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51子供と遊びましたよ

 現実20日目、ログインしました。さて、今日こそ百匹狩りを完遂するのだ。


「なあ、ナント、遊ぼうぜ」


 いきなりそのフラグをへし折る存在が現れた。


「フリッツ、今度は何だ」


 フリッツを筆頭に子供達が集まっている。ジュリアの様に見た事も居れば見た事もない子もいる。


「いや、今日裏山に行く事になったんだけどさ、ディーンも大人は行けなくなったんだ」

「つまり、引率していけと」

「そういう事」

「ナントなら良いっていうし、お願い」


 フリッツの言葉にジュリアの言葉が重なる。


「まあ急ぐ事もないし構わない」


 わあっと子供達から歓声が上がった。


「とはいっても俺一人でこれだけの子供を見るのは無理だから、大きい子は手伝ってくれ」

「いいわよ」


 ジュリアが返事を返してくる。フリッツ達は返事をしないのは抜け出して遊びに行く気じゃないだろうな。


「そう言えば、リルさん達は?」

「リルなら、今日はパーティでどこかに行っちゃったわ」


 それで俺か。


「ところで、子供だけって、どこに行くんだ。裏山は禁止場所じゃなかったのか」

「裏山でも大きな道の先にあるお花畑は行ってもいいの」

「普段はそこで子供は遊んで、その間に大人が薬草とか採りに行くんだ」


 まあいつもの子守だな。流石に赤ちゃんはいない。


「わかった。じゃあ今いるので全員か?」

「皆いるよ」

「じゃあいくか。誰か先頭で道案内を頼む」


 フリッツの言葉に俺は道案内を頼んだ。


「よっしゃ、皆俺についてこい」


 フリッツが先頭に立って歩いていく。俺は殿ではぐれる子が出ないように付いていく。歩いていく道は広く普通の道だった。蛇を警戒するとかしないでもいい楽な道だ。


「すぐについたのは良いが、広いな」


 結構広い野原だった。さらに先に進むと森に入る。大人たちはここに子供を置いて森に採取に行くという事だろう。

 その野原の真中は花畑になっている。薬草みたいな花は生えていない、一言で言えば雑草で片付けられる草の花畑で、季節なのか花が満開で小さな花々が咲いている。


「よし、まずはここの花畑の中で遊ぶとしよう。それからジュリアとフリッツと、デクスとドップは来てくれ」


 比較的親しいと言えるメンバーを呼ぶ。


「何々?」

「何かあるのか?」

「何の用です?」

「何かくれるの?」

「詳しい話を聞きたいんだ」


 やって来た子供達に話を聞くことにする。


「ここでいつも最後まで遊ぶのか?近くに川があってそっちで遊ぶとかはあるのか?」

「近くに川はないな」

「ここは見晴らしが良いから、モンスターが来てもすぐに分かるし、お昼ぐらいまで遊んだら村に帰るのよ」


 フリッツとジュリアが説明してくる。


「ここの花が毒草で食べたら危険な草があるとか、良く出てくるモンスターの種類は分かるか?」

「食べられない事はないけど、蜜を吸う以外はまずいよ」

「モンスターも普段は出てきませんね。強いて言えば犬が出ますね」


 ドップとデクスから返事があった。


「じゃあ後は遊ぶだけか。子供たちが森に入っていくとかはあるか?」

「まずないわよ」

「それじゃあ、大きな子は小さな子が危ない事をしないように見張るのを手伝ってくれ。俺より詳しいだろ」

「それじゃあ俺達が遊べないじゃないか」

「そういや大きな子の遊び方ってなんなんだ」


 フリッツの文句に逆に聞いてみた。


「え、ええと、森に入らないで、森のぎりぎりまで行くとか」

「どういう遊びだ」


 入る気満々だったようだ。


「花輪つくりとか?おままごととか」

「草相撲とか色鬼とかはやらないのか」

「何それ」


 ジュリアの言う遊び方の他に俺の知る遊びを言うと知らないようだ。


「まあ遊ぶなら色々やるよ。さて、皆、遊ぶけど何がしたい?」

「鬼ごっこ!」

「決闘ごっこ!」

「おままごと!」

「はいはい、それぞれやっていいけど森には入らないようにな。ジュリア達はすまないが手伝ってくれ」

「俺達もやるのか」

「頼む礼と言っては違うけど、菓子を出す」

