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43魔術のネタです

「特に魔術に多いけど、周囲に被害を出してしまうスキルがあるのは知っているわよね」


 知らなかった。ゲームなのでそこの辺りは大丈夫と考えていた。


「今からやる事でいうと、電気は水を通りやすいから雷魔術は水中では拡散するわ。クレイ、お願い」


 意味は分かる。リルさんの言葉でクレイさんがエレキ・ボールを唱えて近くの水溜りに投げ込んだ。バチバチと音を立てて激しく反応する雷魔術は水溜りだったためその場にとどまって海水を蒸発させてた。 モンスターは先に死んだようで、目に見えていたら酷い事になりそうだ。モンスターはいないか少なかったようでアイテムボックスには何も入ってこない。


「アーツにしろ、魔術にしろ、水気が多い所では周囲の人へ被害が及ぶわ。派手だから人気の魔術だけどそういう所では使わないで。それに、自分が使った魔術は自分には効かないゲームもあるけどこのゲームではしっかり効くわ。特に雷魔術の場合全体に広がるから必ず自分も感電するわね」


 そうするとソロでも使いにいな。


「鎧に耐電コーティングしてるプレイヤーもおるけど、気をつけなあかんで」


 クレイさんの言葉から行くと金属鎧の時は絶対に使わない方がよさそうだ。


「それじゃあ実地で体験するのが一番だから好きな所でエレキ・ボールでも使ってみて」


 リルさんに促され、海とつながっている所に近寄る。ブシュッっと海中から攻撃を受けた。偶然盾が体の前だったから良かったものの危なかった。水の中に何かいるようだ。


「エレキ・ボール」


 魔術を落として入れればさっきの様に雷が水の中を走って行く。今度は海と繋がっているからか海面に電気が走るのが見えて中々綺麗だ。


ブシュッ


 再び水の中から攻撃。難なく盾で受け止める。


「あばばばば」


 攻撃が水だったせいか電気がこっちまで来た。感電して声が出る。クレイさんほどの力はないのでびりっと来た、というぐらいの電気が続く。海へ拡散したのも弱い理由だろう。

 漫画みたいな状態になったのはゲームだからか。運営遊んでるだろう。

 ちらりと見れば今度は誰も手助けしてくれないようなので痺れつつ刀を取り出して水の上に刃を下に持ち、≪剣≫センスの時に覚えた突きスキルを連打して手当たり次第に水の中をつく。落ち着けば水面の反射があるとはいえ敵が見えたろう。しかし痺れているのでこんな反応になってしまった。

 さらに水の中から何か飛び出してくる。盾は構えたままだったので防ぐことができた攻撃は、さっきの水と違って甲高い音を出して弾かれた。

 電気が治まってようやく体を動かせるようになった。


 ウォーターガン・フィッシュの口管

 ウォーターガン・フィッシュの鱗

 ストーン・シェルの殻


 アイテムボックスにはこんなアイテムが入ってくる。説明を見れば ウォーターガン・フィッシュは鉄砲魚でストーン・シェルは回転して刺さってくる、鏃のようなモンスターだそうだ。


「苦戦したわね。でも、私達の言いたい事は分かったんじゃない?相手の攻撃が水だった場合、電気はこっちにも被害が来るという訳」


 リルさんお説明はとてもよく分かった。主に実地で。


「もう一度やってみます」


 今度は大きめの水溜りを選び、少し離れた所からエレキ・ボールを投げ込む。この時ちょっと工夫して、魔力を多めに使ってみるとエレキ・ボールの大きさ、威力が上がる。


「あら、裏技使えたのね」

「裏技?」

「魔力を込めると大きさや威力が上がるの。知らなかった?」


 これが裏技と呼ばれていたのか。意外と知らないで使ってる技が多そうだ。てっきりまた驚かれるかと思っていた。自意識過剰でしたよ。

 今度はちゃんと成功した。手に入ったアイテムは追加でウォーターガン・フィッシュ、ストーン・シェルの他に


ポイズン・シーアネモネの麻痺毒

ポイズン・シーアネモネの火炎毒

ポイズン・シーアネモネの凍結毒


 という物があった。シーアネモネって何だ?1匹で多種類の毒が取れるようなので便利なモンスターだ。


「慣れたみたいだから、今から簡単にアーツを作ってみましょうか。しばらく戦闘に参加しなくてもいいわ」


 リルさんの好意に甘えて思考に入ろう。岩場なので座る場所には事欠かない。

 考えるとは言ってもそこまで出来る物でもない。アーツは合計6つしか持てない。宿屋などで置き換える事は出来ても初期の状態ではアーツに使えるのは3つまでなのでそんなにも出来ない。

