46蜂と戦いました
ペットは後ユーリカさんが猫、青華さんが羊、サムソンさんが蜂と蜘蛛という事になっている。
「じゃあ二手に分かれましょう。私とサムソンで一組、他で一組ね」
「ひゅーひゅー」
「お熱い事で」
ユーリカさんの言葉に青華さんとクレイさんが即座に反応する。
「待ちなさい。流石に二人だけは危険よ。6人居るんだからちゃんと3人ずつ分かれましょう」
リルさんの待ったがかかった。まあそれが普通だろう。
「それで、ユーリカ。ナントが杖のアーツを見てみたいそうだから一回見せてあげて。私達は青華と組むから」
俺がサムソンさん達と一緒になってしまった。ああいう雰囲気の傍にいるのは物凄く気まずい。得意という人間の方が見てみたい。
しかし別に何もなかった。まずは量が必要な蜂を捕りに行く事になった。
蜂は群れで行動する上に女王蜂がいるかもしれない。しかし女王蜂等見た事はない。そこで困ったときのNPCと、俺にセンスを教えてくれた猟師のハンスさんに聞くことにする。
「どうもお久しぶりです」
「なんだ、いつかの初心者じゃないか」
覚えていてくれたようだ。
「今回初心者はお前しかいないからな」
気を付けよう。リルさんの協力者が俺しかいない事になる。何かあって称号がばれたら大変だ。特に「小人族の友」の称号はまだ小人族が見つかっていないから黙っていないと駄目だ。
「それで、何しに来たんだ?そっちの生産職の二人が一緒という事は、何か材料を探しているのか?」
サムソンさん達が後ろに控えているのでそんな話を思いついたんだろう。
「そうですね、一つ聞きたいんですが、蜂のモンスターがいるでしょう」
「ああ、あいつらは群れになると手ごわいぞ。お前なら一発で死ぬな」
あれから少しは強くなったつもりなんだが、レベルは上がってないから似たような物か?
「いえそういう話ではなく、蜂蜜を採りたいんですが、巣はどこか知りませんか?」
「知らんな。巣に近づけば群れで来ることは分かっているから誰も探そうとしない。偶然ぶつかった場所にあったくらいだ」
そうすると、追いかける方法から見つけないといけないか。倒しては話が進まない。現実では確か綿がどうとかあったような気がする。
「ナントは思いついたら突っ走るんだな」
ハンスさんの話が終わるとサムソンさんに言われてしまった。忘れる事が多いので、ゲームだし即実行してみているんだがやっぱりまずいか。
「別にまずくはないが、一言どこに行くかだけ言ってくれ」
報・連・相というやつですね。よく言われます。
蜂を追いかける方法は後で皆で相談するとして、アーツを見せてもらいつつ蜂を捕まえる事になった。カラーズの森へ到着する。
「アーツと言っても、杖はあまりアーツを使わないのよね」
魔術師だと魔術使う方が多いからだろうと以前予想した事を思い出す。
「杖は派生するセンスが結構独特だから、それを取ってから使うの」
それは初耳だ。予想と全然違った。
「まずどのセンスになるかは戦い方で使い分ける事になるけど、杖術というのは見つかっていないわ。カンフー映画みたいに棒を振り回す、武術系のセンスは「棍」というセンスになるの」
これは普通に剣から刀になったのと同じだ。
「魔術師は魔術の効果や精神集中に影響のある「魔導杖」、まだ見つかっていないけれど神聖魔術に効果があると思われる「聖杖」に分かれれるわ。ただ、「聖杖」は状態異常を防ぐスキルを取れて防御系の魔術に効果があるから結構取ってる人は多いわね。私は「魔導杖」センスを取っているけど」
そういえば神官王になると言っていたプレイヤーがいたな。どうしてるだろうか。
「治癒魔術はまだ発見されていないんですか」
「まだね。神官のプレイヤーもいるけど使えないみたい。聖水でアンデットの浄化が主な戦い方になってるわ」
治癒魔術はないのかもしれない。
「それじゃあ手本をみせるわね、魔術を使う時に基本的なセンスに組み込む方が多いのよ」
ユーリカさんは手に雷の球を作ると蜂目がけて飛ばした。
「分からないと思うけど、「精神集中」のスキルと手加減できる「匙加減」のスキルを組み込んでいるわ。「精神集中」のスキルは使うのが基本中の基本ね」
その段階まで「杖」センスの熟練度がいっていなかった。仕方ないので杖を全力で振る「魔力振り」のスキルを使用し、変わらずファイア・ボールをセットする。ただ今回アーツに使う順番を武器と同時に使用するタイプでなく武器が当たって発動する形にしてみた。クレイさんのいう所の当たったところから発動するアーツになる。
「ホームラン!」
