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36海鮮丼です

 ジュリアと時間つぶしに話していたら結構な時間がたっている。そろそろログアウトするか。


「さてまずは何を調べるか」


 思いついた事をメモしておかないと忘れる。神殿の子供たちに遊びを教える事。ジュリアを王都に連れていく事、とメモされていた。

 ネットで室内遊びを探していると食事の時間だ。久しぶりに弟に何かないか聞いてみよう。


「と言う訳で面白い話はないか」


「話って、装備とかじゃなくてネタなのな。兄ちゃんらしいけど」


 まだ装備をどうこうできるほど強くないのです。カップめんをすすりながら話を聞いてみる。


「兄ちゃんがどこまで行ったかによるな」

「入門者の海という処にいる」

「何で聞いたことがない場所にいるんだ」


 弟の目の色が変わった。


「どういう処なんだ?」

「軽く泳いだだけだから戦闘用のモンスターがどれとは完全に分からない。烏賊とエイと海老とシャコ貝はいたな」

「アイテムは?」

「人を助けた後死に戻ったから持っていないと思う」


 確認していなかった。パーティを組んでいないし、アイテム共有もないだろう。


「ちょっと待て、最初から話していってくれ」

「そうだな。まず、俺がビギの村から行ける所をウロウロしていたのは知っているだろう」

「それは聞いた。カラーズの裏山だっけ」


 ここまでは小人族のイベントの時に出会って話した。


「あれから、初心者のいくフィールドを調べているパーティが来て、俺に案内してくれという事で案内した」

「「初心者の初心者」の称号持っていないプレイヤーでも行けたのか?」

「いや、そこは検証した結果、行けなかった。ただし、村長に話をして隣の村に行けるようにしてもらうと隣の村に行けた」

「するとその入門者の海というのは、隣村にあったという事か」

「弟、気が早い、行こうとするな」


 もう少ししたらリルさんから発表があると思う。


「まあそれで、おそらく俺が村長から話を聞いたらセカの村にも三つ、行ける場所があると言うので泳ぎたいという話もあって行ってみた」

「それで泳いで死に戻ったと」

「どうもビギの草原と同じ仕様なようで泳ぐだけならどうもなかった。≪泳ぎ≫センス持っていなくても泳げたし、気持ちよかった」

「兄ちゃん泳ぐのは好きだもんな。運動嫌いなのに」


 唯一自分から望んで習いに行ったのだ。ついでに弟も習った。津波が来ても泳いで逃げられるかどうかは知らない。


「そして検証パーティの人が一人何かシャコ貝に捕まって、それを助けたら後ろから烏賊に攻撃された」

「烏賊に殺されるって、兄ちゃん烏賊は寿司でも食わないのに」

「生は嫌いだ」

「食えって事じゃないか?」


 話が終わって弟が頭を捻った。


「そんな所に行くなんて兄ちゃんはどういうプレイをしたいのか分からんな」


 自分では特に進んでいないという事以外普通に進めているつもりなんだが。


「「初心者の初心者」の称号が悪いとしか言いようがないな」

「ああ、そのせいか。いっその事そのパーティに入れてもらって「初心者の初心者」の称号自体の検証やったら?」

「やらない。やったら戦争に間に合わないだろう」

「それもそうだ」


 大前提として戦争用の猫の手にならないといけない。


「そうだな。まあ今まで通りでいいや。まだレンジに来る気はないんだろう?」

「ないと言うか、王都で生産職系に入門イベントがあるだろう。あれで称号だけとっておこうと思ってる」


 それが終わったら出発だ。


「そういえば俺と検証パーティの人で、リルさんという人との会話で、また別の人が気付いたんだが、「初心者の初心者」の称号を持っていると始まりの草原がビギの草原に聞こえるそうだ」

「何だそれ」

「俺はセカの村で入門者の海の事がセカの海と聞こえるんだが、他の人には入門者の海と聞こえてたんだ。つまり、称号を持っているかいないかで行ける場所が決まるシステムの条件なんじゃないかと思うんだが、どうだろう」