 初級なりにやってみると、こうなった。


 ボール系の魔術を矢の先につけて十本打ち。特に状態異常を起こしそうなものを優先で使用。

 ブラック・スモークとサンド・カーテンに鉄粉で攻撃するメタル・ブラストを混ぜる。突っ込んできた相手にダメージ。

 氷を頭上から落とすアイス・ブロックを岩を投げるロック・スローで投げる。岩何だか氷何だか分からない物が出てきそうだ。

 影の手を作るシャドウ・ハンドに武器を持たせて疑似阿修羅攻撃。

 盾で相手を殴るシールド・バッシュ攻撃に穴をあける金魔術パンチングを混ぜる

 逆風アゲンストの魔術で相手に金属片の魔術メタル・ダストをぶつける。

 さっきのクレイさんをまねて横斬りのスキルに竜巻のリトル・トルネードを同時に使用。

 後は状態異常にする効果の魔術を刀や矢につけて飛ばすだけの最初の技の劣化版ぐらいしか思いつかない。


 早速実際にパーティのメンバーに見てもらう事にする。


「ちょっと待って。アーツは秘密にする事も多いから全部見せるのはやめておきなさい。奥の手を持つのも大事よ」


 リルさんに止められた。仕方ない、ソロの時に検証する事にしよう。それでも本当に初歩的な技は見てもらっても良いだろう。


「うん、えーっと。一言で言うと、ヒドイ?」


 最初にポイズン・ドロップと刀の横斬り、エレキ・パラライズと縦斬りを見せると青華さんに言われた。


「状態異常前提で先制攻撃はありっちゃありやけど、全部の攻撃がそれっていうのは珍しいわな」


 クレイさんも呆れた口調だ。


「でも先制攻撃だからこれでいいのかも」


 リルさんの口調が慰めているような気がするのは気のせいか?

 自分でも何で状態異常前提だと思わないでもないが、何しろ弱いので相手を動かなくするとか定期的に体力削るとか、そうして相手を弱らせないといつ倒せるか分からないと考えたのである。

 そして俺の初歩と言えば例の十本打ちである。早速実行。


「もっとひどくなってる」

「うん、酷い」

「ちょっと待って、もう一度撃ってみてくれる?」


 俺のやり方は一般的でないのは分かるからさっきから酷い言われ方だ。リルさんだけ何か別の事を思いついたようで、もう一度やってみるように言われた。

 十本の矢が敵として狙いをつけたグラップラー・オクトパスの群れに襲い掛かる。

 魔術を混ぜて矢で放つタイプのアーツなのでエフェクトが発生する。麻痺の黄色と毒の紫と綺麗に光を軌跡に残しつつ空から降り注ぐ。黄色い光がジグザグなのは雷魔術だからだろうか。

 降り注いだ矢が蛸に刺さり、うまく何匹かはダメージを受けた上で毒の状態異常が発生しこっちに来る前に消えた。麻痺のかかったモンスターもこっちに向かってきているが時々麻痺が発生して動きは悪い。十分矢を放つ時間があるので十本打ちを連射して接近戦になる前にすべて倒す。


「今、2種類の魔術使ってアーツを発動させたわね。あれはどうやったの?」


 もしかしてまた俺の考えた方法がオリジナルだったのか?


「どうって、まず10本の矢をこう持って、アーツを二種類起動します。この時数を聞いてくるので5本5本を選択して」


 あとは十本打ちと変わらない。


「今まで10本の矢で撃っていた人がいないから仕方ないけど、多数の矢を撃つのにアーツを複数使うなんて初めて見たわ」

「普通、数撃つのはスキルを使うからな」


 リルさんの解説にクレイさんの事情説明。スキルだとアーツに組み込む形になるので1本1本違うアーツ

に出来ないようだ。


「これがナントの必殺技何だね!」


 青華さんが俺のアーツの完成を喜んでくれている。しかし、すいません、これは先制技で必殺技は別に考える予定なんです。


「これでひとまず一通りアーツも覚えたみたいね。それじゃあ、今度は私のお願いを聞いてくれる?」


 お願い?何かあったのか?


「鴎をペットにした時言ったでしょう。考えてる事があるって。実は、ハイドルートを探してみようと思っているの」


 ああ、あのルートの検証を何かするのか。リルさんはパーティ全員に説明する。


「初心者でもハイドルートを探せた方が楽しみがあるからこっちに1つ以上あると思うの。考えとしては、ペット化や初心者のフィールド、「初心者の初心者」の称号で何か起こると思うわ。初心者フィールドでやる事の代表的な事だから」

「それは賛成やけど、何をするんや」


 クレイさんが手を上げた。


「まず思いつくのはペット化での条件付けね。インフォにもあったけれどいくつか条件を満たせばいいんだから。考えられるのは一人か一つのパーティがすべての初心者フィールドでモンスターをペット化するか、すべてのモンスターをペット化するかだと思うわ」

「その考えやったらNPCにペットを渡して牧場を作らせるとかの方向もありそうやな」

「ペットならきっと愛情値も必要!」


 クレイさん、青華さんも口々に意見を言う。


「ナントは何か意見はない?」

「意見ですか」


 俺は検証パーティでないので黙っていたんだが、意見を求められるとは思わないかった。


「ペットのネタで行くなら、俺の「家畜の虐殺者」の称号がどう機能するか分かりません」

「そうそう、それもあったわね」


 何となくこの称号を持っているとビギの草原でのモンスターはペット化出来ないとなりそうだ。


「とにかく、それでモンスターをペット化していくんだけど、全モンスターとなると流石に面倒を見きれないわ、ナントにも担当してもらいたいの」


 人手不足解消のアルバイトだったか。しかし俺は愛情という方面で、自分の面倒も見れない人間が生き物を飼うなんていけないというのが持論だ。断るか?


「もし心がぐらついとんやったら、良い事教えたろ。ペットは宴会芸を覚えさせたらええ。犬に踊り教えるとか、鳥に編隊飛行教えるとかはやりやすいやろ」

「協力させていただきます」


 また包丁投げの的にはなりたくない。それだけでも十分にペットを飼うにふさわしい理由だ。


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