地獄の沙汰も金次第! 危ない時は対価を払って回避せよ
登場人物紹介
・近藤 由美
なんどでも復活できる不死身の少女。
地獄の生活に慣れつつある自分が怖いらしい。
・追っ手の獄卒
真面目だが滅茶苦茶足が遅い。 後方向音痴。
・門番さん
街の外周を囲う巨大な壁の出入り口を守る門番。
通行料を払えば誰でも街に入れる不真面目なやつ。
・保安官
街の治安維持に勤しむ保安官。
実はテキトーな性格で金に凄く弱い。
後、拷問が好きで取り調べには自慢の拷問具コレクションを用いる変態。
・獄卒長ファスト
街のお偉いさんで町長的存在。
舞台
・街
モロッコにある迷路みたいな都市に近い雰囲気。
非常に広大で隠れる場所は多いが迷いやすい。
外周を壁に囲まれているので出入り口は数カ所しかない。
あと、街の広さとは裏腹に人口が非常に少なく、建造物のほとんどは無人。
はっ! また気を失ってたわ……。
はぁ、前回のオアシス。 なんだったのかしらね……。
途中までは天国だったのに、急に地獄に堕とされた気分。
あっ、ここ地獄だったわね。 てへぺろー。
なんか私、殺されるの慣れたのかな。 身体が傷つくのに前ほど抵抗感じないような……。
さて、それはいいとして今度はまたどこに飛ばされたのかなぁ……。
空は地獄らしく炎のように真っ赤だけど、地上は割と文明的。 つまり街がある。
そういえば、前に巨大化したときも獄卒の街で暴れたけどここも獄卒が住む街かな?
だとしたら私が居るのは危険……よね?
避けて通るべきね。
ピピピーッ!!
「不審な生き物発見! ただちに捕獲する」
キャーッ、さっそく獄卒に見つかったーっ!
と、とりあえず逃げないと。
考えてる暇なんてない、兎に角前に、前に!
このままだと街に入っちゃうけどなりふり構ってられないわ!
「まてーっ」
あの獄卒、意外に足が遅いね。 これなら撒けそう……。
ガシィ!
「キャッ!」
バタン!
何かが私の足を引っかけたせいで、私は思い切り前から床に叩きつけられる形で転んだ。
「イタタ……、なによぅ」
はっ! 目の前には私の足を引っかけた奴が私を睨んでいた。
こいつも多分獄卒だ……。
やばい、捕まる。 かといって後ろに逃げればさっきの奴が居るし……。
早くもデッドエンドォォ、あぁ、イヤァァァァ!
ァァァ、ん? あれれ?
何もしてこない?
「あ、あのー……」
恐る恐る目の前の獄卒に話しかけてみる。
すると獄卒はすっと手を出して。
「通行料……出せば通してやる」
この人、見た目は獄卒だけど、門番さんかな?
でもお金なんて持ってないし……。 てか、この世界に通貨なんてあったのかな?
いや、わからない。 何か別のものを渡せばいいかもしれないし、ちょっと聞いてみよう。
「えと、門番さん。 通行料って何を払えばいいのでしょうか……」
…………えっ?
私が門番さんに問いかけると、彼はおもむろに私の身体を様々な角度から凝視して……。
「金はないようだな」
あっ、やっぱり通貨が居るんだ……。 なによぅ、ダメじゃない。 万事休す、また復活したその日までさよなら……。 諦めモード全開の私。
すると。
「代わりに体の一部、もしくは身ぐるみを渡せば通してやる」
へっ、服とかでもいいの?
「君が渡しても問題なさそうなもの……。 そうだな、その水色の服か、黒のスカートのどちらかでいいぞ?」
ははぁ、なるほど。 身体の一部を差し出すよりはマシね。 って服も嫌よ、何が嬉しくて花の女子中学生が下着晒して街を歩かなきゃいけないの。 私は痴女かっての!
「まてー!」
しまった、うだうだしているうちに追いつかれそうになる。
わかったわよ、いいわよ。 渡せばいいんでしょ、渡せばっ!
