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解放されるまで頑張ろう

登場人物紹介

・近藤 由美

二等分された由美のうち、物語の視点となっている方。

私で表現される。

不死身の身体の再生中に異物を混ぜると融合する。


・近藤 由美

二等分された由美のうち、視点の先にいる方。

もう一人の私、相手で表現される。


・ダルマ男

由美を捕獲して、由美を半分にぶった切った張本人。

人形を操る力を持つ。 巨漢だが腕力は意外に大したことない。



私は近藤 由美。 そして……。


目の前にいるあいつも私と同じ近藤 由美……。


「さて 二人とも どちらが ここ 残る? どちらが 玩具 なる? 決めたかな?」


死ぬことがない身体になってから死ぬことに抵抗はない。 でもこのダルマ男に死ぬまで飼い殺しにされて弄ばれるのはイヤ!


だからここは譲れない。


だけどそれは相手とて同じこと。 なら!


『先手必勝!』


ボコォ!


『がはっ!?』


私と私。 二人の同一人物による息のあったクロスカウンターが綺麗に決まった。


くっ、痛い。 もう一人の私も同じことを……。


でもこのぐらいで怯んではダメ。 もう一人の私に勝つには少しでも昨日の自分に打ち勝つ気持ちで……。


このぉ……!


パンチからのキック。 上に気を取られている今なら足元を狙ったキックは成功す……。


「ぎゃっ!」


バタンッ!


いたた……。 あっちも同じことを……。


私が私を出し抜こうと行動したもののコンマ1の差で相手の足払いが早くきまり……。


「いまだ!」


「ぐぐぅー、苦しいっ」


すかさずもう一人の私は転んだ私のお腹の上に飛び乗り、私の動きを封じた。


うっ、負けるもんか……!


「負けるもんかぁぁ!!!」


すかさず上半身を勢いよく起こし、頭突きを決める。


もう一人の私はよろめく。


そのチャンスを見逃すわけにはいかない。


私はよろめくもう一人の私を蹴り飛ばし形成逆転!


今度は私がのしかかる。 私と同じように頭突きをされても大丈夫なように頭に気をつけながら……。


「うわぁぁぁぁぁ、やだやだ!」


のしかかられ身動きを封じられた私は必死に抵抗するもそれを私は許さない。


このっ、大人しくしろっ!


ボコォッ!


追い討ちで放った突きは相手の顔面を直撃! 拳は綺麗に顔面にめり込んだ。


まだまだ追撃を止めるわけにはいかない。


拳を上げ今度は……。


パパパパパパパァァァン!


私の十八番! 往復ビンタだ。


もう一人の私の顔を左右から叩く。 兎に角叩く! 徹底的に叩きまくる!!


念には念。 ビンタする手を止め、今度は顔を鷲掴み。


ガンっ! ガンガンっ! ガンッ!


死ねっ、死ねっ、死ねぇっ!!!


相手が二度と立ち上がらないように殺意を込めてしっかりガッツリ容赦なく、頭を何度も床に叩きつけた。


…………。


「はぁ……はぁ、どう? 私の勝ちかな?」


もう一人の私はタンコブの山を頭につくり完全に伸びている。 ご丁寧に頭の上には星やグルグルヒヨコが回るエフェクトも具現化……。 これはもう起き上がることはあり得ない。


これで私が解放され……。


静観を決め込んでいたダルマ男はもう一人の私を眺めながら口を開いた。


「あーあ 君 やっちゃった」


はぁ!?


「はぁぁぁぁ!? どういうことよ?」


「君、これ? 死んでるよ?」


「えっ……」


しまった、私はどうやらやり過ぎてしまったようだ……。


死んでしまうと私の身体は……、まさかっ!


スゥゥッ。


もう一人の私の死体は少しずつ半透明になっていき……。


消えてしまった。


つまりこの家に残ったのは……。


私だ。


やだぁ、そんな……。


「ヤダヤダヤダやだ! 助けてイヤ、逃して返して、もうやだぁー」


こうなったら泣き落としだ。 ダメ元での。


「…………」


ダルマ男は床で子供のようにジタバタと駄々をこねる私を眺めてだんまり。


もしかして、泣き落としが決まった? 私は解放される?


