57仔馬とわかりました
デスペナルティは解けた。そんな俺はどこにいるかと言えば現実にいる。普通にログイン限界が来たからゲームをやめただけです。実はログイン限界は初めてでいきなり目覚ましのようなベルが鳴りだしたのはびっくりした。
今まで適当な所でやめるか死に戻ったたびにやめていたのでログイン限界警報は出ていなかった。
ついでだから弟に意見を聞こうと待っていれば時間が過ぎて3時間以上待っている。普通に本を読んでいれば過ぎる時間であるがあいつもゲームに浸ってるな。隣の弟の部屋が開く音がしたので顔を覗かせると弟が外に出てきている。
「よう、おはよう」
「おう」
いつも通り挨拶をして弟について歩く。
「何だ、兄ちゃんなんかようか?」
「用だ」
寝転んだ弟の対面に座る。
「兄ちゃんの用は最近ゲームばっかりだよな」
「金がかからなくていいだろう」
「相談の方向が変なんだよ。普通は攻略を聞いてくるけど兄ちゃんそういうの聞いて来ないのは良いんだけどな」
俺はそこまでこだわってないので知りたい事だけWikiで調べて終わっている。自分の目で見るのが一番早い。
「で、今何をやっているんだ」
「ビギの草原でボスモンスターが出たのでそれに返り討ちにされている」
「何だそれ」
弟が体を起こす。やっぱりこういう話題には食いついてくるか。
「ビギの草原って始まりの草原の事だよな、あそこはノンアクティブモンスターだけでボスは出なかったはずだぞ」
「俺も出るとは思わなかった。条件はまだ見つかっていない。大量に食肉を狩っていたら出てきて、最初はアベンジモンスターかと思ってた」
「どれだけ狩ってるんだ」
いつも通りの言葉だ。
「話が相変わらず切れ切れすぎる。最初から話せ」
「別に大したことはないんだがな」
俺は必要な事だけを話しているつもりだ。
「まず王都に行こうと思ったら、リルさんにビギの村の屋台村の肉が足りないから獲って来てくれと言われたんだ」
「屋台村って、何であそこにそんなに屋台が出来たんだ?」
「ペットにするためにあの辺りのフィールドに大量のプレイヤーが集まったんだ。それを見込んで屋台が出来たみたいだな」
俺も詳しくは知らない。何しろログインしたら屋台村が出来ていたと言う状況だったから、いつの間に出来たんだと言うのは俺の台詞だ。
「リルさん達には世話になってるので肉を狩るくらいならいいやと思って狩りに出たんだ。いつも通り一種類につき百個取るつもりで」
「そういうのは義理堅いな、そして100ってしつこいな」
「ほっとけ」
俺がそういうのに熱中するのは知っているだろうに。
「そして百個分狩り終わったら鐘が鳴って、馬が現れた」
「馬?」
「そう、小さいからリトルホースかポニーだと思う。そいつが出てきて蹴られて死んだ」
「そうか、馬か」
何か考えている様子な弟に、MCさんの言っていた事を思い出す。
「何で馬が出たのか知らないか?」
「分かる訳ないだろう。きっと兄ちゃんが誰かの恋路を邪魔したんじゃないか?村人が恋人に告白しようとした所を無意識に横切って失敗させたとか相思相愛の羊を殺したとか」
人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んじまえってか。
「それをやってないとは言い切れないけど、違うんじゃないか?」
「冗談に決まってる。兄ちゃんは何も調べなかったのか?」
冗談なのは知っている。俺が調べた事と言えば実際の馬のモンスターであるライオット・ホースの倒し方だ。それを説明する。
「それならそれでやってみれば良いじゃないか」
「いや、MCさんという人にモンスターを調べてもらった時、何か法則があってそれのせいで馬が出たと言ってたのが気になって」
「モンスターの出る法則?…ああ、ボスモンスターの出る法則ね、でもあれはよく分からない部分があるから、でもそれに従うと確かに馬のボスモンスターは仔馬だな」
「仔馬なのかあれは」
小さいと思ったら子供だったのか。
「それよりも、何でボスモンスターが出たかが問題だ」
何の問題があるんだ。
「今までボスが居ないと思っていた場所にモンスターが居たって事が問題なんだよ」
俺が尋ねるよりも先に弟が疑問に答えてくれた。察しが良くて助かる。
「ボスは初心者のフィールド以外には全部出ると思っていたが、違ったのか?」
「あとでないのはダンジョンだな。王都の六大ダンジョン以外は生まれる法則も分からないし、ボスもいたりいなかったりするから。しかっし、俺達ドラゴン・ロアーにとっては大事な問題があるんだ」
