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86CMですよ

 食事をとって一休み。


「おう兄ちゃん、公式HP見たか?第2版発売が近いせいか新しいムービーが流れてるぞ」

「ほー」


 弟が新ネタを話してくる。俺は特に興味がない。


「どうも兄ちゃんらしい人物が出てくるんだ。見てみてくれ」


 何、俺は撮影を許可した覚えはないが。こういうのは肖像権はどうなるんだ。早速確認だ。HPから第2弾CMとタイトルのある動画を選択した。

 以前に見た第1弾CMの時は、まず洞窟を松明を持って進む6人組、1パーティが出てくる。パーティはエルフとドワーフが一人づつ、後は人間だ。その一人ずつの物語、リーダーの人間ならばビギの村から始まり王都へ向かう。

 そこから数々の冒険としてリゴブリンを倒したり鉱石を掘ったり生産を試したりといろいろやって、パーティメンバーと出会い洞窟に至る。そんな物語風のムービーが一人づつにあってCMの長さでパターンがある。最後に洞窟でドラゴンに会って光に包まれて終わる。

 今思うと、最後のドラゴンは金色だから弟がクリアしたゴールデン・カラー・ドラゴンだろう。洞窟がゴールデン・カラー・ドラゴンの居る金貨の迷宮かどうかは分からない。

 ちらっと聞いた限りだと金貨の迷宮は洞窟ではなく建築物だと言っていたから恐らく編集で作った画像だ。種族変更もハイドルートだった訳なのであの画像通りにやるにはハイドルートが解放されていない現在では無理だ。β版のデータだと思われる。

 さて、動画を見てみよう。俺が使われているというのはどこだろう。

 美少女な俳優か芸能人の娘さんがVR機材に入る。白い光に包まれて、娘さんは見た事のない場所にいた。


『儂はこの村の村長じゃよ』


 現れた老人がそう話す。CMはVR版ではないので昔ながらの会話文方式だ。というか、誰だこれ。小柄な、穏やかそうなおじいさんだ。ビギの村のアレク村長じゃないぞ、詐欺だ。いやどこかにこういう村があってそこに居る人かもしれない。ゲームによってはスタート位置を変更するからあるとしたらそれだと思う。


「おのれ、俺の知り合い村長はマッチョばっかりなのに、こっちが良かった」


 王都の噴水のある広場らしい場所で、少女は武装を整える。あれ、俺より良い装備ってどうして?村で鉄装備でなかったという事はβ版プレイヤーではなかったということだし、もう稼いだのか?


「省略しすぎだろう」


 ツッコミを一々していたら話が進まないので先に全部見る事にする。気になる所だけ注意しよう。

 少女は町中を買い物をしながら散策するうまそうな料理を食べている。そこから画面がひいていき、空へ向かう。

 場面は空のどこか、巨大な雲へ変わり、雲の中に突入していった。雷の振り注ぐ雲の中を悠然と飛ぶ謎のドラゴン、形から行くとワイバーンと言うやつだ。何かを見つけたらしいワイバーンは雲を突きぬけて地上へと飛んで降りていく。

 場面はまた変わる。少女は生産に手を出しているようだ。ビーズを一つ一つ細い糸に通してる。周りもプレイヤーばかりで女の子達が話しながら楽しそうだ。

 再び場面が変わる。王様に謁見するプレイヤー、少女も混ざっている。何か依頼を受けるのだろうか。豪華な内装、王城の中ってこんな感じなのか。そして左右に並ぶ騎士たちにはさっき見た偽王国騎士団のマークが付いている。黒天狗さんはいないようだ。新人だからかな。

 その窓の外から場面がひいていくのだが、今度はそのまま外の様子を写す。この城は王城ではなかった。王城は真っ白な西洋風の城だ。この写されている城は形は全く一緒でどう見ても真っ黒だった。ライトアップされる観光地の様に光に照らされている。

 どうも洞窟の中の様だ。TDLのコマーシャルにも使えそうだ。そのままプレイヤー達は暗い洞窟へ進み、整備された排水路のような場所に出る。隠し通路があったのか。

 場面が急転換する。空を飛んでいる小鳥が居る。どこかで見覚えのある光景だ。小鳥の上に何か乗っている。アップになったそこに映っているのは小人だ。片方は女性、片方は鎧を着た男性の様だ。

 下から上を見上げるアングルに切り替わる。下から小鳥を見上げている形だ。男性の方が飛び降りた。すると後ろから謎の光が男性に当たり、男性は男性プレイヤーとして人間の大きさになった。

 って、これは俺じゃないか、確かディアトリマを調べに行って、ユウリからけり落とされた時だ。さては落とすのを見せないためにアングルが切り替わったんだな。顔が変わっているので別人かと思った。初心者の装備なので武器を持たずに見覚えのある鎧を着ているから分かった。

 再び場面転換。今度は深い霧の中の様に見える巨大な黒い山の上にプレイヤー男性が乗っている。プレイヤーが手で壁を叩くと、黒い山が動き出した。山ではない。巨人だ。俺が小人族と出会ったように巨人と出会ったプレイヤーが居たのだ。

 少女が戦っている。相手はリゴブリンに、画像でしか見た事ないがラオークとかラコボルト、リリザードマン。どういう戦場だ?イベント系の戦いか?必殺のアーツらしく剣を炎に包んだ少女が突撃し、仲間の魔術師らしいプレイヤーが氷の魔術を放って援護する。

