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70捕まりました

 ログインしてアパートを出る。さて、今日は忙しい。ユーとの約束で馬を捕獲した後に王都へ行く事を決定した。馬にリベンジという目標が果たせたし弟の言うボス戦はもうちょっと上位のセンスにしてからでも大丈夫だろう。


 いつも通り外へ踏み出した途端、何故か視線がこっちに向けられるのを感じた。周囲はいつも通り村人とプレイヤーが歩いているだけだ。視線は村人の方から来ているような気がする。


「あ、ナントだ」

「ナントだナントだ」


 子供たちが集まって来た。何だこれ。子供に対して何かやったかな。ジュリアの子分宣言ぐらいしか思い当たらない。飴でも上げた方が良いかな?戸惑っているとジュリアもやって来た。全力で走ってきて俺に叫ぶ。


「ナント、逃げて!」

「何?」


 聞き返したジュリアの言葉に返す俺の言葉にかぶさるように大音声が響く。


「ナントじゃと!そこに直れ!」


 この声はビギの村長さんだな。巨大斧を振りかぶって迫ってくる。本当に何があった?

 言葉を口にするより先に、ビギの村長さんよりも向こうにはセカの村長の姿も確認できた。この前息子さんと練習していた時の巨大な銛をこっちに向けて投げようとしている。


「タートルガード」


 銛が投げられたのを見たのと同時に防御用アーツを発動していた。


ガンッガンッ


 一度目が銛の当たった音、二度目が斧の当たった音である。アーツはしっかりと村長達の攻撃を防いだ。そして発動させたのはアーツだったのでラビットジャンプで村長を飛び越えてからボアストレートにつながり、村の中なので俺は近くの民家に突っ込んでしまった。


「あ痛たたた。あ、すいません後で弁償します」


 民家の中へテーブルやタンスを巻き添えにして派手に転んだ俺の前に住人のおばあさんが居たので謝っておく。


「いやあの二人から逃げるならなりふり構っちゃいられないだろうから修繕費だけで良いけど。あんたも馬鹿だねえ。ジュリアちゃんに結婚申し込むなんて」


 は、何それ。変な単語を聞いたような。


「何とおっしゃいましたか?」

「やっぱり知らなかったのかい。まあ空旅人ならそうかもしれないね。あたしの若い頃には、プロポーズでビギの草原のモンスターを生け捕りにして相手に送るのが流行ったのさ」


 このおばあさんの若い頃と言えば村長達と丁度若い頃が同じかな。そこまで何となく思って実際の問題点に気付いた俺は絶叫した。


「何じゃそりゃあぁぁぁ!」


 ビギの草原のモンスターというとボスモンスターだった仔馬だろう。生け捕りでなくペット化だけどそれでいいのか?それ以前に何で告白になるんだ実際年齢どう見ても無理があるのに。


「ちょ、凄い誤解ですよ。少なくとも俺は結婚なんて申し込んでいません」

「だろうね、さっきも言ったけれどあたしの若い頃の話で、今はやってる人なんていないからね」


 自分の若い頃の風習だけに村長達は勘違いしたんだな。


「ナント~!出てこ~い!」

「ジュリアはやら~ん」


 外から村長兄弟の声が聞こえる。民家に入ってこないのはまだ理性があると思いたい。

 俺もまだ巻き込んだ家具に突っ込んだままで話していた。これはまずい。


「すいませんでした。俺は出ていきますので残りの話は後でします」

「ちょっとお待ち」


 引き留められる声を背に受けて民家を飛び出す。村長達が突っ込んで来たら大変だ。


「出たなナント!ジュリアに結婚を申し込むとは何事じゃ!」

「少しは見どころがあると思っていたら!」


 アレン村長は斧を振りかぶりアクス村長は別の銛を突きだしてきた。斧を盾で防ぎ銛は鎧に任せて防ぐ。鎧は貫かれなかったが耐久値が物凄く減っていそうだ。衝撃はあったが何とか防げた。


「誤解です。俺はそんなつもりはありません。知らなかったんです」


 誤解であるのは分かっているので攻撃するのも悪い。俺は説得するように声を出す。


「孫は嫁に出さん!」

「空旅人との結婚なんてもってのほかだ!」

「駄目だ、聞いてない」


 暴走が止まらない。興奮して暴走が止まらないのか?どうも俺に対しての理由はちょっと違うみたいだ。それでも猛攻をかけてくるのは同じでタイミングがあっている。兄弟だし、昔は一緒に狩りをしたとか冒険したとかあるんだろう。

 強烈な一撃を防いだ、と思ったら攻撃の質が変わっていたようだ。俺は斧で叩き付けられるのでなく吹き飛ばされた。普通にプレイヤーより強いNPCが始まりの場所に居るのに文句を言いたいような、いや始まりの場所だから配置されているのだろうか。


