地獄の道はイバラ道です
登場人物紹介
・近藤 由美
地獄のみんなの玩具。
ダメージが再生する際、身体だけでなく服も再生する。
・獄卒ロク&ゴウ
今回の地獄にて由美を案内する獄卒コンビ。
落書きで適当に描かれたかのような外見の少年獄卒。
ロクが緑、ゴウは赤色。
その適当な見た目とは裏腹に地獄の幹部格。
空中浮遊が出来たり変身能力をもつ。
・ハチ
ロクとゴウのペット的存在の獄卒。
落書きされたかのように適当に描かれた犬の姿をしているが、幹部格。
喋れないことを除けば人並みの知能である。
穴を掘るのが得意。
あぁ、暑い・・・。
この地獄に来てもう一週間になる。
前回の拷問・・・、地獄の獄卒を率いる女幹部の「シィ」によるセルフ血の池地獄から後も私は何度も獄卒に見つかっては捕まり、その度に身体を痛めつけられきた。
そんな中でも私は諦めず前へ進んだ。 地獄の責め苦を受けながらも確実に私は奈落の底から這い上がってきた。
そして今現在に至るというわけ。
ここはとにかく暑い、今までの場所も所々に溶岩の川があったり、炎が柱のように噴き出している場所はあったけど、ここは格段によく見られる。
「ふぅ、ひぃ・・・、えっ、ちょっ、こんなのってアリ!?」
徐々に炎柱や溶岩、岩が周りを占める割合が増えていき道が狭くなってきてたが、今ここでついに恐れてた最悪の状況、もとい行き止まりにぶつかってしまった・・・。
右は溶岩の川、左は一面炎柱。 前はそびえ立つ巨岩。
どうしよう・・・、ここまで一本道だったから引き返してもだし・・・。
「困ってる、お姉さん困ってる?」
「かわいそ、かわいそ。 ちょー困ってる!」
二つの声は近い、誰かが後ろに? ひっ、いつのまに獄卒がっ!?
「えへへ、僕は偉い獄卒のロク」
「ワハハ、俺も偉い獄卒のゴウ」
『今日は二人でお姉さんで遊びにきたよっ』
私の後ろに忍んでた二人の獄卒は、落書きで描かれたようなシンプルな人型。 二人とも身体は小さくてロクは緑で、ゴウは赤色。
でもシィ同様実態はある感じだし、自分で偉い獄卒って言っちゃてる辺り多分上位の獄卒?
「お姉さんは先に行きたいけどー」
「でっかい岩が邪魔じゃまー」
『だったらー』
岩を退かしてくれる? それとも壊して道を開いてくれる・・・ん!?
「ギャァァァ、いだい、痛い痛い!!!」
ズボッ言う音と同時にお尻に鋭い痛みと、異物がねじ込まれたような違和感。 それはまさしく。
『カンチョー!』
二人の指の突きの勢いが凄いせいか、それともカンチョーの強烈な痛みなのか・・・、私の身体はロケットのように飛び上がる、漫画みたいに尻からピューっと血を吹き出しながら・・・。
何はともあれ巨岩を飛び越え先に進むことが出来た。 しかし今日の拷問はまだ始まったばかり。
———
・・・また行き止まりだ。
次に行く手を阻むのは溶岩の海。
両端は炎柱・・・。 はっ、視線を感じる。
獄卒のロクとゴウ。 ふたりがまた私のお尻を見てる? まさか、またカンチョー?
もう同じ手は食わないよ。 お尻を右手でガード。
「ドーン」
ロクの方が私の背中に思い切り体当たりした。
「へっ、えー、えぇぇぇ!?」
ちょ、ちょ、落ちる。 落ちるからぁぁ
私は溶岩の海へと放り出された。 まさか泳げって言うの? 無理無理、いやぁ、たすけてぇーっ!
ジュッ!
「あぢぢゃぁぁぁあ」
そうきたか。 私は溶岩に落ちた瞬間、お尻に火がつき大ジャンプ! 再び尻からは落ちて超ジャンプ!!
