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55写真撮りました

 まずはSSを撮らなければ何のモンスターか調べてくれないようだ。

 SSの撮り方はステータスウィンドウのカメラマークを押すだけだ。念じるだけでも出来そうなのにそうしないのはあるゲームで念写なのを利用して盗撮が大流行したせいと聞いている。以来健全なゲームは大体がワンアクション挟む事にしている。

 軽く部屋の中で2,3枚撮ってみた。現実的に腕が宜しくなくとも手振れや焦点合わせは自動機能で解決してくれる。初心者にも安心仕様です。

 それでは狩りに行くとしよう。肉を狩りに行くのは変わらないが今度は武装を本番にも使えるようにする。どうやったら出て来るのか分からないので取りあえずビギの草原で百匹狩りのつもりで狩りをする。 今度は群れに向かって麻痺の矢を雨霰と降らせたので、群れを作っていた羊を早めに終わらせられた。時間にしてこの前の四分の一以下だろう。群れを作っていないモンスターも刀を振れば早い。やはり俺の行動には命中率に問題があるようだ。普通に剣を振って当たらない場合があるからな。

 カーンと言う聞いたことのある音と共に周りの雰囲気が変わる。以前はのんびりしていて特に考えていなかったが周囲にいたはずのモンスターも消えている。まばらに木こそある物のただ広い草原が広がっている。バトルフィールドという物だろう。


「ヒヒーン」


 がつがつと音を立てて蹄で地面を削り、馬が現れた。視線が合うと馬はすぐ動き出す。こちらに向かって直線的にまっすぐ突っ込んでくる。


「そうそうやられるか!」


 直線的なので避け易い。さっと右にずれただけで馬の体当たりから避けられた。そうそう一撃でやられる事もないのだ。

 また突撃してくるかと思ったら今度は左右に動いて俺を翻弄しようとする。シャッターを切るために準備していた俺は視線も合わない。視線で追えない訳ではない。

 とにかく素早い、いやよく動く。右かと思えば左、左かと思えば後と何回か見逃している。シャッターは何度か切ったものの取れたのは尻尾の先とかひどくぶれた姿とか腕と関係ない酷さ。


「こうなったら、タートルガード」


 追いかけるのを諦めて突撃してくるところを写そうと予定を変更する。盾を構えてスキルが発動。その間に突撃してくるかどうかは分からない。じっとしていれば攻撃してくるかもしれないという考えだ。

 馬の系列のモンスターというのは知っていた。実際写真を取る為とはいえよく見れば馬にしては小さい。リトルホースかポニーぐらいの大きさだ。恐らくポニーだと思う。

 全体的に馬として普通の体つきで、巨大ではない。鬣と尻尾は黒で体は白い。しかし何故か青白いと言うイメージを感じる。いや、これはオーラが出ていると言う物だろう。

 ファンタジーにはよくある話で鬣と尻尾が普通より長い。尻尾など地面にくっつきそうだ。鬣は姿のバランスを崩さない程度にぼさぼさに長く伸びている。走るとCMのポニーテールの様にたなびいている。

 別フィールドにライオット・ホースという馬モンスターがいるのは確認しているのでその馬ではないと思う。ただ実際にはまだ見てないのでサイズに幅があるかもしれない。


「ヒヒーン」


 ガツンと音がして盾を構えている腕が痺れた。シャッターチャンスだ。少ない時間で何枚か撮れた。一番うまく撮れた写真は前からの物ばかりになる。うまく撮れているかもしれない他の写真にも期待しておこう。

 スキルの効果が切れた瞬間、盾に激しい衝撃があった。初心者の装備なので壊れる心配はない。しかし所詮初心者の装備なので防御力は押して図るべし。

 衝撃と痛みに注意がそれた時、馬の姿が居なくなっている。


「どこだ?」


 スキルの影響で動きがすぐには取れない。タートルガードは全方向で守りが硬いのでその後動くのが少し遅いのだ。


「ヒヒーン!」


 また後ろに回られた。そう思った時には再び宙を飛んで意識を失った。

 部屋へ死に戻りました。さて撮れた写真の整理をしよう。


「何だかな」


 高速移動している相手を写真で採るのはプロでも難しいのは知っている。それでも盾で防いだときの真正面が一番鮮明に撮れている。


「全体像は全く分からないな」


 相手が動いている最中の写真は尻尾だけとか前脚だけとかの方が多い。それでもパズルのように組み合わせてみると何となく馬の形の画像が出来た。胴体はほぼ空白で顔も鼻面や耳はあっても目がない。パーツの足りない福笑い状態だ。これを全体像としてSSで撮って説明に使おう。


