66仔馬と戦いました
そして現実25日目、準備万端と百匹狩り開始する。
ついにボスモンスターとの対戦だ。勝てるかどうかは天のみぞ知ると言う。
以前の条件でどの種類でも百匹狩れば出てくるのは判明している。一番群れを作りやすい羊を、群れを見かけるたびに殲滅すればあっという間に百匹である。
聞き覚えのあるコングが鳴り、ボスモンスターが現れた。
ボスの名前は?の列で分からない。しかし時間制限のマークがない。これで時間を気にしないで出来る。初心者初めてのボスにそこまで求めないとは思っていたけれど、俺の戦い方は時間がかかるのでこれは良い。
まだ距離があるうちに先に構えていた弓でアーツを発動。すぐに盾と刀に持ち変える。見もしないで命中を確定できるとは≪命中≫センス大活躍だ。いつもの麻痺の矢、毒の矢が効いて状態異常になれば恩の字だ。
子馬は一瞬ひるんだ様子を見せるが特に変化はなくこちらに突っ込んできた。盾を前に構えて応戦する。
「ラピッドジャンプ」
いつものように体当たりをしようとしてきた仔馬にスキルを使って避ける。≪逃げ足≫センスを鍛えた技は伊達ではない。勢い余って俺の背後だった場所に突っ込んだ馬は転ぶかと思えたがそうはならずに蹄で踏ん張った。
そして止まったという事はチャンスでもある。
「「横一文字」×3」
外れても良いように攻撃範囲を広く取ったスキルを連続で発動する。逃げるとすれば左右になるだろう。今回の横の攻撃を相手は動きが少なかったので連続三回切りになったのは運がいい。命中、命中、はずれ。≪命中≫センスを組み込んでないので当たらない可能性は考えていた。数で攻撃を稼ぐので難しい。
俺はアーツになれていないので体が動くアーツは体が追いつかずに必ず止まる。時々こける。
今はこけなかった、それでも体は硬直する。本来自分で出来ない動きのせいだろう。
仔馬の姿が消える。素早く動けば俺の目には留まらない。この動きは見た事があるのでタートルガードを発動する。
ガインッ
予想通り後ろから衝撃を感じた。どうだ。スキルでいつものフィニッシュブローをふせいでやった。
ここまではある意味何度も攻撃されて覚えている。ここからが問題だ。まずは目の前に、正確には後ろにいる相手から逃げないと。
弟に言われてつないでおいたタートルガードからのアーツはラビットジャンプとボアストレートで2つある。2つ目がラビットジャンプの方を選択して仔馬を飛び越す。つまり仔馬の目の前に出てそのままボアストレートで距離を取る。俺も考えていたのと違い、後ろに飛んで移動した形になった。
仔馬は後ろ蹴りを繰り返している所に対象の俺が居なくなったので体勢を崩している。どこかで聞いた喧嘩の極意、とにかく相手の顔面の中心を狙ってぶん殴る。ボアストレートを利用して盾を前に突きだしながら殴る。近距離だったこともあって馬の顔面に盾が当たり攻撃には成功した。
仔馬も頭突きで反撃してくる。俺はタートルガードから続く守りのアーツを発動し、ボアストレートで距離を取った。
チャンスではあるが、俺もスキルの勢いに耐え切れずにこけた。両手両足を動かして四つん這いで、半分転がるようにして慌ててその場から離れる。仔馬がこけたその場を通り過ぎていった。攻撃を避けるのに成功した。
距離が空いたので刀を地面に刺して再び弓を持ちアーツを使用する。狙いをつけていつも通りの麻痺と毒の矢だ。しかし今度は馬は大きく跳んで避けた。≪命中≫があっても外すことがあるようだ。
続けて何度も射つ。今度は狙いをつけないで上からの攻撃で当たればいいと射つ。何故か、避けようとしていた仔馬は扇状、いや立体だから逆漏斗状に広く広がった攻撃を避けられず命中した。
≪命中≫センスは狙いを定めない方がうまくいくのか?今は検証を考えている場合ではない。
今当たった矢は麻痺の矢だ。今のうちにとにかく攻撃しなくては。魔術のアーツを選んで撃てるだけ連射する。MPが無くなるまで射ち続ける。火の玉、土の弾、風の刃と威力より数で当てる。MPが無くなるまで土煙が上がってモンスターの姿が見えなくなっても撃ち続けた。
他のボスの攻略方法を読んでいくと、土煙が出ている間にテレポートや空を飛んだりしていなくなるボスモンスターがいると言う。初心者の草原にそんなのはいないと当たりをつけて撃つ。俺の見た限り逃げた様子はない。
土煙が凄いのでMPが切れたのに丁度いいと今のうちにMPポーションを飲もうとしてアイテムボックスを見ると、なかった。
しまったユーリカさんにあったら買おうと思ってそのまま会えなかったので買い忘れていた。
「おのっ」
思わず声を出してしまったが現実は無常だ。自分のうっかりはいつもの事として後回しにしよう。出来る事と言えば、MPは時間である程度回復するのでそれに期待してちまちまと削るしかない。自己回復系のセンスも買っておけば良かった。
煙が晴れるとボスである仔馬はその場にいた。それでもふらふらとしているので効いているのは間違いない。問題は見間違いかもしれないが怒りのオーラが見えるような気のする、物凄い目つきで睨まれている事だ。ダメージで動きが取れないようですぐに飛びかかって来ないのはそれだけ効いたのか?