 リルさん達と話している時何となく思った事だ。


「兄ちゃんが称号で普段いけない所に居ているという事は、分かった。でも検証はしてないだろう」

「してないな」

「だと思った。それ以前に聞きたいんだけど、リルさんというのが検証パーティの人の名前なんだな」


 俺は頷く。


「何で検証するメンバーで姉御と言われて恐れられている人と一緒なんだ」


 え、そんなに有名だったのか。


「それは知らなかった」

「兄ちゃん程度の検証ならリルさんの所がすぐに終わらせるだろうな。そして今思い出したんだが、兄ちゃんもしかして称号に「狂戦士」持ってないか?」

「何故わかった」


 まだ説明していないのだが。


「リルさんの一番新しい発見の一つが新しい称号だからだよ。まさか身内とは思わなかった」


 ああ、あの時の説明か。


「「狂戦士」持ってて何か悪いか?」

「悪くはないが、兄ちゃん、他の人とプレイする時は合わせろよ。間違ってもモンスター狩りでポーション飲ませないで連続狩りとかするなよ」


 人と一緒の時はしないわと言いたかった。同時に、そういえばこっちに来る事を知らせていないという事も思い出した。あちらの方が時間は流れが速いからもう帰っているかもしれない。ジュリアに伝言でも頼めばよかった。


「じゃあ休憩したし、もう一回行ってくるか」


 話だけはしておかないといけないともう一度ログインする事にする。


 ログインすると、やっぱりコナン・リドルのメンバーは戻っていた。


「お久ぶりになります?」

「あ、戻って来た!」


 青華さんが走って寄って来た。


「はい。それで、この状況は何ですか?」


 俺が見たのは、ユーリカさんがポーションを売っている所。売っている台の隣で色とりどりのポーションを作って瓶に入れている訳だが、片手鍋の中の液体が離れた所からポーション瓶にアーチを描いて飛びこんでいく。見事に注がれていくポーションが瓶に収まっていくのが終わるたびに歓声が上がった。


「何ですか、あれは」

「ああ、今日は宴会なのでお小遣い稼ぎにランクの低い物を作って屋台に並べるの。あれはパフォーマンス用の魔術ね」


 魔術にパフォーマンス用があるなんて初めて知った。


「どんな魔術なんですか?」

「え、もしかして知らない?生産用魔術って生産職専用の魔術があるんだけど、それを使ってアーツみたいにしてるの」


 生産用魔術?、ああセカの村で宿屋の女将センが使っていた料理魔術みたいな物か。やっぱりトップクラスになるとああいう魔術も知っているんだな。弟は戦闘系だから知らなかったという所か。


