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37ジュースをあげました

 俺がジュリアの相手をしている間もリルさん達は何か話をしていた。聞き耳を立ててみれば、


「さっきの数の制限は他の物にも適応されるのかしら」

「だとしたら戦争でも数がいる場合はそっちの方がいいかもしれん」

「待って、初心者の装備だから打ち続けられるけど普通は一気に打つと矢筒が空になるからそちらも検証しないと」


 俺の戦闘を検証しているようだ。


「話を戻したいんですが、俺の戦い方は基本遠距離攻撃で弾切れの後突撃するってパターンです。何か加える事はありますか?」


 どうやら対戦は終わったようなのでサムソンさんとジュリアで中断していた会話を続けよう。


「うん?そこまで決めていたなら別にないな。アーツを使うのにはその二つと防御を意識すればいいと言うくらいかな」


 やっぱり防御か。俺は現在防御を全く考えない攻撃を繰り返している。まだ最初なので出来る方法だ。


「強いて言えば、魔術士ならば限界までマジック・ポーションを飲んで魔力回復させて魔術を使い続けるな。その後動かなくなる。今日は飲んでなかったみたいだけど、やっぱり練習だからか?」


 マジック・ポーションなんて持っていません。正直にサムソンさんに言えば変な顔をされた。


「回復ポーションすら持っていないとは、そんなに狂戦士になりたかったのか?」

「いえいえとんでもない」


 あれは単なる偶然である。買う暇と金がなかっただけで、センスを買って金欠になり思わない所でイベントに遭遇して暇が無くなった。そういえば本当ならアーツの練習にビギの草原に行く予定もあった。


「そうそう。海の戦闘で≪泳ぎ≫センスの話はどうなったんですか?」


 話を無理やりそらす。


「ああ、あれか。俺は持ってないんだ。石破が持ってるから、聞いてみよう。おうい、石破、ちょっと来てくれないか」

「何だ」


 ドワーフみたいな片割れがこっちに来た。


「いや、呼ばなくても俺がそっちに聞きに行きますよ」

「このくらい気にせん。それで、何の用だ?」

「ああ、≪泳ぎ≫センスについて聞きたいんだ。俺は食材の属性で早めに敵を倒せたから、後はユーリカの助けに向かったけど、お前はセンスの確認をしてたろ」


 ドワーフなのに泳げるのか、見た目完全にカナヅチなのに、人は見かけによらない。


「確認はした。その前に言っておくが、ナント、俺はドワーフのコスプレをやっている訳じゃないぞ」


 さてはまた俺の声に出ていたか?心を読まれてしまった。


「誰もが思うようなので説明しておくと、昔β版にはドワーフにもなれたんだ」


 そんな設定があったのか。俺は製品版からの参加なのでβ版の事は全く知らない。


「元々ドワーフで彫金と彫刻を中心にやってたんで、今回もその知識を生かそうと思ったら、オープン版は最初は人間にしかなれないと来た」


 それは普通に知っている。この時点で人間とは思えない恰好したプレイヤーも結構いるようだ。

 しかし彫刻とは珍しい。芸術作品を作ろうとするプレイヤーは別のゲームをやると思う。


「ドワーフというのは人間とは重心が違うから、戦闘にしろ生産にしろ結構難しいんだ。それを使いこなすのが楽しいんだが、今回は人間しかないからな、将来あるだろう種族変化のイベントに備えて姿を近くしたんだ」

「種族変化のイベントって、あるかどうかわからないんではないですか?」


 ありそうだけど課金になりそうな気もする。


「人間しか選べないと分かった時点で運営に質問したら隠れイベントでと決定しているそうだ」


 そんなイベントがあるのか。俺も参加しようか。やめておこう。運動神経ないのにさらに難しい体型にしたら色々支障が出る。


「それで、俺は鉱夫も兼ねている。鉱山で怖いのが何か分かるか?」


 鉱山で怖い物。この話の流れから行くとモンスターじゃないな。


「地震ですか?」


 地震が発生して生き埋めになる。これは怖い。


「間違ってもいないが、少し違う。もっと日常的な方だ。掘り方を間違えて落盤する。先に水が溜まっていて鉄砲水がでる。これが怖い。だから、≪地魔術≫≪水魔術≫≪泳ぎ≫のセンスを取ったんだ」


