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67喫茶店ですか

『いつも拙作Six Sense Onlinを遊んでいただいてありがとうございます。

 今回、プレイヤー:匿名希望様がビギの草原に置いてハイドルートを攻略いたしました。条件が揃いましたので公表させていただきます。


 今回は始まりの草原ことビギの草原のボス「ガーディアン・フォウル」が討伐されました。「ビギの草原」の解禁条件を公表します。


①本拠地システムでビギの村を本拠地に登録している。

②ビギの草原で一定数以上のモンスターを狩っている。


必須条件を①②を満たしている場合、ハイドルート用ボスフィールドに入る事が出来ます。


 今回解放されたシステムとして本拠地システムが解放されました。詳細はシステム担当NPCよりお聞きください。


 今後もSix Sense Onlinをよろしくお願いします』


 この草原のボスモンスターという自体がハイドルートだったというはオチはいかがな物か。このビギの草原のモンスターを一種類につき100匹以上狩らないと出てこないなら普通出てこないだろう。

 新しく解放されたと言う本拠地システムというのは、本拠地を決めると優遇されると言うシステムの様だ。ゲームを始めたばかりの頃は全員ビギの村に自動的に登録される。

 その後、王都なら王都に行って一定時間過ごすと登録地が変わって王都が本拠地となる。ただし自動なのはここまでだ。その後は自分で冒険者ギルドか役所に行って本拠地にしますと登録しなければならない。どうも誰もそんな事をやっていなかったので自動的に王都が本拠地のままだったようだ。ためしに覗いた掲示板が凄い速さで消耗されていく。

 この本拠地システムの優遇というのは行けるフィールド、ダンジョンが増えると言う事になっている。今まで王都にはビギの草原とビギの砂浜を含めて6つのフィールドだと思われていたが、この二つはビギの村とセカの村での共通フィールドで新しく2つのフィールドが発生したと掲示板が賑わっている。

 ハイドルートを攻略したことで解放されたようだ。その代わり、現在のプレイヤーの大半は王都に本拠地登録してあるので、ビギの村からカラーズの裏山には行けない。セカの村からカラーズの森には行けない。本拠地をどこに置いてあるかによって行ける場所が変化するわけだ。

 ちなみに、自動的に本拠地が変更される事はないと言うのは正確ではなく、イベントや普段の行いで住民達にその村、町の住人だと認められれば変更される場合もあるそうだ。インフォメーションで連絡されるので問題はない。

 ステータスウィンドウに新しく加わっている本拠地の項目も、俺はビギの村になっている。

 そんな現実逃避をしていても、ビギの村へと歩みを進める俺の後ろにはぱっからぱっからと音を立ててさっきまで死闘を繰り広げていた馬が付いて来ているのだった。よく分からない事態になっています。

原因は分かっている。とにかく打撃を与えようと固形物を色々投げている物の内にペット化の石があったのでそれに反応したと言うのは分かる。

 そしてHPが減っていたのでペット化が発動、成功、ハイドルート攻略のファンファーレと続いた。本来なら手に入るだろうドロップアイテムはなし。流石にボスモンスターというか、ペット化の石は1つでは足りなかった。

 このゲームはポケモンのボールの様に弾かれる事はない。足りないから駄目でしたと言う言葉がウィンドウ表示されるだけだ。実際に何個使ったのかは分かっていない。手当たり次第に投げたので何個か当たらずに飛んで行った物があるのは見ている。

 事実として分かっているのは残りが2つというだけだ。投げるんだったら攻撃力のありそうな青銅の斧とかを売る分に分類するんじゃなかった。

 この事態になった敗因はポーションだ。気を付けよう。

 俺のペットになった仔馬の名前はエクレウスにした。無難にモチーフである仔馬そのままの名前だ。俺の名前がナントである由来を知っていれば星に詳しいのは分かるだろう。名前は元ネタから付けた。

 俺は生き物の名前を付けるのは得意ではない。モンスターや妖怪を集めて戦わせるようなゲームではほぼデフォルト、または体色で捕まえた順にアカ1、アオ1とつけている。エクレウスという名前はむしろおしゃれな方だ。

 名前を付けにくかった理由はもう一つあり、ボスモンスターだからかこの仔馬がペットになった時は名前を付けただけで能力の決定がなかった。それがあれば能力から、例えば騎乗できるならライダーマシンとか名前を付けたと言うのに、名付けただけで終わった。

 そしてそれ以上の問題がある。


「なってしまった物は仕方ない。これからよろしくな」


 俺がペット化してすぐ、目の前の仔馬に手を伸ばそうしたところ、逃げられた。


「おいちょっと待て」


 俺は追いかけて触ろうとする。馬は逃げる。戦闘は終わったのに戦闘並みに疲れる展開になった。俺がきつくなって止まれば、わざわざ俺の前にやってきて目の前で鼻息を荒く鳴らす。