「青華さんは屋台はやらないんですか?」

「あたし?あたしは人員整理と手伝い。裁縫は宴会だと出番がなくて。お祭りならまだ売れる物があるけどあのアーツは一発芸に取っておきたいし」


 芸をやるのか。裁縫、木工の芸…駄目だ、思いつかない。チェーンソーで熊の置物を掘るぐらいしか。


「見よ!昇り火炎竜の舞!」


 声に反応して振り向くとそこにはサムソンさんがアーツを発動させている姿があった。


「うわあぉ」

「派手だよね~」


 中華鍋を振って野菜炒めかチャーハンか作っているんだろう。その下の炎がドラゴンの形をして上に登り、真紅の体をくねらせて踊っている。


「見世物としても凄いよな」

「目立たないと売れない事もあるし、一発芸にも使えるからね~」


 俺と青華さんはドラゴンの動きに見とれていた。


「ナント、無事だったのね」

「あ、はい。普通に死に戻っていました」


 リルさんが走り寄って来た。二人も寄って来たと言うことは心配をかけてしまったんだろう、反省しなければ。


「ログアウトしてるから精神的なダメージがあったのかと思って心配してたのよ」

「いや精神的には何か疲れたというぐらいでしたので、安心してください。それよりも、あれから結局どうなったんですか?」


 俺はあれからの話を聞いておこうと話題を振る。


「そうね、あの場所で採れるのは始まりの草原と同じで、食材が多いという事は分かったわ」


 取れたのは俺が見たトラップ・シャコの貝柱などの他にも赤身とか白身とか、刺身そのもののアイテムだったそうだ。ちゃんと他にも鱗なども取れている。


「サムソンさんは凄かったですね、流石トッププレイヤー」

「あ~。あれはね」


 何故か俺の言葉にリルさんは苦笑い。


「あのね、アイテムから逆算されている属性があって、食材属性のアイテムになるモンスターは料理人の攻撃が効果抜群なのよ」


 食材に効果抜群なのか。通りで直接刺身になっていたと思った。


「おう、ナント、無事だったんだな」

「体は大丈夫?助けてくれてありがとう」


 サムソンさんとユーリカさんが俺を見てやって来た。


「ありがとうございます。ところで、サムソンさん、その手の丼は何でしょうか」


 匂いは酢飯系。そして死ぬ前の活躍と今聞いた話が結びつく。


「ああ、礼をしなくちゃいけないからな、お前を死に戻らせた烏賊は入ってないから、安心しろ。特製海鮮丼だ」


 蓋をあけて差し出されたのは海の幸たっぷりの丼です。


「どうも入門者の海はこれを作ることを前提にしてるみたいな敵構成になってた。で、せっかく何で作ってみた。食ってくれ」

「良いんですか、本当に」

「良いのよ、これは醤油。私も協力した特注よ」


 丼を差し出すサムソンさんの隣からポーション瓶を差し出すユーリカさん。こっちも良い匂いがする醤油だ。


「遠慮なく頂きます」


 烏賊と蛸は生が嫌いなので海鮮丼でも食わないが、入っていない。蛸はいなかったのか。

 俺は手を合わせていただきます、とおいしく頂きました。

「御馳走様でした」


 いや、流石トッププレイヤーの作る料理。美味しかった。烏賊と蛸がないのがポイントが高い。


「おう、良い漁場を紹介してもらったような物だからな」


 サムソンさんが俺の差し出した丼を受け取ってアイテムボックスへしまう。


「いや本当においしかったです。何かお礼をしたいくらいですよ」

「お、そんなにか。じゃあ一つ聞いてもらいたい頼みがあるんだが」

「何ですか?」

「何、あんたがどれだけ強いか知りたいんだ。一つ対決しようぜ」


 いらない事は言わない方が良かったという具体的例だ。


「何々、対戦するの?ナントとサムソン?」

「対戦って、決闘?」


 青華さんとジュリアが寄ってきて騒ぎ出す。断れない状況だ。結局勝負する事になった。


「何でこうなったかだな」

「ま、胸は貸してやるから。「狂戦士」に「初心者武器の趣味人」なんて称号持って

るからどんな戦い方しているのか気になっててな」


 サムソンさんは笑いながらウィンドウを操作する。


「あんたは魔術も剣も使うんだよな」

「弟から遠距離の戦いを頼まれましたので」


 剣じゃなくて弓になる。


「じゃあ、実態武器で一回、魔術で一回という事でどうだ?」

「良いですよ」


 俺はいつも通りの戦い方しか出来ない。


『バトル・スタート』


 電子音が響き周囲の状況が変化する。今まで村人やリルさん達が周りで野次馬していたのが光の壁で分断され、対決する本人たちだけが白い壁の中に残される。周囲のプレイヤー達は消えたわけではなく、周りで観客になっている。

 これは今サムソンさんがした設定がそうなっていると言うだけで、他にも壁が透明で周囲が見えるとか見た目だけでも色々とあるらしい。ゲームのサイトで見ただけでもたくさんあった。

 俺は初心者の武器を構える。出したのは刀、盾、弓。まずは武器で戦うのでこれで行こう。最大限の攻撃力を持っている手持ち武器だ。他に持っていないともいう。


「まずはそっちから仕掛けてくればいい。先手は譲る」


 サムソンさんは剣、じゃなくて包丁を背中から抜き、正眼の構えに構えた。


「どこで使うんですそんな物」

「知らないのか?マグロみたいな大物を捌くときに使うんだ」


 そのままこちらの攻撃を待っているようで動かない。構えからいって剣道でもやっていると思われる。


「じゃあ、行きます」


 相手が動かないならビギの草原と同じだ。俺はいつもの攻撃でやる事にした。まず刀を具現化して地面に突き刺す。盾は防御がいらないから必要ないだろう。


「いきます」


 戦闘なら声を出さなくても良いんだろうが、これは半分練習なので声をかける。

 しかし思った事は、TVで主人公が声を出して必殺技を出すのは場合によっては必要なんだなという事だ。気合と一緒に声を出したいがいい言葉が思い浮かばない。構えているのは弓だから特に大声を上げる物でもない。

