワー!


巨大化した私はあの後、少し休んでから獄卒の住処を探すために地獄を探索。


そして探索を始めて早10分で獄卒が住まう街を発見する。


復讐に来た私がすることは決まっていた。


巨大化した身体をふんだんに使って街を踏み荒らした。


街は一瞬にして地獄絵図と化した。 てか地獄だから地獄本来の姿に戻ったって方が正しい?


下を見ると壊れた建造物、道、そして獄卒達の死体が入り混じっている。


ザマァ見ろってのよ。 でも私を散々いじめた罪はまだまだこれから返してもらうわ。


私は街を思い切り壊そうと力一杯右脚を振り上げ……。


寸分の迷いもなく振り下ろ……せない?


あれ、身体が……、右脚が……。


「ギャァァァァァ、足が、右脚がぁぁ、痛いぃぁああ」


さっきまであった私の右脚がない。 てか滅茶苦茶痛い!


ドシーンッ!!!


私はバランスを崩し倒れ込んだ。


一体何が起こったの?


「おイタが過ぎたわね、由美ちゃん」


あれは獄卒達を束ねる女幹部のシィ!


そしてもう一人誰かいる……。


「お初目にかかります。 私は獄卒を統率する者の一人、獄卒長セコンドといいます」


幹部がふたり……。


「貴女が本地獄にて何をするかは基本的に問いませんが、さすがに本地獄での大量殺戮はやめて頂きたい」


何よ、アンタらだって散々私を痛めつけたのに……。


「その目、貴女の考えはわかりました。 では今一度、地獄の獄卒長直々に罰を与えましょう」


「くっ!」


「…………ふっ、どこまでも反抗的だ。 さて仕事だ、シィ! 俺についてこいっ!」


口調が変わった。 このセコンドってやつ、スイッチ入るとヤバイやつだ……。


逃げようにも片脚じゃ上手く立てない。


ヤバイヤバイヤバイ、どうしよどうしよ……。


「ご、ごめんなさい、ゅるしてぇ……」


ジョロロロロォォォ……。


あっ、あぁぁぁぁぁ……、怖くて涙腺も尿道も緩くなってる……。


「遅い遅いぃ! 今日死んでいった奴らの命は返ってこねぇんだ、その身で詫びろよォォ!」


「ふふっ、楽しみね。 身体が大きい分いろんな部位をじっくり虐めてあげるから覚悟なさい」


ひ、ひやぁぁぁぁぁ……、終わった、私おわったぁぁん……。


巨大化したままですが次回に続きます。

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