獄卒に捕まるよりはマシと判断した私は、水色のTシャツを脱ぎ、門番さんに渡した。
「通行料確認、通ってよし!」
ひぃん、恥ずかしい……。 でも助かった。
私が街に入ったすぐ後に追いかけて来た獄卒も門番さんを前に足止めをくらう。
おそらく彼も通行料を持ってないのね。 間抜けなやつ。
その間にあいつとの距離を離しちゃおう。
私は街の中へと身を隠した。
———
ふぅ……、この街を彷徨って早くも3時間が経つ。
追っ手から逃げる事は出来たんだけど、今度は別の問題に直面した。
何が問題って、この街……。
「広すぎるーっ」
はっ、思わず大きい声出しちゃった。
一応、数が少ないとはいえ獄卒と同種の生き物が彷徨く街。
私は人通りの少ないところを慎重に通ってる。
そこは問題ない。
この街は前にテレビで見た……そう、モロッコの迷宮都市みたいに入り組んでいるから。
隠れる場所は沢山あるんだけど、逆にそのせいで迷っちゃったわけ……。
なんとかして脱出しないと常に獄卒達が居る街、いつかは捕まる。
はぁ……。
ガラッ!
「あっ」
「へっ」
近くの建物の窓が開いてうっかり住人とご対面!?
「不審者! 不審者がいるぞー!」
見つかったぁぁぁぁ! ヤバイヤバイヤバーイ!!
わわわ、ちょー仲間呼ばないでぇ。
ひぃん。 私は全速力でその場を去った。
その後、必死に逃げた。 次第に増える追っ手を相手に横腹が痛くなっても走った。
30分後……。
必死の逃走も虚しく終わった。 そう私は捕まってしまったの……。
———
連行された先は小さな交番みたいな場所。
私は獄卒……、いや街の保安官的な人から事情聴取を受け……、もとい拷問を受けていた!
「お前、近藤 由美だろ?」
「ちが、ちがいますぅー! 私は通りすがりの商人ですよぅ」
ギシっ、ギシ!
痛い、滅茶苦茶痛い。 保安官は取り調べを始めるや否や私を持ち上げ三角木馬に乗せた。
しかも取り調べ時間が長くなるにつれて重りを追加してくる。
裂ける、股が……避ける。
「大体、この世界にお前のような人間は他に居ないんだよ。 だから近藤 由美しかありえないだろ? んー?」
「あんっ、違うからぁ……」
「じゃあなんで人間の姿をしてるのかな〜? 変身してるのかな〜、でもわざわざ変身する必要がないよね? しかも上半身下着だけの痴女なんかに……ぷぷっ」
「だからこれは……」
「これは? 何、これって〜? ほら、やっぱり答えらんないじゃん」
くっ、こいつ私が近藤 由美と知った上で拷問して楽しんでる……。 なんて卑劣なやつ。
「はぁ……、答えないかぁ。 なら仕方ない、この街のお偉いさん、獄卒長ファスト様に引き渡しちゃおうかな〜? でも本官はお小遣いが欲しいんだなぁ? 保釈金を払えばあるいは〜」
拷問に飽きたのか、今度はニタニタしながら金をせびり出した。 この不良警官めっ!
金なんてない……ん、まてよ? このシチュエーション前にも……。
あぁぁーっ!
そうよ、そうそうそう! この街で門番さんが言ってたじゃない。
『代わりに体の一部、もしくは身ぐるみを渡せば通してやる』
私に差し出せるもの、あるにはあるわ。
そう、『スカート』!
これを渡すと完全にパンツ一丁の裸同然になっちゃうけど……。
背に腹はかえられない!
「あの……、お金の代わりに私のスカートとか……、いかがですぅ?」
……いけるか?
「…………」
悩んでる。 ダメか? ダメなのか?
「……………………」
お願い、スカートで手を打って!
「……ふっ」
保安官は鼻で笑った。 くっ、ダメなのか?
「いいよ、その腰の黒い布。 スカートってやつか? それで手を打ってやるよ」
やった!
「……いいの?」
「あぁ、人間の持ち物なんて中々手にはいらねぇし、それなりの値がつくかなって」
「ありがとうございますー」
私はスカートを脱ぎ、保安官に渡した。
その対価として三角木馬から……、拷問から解放。
私は交番の裏口からこっそり逃がされた。
はぁ、助かったぁー。 ひとまずデッドエンドは避けられたね。
下着姿は肌寒いとはいえ、文句は言ってられないわ。
今度こそここの住人に見つからずに脱出してやるっ!
私は気合いを入れ直し、路地裏の更に奥へと身を隠した。
今回は由美が賄賂として服を差し出したためあまり酷い目にないですね。
次回はガッツリ酷い目に合せる方向に行きたいです。
(あくまで予定なので変更の可能性アリ)