 俺が打った矢が空高く飛んでいく。ちゃんと持てる最大の数十本だ。≪命中≫センスのおかげで当たるのは分かっている。


「どこに撃ってんだ」


 十本同時に、しかも全く関係なさそうな方向に撃ったことに訝しげな顔をしていたが、それがまっすぐ自分に向かって降ってくるのが分かると剣を上に構えた。

 もう一度矢を撃った後サムソンさんが動くのに合わせて俺は刀を水平に、腰に構えた。よくある時代劇でヤクザが突っ込んでいくときの構えである。別の本で見た話だと、相打ち目的で戦闘経験のない人間が相手に致命傷を与えるための攻撃だそうだ。突きは逃げにくいし、体ごと突っ込んでいくのでパワーも十分。体の真中を狙えばはずれも少ない。という事で新人に使わせていたと言う。

 俺はそれを見た時に一度やってみようと考えていたのでここで使ってみた。流石に狩りでは使えない。あくまで対人用だし、人間より動物の方が動きが良いので俺がやっても当たらないだろう。そのまま構えて突っ込む。

 サムソンさんは最初矢を払っていたが俺が突っ込んできたのが見えると剣を戻した。矢は第二弾が降り注いでサムソンさんに刺さる。しかし予想通り装備はあっちの方が能力が高いので弾かれている。俺の突撃の方が危ないと思われたのか剣を防御に回している。矢は俺が激突する時も降っていた。脚に刺さったが問題ない。どうせ一瞬の事だし、サムソンさんの体に刀を突き刺すことが重要だ。

 刀が刺さった、という所までは確認した。その後は分からない。首に衝撃を受けたので、おそらく切られたんだろう。ほら、一瞬で終わった。


「何という脳筋の戦い方だ」

「そうですか?」


 最初の戦いが終わるとサムソンさんに何か呆れられた。


「普通の人間は傷つくのを知っていて突っ込んでこないぞ」


 これはゲームである。死ぬことはない。そして現在対戦したのだ。トッププレイヤーに胸を貸してもらう上に、俺の方が弱い事ははっきりしているのでサムソンさんも俺が動くまで動かなかった。そこまでこっちに有利なので勝てないけれど最大攻撃力の攻撃をやってみたんだが何か悪かっただろうか。


「しかし、あの矢は驚いた。≪弓術≫のスキルは結構上がっているんだな」

「いえ俺が憶えているのはまだ≪弓≫センスです」


 ≪弓術≫のセンスに大量に撃つスキルがあるのは知っている。


「え、じゃあ10本矢を撃って来たのはなんだ?」

「10本手に持って打っただけですが」


 他の人はやっていないらしい。スキルの方では「十矢射ち」という10本を同時に撃つスキルがあるから誰も試していなかったのか。


「持っただけって、もしかして武器を複数持つことは出来る?すると飛び道具は熟練度が低くても数を撃つことで攻撃力の少なさを補える?」


 何か思いついた事があった様だ。リルさん達も何か話し合っている。


「もしもし、魔術の対戦の方はどうしますか?やめますか?」


 何か深刻というか、真面目になっている雰囲気に俺はサムソンさんに問いかけた。


「いや、やろう」


 サムソンさんが顔を上げて俺に答えた。考えは後回しになった様だ。


「さっきと同じフィールドで良いか?」

「はい。またこっちが先行ですか?」

「そうしてくれ」


 魔術の先行は何だろう、何を使えば良いのか。現在使えるのは才能系センスで覚えるうちのまだ二つ目だ。魔術は最初で三つ覚えるからまだ足りない。


「弓は必要と思って練習したから考えてたけど、魔術は面白くて使っていただけだから何も発見がない」


 弓も発見と思っていない事が発見だったようだが、こっちでもあった方が凄いと思われたいと言う人間の欲です。


「仕方ない。いつも通り連射で」


 まずは驚かせるために雷、炎。それで隙を作って壁の呪文を何か、土にしよう。それで時間を稼いで最大能力の何かをかける。炎の矢にしよう。ああ、出来れば相手の力を落としておきたいから毒滴の魔術を追加して、こんなもんだろう。