「ダーメッ」


あっ…………。


「残った方 ここに残る 俺と遊ぶ」


やだやだ、許してっ。


ガシィッ!


ダルマ男は私の腕を掴み……。


「あぁぁぁ、痛い、痛いよっ、離してぇ! 助けておかあさぁぁん。 わぁぁぁぁん」


ズルッ、ズルッ……。


「やぁぁん、ひゃぁ! ギャァァァァア。 やめて、イヤだイヤだってぇぇ。 いーやーなーのぉぉ」


ギィィィ、バタン!


泣き叫ぶ私を引きずって自室に籠もったのだった。


———


〜数時間後……。


「やだぁ、痛い痛い! そっち曲がらないからぁ」


ボキボキベキィ!


「ギャァァァァア!」


「由美 凄い よく曲がる」


私の身体は一種の芸術作品のように歪な姿にされていた。


ダルマ男は楽しそうだ。 適度に加減をしてるからか私が死ぬことはない……。


———


〜二日後……。


「あぁぁぁ、そこは、ひぎっ! とらないでー」


ブチャー!


「カチカチ改造 由美 改造」


私の四肢はもがれ、一部の皮膚も剥がされる。


その代わりに別の生き物の一部や、ガラクタにゴミといったもので保管される。


滅茶苦茶痛かったが致命傷には至らず相変わらず私は死ぬことができなかった。


ダルマ男が飽きて寝た頃には私の身体は元どおりになるから、ダメージもリセット……。


———


〜一週間後


「ガガガガガァー 私達が来た 皆 もう大丈夫 お前もう終わり」


ドカッ! バキッ!! グシャ!!!


ビリビリ、ゴォォォォ、カチンコチン……。


チュドーン!


「あぎゃ……」


シュゥゥゥ……。


ダルマ男の人形遊びの悪役に抜擢された。


ヒーロー役はあいつの呪いで操られた人形達五人。


戦いというよりもはやリンチという形で総がかりで一方的に私を痛めつけた。


今度こそ死ぬと思った。


でもギリギリのところで一命を取り留めてしまった……。


———


〜一か月後……。


「あぁぁぁぁぁ、やだぁ! たすけてぇ」


シャコシャコ……カサカサ……ニュルニュル


「虫 由美 なかよくしろ 由美 逃げるな」


ドンッ!


「ひゃん!」


カサカサカサカサ……。


「いぎゃぁぁぁ、気持ち悪い! 助けてたすっ……。 痛ダダダァァォァァ!」


「うんうん スキンシップ 大事」


何がスキンシップよ 私がお前が持ってきた巨大な虫達の餌になってるだけじゃない……。


虫達が私の身体を二時間弱弄んだ時、ようやく事切れると思った。


でもそのピッタリのタイミングでダルマ男は私を引き上げ存命させる……。


鬼、悪魔、ダルマ男!


———


〜三ヶ月くらいが経った時……。


ダルマ男はついに飽きたようだ。


最後に私の脳は、野良犬(らしき地獄の生き物)の脳のものに9割を入れ替えられ、意識や感覚はそのままに、身体の主導権は犬に乗っ取られる


結果、身体は意思を完全に無視し、ゴミを漁ったり片足を上げて電柱の下で小便といった犬そのものの動作をするようになる。


裸足での四足歩行は皮膚を切り裂き、傷口にはゴミが入る。


時々、体型の違いから犬の動作に身体が付いて行かず、あらぬ方向に関節を曲げ骨を折る。


風呂に入れないので身体はどんどん汚くなった。


下着を脱がずに用をたすため、下半身はただれた。


門番さんや保安官に服を渡していたため、下着以外身につけていない。 だから体温もどんどん持ってかれた。


———


〜どれくらい経ったかわからない……。


漁ったゴミのどれかがあたったのか、身体が苦しい。


次第に息は苦しくなり、身体も冷たくなった。


そして、ついに……。


私は生き絶えた。


もとい解放されたんだ……。

一区切りしたので次回は新たな舞台で酷い目に遭います。

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