「どうですか、こんなモンスターなんですが」


 まずは近場で聞いてみようと、村長の所へ行った。


「ううむ、こんなモンスターを見た事はないのう」

「このお馬さん、綺麗」


 ジュリアの感想は置いといて、村長が知らないという事は新しいモンスターの可能性が高い。


「リルさんはどうです?」


 村人に話を聞くためにウロウロとしていれば検証パーティのメンバーと出会う。早速聞いてみた。


「見た事ないわね」

「青華さんは?」

「あたしもないよ。もし写真撮れたら頂戴ね。この毛はお手入れすればのサラサラ感が溜まらないと思うよ!」


 青華さんの思考がぶれてなかった。


「そんな事よりも、気になる事があるんだが、良いか」

「何ですか?」


 ドワーフとなった石破さんに声をかけられた。石動さんも同時によって来る。二人に絡まれるような記憶はないんだが。


「お前、その鎧どうするんだ」

「鎧?」


 鎧を見る。以前作った上の付く骨や毛皮、鱗でできている鎧は傷もない。


「馬鹿ステータスの方をみんかい。酷い事になってるぞ」


 石動さんに軽く叩かれた。この人と話すのは初めてじゃないかな?


「ステータスオープン」

「鎧を詳しく見て見ろ」

「鎧ですか」


 石破さんの言葉に装備欄から鎧のステータスを見る。


『初心者の上質革鎧 DF:50(―32)

 始まりの草原、初心の砂浜で採れた素材で作られた革鎧。上質な素材が使われている』


 おや、よく見れば防御力の所にマイナスの値が付いている。


「どんな戦い方をしてきたのかは知らんが、鎧に負荷をかける戦い方をしているから耐久値が減っているのだ。耐久値が減って0になると鎧が消滅するぞ」


 それはまずい。高い金を出して作ってもらったのに消えるとは。皮だったら肥料ぐらいにはなるだろうに消滅とされるのが痛い。


「サービスで治してやる。上質な素材を出せ」

「修理って素材が必要なんですか?」


 てっきり魔術的な意味で怪光線を手から出すとか言う方法で直すのかと思っていた。


「当たり前だ。その場にある物で修復するんじゃないんだ。同じ物があったら同じ素材で直すのが一番だ」


 石動さんと石破さんが交互に教えてくれる。そういう物なのか。すると俺が持っている≪修復≫のセンスはどうなるんだ。疑問に思って聞いてみた。


「あれは、いわば耐久値が落ちている時、修理する素材が何もない状態の時使うのが一般的だな」

「魔力を使って耐久値を回復する反面、素材を使わないので追加で防御力を上げるような事は出来ない」


 ソロだと便利だと思っていたが、要は使いどころの違いというやつだったんだろう。ドワーフ二人の言葉に俺はそんな事を思う。


「直してくれるんなら有難く。どうぞ」


 アイテムを一覧にして見せてみる。


「うむ、この骨が使えそうだな」

「こちらの鱗も良いな」


 ドワーフが主にビギの草原で採った素材をためすがめつ見ている。


「そういえば、二人はドワーフですが革鎧とかのアイテムを作れるんですか?」


 ドワーフと言えば鉱物というイメージがある。


「おう、俺は鎧を着るから≪鎧≫のセンスを持っている」


 石動さんが自分の胸を叩く。


「俺は革を使う事もあるし≪細工≫のセンスで加工できるからな」


 石破さんが大きくうなずいた。


「明日まで待てばもっといい鎧になる。それまで待っておけ」


 鎧を引っぺがされてしまった。俺は良いとも悪いとも言っていない。良くしてくれるなら文句はないのでそのまま見送った。


「ごめんなさいね。二人とも親切心でやってるんだけど、ちょっと暴走するところがあって」

「いえ、あのモンスターに挑むのに守りが増えるのは有難いです」


 もしかして死に戻っていたのは鎧の耐久値が減っていたからかと思いつく。作ってもらってから何度も

死に戻っているのに耐久値の修復をやっていなかった。≪修復≫のセンスは生産系だとばかり思っていたので生産の時に一緒に上げようと特に上げていなかった。戦闘用だったのが分かったのは良い事だ。


「ところで、モンスターの事ならモンスター博士みたいな人がいるけれど、相談してみる?私はフレンド登録しているから紹介してあげるわよ」


「え、本当ですか?有難うございます」


 リルさんの言葉に俺は心から感謝する。一体どんな人なのか。


「MCってプレイヤーネームでね、モンスターの図鑑を作るから大手のギルドに入って…」

「MC、さんですか。どこかで聞いたような名前ですね」


 本当にどこかで聞いた名前だ。何処だったろうか。


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