 考えていたのが終わってサムソンさんに向き直る。既に周りは壁に覆われていてサムソンさんは油断しないように剣を構えたまだ。


「では、行きます」

「良し来い」


 早速呪文を唱える。


「エレキ・ボール、ファイア・ボール」


 乱れ射ちという感じでその場を動かずにとにかく連射する。あくまで牽制が目的なのでサムソンさんには当てていない。爆発と電光で衝撃が走り煙が上がる。


「ぐっ」


 当ててはいないが衝撃は来るようで声が聞こえた。


「サンド・カーテン」


 砂の幕を作る。しばらく壁になってもらうので奥に設定する。ついでにエレキ・ボールとファイア・ボールを追加で打ち込んで、ポイズン・ドロップも混ぜてもう一度ばらまく。おや、サンド・カーテンが俺の所まで衝撃が来るのを防いでいる。これは便利。


「ファイア・アロー」


 本命はばれないように小さい声で発動して、魔力を注ぎ込む。魔力で大きくなるので威力は上がる。サンド・カーテンが切れた時が発射の時だ。


「火炎昇竜の舞!」


 俺の魔術をぶち抜いて、さっきチャーハンを痛めていた炎のドラゴンが俺に突っ込んできた。


「発射!」


 思わずファイア・アローを発射してしまったが炎のドラゴンの方が熱、勢い他威力が高かったようだ。吸収されたように無くなって、しまった。


「魔術は少し考えているような感じだが、まだ未熟だな」


 初心者何だから当たり前です。炎のドラゴンは俺のファイア・アローに当たった後停止している。


「さて、ここからどうする?」

「降参します」


 さっきファイア・アローに魔力を注ぎこんだのでもう魔力がない。魔術の戦い何だから魔術が使えないなら敗北決定だ。


「あっさりと諦めるのか。最後までやる方だと思ってたけど」

「いや、魔力切れで魔術の対戦出来ないですから。なんでもいいなら杖で殴り掛かりますけど」

「あ、成程、あんたは決めたルールをルールだけ見るタイプなのか」


 何か納得されている。


「まあいいや。面白い物が見れた。それにしても、魔力が切れるほどつぎ込むなんて、何を考えているんだ?」

「え、魔術を使って最大攻撃力の攻撃をしようと思ってましたが、何か」

「最大攻撃力って、やっぱり脳筋か」


 何故かサムソンさんは顔に手を当てて溜息をついている。何か問題でもあるの

だろうか。


「あんたの戦い方は常に全力で攻撃してるだろう。少し残しておかないと、戦闘が続かないぞ」

「分かってはいるんですが、特に思いつかないのと弓や魔術を使うとその後は突撃しか手がないんで、今は良いかと」

「アーツでそのあたりを補ったらいいんじゃないか?」

「どうやるのかが分からないんですよね。基本ゲームは動物使いみたいなタイプか頭を使う物か収集タイプの物しかやらないので」


 サムソンさんとそんな話をしていると周囲の壁が消えていた。リルさん達も寄ってきている。


「凄かったのね、前は魔術を使えないって言ってたのに!」


 ジュリアが俺に飛びつくように話しかけてきた。


「あれからセンスを取ったんだよ」

「それじゃあそんなに時間たってないじゃない。私にも教えてよ」

「センスを取ると言う方法だから教えるのは難しいな」


 NPCはどうやって魔術を覚えるんだろう。


「村長が使ってたから、まずそれでどうやって使えるかを聞いた方が良い。俺達よりもいい方法を知ってると思う」


 村長なら生産魔術を使えるようだから、複数の魔術を覚える方法を知っているだろう。


「お爺ちゃんは教えてくれないもの」

「俺が教わる前にある程度で良いから情報収集をしてくれ。例えば才能は何を持っているとか。村長はどうも特殊な魔術を使えるようだからその魔術はジュリアもいつか使えるのかとか」


 例のセンスを動かす魔術は興味がある。俺も覚えられたらいいな、ぐらいの気持ちでジュリアに聞いてみるよう勧めてみた。


「そう?じゃあそれが終わったら教えてくれる?」

「良いよ。ただし、俺が教えることを村長とかに伝えるから」


 親に伝えておかないと誘拐とか言われそうだ。




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