「第一、俺は常日頃から弟と合流しなければいけないと言っているでしょう!定住するわけにはいかないんですよ!」


 大声を上げる相手に負けない音量というのは俺も初めて出した。人間命がかかれば意外な事が分かる物だ。


「それに色々問題ありすぎでしょう!」


 結婚するしない以前にジュリアの年齢は子供である。俺が警察に通報されるじゃないか。そういえば弟が問題起こすなと言っていた。さてはあれがフラグだったか、後で文句言っておこう。


「ちょっと待て親父、落ち着け」


 おお、息子さんが出てきてビギの村長を後ろから抱き着いて止めている。その向こうにはさっきのおばあさんがいる。通報してくれたらしい。


「話せ!可愛い孫を奪っていく愚か者に天誅を!」

「どう見てもなぶり殺しにしているようにしか見えんぞ!」


 俺の能力は低いから村長の方が強いんだな。もう一人のアクス村長はユーの父親であるアガインさんが止めてくれている。有難い事だ、後で菓子折りを持って行こう。


『それならば我らにお任せを』


 今度は何だ。


「空旅人の事は空旅人に任せられよ」

「プレイヤーの恥はプレイヤーが雪ぐ」


 また変なのが出た。プレイヤーと自分たちで言っているのでプレイヤー何だろう。しかしその姿は西部劇の強盗だ。マフラーを口に当ててサングラスをかけているタイプ。来ているの物はおそろいで真っ白な雑兵装備というのかな?一般兵士が来ている目立たないよくあるタイプの物を着ている。


「我ら、紳士同盟は最近の初心者フィールドでの、紳士行動に反する者達を処罰するために有志で結成された」

「ギルドではないんですよね」


 まだギルド結成イベントはない。


「ギルドを越えて集まったのだ」


 放蕩茶会みたいなノリか?


「そんなのもあるんですね、いつから活動しているんですか?」


 俺は村長の攻撃を受けないで済むので話を伸ばす。


「今だ」


 何だそれ。今組んだならギルドとか意味ないような気がする。


「ところで紳士行動ってなんですか?」

「イエスロリータ、ノータッチに決まっている」


 単に変態の集まりだった。


「それでその紳士同盟さんが何で俺に用がありますか?」

「決まっている。幼女と結婚をしようとしている貴様に天罰を与えるためだ」


 予想は付いていた。説明をしていたのは俺を囲む時間を稼ぐためか。俺の周囲ぐるりと一周同じ格好の紳士同盟というプレイヤー達が囲んでいる。


「ラビットジャンプ」


 取りあえず逃げるを選ぶ。村長の攻撃で非常に疲れているのにまだ疲れるような相手は嫌だ。


「逃がすな」

「掟を破った者に裁きの鉄槌を」


 これが現実だとまあ不可能な集まりだと思うけれどゲームだと意外にいるからな、こんな集団は。襲われたのは初めてですが、せめて美女への妬みであった方が嬉しかったです。何で子供への恨みで攻撃されるんでしょう。


「サンダーブラスト!」

「ファイアーフェニックス!」

「ブリザードトルネード!」


 初心者に何で奥義級のアーツを使ってくるんだ!名前は好きにつけられるから実際にそういう技なのかどうかは内容までは分からない。それでも雷の束と炎の鳥と氷の竜巻が襲ってくるっていうのはどう見て

も過剰戦力だ。この中に絶対に上位のプレイヤーが居ると思う。


「何でこうなるんだ!」

「隙あり。ダークバインド」

「おのっ」


 着地ついでに絶叫したら黒い網に捕まった。


「さて、この掟破りをどうするか」


 黒いロープにぐるぐる巻きにされた俺は口も塞がれている。声も出せない。


「やはり『私は変態です』という首下げ看板を垂らしてさらし者にしよう」

「いやいや、PvP100連発でしっかりと我らが信念を教えねば」

「ここは女の子の前で処刑を」


 最後のはジュリアにトラウマ作りそうだからやめてくれ。


「ちょっと、何やってるの!」


 戦闘が収まったのでジュリアが走ってくる。今日はジュリアも走り続けて大変だな。


「止めないでくれ少女よ、これは人間としての道を踏み外したものに対しての罰なのだ」


 そこまで言うか?第一誤解だと言っているのに。


「本音は?」

「例え勘違い型イベントだったとしても幼女と結婚なんて羨ましい」


 男の声がしたのに本音を口にする覆面男。その質問した男の声には聞き覚えがある。


「あのな、そういう理由なら俺がお前らを倒しても問題ないな」


 サムソンさんが見た事のないフル装備で仁王立ちしていた。


「貴方たち、ジュリアにトラウマを残すつもり?勘違いでおじいさんが暴走して人死にが出るなんて最悪でしょう」


 リルさんも見た事ない装備を纏って俺をかばってくれた。


「ぐ、検証パーティの姐さんまで来るとは分が悪い。我らは女性には攻撃しないのがモットーなんだ」


 このゲーム性別偽れないからな。女性キャラに嫌われるという事は現実の女性に嫌われる事だ。にらみ合いが続く。その後ろの方では村長達が奥さんに叱られているのが見えた。


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