 成程、水が出た時に溺れないようにする為だったのか。納得した。


「もう一人の、石動さんは持ってないんですか?」

「あいつは建築と言っていたろう、建築関係を進めるのでどっちかっていうと外向きのセンスを取っている」


 違いがあるんだな、双子は装備も対になる感じで同じような物と思っていた。


「言っておくが石動と俺は一卵性の双子じゃないぞ。だから顔は似ていない。プレイが似ているだけだ」


 VRMMOは外見を変更できるから偏屈な職人をイメージして作ったら似たような顔になるのかもしれない。


「それで≪泳ぎ≫センスの事ですが、どうだったんですか?」


 ひと段落したようなので話を戻そう。


「うん、普通に泳ぐ分にはナントの言った通り現実のリアルスキルの問題の様だ。入門者の海は始まりの草原と同じでちょっかいかけなければモンスターは襲ってこないから海水浴場みたいなものだな」


 それじゃあ何故ユーリカさんが捕まったんだろうか。


「ユーリカは運が悪かった。トラップ・シャコを踏んづけたので敵認定されたようだ。しかも、あのシャコ貝は相手を捕まえると捕まったプレイヤーは優先して攻撃目標になるようだ」


 そのために捕まったと。確かに運が悪い。


「俺は普通に泳げるが、やっぱりこの体型だと動きは悪い。≪泳ぎ≫センスはそこを解消してくれていたな。息継ぎも普段より長い間しなくてもすんだ。恐らく先にあると言う≪潜水≫センスや≪水泳≫センスになれば水中での戦いにより有利になるのは分かる。湖上都市では水中のダンジョンもあるのが確定しているし、あちらに行くならばとっておいて損はないだろう」


 湖上都市で思い出した。俺は小人の国の内水の中にあると言う見事な風景を見たいと思っていたんだった。これは取らざるを得ない。

 それはともかく、今は金と暇がある。ポーションを買っておいた方が良いだろう。宴の準備に戻っている検証パーティの内商人担当というクレイさんに話しかける。


「すいません、ポーションを買いたいんですが、今どういう風に買えますか?」


 村で買えるなら後で雑貨屋に行けば良い。


「ポーション?村では扱ってないで。俺らは持ってるけど、担当はユーリカやから暇はないな」

「じゃあ宴が終わった後に買います」


 予約だけしておこう。


「毎度。そうそう、自分、何か宴会に使えそうなアイテム持ってないか?俺らが行けない場所もいけるなら珍しいの持ってそうや」


 何か宴会用のアイテムね。そういえばカラーズの裏山で採れたあのアイテムが使えそうだ。


「これなんてどうですか?」


 アクセ・キャットの猫耳

 アクセ・ラビットの兎耳 』


 何に使うのかよく分からないアイテムだ。俺には必要ないだろう。


「ちょっと待てや。おい、リル、またとんでもない物持ってたで!」


 クレイさんがリルさんを呼ぶほどに凄い物だったのか?