「お前、俺の事嫌いか」


 ブルブルという鳴き声に当然という副音声が聞こえた。


「おかしいな。ペットは普通最初は精神的に中立のはず」


 ボスモンスターだからか?さっきまで激闘を繰り広げたからか?何度かあっては瀕死の目になっているからか?俺には分からない。検証パーティに任せよう。


「あ、そういえば称号があった」


 唐突に思い出した。俺には『家畜の虐殺者』といういかにも恨みを買いそうな称号が付いていた。そしてこの仔馬のモンスター名はガーディアン・フォウル。守護者というだけにビギの草原で肉を狩りまくっていた俺は気に食わないのかもしれない。

 いくら俺がペットは飼わない主義と言っても、いかにもイベントが何か絡みますよと言っているようなこのモンスターを簡単に手放すのは惜しい。しかし俺は嫌そうについてくるエクレウスを見る。別れた方が良さそうに思えた。

 自身の気分としてもいやそうな相手と居続けるのは精神的に悪いのです。

 取りあえずリルさん達に見せて、青華さんに渡しても良いか。モフモフという訳ではないが尻尾の毛や鬣はサラサラでいかにも手触りが良さそうだ。大事にしてくれるだろう。

 ビギの村に着いた。疲れたので部屋でログアウトしようと脚が早くなる。


「あ、おいちょっと」


 何か聞こえたような気がする。しかしもうログアウトして寝たい。


「待てこら」

「ぐえ」


 襟首を掴まれた。


「何だこの馬は。ボス退治はどうなった」


 俺を捕まえたのはMCさんだった。本を片手に俺を見ている。


「あ、どうも。ボスなら討伐してきました。ハイドルートだったらしく放送が流れたでしょう」


 俺は説明して手を離してもらおうとする。離してくれない。


「ああ、ガーディアン・フォウルだったか。するとこの中間のページはそいつなのか」


 何故か俺の襟首を掴んだまま本を片手に考えているMCさんは次にエクレウスの方を見た。


「それで、この馬はなんだ。ペット化したようだがこんなモンスター見た事ない」

「それはリルさん達も一緒に説明したいんですが、どこにいます?」


 説明を一々するのが面倒なので検証パーティの人も集める事にした。


「今日はそれぞれ店に出ているぞ」

「じゃあ呼びに行きましょう」


 まずはエクレウスをコインに変える。店がペット禁止かもしれない。サムソンさんは料理屋、ユーリカさんはポーション屋というのは知っている。他の人は何屋をやっているんだ?


「いらっしゃいいらっしゃい。ペット喫茶ハイドロジアにようこそ」


 何か屋台どころか店舗になって、青華さんが呼び込みをしていた。


「ハイドロジアってなんです?」

「紫陽花の事だな」


 ハイドロは多頭蛇ヒドラの事なので物騒な名前だと思ったら花の名前だとMCさんが教えてくれる。どうも結びつかない名前だ。


「あ、いらっしゃいナント、MCさん。今日はお茶?モフモフ?」


 どういう二択なのか。青華さんはいつもの衣装の上にエプロンをつけた姿で俺達を招く。


「どうも、本日ボス討伐を成功させてきました。それで、リルさんと青華さんに話がありまして、リルさんを呼んでくれませんか?」

「あたしに話?」


 リルさんにはハイドルートの事を、青華さんにはペット化に成功してしまった事を話さなければいけない。


「うーん。ちょっと今はまだ仕事の時間だからもうちょっと待ってて。30分もかからないから」


 この店、青華さんが店主じゃないのか?てっきり店主として店内で管理していると思っていた。

 実は動物がいる喫茶店なんてものに入るのは初めてだ。現実の猫喫茶とか犬喫茶とかは興味がないので入った事はない。


「キャーッ」


 黄色い悲鳴を上げて猫を抱きしめているプレイヤーがいる。あれは抱きしめすぎだろう、苦しそうな表情を猫がしている。


「ウキッ」

「おやお前は確かジャンパー・モンキーになった青華さんの猿じゃないか。久しぶり」


 俺がテーブルに着くと猿が寄って来た。確かシロという名前だったかな?手にはメニューを持っている。


「メニューか、ありがとう」


 差し出されたメニューを受け取って広げてみれば現実と同じような写真が載っていた。違うのは例えばバニラアイスが黄金色だったりチョコレートパフェが真紅だったり色がおかしい所だろうか。料理名にかっこで(現在は味を重視しています。外見は練習中ですのでお待ちください)なんて注意書きが書いてある。


「俺はブルマンジャロコーヒーにしよう」


 どこかで聞いたような品種のコーヒーを頼むMCさんに俺は見た目にも面白そうなミックスジュースを選ぶ。メニューの写真で白をベースに虹の七色がグラデーションとして入っている。中々変わった物だ。性格としてメニューは珍しい物に走ってしまう性格なのです。


「お待たせ」


 普通の服に着替えた青華さんがついでの様に頼んだ物を持って来た。

 目の前にミックスジュースが置かれる。混ぜる果物が何かあるのか虹色の層が流動しているという。何だこれ。飲んでみればヨーグルトの風味と何かの果物の風味がいくつもある。

 問題はやっぱり見た目で、上の白の部分を舐めてみたがヨーグルトではなく何か柿の様に甘い物だった。ファンタジー世界らしい食べ物だ。無理に色を調整しなくても十分と思える。


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