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派手にフィナーレです

登場人物紹介

・近藤 由美

ライブと思ったらサーカスをすることになった不死身の少女。

不死身の身体を活かして皆を楽しませる。

地獄に堕ちた後の自分の体質を理解しつつある。

屁を溜め込む癖がある。


・ナナ

自称アイドルの獄卒長。

この地獄の価値観で見ればサーカスもライブになりうる?


・シィ

獄卒長のドS女。

高い戦闘力と紐を操る力を持つ。


・ロク&ゴウ

獄卒長コンビ。

変身能力を持つが中々活かす機会がない。

精神年齢は小学生並み。


・ハチ

獄卒長、犬。


・八百万岐大蛇

無数の沢山の頭を持つ蛇。

ナナに飼いならされている。

名前に八百万と付くが頭が八百万あるわけじゃく、実際は百そこらと思われる…。

興奮すると体温が上昇し、火が吐けるようになる。


・観客

地獄の住人。

いままでの獄卒と同じく身体は不定形。

体色は個体ごとに違う。

性別はないが、雄に近い性質。

はぁ……。 これは一体?


ステージの幕が再び上がり今始まる第二幕。


私は高い場所で待機させられている。 高いところにサーカスといえば綱渡りを想像するんだけど、私の目の前に綱なんて見えない。


「ふふっ、由美さんは不安そうですわね。 でもご安心なさいまし。 ワタクシに身を任せるだけでいいのですわ」


背後で待機しているナナは自信満々の様子。


それが逆に不安なんだけど……。


さっきの火の輪くぐりだって結局私のお尻に火がつく様を楽しんでたんだし……。


この観客達の需要を考えたらこの後絶対酷い目に遭うのが目に見えるわ。


「では皆さん、ワタクシとそこの人間で綱無し綱渡りを行います。 とくとご覧あれ〜」


綱無しって、綱がないんじゃ綱渡りじゃないじゃん。


……パチン!


ナナが指パッチンしたその瞬間っ!


シュルルルル。 ギュッ!


「ぐぇっ!」


頭上から紐のようなものが襲いかかる。 そして次の瞬間紐は私の首にガッチリ巻きついた。


く、苦しい! 首が……首が閉まるぅー!


「さぁ、由美さん。 前進ですわ」


「ぐっ、前進って……これ分かる? 私首吊り状態でそれどころじゃ……」


ガクンッ!


「いぎっ、ぐぁっ! あぁが?」


紐が勢いよく真上に上昇し、私の身体は首吊り状態に加えて宙吊りにっ!


その上更に……。


ビスッ! ビスッ! ビスッ! ビスッ!


痛い、何かが刺さって……はっ、四肢の自由が利かない。


ポキン!


いっ! 右腕が勝手に……強引に上がる。 さっきの紐で操ってる?


「由美さん、貴女はただただワタクシ達にその身を提供するだけでいいのです」


パチン!


「ギャッ、痛い! イタタタ、無理無理曲がらなっ、がっ!」


上から垂れる紐によって完全に操り人形にされてる。


しかも私の身体のことはお構いなしでガンガン関節を曲げる。


ポキペキパキ。


操り人形と化した私はされるがまま前進、そのまま空中を歩行する。


パキ!


くっ、時々客にアピールのためか変なポーズまで取らされる。


具体的にはえっとあれよ。 コマネチとかアイーンとかね。


痛いのもあるけどとにかく恥ずかしい。 完全に晒し者だ。


パキパキ……ペキ……ポキキパキッ!


ぐぇ、身体が捻れる。


ペキパキ……ポキポキ……パキキポキ!


脚が変な方向に……ギャ、股関節が外れっ……。


ポキポキポキ……バキッ!


ぐふっ、いたた……これ折れたよ、絶対。


シュルルルル……ドサッ!


ひぅぅ、腰打った……。 あれ? 紐が外れた? 身体の自由が戻った?


パキッ!


痛い……、さっきので関節が変になってる。 でも……と、とりあえず終わったようね。


「はーい、無事に渡りきりましたわ! 皆さま拍手をっ」


パチパチパチ!!


