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40パーティを組みました

 インフォメーションも読んだので部屋から出てみる。何か慌ただしい。俺以外がバタバタしているようだ。


「おはようございますリルさん、部屋に運んでくれてありがとうございます。それで何かあったんですか?」


 リルさんがいたので話しかけてみる。


「ああ、ナント、貴方公式インフォ見なかったの?」


 公式インフォとこの慌てようが関係があるのか?一つしか思い浮かばない。


「もしかして、種族の変換に行くんですか?」

「石動と石破、ユーリカがね。サムソンがユーリカと一緒に行くわ」


 4人もパーティを抜けるのか。


「あれ、リルさんは行かないんですか?」


 ダークエルフの有名人みたいな姿なのでてっきりダークエルフになるのだとばかり思っていた。


「私は人間のままにしていくわ。それで、しばらく皆は留守にするから来たばかりだけど出発の準備をしているの」


 リルさんはとどまるようだ。さっきの言い方から行くと青華さんとクレイさんもこの村にいるんだろう。


「ナントはどうするの?」

「アーツを組み立てて練習ですか」


 予定としてはそんな話だ。出来ればその後熟練度を上げていくつかランクアップしたい。特に魔術を。


「はあ、ふう。ナントは出かけないのね」


 ジュリアが走ってやって来た。何でそんなに慌てているんだ。


「お爺ちゃんから魔術の話聞いてきたから魔術教えて?」


 そんな事もあったな。村長が使う魔術ってなんなのかついに分かるか。


「別に教えるのは良いけれど、ジュリアの素質は何だったんだ」

「あたしはね、木金氷雷火水の才能があるんだって」

「凄いわね、普通NPCでそんなに才能持つ人はいないわよ」


 一緒に聞いていたリルさんが声を上げた。俺は全部買ったので凄いのかどうか判断が付かない。


「何で村長はそんなに才能系センスを持ってるのかしら」

「あのね、木金氷雷は神様から村長が貰うんだって」


 リルさんの疑問にジュリアが答えた。神様からもらう、という事は最初から村長一族の設定としてそういう血筋があるという事で、強いんだな。


「何かあるのかしら。生産魔術も例もあったし」

「村長他専用の管理魔術とかですかね」


 俺が何となく言ってみた言葉にリルさんがはっとした顔でメモを取り始めた。


「それにしても、それだけ才能あるなら普通に村長になるんじゃ駄目なのか」


 疑問がわいてきたのでジュリアに聞いてみる。


「だって、村長は弟がなるんだもの」


 弟?居たっけ?そういえば村長の子供、ジュリアの親を見ていない。


「あの子が生まれてからお父さんもお母さんもつきっきりだもの。きっとあの子が村長を継ぐのよ」


 なんだ、よくある子供の愛情を感じないと言うあれか。


「教えるのは構わない。その前に確認しておこう。ご飯は誰が作ってくれるんだ?」

「お母さんよ」


 俺はジュリアへ質問する。


「服はもう自分で着られるよな。服は自分で洗濯してるのか?」

「お母さんがしてくれる」

「お父さんは何してるんだ?」

「お父さんはお爺ちゃんを手伝って村長の仕事と畑仕事してる」

「村長って戦士系じゃなかったのか」


 これは普通に驚いた。あの村長だからてっきり父親は傭兵でもやってるのかと思った。それはともかく。


「お父さんとは話さないのか?」

「ううん、朝はご飯を一緒に食べるからその時話してる」

「何だ、十分愛されてるじゃないか」


 俺の言葉にジュリアがむっとした顔になる。


「何よ、何も知らないくせに」

「そう、知らない。しかし俺にも弟がいて、同じ様な目には合っている。そしてその時の経験から行けば、ちゃんと見ててもらえる事は何より有難いぞ」


 言っておくが俺の家ではほうっておかれた訳ではない。ある程度齢を取って色々知識が増えるとありがたいなぁと思う訳だ。おかげで俺は反抗期らしい反抗期がなかったと言われる。ちゃんと反抗期はあったが食事を食べに出てきていたので問題ないと思われたようだ。後で知って愕然としたものである。


「だから、別に愛されていない訳でもないからそこは安心しろ。優先順位がジュリアより弟なだけだ。そっちの方が手がかかるから。第一、お前の爺さんである村長を見れば少なくとも祖父母は愛してくれているだろう」


 そういえば疑問が出てくる。


「ジュリアはアクス村長もアラン村長もお爺ちゃんと呼ぶがどうしてだ?」


 俺の言葉に(説教ではないので)何も言えないジュリアがこっちを見る。


「お父さんの方のお爺ちゃんがアランお爺ちゃんで、お母さんの方のお爺ちゃんがアクスお爺ちゃんだからよ」


 何だ、従兄妹で結婚したのか。


「さて、それじゃあどんな魔術師になりたいかという事を聞こうか?」

「え、魔術教えてくれるの?!」


 何でそんなに驚くんだ。ジュリアだけでなくリルさんも驚いている。


「約束したし、習いたいと思って実行するかどうか決めるのは本人だから教えるよ」

「さっきの言い方だと、止めているように聞こえるわよ?」


 リルさんに言われた。そういえばよく誤解される。話し方がおかしいと。


「ただし。さっきも言ったけれど村長しか知らない魔術がある。それは何か分かったのかい?」

「村長を継ぐ人だけにしか教えられないって言われた」


 ジュリアに教えない所を見ると結構重要事項何だと思う。


「それをどうするかと言う上で魔術を習うかどうか改めて聞く。ジュリア、魔術を習いたいか?もしかすると使わないだけで村長の知っている魔術は俺達の知ってる魔術よりも凄いかもしれない。さらに言えばアラン村長とアクス村長は別の地形で村長をやっているから、覚えている魔術も違うかもしれない。まだジュリアには時間があるから、先に色々聞いてから考えた方が良いとは思うよ」

