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59ユーに連れていかれました

 採れるだけ採れるアイテムを採って持って行った所、石破さんに「足りん」の一言で一蹴された。


「お前は≪隠蔽≫の為に隠れ鱗を使っているのだろう?前の鎧より強化するとなれば全く足りない」


 そこまで使ってもないと言えるセンスだがやってくれると言うのならやってもらおう。結果、まあ再び初心者フィールドにいく事になった訳です。前いくつ使ったか知らないからどれだけ取れば良いのか分からないのが問題だ。


「なあなあ。あんたってジュリアの子分なんだろ?」


 効率の良い採り方はないかと思いつつフィールドに向かっていれば村の子供に声をかけられた。そして誰が子分だ。大人げないので口には出さないでその少年の方へ向き直る。


「子分というか、よく話す相手だね。俺はナントという。何かご用かい?」


 ジュリアが他の子供と遊んでいるのを見た時一緒に居た子供、というぐらいしかこちらには覚えがない。


「お願いだ、裏山に連れて行って欲しい」

「ちょっと待って、まず自分の名前とどこの子かを教えて欲しい。連れて行くのは構わないけど、誘拐されたとか誤解が起こるのがまずい」


 名前も言わずに俺を引っ張る少年を押しとどめて俺は名前を聞き出そうとする。この子何か子供としては力が強い。装備がないとはいえ大人のはずの彼が引きずられて行くところだった。どこの子供だと思うのは当然だろう。


「おれ、ユー。セカの村で漁師をやってるガアインの子供だ」

「何でセカの村の子がここに?リゴブリンが出なかったかい」


 ここはビギの村である。


「リゴブリンなんてへっちゃらだ。俺は強いから」


 何だか力と言い俺は負けているような気がするが、あれから多少は強くなったので今は負けないだろう、多分。喧嘩する気もないし。


「それで、ユーは何で俺に用を言って来たんだ?」


 フラグが長引きそうならへし折っておこうと言う気もするが、子供の頼みを断るのは気持ちが悪い。出来るだけ聞いておく事にする。


「実は、海の事なんだ」


 ボツリボツリと話すユーの言葉に耳を傾ける。俺も思春期はこんな感じでしか話せなかった。子供の頃はもっと喋っていた気もするが、こういう子もいるのだろう。話を要約すると、


「セカの海に空旅人が来るようになってから、俺達は漁に出られなくなったんだ」


 重い話が来てしまった。こういうのはリルさんの分野だと思う。後で渡しておこう。


「それでもうちは一番の網元で、セカの海でも空旅人が行けない場所から漁に出てたんだ。元々、空旅人がいる場所は村でその日おかずが足りないから採りに行こうってところだったし」

「半分良かった。俺はあそこの魚とりつくして恨まれてるかと思った」


 俺みたいなプレイをしているとその手の話が来そうなものである。もう半分の悪かったはやっぱり被害が出たかという


「俺達だって馬鹿じゃないよ。あんた達がフィールドと呼んでるところだけが神様に許された狩場で、俺達の狩場はちゃんとあるさ」


 いつかそこについて行ってみたいものだ。でも俺こんなのばっかだな、鍛えるのが先と決めたせいだけれど無謀に突っ込む方が良かったかな。


「そこで漁をしてたんだけど、なんだかこの頃変なモンスターが出るようになったんだ」

「変なモンスター?」


 イベントモンスターか?


「父ちゃんの言う話だと、セカの海で狩りをし過ぎると魚がこっちに逃げてきて、ある程度魚が増えると今度は魚を食べにそのモンスターが来るらしい」


 イベントというよりは環境保全のモンスターじゃないか?


「でもその話様だと、昔からあるから対処法もあると思うんだが、お父さんは何かやってなかったのか」

「そう、それなんだよ!」


 突然ユーが大声を上げた。


「父ちゃんが言うには、カラーズの裏山で採れるウェブ・スパイダーの網が必要なんだけど、今は空旅人が固まってるから取れないんだ。しかも採りに行ったら脅迫されたんだ」


 そういうプレイヤーもいるからどうにもならないな。


「つまり、俺にウェブ・スパイダーの網を採って来て欲しいって事か?」

「ナントはジュリアの子分だからこっちの言う事聞いてくれるって言ってた。それから、もう一回で済ませたい。だから、カラーズの森の奥にいると言うウェブ・スパイダーの大きいのを倒したいんだ」