ユーリカさんが声を上げる。というか声を出すスポーツはゴルフだったはず。見事に命中した杖が当たった瞬間蜂を炎が包み、遠くへと打ち飛ばす。
未来猫の野球漫画にこんなのがあったような。そしてこんなはずでもなかった。予想では当たった瞬間に蜂が燃えて落ちるという物だった。どうも燃やし尽くしてしまったようでアイテムすら手に入らない。他の場所でも火魔術は採取に向かない、と心のメモに残しておこう。
それはそれとして、杖のアーツを教えてもらったので早速蜂狩りをしつつ他のアーツを作ってみる。蜂用に麻痺呪文である雷魔術エレキ・パラライズをセットしておく。これなら死なないだろう。
「とりゃ!」
それでも杖よりは熟練度の高い刀で切ったら一撃で死んでしまった。
「これは杖を使うしかないか」
「これで4匹目」
サムソンさんは安定して蜂をペットにしている。杖で小まめに突いていくしかないか。何とか1匹成功してサムソンさんに渡す。
「どうぞ」
「おう」
人から渡された物はどうなるのかと思ったら普通にペット化していた。一旦ポリゴンで停止状態になった後能力と名前を設定されて実体化してサムソンさんの後ろの群れに合流した。
「サムソンさん、一つ聞きたいんですが、養蜂用の能力何てあったんですか?」
女王蜂がいないならどうなるのか分からない。蟻は女王蟻が居なくても群れで卵を産んで育てる種類がいるからそんな感じだろうか。
「うん、蜜集めという能力と巣作りと言う能力があるからこれだと思う。実際の蜂蜜は巣を壊して作るから、そこは検証だな」
色々と考えているんだな。検証は俺には向かないという事が分かる。それから全員合わせて10匹も取っただろうか。
ニードル・ビーの群れが現れた!
蜂狩りを無心にしていればそんな事もある。しかし普段6にこだわっていると言うゲームのはずなのに今回は30か50とにかく沢山出てきた。
「気を付けて。「状態:怨恨」ってでてる。蜂を倒し続けてたから出たんだわ」
狩りすぎ注意のモンスターイベントか。俺もまだ百匹狩りを成功させてないが結構狩っているはず。何故出てこなかったのか。
そんな事を考えている場合ではなかった。蜂は次々と襲ってくる。弓を用意する暇もなかったので俺は盾と刀を構えて亀の様に防御主体の戦いになった。
「痛い!」
周囲360度にいるのでそう全身防御出来る訳でもなく、後ろから針で刺された。上質な素材で作った鎧じゃなかったら貫かれているところだった。刺されたのが尻でなくて良かった。
あ、盾術に本当に「タートル・ガード」なんてスキルが出てきた。出るのが遅い。亀だけに。盾を中心に球形に近いバリアーを張るようなセンスのようだ。早速実行する。少しは針が防げるだろう。しかしスキルに使用するゲージの減りが早い。10秒持たなかった。さすがに鍛えないと。
「一気に行くわ。皆気を付けて。ファイア・ブラスト!」
複数攻撃の炎魔術をユーリカさんが放った。火の玉が四方八方に飛ぶが、球の大きさが大きい。これが魔力を使って大きくしたのかこういう魔術なのかはしらないが蜂はほとんどいなくなる。俺の場合再び実行した「タートル・ガード」がなければ巻き込まれていた。丁度いいタイミングだったのか?残りは後2、3匹だけだ。
「最後だ!」
俺の刀が炎を纏って蜂を左右に分断した。炎を使ったせいかアイテムはほとんどない。最初の方で刀だけで倒したニードル・ビーのアイテムだけが獲得アイテムだ。
「何だこりゃあ」
「えっ」
「何か来ましたね」
蜂の群れを撃退した途端のインフォである。イベント用のモンスターの扱いだったか。
『シークレットボス:ハニー・クインビーへの挑戦権が発生しました。挑戦しますか?』
選択肢は俺の方には出ない。パーティーリーダー、というか、蜂を従えているサムソンさんに出たようだ。
「これは変わっているな」
「何がです?」
サムソンさんの呟きにユーリカさんがウィンドウを覗き込んだ。
「本当だ、はい、いいえの選択肢の他にこれ以後表示しないってある」
なんだそれ。一度きり限定のボスなのか?
「シークレットボスというのは一度限定何ですか?」
「いや、普通何回も受けられる」
「これは取りあえずいいえを押して、リルと相談しましょう」
それが良い。何か検証するべき事があるだろう。
「案外、規模を拡大するのに蜂は沢山いるけど女王蜂は一匹しかいらないという話の時にキャンセルをする人が多いからじゃないですか?」
「それはありそうね」
ああ、でもその場合事故で女王蜂が死んだ時困るか。いやまだ女王蜂が手に入るかは決まっていない。ボスなんだからペット化できるのか怪しい。女王蜂がイベントなら固定だろう。もらえても卵だろうか。