俺は盾のスキルを前に展開、いつでも行動に移れるようにして武器を構えて近づいてみる。仔馬は守りを固めている俺を見て大きく跳躍した。俺の反応速度を軽く上回る速さで右に回られた。駄目だ、今のスキルは前方にだけ障壁を張るスキルなので横に回られるとまずい。
ドンッ
「ごぶっ」
頭突きが俺の腕に決まった。刀を落としてしまう。初心者の武器なので壊れはしない。手が痛みと衝撃、痺れで手が動かない。
頭突きは蹴りほどの威力はないもののそれでも俺のHPをかなり削られる。大丈夫とは言えない。素早く動いて姿を消したように見える仔馬にスキルを再び展開する。
どっちだ、どっちに来る?これはもう勘というかAIの性格を考えると言うか思いつきでしかない。予想では盾を持っていない方、つまり右側からもう一度攻撃が来る。
ビンゴ!来ると予想していれば意外と何とかなる物で早く動いて障壁が間に合った。今しかない。俺は手に入れた例のウェブ・スパイダーの網から作る特製漁網?を叩き付ける。障壁はこっちの攻撃を通すから楽だ。
馬の顔は長いのでどこが真正面か知らないがうまく顔面?で破裂して広がっていく。蜘蛛の巣の網の太い巨大な物がボスモンスターの体を絡め取って全身を覆っていった。仔馬だから被さる範囲が広くなったんだろう。
うまく動きが取れずに体を動かしている相手に向かい、刀を逆手に持ち盾を馬面に当てて頭突きさせないようにしながらとにかく突き刺す。
初めてのボス戦という物は、今の所王都のダンジョンか例のペットのハイドルートで名前の出た「○○への道」フィールドが主だ。ダンジョンはNPCの管理下で定期的にボスを狩るイベント以外では狩ってはいけない事になっているのでフィールドが多いだろう。ダンジョンはボスを狩ると消滅する場合があり、消滅しないのがフィールドという分け方だと聞いた。
例えば弟達と会ったレンジヘの道のボスモンスター…は、鳥なのでこれは似ていないから体型が多少似ているイエロへの道のボスモンスター、牛である「はぐれ暴れ子牛」の場合、突撃とHP回復が問題らしい。しかしそれをビギの草原や王都のダンジョンで鍛えたプレイヤー達は危なげもなく倒すと言う。
俺が見た動画では、主にアーツで一撃とか魔術の雨嵐とか大量物量的な攻撃で倒されていた。数は力と言うものだ。時々耐えたボスモンスターに逆襲されている場合もあった。
そんなボスよりも弱いはずである初心者用、ビギの草原の自動回復がないこの仔馬もボスモンスター、今も動きは鈍く制限されているが頭突きは繰り返してくる。基本盾で防いでいる俺も、盾で戦闘を有利に進めるような技術はないので時々弾かれては攻撃を受けていた。
こちらの攻撃は何しろ初心者の武器シリーズなので攻撃力がたかが知れていて、称号があっても元が低いので低い。魔術で底上げしてある場合であっても魔力は現在切れている。威力のあるアーツも大体魔術の威力頼りなので出来ない。とにかく突き続けるしかないのだ。
「うわっ」
色々考えていたのがまずかったのか、良いのを貰ってしまった。これはまずい、俺のHPが十分の一以下だ。もう一回攻撃されれば負けてしまう。
別に何度でも挑むのは苦にならない。しかし何となくここまで苦労したので倒してしまいたい。そんな考えが俺の頭の中をグルグルと回っていた。
何かアイテムはないか。俺はアイテムボックスを念じて開く。激辛の植物とか塩とかは目つぶしに使う話があるので使えそうだ。そんなとき、仔馬が今までにない勢いで俺へ突撃してきた。
その時、何でそれを掴んだのかはよく分からない。偶然だと思う。スキルを発動して障壁で攻撃の威力を削ぎつつ盾を使って身を守る。その時に手にしたペット化の石複数個を投げつけて、それが仔馬の中に入って行った。
『公式インフォメーション:運営からのお知らせ
おめでとうございます。ハイドルートNo1の条件を満たしました。これにより新システムとして本拠地システムの説明が行われます。
本拠地システムとは、本拠地として設定した場所の周辺で行動できる地形が変化します。本拠地のから周辺6か所のフィールドに行くことが出来るようになります。その場合従来行く事の出来たフィールドよりも広く深く、新地形が展開される場合があります。また、限定イベントが発生する場合があります。詳しくはホームページを参照ください。
初回限定報酬としてランダムアイテムチケットがパーティメンバー全員に配布されます。チケットは1日1回引ける王都の商人ギルドでくじの景品として存在します。是非とも遊びに行ってください。
パーティリーダーへの通達です。今回ソロで攻略されましたので個人名を公表させていただくことになります。公表しますか?』
「No」
『 今後もSix Sense Onlinをよろしくお願いします』