「何があったの?」

「これやこれ。売れ筋商品や」


 何だ売れると言うだけか。


「ちょっと、ナント、これ何処で手に入れたの?」

「え、普通にカラーズの裏山で手に入れたんですが、どうかしましたか?」


 猫尻尾とかも取り出して見せてみる。


「これ、β版じゃイベントの時限定のモンスターのドロップだったのよ。それが簡単に取れるなんて、売れ筋商品が増えるわね」


 平均的に売れる商品な訳か。


「どれくらいあるのかしら」

「こんな感じです」


 面倒なのでアイテムボックスのウィンドウをそのまま見せる。


「あまり他人に見せない方が良いわよ。今は初心者のフィールドの物だけだから能力的に大したことがないから大丈夫だけど」


 リルさんに注意された。俺もまだ大した物を持っていないので見せたんだけど、そんなにうっかり者に見えるのだろうか。


「貴方はどうも無頓着なようで、知ってる人には平気で見せるタイプみたいだから、知り合いでもステータスは見せない物よ」


 どちらかと言えば初心者とみられているようだ。心配してくれるのは有難い。


「あら、これ、まとめてないのね」

「まとめてって何がです?」

「猫アクセサリのセットよ。こうやって」


 指でさしたアイテムは猫の尻尾アクセサリ。それが耳の所に移動する。猫耳のアイテム名欄がアクセサリ・キャットの猫耳からアクセリ・キャットのセットに変更された。


「まとめる事が出来るアイテムはこうやってまとめた方が容量が開くわ。問題は、例えば三毛猫のセットと黒猫のセットを分ける事は出来ない事かしら」


 こんな方法があったのか。便利だ。


「その話で行くとたとえば三毛猫装備が手に入った場合避けといた方が良いという事ですか」


 自動的にアイテムボックスに入るから色まで気にしていなかった。


「このアイテムはセットの方が売れるしね」


 耳と尻尾だけだからな。手袋で肉球と言う装備も上位にあるらしい。そっちは何かの能力付与タイプだという。


「それにしてもカラーズの裏山で猫と兎が手に入るんか。なら、カラーズの森で他のアイテムが手に入りそうやな。先に予約しとくわ。ナント、カラーズの森に行って残りのやつ狩ってきてくれんか」


 まだ行った事のない場所にいるかどうか分からないんですが。


「おそらくいると思うで。アクセサリ・シリーズの残りは犬と猿や。レアの狐とパンダはおるかどうか分からんけど覚えとってくれ」


 あれだけカラーズの裏山で狩りをして出なかったからレアの二つはいないと思う。


「おや、青華の芸が始まった様やな」


 歓声と気合の声が聞こえだして、俺はクレイさんに見積もりを出してもらったアイテムのどれを売るか

を考えるのをやめた。俺の変装用に一つづつぐらい残しておきたいし、レアという例えば三毛猫のセットも売るのにはもったいなく思ってしまう人の業が深い。

 俺とサムソンさんの勝負がきっかけになったのか、まだ明るいのに宴会が始まっていた。いつの間にかセカの村長達も来ている。


「宴会芸だ~!」


 青華さんが芸を開始していた。木彫りかと思ったら裁縫の方のセンスを使っているようだ。歌舞伎で使われている蜘蛛の糸のように、色とりどりの糸が空中に投げ出されていく。


「はっはっはっ」


 空中に高く投げられた糸は綺麗に広がって青空に糸の屋根が出来ているように見える。


「そろそろ行くよ。必殺アーツ、極彩蜘蛛糸針飛ばし!」


 よく分からない技名だ。糸を操って何かするのかと思っていると、青華の袖から棒が何本も飛び出してきた。あれは名前が、そうそう、たしか編み棒という毛糸のマフラーなんかを作る時のあの棒に見える。

棒というよりも投げナイフの様に放たれた編み棒は縦横無尽という言葉通りに糸をひっかけては別の糸の輪を潜り抜け、糸から抜け出しては別の糸をひっかけると生き物のように動き回る。そして空に絵のような織物を編み上げていった。

 おそらく投げナイフか矢を操るセンスかスキルを利用していると思う。チェーンソーの木彫り熊ではなかったのは良かったが、絵の題材に俺は頭を抱えた。


「フィーニッシュ!」


 声に上空を見れば、そこには糸で編まれたさっきの俺とサムソンさんの対決が表現されていた。胸を貸してもらっている戦いがいかにも名場面の様に浮かび上がるのは恥ずかしい。顔が赤くなるのが分かった。


