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80まず神殿に来ましたら

 500万デンとは一体どれだけの金額か。

 単純に今までの売った物の対価からすると、最初にアレク村長の為に売った肉が色を付けてくれたので3万デンだった。欲しがっている人に売ったので高かった。

 次にギルドに下位素材を売った時には2万デンで、おそらくこれが普通だと思う。

 そしてプレイヤーに上位の素材を含めて売った時。これは4万5千デンで上級素材もあったので納得がいく。現在持っているのがそれ以上の値段と言えばどれだけ俺は肉を狩ったんだ。いやちょっと待て、あのときは急いでいたのでリルさんが桁を押し間違えたかもしれない。

 人間現実味のない大金を見ると持っていていいのか不安になる物ですな。これはゲームだけど。

 間違って仕入用の金も持って来たのだとするとまずいので、あまり買わないで確認に行こう。リルさんとはフレンド登録をしていないので直に確認をしないといけない。


「ええと、察知を一つだけ買っておこう」


 ≪聴覚察知≫1000デンを一つ選んでカウンターへ行く。


「あれ、ナントさん、これだけでいいんですか?」

「まあ多くありすぎて迷っているんです」


 手持ちのお金がありすぎて買っていいのかどうか判断が出来なくなっています。


「そうですね、宜しければ相談に乗りますよ」

「それは有難いです。けれど先にやる用が出来てしまいましたのでそれを済ませてきます。明日で良いですか?」

「良いですよ」


 ラジアルさんと約束をして後ろに来ていた人に順番を回す。≪気配察知≫も実行化して使用センスを弄っておく。


「≪聴覚察知≫センスってどんなタイプだ?」


 発動させてみる。今まで視覚察知も夜目のスキルしか使ってなかったので改めて検証する。

 ≪視覚察知≫はイメージとしては視覚で使うので見た方向に何があるのかが分かるタイプの能力だった。イメージとしてはセンスを発動して見た視線の方向の景色がVTRの様に切り離されてこれは何々と名札が付いているような物だ。


「見えない所に居ると何かが分からないのか」


 建物の影に人影が見えたので注目するように焦点を合わせる。路地に入ろうとする人は確認できた。確認する前に路地に入って服の裾だけが見えていたとか確認の為に注目する前に入った人などは確認が取れない。

 それでは≪聴覚察知≫はどうか。音が聞こえる。とにかく音が聞こえる。人の声だけではなく人の歩く足音、呼び込みの音、荷物を出す音、わからない音、視覚と違い何の音かわかるかどうかが問題のようだ。蝙蝠なんかは音で見るというのでそれと同じような形かと思ったらとにかく無数の音が俺の耳に入ってくる。たまらずに切った。

 これは調整の仕方を考えないとどうなるか分からない。音で頭が破裂しそうになるなんて体験初めてだ。

 ≪気配察知≫も発動してみる。これは目ではないので気配というよりはレーダーマップでも見ている、感じているイメージだ。何しろ後ろも見えるから。

 姿形が分かる訳ではなく気配らしい、レーダーで例える所の光の点が大きい小さいという事でしか分からない。モンスターか人間かも分からない。どれをメインにするにしろかなりなれと熟練度が必要という事は分かった。


「そうだ、金を使ってしまった分何かで補給しておかないと」


 アイテムを売るのが手っ取り早い。俺はケチではないから必要とあれば売る。それでも何となく売らずに撮っておいてゲームクリアまで使わないというタイプの人間だ。売るのは何となくもったいない。


「ギルドで村に行く何かのクエストか依頼があったらいいな」


 王都に拠点を移すのは確実なので、その手続きの仕方を聞くのを含めてギルドに行くことにする。

 そんな事を考えながら神殿から一歩踏み出した所、下から足を掴まれた。


「ギャーッ」


 察知の使い方を見るのに集中していたのもあって、俺は強い力で掴まれたので思わず悲鳴を上げてしまった。


「うううう」


 俺の脚を掴んだのは神官服を着た男だった。神官王になると宣言した以前に見たあのプレイヤーである。名前は忘れた。


「神聖魔術が、ううう」


 うめき声何だか寝言何だか分からない声を上げて、地面に転がっている。


「どうしました?」


 声をあげたので中からラジアルさんが走って出てきた。俺の姿と転がっている神官の姿を見て納得したように走りを緩める。


「この人は大丈夫ですか?」


 何か知らないがラジエルさんと知り合いの様だ。


「大丈夫ですよ。彼は空旅人として珍しく神殿に入り、私達と同じ修行を積んでいる仲間です。ただ、熱心なのは良いんですが、寝る間も惜しむので時々倒れるんです」


 廃人プレイヤーなのか?とはいえここに放っておくことも出来ない。


「彼の部屋まで運びます。誰か教えてもらえますか」

「それはご親切に有難うございます。ですが今は人がおらず皆離れられない仕事がありまして、手が離せないのです。申し訳ありません、連れて行っていただけませんか彼の部屋はあちらの神官の住居部で19番の部屋です。すぐにわかります」