『関節の音よかったぜー』


『無様過ぎー』


『パンツ撮ったったw』


拍手喝采の中、飛んでくる声は微妙に傷つくものばかり……。 もうお嫁にいけないよぉ……シクシク。


「さぁ、休んでる暇はありませんわ。 次は玉乗りですわ。 あちらにあるボールの上に乗りなさいな」


えっ、ちょっと休ませてくれないの? 身体がまだペキパキ行って痛いのに……。


「………………」


ナナのやつ睨んでるよ。 よく見ると舞台の上からシィも。


なるほど、さっきの紐はシィが操ってたのね。


はいはい、いきますよっと……。


私はまだ関節が痛む身体に鞭を打ちながら、ナナが用意した大きなボールに乗る。


「よいしょっと」


ふふっ、実は私はバランス感覚がいいのよね。 だからボールに乗る程度のこと造作もない。


これならさっきの火の輪くぐりや綱渡りよりマシね。


私は自慢のバランス感覚を駆使してボールと一体化し、ステージの上を周っていく。


どんなもんだい♪


「…………」


あれ、ナナ?


シーン…………。


会場もしんとしている。 なんで? 上手くやってるのになぁ。


「このままじゃあまり面白くありませんわ」


えっ?


『ブーブー』


はぁ、なんでブーイング? ちょ、なんで?


「会場の皆様申し訳ございませんわ。 近藤 奈々さんは意外にも軽く玉乗りを熟してしまいましたわ」


「だからなんで出来ちゃったらダメなのよ? ボールに乗れって行ったじゃない!」


抗議よ、たまには私だって意見する。 ちゃんとやってるのに文句なんて理不尽だわ。


で、どうくるナナ。 それに客達は……。


「はぁぁぁ……、会場の皆様が何をもって喜んでたのか……。 貴女は先程の歓声でこのステージの趣旨を理解してませんの?」


ナナは呆れた表示をしながら言った。


「えっ、それって……はっ!」


あぁ、そういうこと? そういうことなのね?


ここは嗜虐的なサーカス。 つまり私がヘマをして痛い目を見たいってところかしら?


忘れかけてた、ここ地獄だもんね?


「さーて、玉乗りはぜんっぜんダメでしたので最後のプログラムに入りますわ。 最後はお仕置きも兼ねてこの……」


ドスッ! ドスッ! ドスッ!


「グルルルルゥ……」


ひぃ、バケモノ! 舞台裏から……頭がいっぱいあって気持ち悪いニョロニョロしたバケモノがっ!


「はい、皆さん。 最後はこの地獄の自慢の猛獣。 八百万岐大蛇(ヤオヨロズノオロチ)の登場ですわ〜」


パチパチパチ!


「ひっ、ひぃぃ……。 ダメ、これ絶対死ぬやつじゃん……。 こいつ絶対言うこと聞かないじゃんー」


怯える私を見ながらナナは手を口に当ててクスクス笑う。 会場の観客達に、よく見ると舞台裏からシィ達、四人の獄卒長も……。


ダメだ、このままじゃ……。


ニュルルルル!!


ギュゥゥゥゥッ!


「がはっ!」


当然、調教師でも何でもない素人の私では八百万岐大蛇を従えることができず、容赦なく襲われることに……。


一瞬で四つの首が四肢を強く締め付けられ身動きを封じられ……。


「ひゃ、ひゃぁぁぁ……。 あ……あ、ダメ。 やめて、やめてよぉ……」


他の無数の数えきれない程の首が容赦なく私の全身をまさぐる。


こ、これが触手プレイってやつ? いやらしいいやらしい、最低変態! 何考えてるのよっ! もうお嫁にいけなくなるぅ……。


更に無数の首は私の身体に皮膚を擦り付けるだけじゃない。


口から細い下をチロチロ……。


一歩引いてそのチロチロした舌で私を舐め回す。


「ひゃっ、あはは……あははははははは! やめっ、くすぐったい! 息が、息が出来ないーっ」


高速で身体をくまなく舐める柔らかい舌は実にこそばゆい。


しかもくすぐったいところをピンポイントで狙ってくる。


次第に舌は表面だけでなく、服の袖やスカートの中に侵入。


より一層くすぐったく、不快感も強くなる。


「はい、皆さまご覧あれ! こちらが猛獣・八百万岐大蛇(ヤオヨロズノオロチ)による逆転調教ショーになりますわ〜。 このショーが終わる頃には由美さんもきっと大蛇に逆らえなくなることでしょう」


調教って、猛獣がする方なのね……。


…………あれ?