「任せて!」


 フリッツではなくドップが胸を叩いて受ける。

 これで少しは面倒を減らせる。


「チームというか、何をやりたいか別れようか。例えば、ジュリアが花冠を作る子供をまとめるとか」

「じゃあ決闘は俺がやるよ。審判だ」

「あたし、花冠を作れないよ」

「花冠を作れないならおままごとか?出来る事をすればいいよ。俺は草相撲を教えてみよう」


 何だろう、集まった子供の内俺の所に何か多く集まった。


「草相撲って何?」


 名前は知らないが見た事のある子供が質問してくる。


「草の内、こういう細長い茎を持った種類の草を使ってだな、こうやってもつ。そっち持って」


 その子に一つ渡して自分も持つ。オオバコが良いんだろうけどオオバコらしい植物が見当たらない。


「こうやって互いに一気に引っ張る。いいかい、行くよ?」

「うん」

「せいの、せっ」


 両手で引っ張ると子供の方が千切れた。


「千切れた方が負けだ。今日は先に3連勝した方が勝ちとしておこう」


 やり方は簡単なので子供たちはすぐ草を探し出した。


「もう一回勝負だ」

「良いよ。せいの、せっ」


 今回は俺が負けた。同じ草は使わない方が良かったか。


「わぁい。勝ったぁー」

「次は負けないぞ」


 勝ったり負けたりしながらしばらく遊ぶ。


「ナント、さっき言っていた色鬼というのは何ですか?」


 デクスが話しかけてきた。


「色数があるなら出来る鬼ごっこの一種だな。やってみようか」


 何人かがまた集まる。


「鬼が言った色の何か、ここだと花の色でいいかな、それを持った子供は捕まえたらいけないという鬼ごっこだ。使う色はこの場にないような色は使ったら駄目。俺がまずは鬼をやろう。良いか?」


 集まった子供に話すと良いというので早速準備が終わったのを見て、声を出す。


「緑!」


 緑の物を掴む子供達。花畑なので葉っぱでも掴めば緑なのだから外れた子供はいない。俺は顔の横に手をやって捕まえるぞ的な恰好をしている。


「皆掴んだか。早いな」

「こんなの簡単だよ」


 子供の声を受けてもう一度色をいう。


「青!」


 今度は結構ばらばらな動きになった。普通の花畑に青い花は多くない。


「ほーら、捕まえるぞ」

「きゃー」


 見つけられなかった子供を追いかけて捕まえる。3人を捕まえて終わった。


「こんな感じだけど、花だから色がだんだんと減っていくな」


 子供たちはちぎるように持ってるので仕方ない。


「本当は部屋の中に玩具でも持って行って、その色を使うからな」


 近くの柱の色とか。カラフルな部屋何て幼稚園の部屋ぐらいしか思いつかない。


「空旅人も色々と考えますね」

「こういうのは地域で色々工夫してやりやすいようにする遊びだから」


 元々地域で差の出る遊びだ。さらに影鬼、しっぽ鬼と教えて遊んだ。


「そう言えば、菓子を出しておくか」


 この前買ったプレイヤー製の菓子をいくつか取り出しておく。


「王都の菓子だ」


 子供より先にドップが近寄って来た。


「菓子食うのは良いけど子供を連れてきてくれ」


 子供達に少しづつ渡す。意外と量がなかった。そうやって現実の遊びをしていたら、時間はすぐに立つ。


「もう昼か」


 太陽が頭の上に来たのでおそらく昼だろう。


「村に帰るけど、もういいか?」


 いつまでというのを聞き忘れていた。さっきの話からすると昼まででいいはず。


「お腹すいたし、帰ろうぜ」

「帰ろ帰ろ」

「腹減った」


 口々に空腹というので来た道を戻って村に帰る。


「ナント、今日はありがとうね」


 解散するとジュリアが寄って来た。


「別に急ぐ必要もないし、大丈夫だよ」


 骨休みにはなった。


「お礼にこれ上げる。リルと一緒に作ったの」


 珍しい。ジュリアが物をくれるとは。


『木彫りのお守り

 一生懸命作った木彫りのお守り。不思議な力を感じる』


 特に+に作用する物は無いようだがジュリアがくれた物だし、有難く貰っておこう。


「ありがとう」


 俺がお礼を言うとジュリアはサッと身を翻して何も言わずに走って行った。何か悪かったかな?