「そうですか。それでは」


 俺は男を担いで教えられた扉へ向かった。弓で鍛えた結果強力に!、なんて持ち上げる事は出来なかった。やはり元の力が強くないから仕方ない。力を強化するセンスでも取ろうか。ああそうだ。今度防御力上昇系のセンスを先に取ろう。PKの攻撃が心臓を貫いたせいかセンスなのかは知らないが守りの強化があった方が良い。


「よいしょっと」


 背負っていた男をベットに下ろすとまだうなされている。このプレイヤーの名前は何だったか。神官王だからキング?いやいや似たような意味で偉そうというのは覚えている。全然思い出せない。


「見つからないぃぃ」


 はっきりと寝言を言うな。前の言葉とつなげると神聖魔術が見つからない。神官になったのは神聖魔術ためだったろうに、Wikiから行くと治癒系の魔術は全く見つかっていないようだ。


「はっここは誰、私はどこ」


 古いな。知らない天井だ、ぐらい言えないのか。いやこれも古いか。


「大丈夫ですか?」

「頭が痛くて体が重くて心が荒んでいる」

「いや心まではどうにもなりませんよ。普通に体調不良から来ているんじゃないですか?」


 目覚めた男が何かボケているので俺は突っ込んだ。VRは感覚は現実と違う。

 ゲームの都合で体が動かないほど痛いという事はある。無茶したプレイヤーへのペナルティとしてが主で、他に刑罰の一種や縛りプレイを強制するイベント等がある。

 このプレイヤーの場合は無茶した結果だろう。始まって結構な時間が過ぎているので焦る気持ちは分かる。


「ペナルティが付く程無茶するなんて、どういう生活をしているんですか」


 神殿に入ったという事は中での仕事が主で戦闘なんてほとんどないと思う。


「別に大したことはない。朝起きてお祈り、朝食、当番に合わせて掃除とお守り作りと勉強、昼食があって戦闘訓練とカウンター業務他仕事、夕食後お祈り、就寝だな」


 規則正しくて俺には出来そうにない。


「俺は何かイベントがないかと夜勤をかって出て、色々調べていた」


 その無茶の結果倒れた訳だ。


「あ、俺をベットに運んでくれたんだな、有難う」

「いえいえ、大したことありません」


 お礼を言われるのは照れ臭い。


「ところで、何か神に関することを知らないか」

「また唐突に」


 この前創造神の失われた光背を教えたばかりだというのに、焦っているんだな。


「まったく知りませんね、それよりも」

「それよりも?」

「まず体調をよくしてそのペナルティをなくさないと見つけたとき困りますよ」

「う…」


 休んだら頭もすっきりして新しい事を思いつくかもしれない。


「ありがとうございます。私たちが言ってもメシアさんは休まなくて」


 そうそうメシアという名前だった。ラジエルさんが休憩に入ったメシアを見てお礼を言ってきた。そんなに無理に動いていたのか。


「お礼を言われるほどではありません。休むかどうかは自分で決めることですから」


 俺が言ったというよりは自分でも休まないとまずいとは思っていたんだろう。神殿に挨拶して、それではギルドに寄っておこう。


「おやいらっしゃい、ナントさん、お久しぶりです」


 相変わらず何故かガラガラのカウンター席に座っているギルドマスターが挨拶してきた。


「お久しぶりです。ここは空いていますか?」

「はい、空いていますよ。ここを利用する人は少ないので」


 誰が利用しているのか。隣の受付のお姉さんが列を作っているのを見比べてしまう。


「王都で働く事になりましたので、本拠地を移す手続きをしたいんですが」

「おや珍しい。本拠地を移すのに手続きをしに来る人はいませんよ。本拠地は拠点に長くとどまれば勝手に変更されますし、空旅人の方々はウィンドウと呼んでいる物でやっているようですから」


 そうだったか。てっきり現実と同じかと思っていた。


「それにしても、ナントさんはまだ本拠地を王都に移していませんでしたか」


 グジラさんが何か考えている。


「すいませんが、称号を見せてもらっても良いでしょうか。一つ確かめたいので」

「他に聞こえないように教えてくれるなら構いません」


 別に大した称号がある訳ではない。隠すような物は「小人族の友」の称号ぐらいなものだ。


「ああ、やっぱり、称号に『ビギ・セカの村の一員』がありますね」


 何か聞いたことのない称号が増えていた。


『ビギ・セカの村の一員


 ビギの村、セカの村の住人に親しみを持たれている証し。本拠地に関係なくビギの村、セカの村への行き来が可能になる。』


 いつの間にか村人たちに村の一員扱いをされているようだった。


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