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52モンスターに襲われました

 現実21日目、今日も今日とてビギの草原で食材狩りです。

ログインして、ゲーム時間内の今日がアパートを借りられる最終日なので整理ついでに掃除でもしようかと思っていた所へリルさんが現れた。食材が足りなくなったと言う。


「俺が出した分はどうしました?」


 上のつく肉やレアそうなアイテムは出さないけれど普通の肉などが結構な量があったはず。


「あれだけの物だったから、一部はクレイが商品に流すことにしたの。ところがその後ペット化のブームを当て込んだ生産者の屋台が流れて来たから素材不足になってね、NPC用の肉も奪い合いになりそうになったから調整で流して無くなったわ」


 どれだけ来たんだ生産職。


「貴方にはビギの草原で明日の分の肉類の調達をお願いしたいわ。海産物は安全を考えて≪泳ぎ≫センスを持っている人に頼むから」


『P依頼クエスト:肉の納品

 受託しますか?  Yes/No』


 これがプレイヤー間の依頼という物か。イベントやNPCからの依頼よりもすっきりしているという話は本当だな。

 はいを選択しておいて外に出る。部屋にはお世話になりましたと言う書置きを置いておこう。ついでに屋台があると言うペット化のプレイヤーを集めていたあの広場が、屋台とテーブルが置かれて露店食堂になっていた。


「あ、焼き鳥が売ってる。良い匂いだな。ドネルケバブってなんだろう」


 どれか買って行こうか。


「しかし、ここ、村の広場だろうに良いのか?」

「あまりよくないのう」


 後ろから声が聞こえた俺は驚いてぴょんと跳ねてしまった。いや誰でも驚くとこうなるようにプログラムされているのだ、おそらく。現実には無い。


「何じゃ変な顔をして」

「いえ、アラン村長、どうしたんですか?」


 この村長が困った顔と言うのは珍しい。なんでも力技で解決しているイメージがある。


「ここは元々村の中心で祭りや集会の場所なんじゃ。そこを占拠されてもなあ」


 それは確かに困る。とはいっても俺には何もできない。この事をリルさんに相談するくらいか。


「あ、そうだ。牧場のやり方でプレイヤー用の屋台街みたいな物を作って分けたらどうでしょう。牧場なら広いでしょう」


 牧場の作り方は知らないので誰かに丸投げしよう。


「おお、それは良い考え間もしれん。お主がやるのか?」


 まずい。この村長の力技では俺が牧場の管理人にされかれない。


「いえ、俺は今からリルさんの依頼で狩りに行かないといけないですし、他の人にお願いします」

「そうか、残念じゃ」


 頭にフラグが折れたイメージが出てきた。よしよし、あんまり仕事を増やすと弟の所へ行くことが出来なくなってしまう。一日二日で期間限定のパーティならともかく当分は定住をなしにする方針だ。

 とにかく狩りに行かないと。見れば確かに焼きそばのような炭水化物は持ち込みなので繁盛しているのに対して肉類の屋台は数量限定と看板や張り紙がしてある。急いだ方が良いか。

 結構久しぶりなビギの草原には人がまばらだ。今回は別に百匹狩りなんて事はしないので気楽に倒していく。しかしこの調子で倒していたらすぐに達成しそうな予感がする。

 何しろアーツを覚えたので、例えば全部麻痺の矢にした10本打ちを密集地に放つ。相手の数は10匹以下を選び必ず麻痺するようにする。以前の様に10本の上限を超えた群れに当たって襲われるのは御免だ。麻痺したモンスターを1匹ずつ倒していく。

 スキルの練習を兼ねてやっているので、たとえ熟練度もレベルも入らなくても無駄にはならないと思っておこう。今回は麻痺の矢は使わずにまだ熟練度を上げていないセンスで構成してみる。

つまり、こんな感じだ。


戦闘センス:≪視覚察知≫≪詠唱≫≪魔術≫≪逃走≫≪命中≫≪盾術≫

予備センス:≪光才能≫≪闇才能≫≪木才能≫≪金才能≫≪隠蔽≫≪氷才能≫

生産センス:≪採取≫≪鍛冶≫≪細工≫≪サバイバル≫≪解体≫


 センスは最初のセンスを熟練度+90まで上げると初期センスでも4つのスキルを覚える。以前の時のスキルは最初の技だけを使って、その後全く使わなかったのでためしにいろいろ使ってみるのだ。

 とはいえ基本的に、例えばまず≪剣≫はスキルは「唐竹割り」から始まって「横一文字」「一心突き」「投剣」と基本的な物だ。≪刀≫を覚えたのでこれに加えて「袈裟切り」「峰打ち」などを覚える。剣術等「術」と付くと0から始まって6の倍数で一気に覚えるのがスキルの特徴だ。魔術もスキルなのでチェンジさせると一気に覚える物が増える。

 今回主に鍛えようと思っているのは≪詠唱≫で、これを鍛えていけば杖なしでも魔術を使えるようになる。結果、今回は魔術師の戦い方で戦っている事になる。盾を持った魔術師を見かけた事はないが、一人ぐらいいるだろう。

 そうやって魔術を使い続けている結果、熟練度が結構上がり使える魔術が少し増えた。熟練度はそれなりにもらえるようだ。この前までのリルさん達とのパーティで結構な数倒していた事が主な原因だろう。特に厳選の時は時々モンスターの群れに突っ込むのお構いなしにその向こう側の犬猫に飛びかかっていた。