「青華さん、早く消してください」

「えーっかっこよかったのに」


 どうなっているのか、糸は空から落ちて来ないので回収も出来ない。


「それじゃあ消すね」


 青華さんはまた袖を前に付きだして構えを取る。


「再び必殺アーツ、瞬間微塵霞戻し!」


 さっきまで空中に浮かんでいた一枚の布が一瞬で無くなった。糸に解けた訳ではなく空から何となく感じる、という程度に細切れにされた糸が落ちてくる。俺は掌をかざしていたら乗っかっていたので分かった。青華さんが袖から袋を取り出すと、糸だったものは一か所に固まり渦を巻いて布の中に入っていく。どういうアーツなんだろう。恐らく風魔術の一種だと思う。そういえば生産魔術というのもあった。そちらかもしれない。


「これは凄い」


 絵が無くなったので素直に賞賛できる。


「ところで、夜だったらどういう芸になったんです?今はまだ明るいからさっきの絵が良く見えましたが」


 本当は暗くなってからの宴会の予定だったので気になって青華さんに尋ねる。


「あのね、あの絵の輪郭を燃えやすくて長く燃える糸にして火をつけるの。輪郭で絵がしばらく浮かんだ

後、魔力を込めて一瞬で花火みたいに散らすの」


 中々考えてるな。それも見てみたいな。絵のモデルはお断りだけれど、後で見せてもらおう。


「見事じゃ見事じゃ」

「おう、ナント、お前は芸をしないのか」


 村長二人が同時に現れた。間にはまるで捕まったエイリアンの様になっているジュリアがいる。


「もしかして、ジュリアは気を失っていませんか?」


 ジュリアから挨拶も視線もないのでよく見ればぐったりしている。


「何、ジュリアしっかりしろ」

「この馬鹿またジュリアを馬鹿力で振り回したな!」

「何を、お前がジュリアを馬鹿力で抱きつぶしたんだろう」


 村長二人の争いが始まった。


「ジュリア、大丈夫?」


 そしてその間に村長の奥さん二人に助けられていた。


「あれ、良いんですか?」


 近くにいた村人に話しかけてみる。


「まあ毎度の事だからな」


 どういう可愛がり方をしているのだろう。


「大丈夫か?ジュリア」


 流石に心配になったので声をかけてみる。


「二人とも怪力だから一緒に来られると辛いわ」


 子供らしくない疲れた表情だ。愛されているんだろうが力加減を間違っているという例だ。


「ほら、水をお飲み」

「ありがとうおばあちゃん」


 祖母からもらった水を飲もうとしているジュリアを見ていて思い出した。


「ジュリア、面白い物があるんだけど、飲むか?」

「何、面白い物って」


 俺は小人族からもらった樽を取り出す。小人族で等身ほどの樽だったから人間なら手で丁度もてる缶サイズになっている。


「これ、一滴水の中に入れると良い」


 そう言って一滴垂らしてみる。水があっという間に赤く透明なジュースになった。


「おいしそう」


 甘い匂いにつられてジュリアが一口口をつけると、後は夢中で飲み干した。


「お代わり!」

「元気が出たみたいだな」


 子供は元気が何より。


「ねえ、もう一杯頂戴よ」

「これはコップの水に垂らすものだから水がないと出来ない。それに貴重だから、あまり出せない」


 俺もまだ飲んでない。ジュリアの様子を見ればおいしいのはよく分かる。


「おばあちゃんお水頂戴」

「こらこら、あまり人にねだる物じゃないよ。貴重品の様だよ」

「まあ貴重品ですが、コップ10杯と水、用意してもらえますか」


 俺の芸という訳ではないがふるまってみよう。

 用意されたテーブルの上にコップが並ぶ。何故か並んで見物している子供と検証パーティメンバー。大人は村長達のプロレスを見ている。


「これで」


 一滴ずつ注ぐと色が変わる。子供達から歓声が上がった。


「はい、どうぞ。一人一杯ずつね」


 流石に10杯でやめとなると文句が飛んできそうだったので子供達には人数分ふるまう事にする。


「おいしー」

「もっと頂戴」

「さすがに駄目だ。俺が飲んでないのに全部飲まれる事になる」


 自分の分も作って飲んでみる。これはうまい。マンゴー並みに甘くアップルジュースのようなさっぱりした感じがする。一滴しか入れてないのにここまで甘いって、原液はどれだけだったのか。