身体が熱くなってきた?


いや違う。 大蛇の方の体温が上昇してるんだ。


「あらあら〜、大蛇は由美さんの調教に夢中で熱くなってますわねぇ。 このまま大蛇の体温が上昇し、炎の情熱的触手調教に移行しますわ〜」


『わーわー! いいぞー』


カシャッ! パシャパシャ!


「やだぁ、撮影しないでぇ。 んっ、ダメくすぐったい。 もう触らないで」


くぅ、屈辱的。 こういうのって男子が好きよね。


赤松君の部屋のベッドの下にもあったもん。 女の子が触手であんなことやこんなこと……。


あんなことやこんなこと?


それって……。


「やぁぁぁ、イヤァァァァ! これ以上嫌らしいことしないでぇぇっ! 私まだ中学生なんだよ」


ダメダメダメ、私の身体は赤松君にって決めてたもん。


こんな気持ち悪いバケモノにやれるもんかっ!


絶対に、絶対に屈しない!


「往生際が悪いこと……。 でも私達の考えは多分貴女とは違うところにある」


パチン!


指パッチン? 何かの合図?


すると大蛇はまさぐる首や舌を引っ込め、四肢を縛り付けた4本の首の内、脚を縛り付けた二本が動き出す。


ギュゥ! ギュッ!


二本の首は私の脚をバッコリと開かせ、下から一本の別の首が近づく。


その一本の首は私のバッコリ脚を開いた下半身の下で大口を開ける……。 すると!


ボワッ!


!?


あ、熱い熱い熱い!


蛇の口からライターのように火が!


なになに? 何が始まるの?


今度は脚を抑えてた首が少しずつ……、少しずつ火に私の下半身を近づけて……。


「ギャァァァ、やめ@jd2な熱g⁉︎ァァァ!」


大蛇は私の下半身を火あぶり。


その間、私の聞き取れない悲鳴が会場に響き渡り。


『ワァァァァァ! ウォォォ!』


会場は大盛り上がり!


それから30秒くらい経ったところで、一度火から私の身体を離す。


そしてナナは私の顔をジッと見て表情を伺ってる。


「うーん、まだまだ生意気な眼ですわ。 大蛇さん、まだまだ素直にさせるには足りませんわね。 更に火あぶりをお願いしますわ」


ちょ、やめ……まだやるのぉぉぉ!


「ギャァァァ!!」


———


〜それから15分。


あの後も何度も何度も引き上げては炙りを繰り返した。


自分では確認できないけど、お尻は真っ黒コゲかしら? それともおサルのように真っ赤?


ってそんな場合じゃない。


実はまだ続いている。 今、引き上げて私の苦しむ顔をナナや会場が楽しんでる所。


くっ、屈してたまるか! こうなったら維持だ。


私だっていつまでもやられちゃいない。


反撃だ!


策はある、次に火に尻が近づいたその時……。


「中々調教出来ませんわねぇ。 でもその方が痛めつけ甲斐があるってものです。 さぁ、もう一度由美さんのお尻を焼いちゃいなさいー」


大蛇が私の下半身を火に近づけた。


よし、いまだ!


ブォォォォォ!!!!!


私の策、それは放屁によって……。


「何、このオナラ……。 クサッ、臭い!」


オナラで私を直視できないナナ。


「ナナ、まずいわ。 このままじゃ!」


私の策に気づいたのか焦るシィ。


「どうしたの?」


「なんか臭いー」


状況を理解できていないロクとゴウのクソガキコンビに……。


「ワフゥ…………」


屁の匂いにやられた犬のバケモノ、ハチ。


そしてぽかーんとする有象無象の観客供!


全部……。


吹き飛んでしまえ! 爆裂空臭撃(エア・クラッシュ)


ピカッ!


ドカァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!


私の強烈なオナラによって火は反応し大爆発!


会場全体は猛烈かつ、激臭の爆風により跡形もなく吹き飛んだ。


…………。


どうだ! 獄卒供、私の勝ちだっ!

屁で大爆発しないだろ? たしかにそうです。

ですが由美の身体は物理法則より漫画的な表現が優先されます。

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