 熟練度も上がろうという物です。


 そうやって肉集めをしていれば上肉よりもただの肉の方が早く限界に達するのは当たり前の事。百匹狩りをやっていないとはいえアイテムボックス一杯になるまではやっておかないと色々足りなくなりそうな気がしたので区切りはボックスの1枠、1アイテムの最大数という事で肉を集めていた。流石に卵とかは肉と一緒に取れる時もあれば取れない時もあるので鶏肉取りに出てくるだけにしておく。狙っていたら逆に鶏肉が枠を二つ三つ潰しそうな気配だ。


ピーヒョロロロ


 どこかでトンビが鳴いている。恐らくトンビだろう。トーンビトンビ、トンビがぐるっと輪を描いた。古い歌が出てくる位に暢気な光景だ。狩りすぎたのか向こうにしか獲物の姿が見えない。


ピチュチュチュ


 これは何の鳥だろう。そこまで詳しくはないので何とも言えない。カナリアとかメジロとかそういう小鳥の一種だろう。


カーン


 どこかでゴングがなっている。あの蛸みたいにボクシング使ってるモンスターでもどこかで戦っているのか。

 のんびりと遠くのモンスターへ移動をしていた、目の前に何かが現れて俺を突き飛ばした。


「痛っ」


 何が起こった?俺は尻もちをついた。そして目の前には青白く燃えるようなオーラを出している何かがいる。


『ヒヒヒヒィーン』


 恐らく馬の様だ。俺が立ち上がるのを待つと前足を上げて勢いをつけ駆けてくる。


「おのっ!」


 動きが直線的なので横に飛んで逃げた。盾を使っても良いが武器がないのでどうにもならない。


「あ。魔術があった」


 今日は魔術を使えるんだった。一番威力がありそうな魔術と言えば金の魔術か?それとも燃えているみたいなオーラだから氷か?

 よく戦闘中に考えていると言うのは死と同義という話をよく聞く。逆にヒーロー的なキャラが考えている時は何故か考えが終わるまで敵の攻撃が当たらない。今思えば、後者は単純に避けているという事が判明した。そして現在の戦いは前者の話が適応されているようだ。

 俺がどれにするか迷っている間に、いつの間にか俺の後ろに回ってきた馬が後ろを向いて俺のお尻を思い切り蹴りつけた。


「いいいいいっったたぁぁぁぁぁぁ」


 ドップラー効果で声が変に伸びていくのを聞きながら、俺の視線には後ろ脚を大きく蹴りぬいた馬が見えた。その蹴りの威力は俺を空高く飛ばし、飛行の呪文なんて覚えていない俺はそのまま気絶して死に戻った。


 俺が気が付いたのは屋台が展開されているど真ん中だった。ここは本来最初の村としてのリターンポイントの広場なので中央に石柱が立ったままだ。その柱を中心に屋台が展開されているので360度から視線が飛んできた。いたたまれないのでこそこそと村の外へ行く道へ逃げ出しますよ。


「ふう。しかし何だあのモンスターは」


 馬のモンスターは王都周辺の方にしかいないはず。ペット化できる一覧に加わっていたので覚えている。


「ディアトリマみたいなイベントかな?」


 ディアトリマも遊戯都市レンジの周りのフィールドからやって来たモンスターだった。王都周辺のどこかからやって来たという可能性もある。


「あっナントだ!」


 考えにふけっていると聞いた声がする。


「おや、ジュリアどうした」


 何か真面目な顔をしているジュリアに遭遇した。


「何かじゃないわよ。何でアパートにいないのよ!お世話になりましたって何よ!」


 息もつかずにワンブレスで言い切った。凄い勢いだ。


「落ち着け。最初から7日間の約束だったろう」


 村長は一週間部屋を貸すと言っていた。


「そうなの?」


 そうそう。


「だから、一週間たったから部屋を出たと言うだけなんだけどな」

「あれはうちの物置きの話のつもりだったんじゃがな」

「どうもナントは素直すぎる部分があるみたいですよ」


 リルさんと村長が仲良く現れた。


「酷い事を言われていません?」


 何か馬鹿にされている気分になる。


「悪い事は言ってないわよ。素直なのは美徳だわ」


 利用しやすいと言っているように聞こえるのは邪推だろうか。リルさんの言葉の裏を読むような考えになって、リルさんの依頼を思い出す。


「すいません、死に戻ったのでどうも半分になっています」


 ウィンドウを広げてアイテムボックスを確認すると、100で限界だったいくつかのアイテムボックス枠が50になっている。普通の肉はともかく上の肉は減っているのが悲しい。


「ちょっと、一体何体狩ったの」


 ちゃんと100残っている肉もあるのでウィンドウを見せると呆れられた。


「足りないよりはいいかと思いまして。タダだし」


 現実なら出来ないけれどゲームならば出来る話だな。


「取り過ぎよ。それで、何で死に戻ったの?」


 何となく話したくなかった話題が持ってこられた。


「よく分からないんですが。馬のようなモンスターが出てきて、蹴られて死亡しました」

「馬のモンスター?そんな物は始まりの草原にはいないわよ」

「そうですね、だから、フィールドを越えてやって来たんじゃないかと」


 リルさんとモンスターについて話す。


「狩りすぎ防止のためのアベンジ・モンスターの可能性もあるけど、貴方の称号があるから」


 「家畜虐殺者」の称号か。アベンジ・モンスターというのは狩りすぎを防止するために狩られたモンスターの怨念から生まれた存在という設定の場合が多い、運営用のイベントモンスターだそうだ。ただし他のゲームの話で、β版を含め現在までに確認されてはいない。

 「家畜虐殺者」の称号があるし、ビギの草原は熟練度が一定数を超すと急に手に入りにくくなる。だから皆さっさと王都に行くのだが、そういうゲームの場合その構造上必要はないらしい。

 本当に何のモンスターなんだろうか。


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