「おいしい、ねえ、これはどこで採ったの?」


 いつの間にかユーリカさんをはじめに検証パーティがジュースを飲んでいた。サムソンさんも料理に使うつもりなのか寄ってくる。


「いや、どこと言ってもお使いイベントで手に入れたので本来はどうやって手に入るかどうか知らないです。場所もカラーズの裏山ですし」


 間違いではない。材料が生きているモンスターでもお使いという場合があるので、小人族を秘密にするのならこういった方が良いだろう。


「これは良い商品になるで。一体なんて飲み物なんや?」


 クレイさんが乗り気になっている。


「確かココリコとかカタクリコとかいう名前だったような、木の実を濃縮したとかどうとか」


 俺はアイテム欄で名前を確認する。クロココの濃縮液とある。ココリコは芸人の名前だった。


「すいません、クロココの実でした」

「そんな実は聞いたことがないな」


 村人が口をはさんだ。裏山は生活圏じゃないのだろうか。


「村によって呼び名が変わるのはよくある事だから、別の名前で呼ばれているのかもしれませんよ」


 リルさんが村人に説明する。


「そうか、うまいから丁度いい特産品になりそうだったんだけど、木の実事体は分からないんだな」


 村人は俺に質問してくる。


「まったく分かりません」


 はっきりと断言すると村人は少しがっかりした様子だった。


「色から行くと果肉が白い実か赤い実みたいね。外側は赤かしら、黒かしら。まずそういった木の実を探してみると良いですよ」


 リルさんがアドバイスすると村人も頷いて、コップに残ったジュースを飲み干した。


「なんや、ナントは色々持ってるなあ。ここは一から十まで冒険の話を聞かせてもろた方がよさそうや」


 クレイさんが見せた事のない目で俺を見る。あれはきっとロックオンした眼とかいう物だろう。何故か動けない。しかしまずい。俺は嘘がつけないので小人族の事を突っ込まれてばれそうだ。


ピンポーン


『公式インフォメーションです』


 これが天の助けという物だろうか、丁度良く何か公式からの話が送られてきた。俺は質問をしてはいないので恐らく全プレイヤーへの広報だろう。


「すいません、何か来たのでちょっと見ます」

「運営からなら後で見ても変わらんて」

「いえいえ、俺にこういうのが来るのは全員知っていないとまずいような話だと思いますので」


 クレイさんから逃げて何とかウィンドウを開けてインフォメーションを見る。何だこれ、ハイドルートとかいう新しいというか、隠しルートがあった様だ。Wikiにはシークレットボスなんて話が別にあったからこれはそれとは別物という事だろう。


「これは、しばらく荒れるわね」

「ウム、もしかして種族の変化はこっちのルートに移ったか?」


 リルさんと同時に石動さんが呟いた。


「その可能性はあるわね、どうする?石動、石破、ユーリカ。ハイドルート探しに移っても良いわよ?」


 ドワーフ風の二人は知っている。ユーリカさんも何かをイメージして種族を作ったのか?どこに行くと言うんだろう。


「あのね、ユーリカはエルフをイメージしてるの」


 俺がユーリカさんを見ているのに気付いた青華さんに説明された。確かに魔術師だし色白だしそれっぽい。色だけから行くとリルさんもダークエルフっぽい。


「いや別にクリムに行かなくても良いだろう」


 石動さんが俺が思ってたのと逆の言葉を口にした。クリムというと鉱山都市という名前が付いている場所か。


「おそらくだが、「初心者の初心者」の称号を持たなければ行けないこの土地自体がハイドルートの一種だと思う。まだ種族変化はどこにあるのか分かっていない。ならばこのルートを探してみるのが一番だ」


 俺しか行けない場所だし、それっぽいのは確かだ。ここがハイドルートだったら確かに面白いと思った。


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