 大きいウェブ・スパイダーというなら別物じゃないか?そして俺はユーの言葉の言い方が気になった。


「倒したいって、ユーが倒しに行くのか」


 流石に無理という物がある。


「何でだよ、二人でやった方が一人でやるよりも早いじゃないか」

「いや、モンスターを倒してアイテムを採る訳だから、流石に戦闘経験のない子供を連れて行くのは良くない」


 リゴブリンを倒せる子供でも心配になる。


「それと、俺は実はいくつかウェブ・スパイダーの網を持っているので、先にそれを渡してから数を聞いた方がいい」

「持ってんのか」

「少しね」


 一度死に戻った時に減りはした。それでもあそこは大量虐殺をやった場所なのでそれなりに数は残っている。


「じゃあうちに行こう。父ちゃんが待ってる」


 再びユーに引っ張られて引きずられるように連れて行かれる。


「まあ待て。それじゃ先に部屋に行って網を取って来るから」


 部屋を出てくると待ち構えていたユーに引っ張られる。今度は逆らわないで俺も足を動かす。何故か引っ張られたままビギの村を出ていく。


「そしてリゴブリンが現れる、と」

「お、出やがったな。あんたは弱いんだろ。すぐに片付けて来るから待ってろ」


 俺から手を離してユーが突っ込んでいく。熱血なのか喧嘩っ早いのかどっちだろう。今回の2匹、リゴブリンは武器を持っていない。格好も腰みのひとつ。俺が以前敵対したような物と違って、格下感が凄い。


「ああ、もしかしてNPC用のリゴブリンか」


 俺はそう結論付けた。なんでも、イベントの内常に起こるイベント、この場合は道を歩けばリゴブリンが出ると言う話だ。そしてNPCと一緒に動く場合、プレイヤーとNPCのどちらが主導しているかで強さは決まるという。

 つまり、引っ張られているだけのような俺はユーに主導されていると管理コンピューターかAIかは判断していると思われた。一応杖を取り出して魔術が使えるようにはしておく。


「するとここで俺が走って行ったら武器持ったリゴブリンが出るかもしれないな」


 リゴブリンを殴り倒していくユーを見ながら俺は動かないで考えている。


「あーっ」


 どこからか声が聞こえた。


「何で子供を戦わせてるんだ!」

「おや、プレイヤーか」


 セカの方からやって来たパーティがユーを見つけて大声を出した。そして周りを見ると俺に向かって走ってくる。


「おいアンタ、アンタがあの子を戦わせているのか?」

「え?」


 そう来るとは思わなかった。でも他の人が見た場合、子供を戦わせて後ろで突っ立ていればロクデナシに見えるのは分かる。


「いや、俺はあの子に連れて行かれてセカの村に行く途中なんですが」

「リゴブリンなんて危ないモンスターを子供に相手させる何て惨い事を!さては奴隷使いか!?」


 奴隷使いというのは奴隷として雇用したNPCに戦闘をやらせているプレイヤーの事だ。俺の考えとしては別に100%悪い事もない、人によっては自分より良い武装を装備させたりもしている。ただし、そういうプレイヤーはやっぱり少なくて基本奴隷を戦わせるだけ戦わせているという。


「俺はそういうのは大っ嫌いなんだ」


『プレイヤー:大丸よりPvPが申し込まれました』


「え?」


 何でそうなる。俺は目の前のプレイヤーを見た。大丸というプレイヤーはこちらを睨みつけている。後ろのパーティメンバーも止めようとしない。


「いや。だから。俺はこうして杖で魔術を使用できるように援護準備を整えて言う訳で、それに俺はイベントでセカの村に連れて行かれている最中なんですけど」

「そんなイベント聞いたことないぞ」


 ぼそっと後ろから言葉が飛んできた。どうもパーティメンバーも奴隷使いが嫌いらしい。

 俺は装備を見る。相手は初心者用だろうが青銅の鎧他、金属鎧や魔術師にしても初心者フィールドで採れる材料の武器。少なくとも初心者の武器シリーズではない。翻って俺の現在装備、鎧は修理に出して着ていない。手持ち武器は初心者の武器シリーズ。これは勝てない。戦えば間違いなく負けるしアイテムが減るのでユーの希望に添えないかもしれない。これが一番困る。


「俺は戦う気はないので、ご自由にどうぞ。今持ってるアイテムが無くなればあの子の願いを叶えられなくなる」


 俺が取った手段は降参だった。両手を広げてパーティの前に立つ。ちゃんと時々目はユーの方にやって倒されていないかどうか確認する。もう戦い終わっていた。1匹目を拳骨で殴り飛ばしていたものな。


「こら、何ふざけてる。こっちを見ろ」

「ナント、何やってるんだ?」


 ユーがこっちに来てくれた。やれやれ、これで話が進む。


「君、こっちに来給え。こいつは君だけを戦わせるような邪悪な奴だ」


 何でそうなる。


「え、ナントはジュリアの子分だし、ウェブ・スパイダーの網を持って来てくれるんだから良い人だ」

「そのジュリアというのが誰か知らないが、君は騙されている。リゴブリンに戦わせる何て、男の風上にも置けないやつだ」


 大丸はユーと俺を引き離したいらしくユーの手を掴もうとする。


「リゴブリンなんて俺だけで倒せるじゃないか。ナントは弱いから、強い俺がぶった押しに行ったんだ」


 ユーがちゃんと説明してくれた。これで誤解が解けたなら良いけど。


「いや、どこの世界にNPCより弱いプレイヤーがいるんだ。だから、きっと君は騙されている」


 全く通じていなかった。


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