「さてと、これからどうするか」


 子供と遊んだせいか何となく狩りには行きたくない気分になっている。


「そうだ、王都に行こう」


 神殿で遊びを教えるんだった、ついでと言っては何だけど今回一気に済ませてしまおう。早速王都に向かい、宿屋で一旦休憩のログアウトをする。泊まった宿屋はいつもの場所だ。


「いってらっしゃーい」

「はい、いってきます」


 軽く挨拶をして神殿にいく。


「こんにちは」


 神殿部分にいるラジエルさんに会った。


「おや、ナントさん、今日はお参りですか?」

「それもありますが、子供たちに俺の知る遊びを教えると言っていたので、予定を聞きに来ました」


 この世界電話はないのです。アポをどうやってとるんだろう。


「ああそうなんですか、今日は勉学の日ではないので子供たちは来ていません。次の日は、そう、三日後になります」


 この世界は勉強を教えるのも毎日では無いようだ。羨ましい。いや、その分家の仕事があるんだな、どっちがいいのか。


「おう、ナント、久しぶり」

「おや神官王、久しぶり」


 メシアだったか、名前がはっきりしないので目標名で呼んでみる。


「それをまだ言わないでくれ、目標は高い所に置くとはいえ今言われると辛い」


 単に黒歴史を知られた人の症状みたいな物だろうと思う。


「それで、何か変化はないか?」


 そうそう変化はない。


「そう言えば、カラーズの裏山の場所は知っているか?」

「ああ、新しく見つかった初心者フィールドか」

「あそこで狩りをしていたら、センシズの像を見かけた。後ろに書いてあった文字はそれで見たんだ」

「何、そうなのか」


 メシアはメモ帳を広げている。


「他に気付いた事はないか?」

「そこまで詳しく見てないな」


 あったから拝んだだけだ。


「すいません、そこにセンシズ様の像があるというのは本当でしょうか」


 何故かラジエルさんが口を挟んできた。


「そうですけど、何か?」

「是非連れて行ってください。背中の光背はかつて大火事の時に失われて以来どのような文字が刻まれていたのか分からなくなってしまったのです」


『イベントクエスト:センシズ神の光背が発生しました。受けますか?Yes/No』


 今日は戦闘をする気がないので、案内ぐらいなら構わない。


「俺も俺も、俺も行くぞ」

「分かった。じゃあ行こう」


 メシアも名乗りをあげるので、2人と一緒に行く事にする。


「そしてリゴブリンはでる、と」


 どうも人を連れて行くときに道に出ていくんだな。さっき一人で行動した時には出なかったのに。


「ふ、リゴブリンなど一撃だ。フォース・ボール!」

「そこは共通魔術でなく神聖魔術を使う所じゃないか?」


 魔術攻撃するメシアによくあるテンプレのネタを思い出したので突っ込んでみた。


「いやだって神聖魔術で覚えたのはヒールとキュアだから」


 ああ、治療系なのか。


「もう少したたないと攻撃の神聖魔術は覚えませんね」


 ラジエルさんも肯定する。


「ラジエルさんは使えるんですか?」

「いいえ、術は持っていませんので使えません」


 これはスキルを選べるという事かな?メシアがさっさとその段階まで行ってくれることを願おう。

 そんな話をしながらビギの村に入る。そのままカラーズの裏山に直行する。


「で、モンスター出たけどやっぱりここのって弱いのか?俺何度も死に戻りしてるんだけど」

「そりゃ初心者の武器だからだろう」


 共通魔術であっさりと倒していくメシアに何となく口からこぼれる物があった。魔術を使えば普通に倒せるのでやっぱり武器の差が激しいようだ。


「ぎゃっ蛇に噛まれたっ毒が回ってるっ」

「油断するからだろう」


 ずんずんと先に進んでいたメシアは潜伏していた蛇にやられていた。


「落ち着いてキュアだっけ?解毒したらいいんだ」

「あ、そうか。キュア」


 メシアはあんまり戦ってないからこういう部分はまだ慣れて無いようだ。


「流石にナントさんは慣れてますね」

「俺より凄い人は普通にいるから、その人たちの後追いなんですけどね」


 俺は死に戻った原因からやってるだけですよ。しかし神聖魔術は便利そうだ。取れるなら取りたい。ポーションを使う事が少ない身としてはそう思う。


「ここだよ」


 ユウリに連れて来られた御堂の前に案内する。お堂の中には光背を付けたセンシズ神の彫像がある。


「これは有難い事です」


 ラジエルさんが膝まずいてお祈りを始める。メシアも拝んでいる。


「二礼二拍手は違うんじゃはないか?」


 メシアの拝み方は神道の物だ。いや、神道だから良いのか?


「祈り方は人それぞれです。余程酷いやり方でない限り祈り方はどのような物でも良いとなっています」


 ラジエルさんが俺の言葉に答える。そういう物か。俺も拝んでおいた。その後後ろの文字を確認して、神殿に帰る。


「今日は有難うございました」

「いえいえ」


『イベントクエスト:センシズ神の光背をクリアしました。レベルアップしますか?』


 俺はNoを選んでおく。


「それじゃあ、今日はありがとうな」

「まあ早く神聖魔術を広めてくれ」

「まだ難しいな」


 メシアと話して今日はログアウトする事に決定する。宿屋に行ってログアウト、さて、明日は何をしよう。


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