「私もそれに賛成。将来をどうするか考える時間はまだあるから、情報収集しなきゃ。探索が検証の基本よ」


 検証パーティの人に言われるのは説得力がある。ジュリアもリルさんの言葉で何か思う事があった様だ。


「じゃあ、もう少し考えてみる。二人はしばらくこの村にいるんでしょう?」

「まあ、しばらくは」

「そうね、仲間が戻ってきて、新しいフィールドの調査もあるから、結構かかると思うわ」

「じゃあ、もう少し考えてみる」


 ジュリアはまた何か急ぐように走って行った。

よし、説得成功。別に教えるのは嫌じゃないが、俺は一日に何かすると決めた事を邪魔されるのが嫌な人間なのです。今日はアーツの練習。それあるのみ。


「ナントは意外とジュリアちゃんの事見てるのね」


 何故かリルさんがこっちを見てくる。


「ソロな事もそうだけど、人間と関わるのが嫌なだと思ってたわ」

「いや別に普通でしょう」


 俺はどういう人間に見られていたんだ。もしかして孤高を気取って他の人間の助けなどいらないぜ、みたいなタイプと思われていたとか。


「そんな貴方にお願いがあるんだけど、良いかしら」

「出来る事なら」


 ドラゴン退治に行け言われても無理なので先に断っておく。


「私達とパーティを組まない?」

「え?」


 思わず声が出た。


「俺は知っての通りアーツが使えないので練習するのを一緒にやるようなレベルなんですが、良いんですか?」

「大丈夫。行く場所は貴方も知ってる初心者のフィールドだから。貴方の戦い方は初心者のフィールドなら十分勝てるでしょう。ね、家畜の虐殺者さん」


 リルさんは意外と人をからかうのが好きな人なようで、俺が気にしている事を冗談めかして言われた。


「それにアーツも簡単なものなら私と青華で教えられるわ。最初の決める所でだけ一緒にやってみない?」


 まあ練習は一人でも出来るけれど意見は欲しいから丁度いいか。


「分かりました。ではお言葉に甘えます。ところで、俺がリルさんと会ってから何日立ってますか?」

「え、今日で3日目だけど」


 成程、すると前に村長とした約束では後四日。結構駆け足になるな。


「さて、それじゃあ行きましょう。青華とクレイはもう準備してるわ」


 リルさんに連れられて俺はパーティでの戦いという物を経験する事にした。

 俺が既にパーティを組んでいるリーダーのクレイさんに通信を飛ばして許可を貰う。意外と簡単にパーティ登録は終わった。


「まずは大体出来る事を互いに言っておきましょう。知っておくのとおかないのでは動き方も違うから」


 クレイさんたちと合流した所、リルさんがそう告げてきた。


「言いたくない事は言わなくてもいいわ。使う武器と知っておいて欲しい事を教えてくれれば」

「俺は知っての通り、弓か魔術で遠距離攻撃をするように鍛えようと二つを鍛えています。どっちに絞るかはまだ考えていません。魔術も魔術クラスに行ってないので大したことを出来ないし。単純に戦闘なら刀と盾で戦う事になると思います。あと、今回アーツをある程度決めて慣れておきたいのでそれを教えてくれればありがたいです」


 俺のセンスと戦い方は周知の事実なので隠すことはない。


「あたしは弓だからナントに似ているね。でも≪必中≫センス使ってるからちょっと違う戦い方になるよ。接近専用は針と短剣だし」


 青華さんは俺に近い戦いをするらしい。針も武器があるのか。いや、あの編み棒の事だと思われる。


「私はハンマーを中心にした戦い方ね。重い一撃を与えるのが主な役割だわ。指揮もやるけど」


 リルさんは指揮の方が本職だと思う。


「わいは商人やけど魔術と剣両方使う。どっちがいいかと言うのに悩むナントには参考にぴったりや。かっこよく言えば魔術戦士やな」


 かっこ悪く言えばどっちつかずというのはよくある話だ。クレイさんは恐らく全員のサポートだから問題ないんだろう。


「それじゃあ、今回はクレイさんの要望もあったカラーズの森に行けるかどうか試しましょう。行けたら。例の犬耳なんかのモンスターを狩るという事で」

「おう、それええなあ」

「あ、あたしも動物セット欲しい。貰ってもいい?」

「じゃあ、今回はそこにしましょう。さあ、出発」


 リルさんの一声で、装備を整えた俺の初パーティが出発した。


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