溶岩を水切り石のように跳ねながら先に進んでいった・・・。
———
「ひぃ、ひぃ・・・え、また行き止まりぃ、もうやだぁ」
今度は刃物のように鋭い草が一面に生えた道が道を遮る。
「うーん、由美ちゃん。 進もう、普通に進もう」
ゴウのやつ人の気も知らずに。
「やだやだやだぁ! あんた達、なんでもいいから、少しでも痛くないように進めるよう考えなさいよ、カンチョーで吹き飛ぶみたいなヘンテコなやり方でもいいから空に飛ばす方法ないの?」
私は床に寝そべって子供のように手足をバタバタさせて駄々をこねた。
「仕方ないなぁ、前見て?」
呆れたゴウが指差す先は・・・。
「えっ、赤松君? どうして?」
刃物の草原の先には元カレの赤松君。 赤松君は上半身裸で私を見ている。 流し目で私を見ている。 もしかして私と寄りを戻してあんなことやこんなことを?
「あのお兄ちゃん、由美ちゃんが頑張ったら自分の身体好きにしてもいいってさ?」
マジかー、マジなのか? そんなん頑張るしかないじゃない、私ここに来てから拷問漬けで欲求不満なのぉー、まっててぇ、今行くから!
「はぁ、はぁ、はぁ、あかまつくぅん」
鼻息を荒くしながら私は刃物の草原を駆け抜ける。
赤松君のことを考えてると興奮して痛みが頭に入ってこない・・・。 ヤバイ、それより早く赤松君といっぱいイチャコラしたいよぉ。
シュパ、シュパ!
服を切り肉を切り、通った道を紅く染めながら赤松君の元へ突進するように向かっていった。
「由美ちゃん凄いなぁ、この欲求を刺激する注射の効果は抜群だなぁ」
———
「えぇ、なんで〜? 赤松君出してよぉ、なんで騙すのよぉ」
刃物の草原を渡った私が抱きついた赤松君はロクが化けたものだった・・・。
私は騙された、もう最悪っ!
「由美ちゃんゴメンねぇ、でも先に進めたからいいじゃん」
「うるさい、私のこの、はぁ・・・はぁ、やり場のない欲求はどうすればいいのよー」
ロクの胸ぐらを掴んで揺すった。 この際だ、ロクが化けた赤松君でもいいから私を満足させなさいよ!
「わーん、ロクを離せよぉ」
「助けて、ゴウ〜」
ふふふふふ、あんたらが悪いのよ? 赤松君に化けて私を誘惑なんてするから・・・。 もう責任取ってあんたら二人とも赤松君に化けて私にご奉仕しないと許さない。
「・・・っ!?」
しばらくロクを揺さぶってるとお腹の中から何か違和感が・・・、なんと言うかお腹の中がパンパンに張ってる感じがっ。
やばい、破裂する。
ブフォッッッ!!!
「ギャァァァ、何これー」
大きな爆発音がしたと思えば私は遥か空の上に居た。
後ろを見ると、お尻から濃い煙が出てる? もしかして・・・。
「へぇぇぇぇ〜(屁)」
そう、私は尻からあり得ない勢いの屁を放出し、その反動で吹き飛んだのだ。
「ちょっとー、ロクぅゴゥー、たすけてぇー、下ろしてぇ」
私は地獄の障害物を空から見下ろしながら、果ての方まで吹き飛んでいった。
———
ひゃぁ、由美ちゃん怖かったなぁ・・・。 お猿さんの方がまだ理性があるかも・・・。
「ありがとう、ハチ」
「ワンワン」
この犬のような鳴き声の生き物は僕とゴゥのペット的存在。
一応、僕やゴゥと同じ上位種の獄卒なんだけど、見た目は落書きのような茶色の犬。 仕草も鳴き声も完全に犬なんだ。 喋れない事を除けば、頭は人並みだから人間の道具を使えるよ。 パソコンでタッチタイピングだって出来ちゃう。
今回、僕が由美ちゃんから助かったのは、このハチが素早く小型のボンベで由美ちゃんを膨らませたから。
まだまだこの先に障害物は沢山あって遊びたかったけど由美ちゃんが居なくなったんじゃ仕方ない。
ゴゥ、ハチ・・・、僕んちで・・・。
「(テレビ)ゲームしようぜっ!」
せっかく一人称視点で展開してるので由美だけでなく、たまには拷問する側の視点で1話書くのもいいかなと考えています・・・。