弟が何か強調している。
「お前のギルドに問題?確か人間の数が足りないんだったかな」
「それもある。今はそっちじゃない。ボスが居ないダンジョンにボスがいるという事は、発見されていないダンジョンもそうだけど、ドラゴンもいるかもしれないという事だ」
ああそっちか。そっちはそっちで解決してもらおう。俺はまだビギの村だからどうにもならない。
「それより本題に入ろう」
「何だ、また新しいネタの報告かと思ってた。本題って何だ?」
「俺の現在のセンスを見てくれ」
ステータスを見せようとしても無理なのでチラシの裏に書いていく。
戦闘センス:≪刀≫≪盾術≫≪魔術≫≪逃走≫≪命中≫≪杖≫
予備センス:≪火才能≫≪水才能≫≪土才能≫≪風才能≫≪隠蔽≫≪方向感覚≫
生産センス:≪採取≫≪鍛冶≫≪細工≫≪サバイバル≫≪解体≫
外センス:≪合成≫≪木工≫≪調合≫≪弓≫≪修復≫≪魔術才能≫≪言語≫≪雷才能≫≪氷才能≫≪木才能≫≪金才能≫≪詠唱≫≪視覚察知≫≪光才能≫≪闇才能≫≪指先強化≫≪集中力強化≫≪体力回復≫≪魔力回復≫≪跳躍≫
「これがどうした」
「馬を倒すにはどういう風に組んだらいいだろう」
そう、センスの構成の相談が今回の本題だ。
「兄ちゃんのセンスは取り方が変だから俺には無理」
「そう言わないで見てくれよ」
「そんな事言ってもな。まず普通にセンスを取りすぎて熟練度の上がり方が遅くなっている。これは分かるな?」
「初めて知った」
チュートリアルとかを結構飛ばしているから見なかったようだ。
「まあ良いけど、そのせいで必要なスキルや魔術を覚えていないのは分かるな?」
それは分かる。ライアット・ホースの倒し方で一番楽な落とし穴に落としてという方法が取れないのはそのためだ。
「だからまずノンアクティブモンスターばっかり倒さないでアクティブモンスターを倒してレベルを上げろ。初心者フィールドにもそんなフィールドがあるんだろう」
カラーズの裏山から始まって、カラーズの森、セカの磯辺と結構な数がある。セカの海はノンアクティブなので除く。どうせ素材アイテムを採りにいかないといけないので丁度いい。
「で、倒し方だけど、馬はどういう動きをするんだ?」
「馬は直線と跳ねる動きの組み合わせという事になるのか?何故か俺にとどめを刺す時には後ろから蹴られて空に飛ばされる」
現在2度挑んで2度とも尻を蹴られた。
「後ろ脚の蹴りが一番の特技か必殺技何だろうな」
弟は真面目に考えてくれている。
「タートルガード使って動けないからな」
「うん?盾のスキルは使えたのか」
「言ってなかったか?」
もしかしてスキルが全く使えないと思っていたのか?
「兄ちゃんの事だからスキルを全然使わないで戦ってると思ってた」
思われていた。確かに某狩りゲームでは必殺技の類を全く使わないで戦っているけれど別にそういうこだわりはない。分からないだけだ。
「でもタートルガード?あれは全方向全身防御だからドラゴンブレスなんかの広範囲攻撃を防ぐには良いけど最初の段階の肉弾攻撃には防ぐのに向かないよ」
そういう物か。
「むしろ、ファースト・ガードを使った方が良い。すぐ動けるようになる」
弟から初めてまともなアドバスを貰ったような気がする。
「つまり、最初の攻撃を防ぎつつ後ろに回られたらスキルを発動、すぐに動けるようにして攻撃をしつこく繰り返せと」
「兄ちゃんしつこいの得意だろう」
得意ではない。ただ同一行動するのが苦にならないと言うだけだ。
「まあ兄ちゃんのいつもの戦い方からするとポーションとかを利用してとにかく相手のHP削っていくしかないんじゃないか?」
面倒になって来たんだな弟よ。そのいつもの戦い方は俺の狩りゲームの戦い方だ。実際に体を使うような戦いだとどうなるか分からない。
「ああそうだ。タートルガードの時間が切れた時に設定して突進系のスキルをアーツに組み込んでおけば避けられるぞ」
これが今回一番のアドバイスだ。
「ありがとう、早速アーツを作ってみる」
「こんな意見で良いのか?兄ちゃんだから効率のいい狩場を教えろとか武器寄越せとか言わないのは分かってたけど」
初心者フィールドから動いていない人間にどうやって最前線ギルドのいる場所の経験値稼ぎをしろというのだ。
「いや王都のダンジョンを教えるくらいやるよ?」
「自分で調べるからいいや」
それくらいなら簡単に調べられるだろう。
「そうか、うまく仔馬を倒せたら教えてくれ」
「分かった。ありがとうな」
弟の会話は結構役に立つ物になった。さて、それでは馬狩り…の、前にアイテム狩りだ。