 次々と場面が変わっていく。

 溶岩で真っ赤に照らされている中、ドワーフが走っている。背中に鉱石を詰め込んだ籠を乗せて、ドワーフとは思えない速さで走っている。何があったかと思ったら、真紅の蜥蜴のようなドラゴンのような巨大な生き物がドワーフを追いかけていた。吐き出された火の玉が二つ、ドワーフの左右に当たって大爆発した。

 沼地の中から次々と蛇が現れる。いや、その根元は一つにつながっている。ヒュドラだ。既に待ち構えていたパーティが剣を掲げて突撃していく。あの剣どこかで見たような気がする。俺の出会った相手は少ない。とすると記憶から行くと弟のパーティーか。剣が唸り魔術が飛び交う。ある意味理想的な戦いだ。

 砂漠を駱駝が連なったキャラバンが歩いていく。長い行列は最後尾が見えない。場面が引き離されて、キャラバンの見える洞窟に移った。中では黒い服に身を固めたいかにも盗賊のキャラが襲おうと準備している。しかし、その盗賊は出てくることはなく、後ろから急に現れた蜥蜴に石に変えられて食べられた。バジリスクだろうか。見ていない場所にもドラマがあると言いたいのか。どれかはハイドルートかもしれない。

 そして、最初の女性プレイヤーが大幅に装備を変えて港に現れる。大海原を前にして船が出港を告げる。行く先は海の向こうなのか。朝日の光に包まれてホワイトアウトし、動画は終了した。実際はペット化をするシーンとか種族変身シーンとかも挟まっているが省略する。

 どうしよう、突っ込みどころが色々合ってどこから突っ込もうか悩む。それはそれとして弟と会話しておこう。


「弟、見てきたぞ」

「あの小人と一緒の、兄ちゃんだったろう」

「何故わかった」

「あの鎧が前に見た時と一緒だった」

「一緒というか、あの鎧を着ている時にお前の所のパーティと出会ったんだけどな」

「ああ、あの時か。いっつも変な行動してるからおかしい行動しても分からなかった」

「どういう意味だ」


 あの時も別におかしな事はしていない。


「心配なのは、ああいう特別な種族とイベントを起こすとなにかスペシャルアイテムが手に入るんじゃないかと思われる。もしかすると売ってくれ、ぐらいならいいがPKされる事だ。気をつけろよ」


 うむ、早く今の依頼を終わらせて他の察知センスを買いに行こう。


「お前と会ったディアトリマの一部を採って来てくれという依頼だったから、貰った内臓は全部渡したよ。報酬はジュースだ。ビギの村で配ったら好評だった」


 ばれたらきっとクロココのジュースは売れ筋になるから手に入りにくくなるな。でもジュースで人死には起こらないだろう。


「それで小人は初心者フィールドに住んでるのか?」


 俺が初心者フィールドと呼ばれる場所をウロウロしていたのは弟も知っているから簡単に結論は出る。


「悪いが、言わないでくれと言われて約束した。だから教えないぞ」

「ドラゴンが居るかどうかだけ教えてくれ」


 ドラゴン~?


「俺は見た事も聞いたこともないから知らないが、小人族にとってのドラゴンって小さくないか?」


 仮に居たとして、小人族と同じ大きさならそれこそ手のひらサイズ、小人族にとって普通のドラゴン並みの大きさというのは人間に対して大型犬程度が精々だと思う。


「小さい奴は意外と特殊能力を持っているモンスターが多いんだよ。ドラゴンでも珍しい能力を持っていてもおかしくない」


 そんなもんか。行くことがあったら情報収集ぐらいはしておこう。


「話を続けよう。謎の村長とかあの城とか何だと思う?」

「何だ謎の村長って」

「ビギ、セカの村長とあの村長を比較すれば分かるだろう」

「俺、すぐに王都に行ったから村長の顔を知らないんだ」


 そういうプレイヤーがいるのは分かる。もしかしてβ版プレイヤーは村長をしらないのか?


「あの黒い城は、普通に考えれば王都のハイドルートじゃないか?ハイドルートをすると裏王都として出るとか」

「裏王都って」

「ほらあれだよ。王族が秘密に逃げ出す先とか隠し砦的な意味で作るやつ。地下っぽかったし」

「いや言ってる意味は分かってるよ」


 小説を読んでいればそういうパターンは結構ある。


「お前らが気になるのはやっぱりドラゴンだろう。ヒュドラ退治してたのお前らじゃないか?」

「よく分かったな」

「まあ何となく」


 それ以上の何物でもない。


「お前らもドラゴン退治して回ってるんだな。一つぐらいハイドルート扱いはなかったのか」

「なかったな。あのヒュドラはイベント系だった。生命力強化とか再生力付与とか守りに適した装備になった」


 俺だと絶対に倒せないな。流石と言っておこう。


「ところで、あのドワーフは知り合いに似たようなのいなかったか?あのファイアドラゴンかサラマンダーみたいなやつは是非とも装備にしたいんだ」


 弟がこういってくるのも珍しい。よっぽど気に入ったのか。


「顔は変えられているんだろうし、ドワーフの区別がつかない」

「それは俺も同じだな。兄ちゃんは顔で覚えるのが苦手なのもあるし」


 取りあえずは知り合いのドワーフである石動さん、石破さんに聞いておこう。いまビギの村に居るので

丁度いい。


「後詳しくは専用スレが立ってたから、行ってみれば?」


 俺の正体はばれるかな?どうかな?


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