表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/135

24百匹狩りです

 ビギの砂浜では相変わらず魚が飛んでいる。そしてここでやってみたかった事を早速実行する。

 

雷の魔術をセットした矢は、効果抜群でした。抜群すぎて群れでなく1匹に射かけた場合黒こげになりました。


「駄目だこりゃ」


 効果抜群というのはそういう意味だと分かった。

 材料を残す形でやりたいなら一番良かったのは闇魔術を付けた矢だった。何しろ闇なので矢の攻撃力以外モンスターのアイテムに影響を与えるような変化はない。精神の変化か何か起こしそうな攻撃ではあるので将来的にそういう敵の時はともかく、今は使える。この感じから行くと光の魔術もアイテム用では使いやすいだろう。

 金魔術は普通に矢の攻撃力を上げる形になった。当たったところから金属粉が噴き出るような攻撃なのでそうなる。間違っても金属の粉がかかったアイテムは食べたくない。しかしこれはゲームで、魔術は魔力が一時的にそういう形を取っているという方式なので食べられなくなるわけではない。

 群れで攻めてくる時は雷、追撃は闇、単体は金を主に魔術を使う。いくつか試すと群れでの攻撃は無事な部分だけ手に入る。逆に1本1本撃った場合、蟹などは手間さえかければ丸ごとアイテムが手に入るという事が分かったのは朗報だ。


雷魔術Lv10   エレキ・パラライズ

  電気で状態異常:麻痺にする。

闇魔術Lv10   シャドウハンド

 相手の影から手を生み出して相手に攻撃する。最低確率で状態異常:暗闇にする。

金魔術Lv10   パンチング

 相手に金属の棒をぶつけて穴をあける。攻撃タイプ:打撃で計算する


 新しい魔術を覚えた。麻痺は攻撃力がないので素材回収には使えそうだ。シャドウハンドはある程度自由に動けるのが良いんだろうが、弓矢を使っている限りあまり最初と変わらなかった。パンチングは穴開けるだけなのでどう使えば良いのか分からない。後回しにしよう。


雷魔術Lv30   エレクトロニック・フロー

  電気の流れを帯状に出す。最低確率で状態異常:麻痺にする。

闇魔術Lv30   シャドウ・ダイブ

 自分の影に潜り込んで相手の攻撃をかわす。

金魔術Lv30   メタルダスト

 相手に金属の破片をぶつけて穴をあける。攻撃タイプ:打撃、および斬撃で計算する。


 さらに目標のレベル30まで覚えた。これはこれで今は使えない物が増えた。まあ弓が上がるからいいや、とそのまま弓に魔術をつけて弓のレベルアップまで粘る。今更だけど大量虐殺だよな。現実では出来ない。

 一旦センスの整理に王都に戻って少し品を売る。外部売買取引所が出来たから絡まれないで良い事だ。宿屋代分になりそうな分、小遣い分だけ売る。そのまま宿屋で整理をしてログアウト。明日が本番だ。


 現実14日目、さて、防備は揃った。センスのクラスチェンジは果たした。そろそろリベンジの為にビギの村に帰ろうか。

 リベンジというのはカラーズの裏山での戦いである。ノンアクティブなビギの草原とビギの砂浜に比べどこから襲ってくるのか分からないカラーズの裏山で基本戦闘を鍛えないといけない。目標は一度山に入ったら合計百匹を一日で狩れるようになる。としておこう。

 お土産にと目についた酒屋で酒を、お菓子屋でお菓子を買っておく。いざという時の飴玉も買っておこう。村へ行く道は一本道なので迷う事はない。


「おや、お前さん確か初心者の」

「ナントですお久しぶりです」


実際ゲームが始まってから倍速以上でゲーム時間は進んでいる都合上、さらに俺は一週間もやっていない。この世界では2週間以上たっているが。なのになぜか懐かしい。


「村長はどこだろう」


 村長の家をそういえば知らなかった。


「もしもし、村長の家は…」


 何だろう。デジャヴ?近くの娘さんに声をかけようとしたら、何か思い出した。


「あ、ジュリアだった」

「あ、じゃないわよ、何でいきなり私の事忘れてるのよ」


 俺が顔を覚えるのが苦手だからだ。というのは言わないで曖昧に笑っておく。


「ところで、一週間お世話になると言う話はどうなった?まだ大丈夫か?」

「あ~。それなんだけど、空旅人の鍛冶師がこの村に来てね、女性だから客間に泊めてるの」


 すると、泊まる事は出来なくなったか。


「分かった。ところでこの村で眠る場所ってどこかないか?」

「眠るって、泊まらないの?」


 ジュリアが首を傾げる。


「宿屋はないしな。好きな所を探して眠るさ。モンスターは村に入ってこない事が分かってるから」


 PKもされないから。


「あ、これお土産。酒は村長さんに、お菓子はジュリアに」


 持って来た物を渡して、俺はカラーズの裏山に行く事にした。ジュリアが何か言っているような気がしたが気にし無い。


 さてリベンジ第一弾。ダガードック。発見と同時にいつも通り弓を構えて「目標固定」を発動。

 これは困った。「目標固定」は一匹にしか決まらない。いつもの連射で決めようと思ったが、ここは剣に頼るほかなさそうだ。ランクアップして初心者の刀になった武器を引き抜いていつも通りの戦いを繰り広げた。

 さて、これからどうしようかというと、別にどうにもしないで狩りを続行という事になる。戦えなくなった訳ではないので他のネットスパイダー、ウィップスネークを倒さねば。しかし今思えば、隠れている相手を探す方法が分からないのであった。

 ここで終わってはつまらない。今まで読んだ小説他から知識をひねり出そう。


 その一、巣穴を見つける。

 蛇の巣穴は結構簡単に見つかると言うので、探してみる。手を突っ込むのは流石に御免なので初心者の杖を使ってつついてみた。

 兎の穴だった。茶色い兎が飛び出して逃げていく。

 簡単に見つかる訳はないと分かっているのでしばらく実行する。

 ダガードックの穴だった。戦闘になった。

 こうしてみると蛇の穴を探すのも難しいな。虎の穴なら看板を王都で見かけたが。

 ん?これは、今度こそあたりか?

 ついにウィップスネークが現れた。ふん。隠れているから恐ろしいので、隠れていないウィップスネークなど隠れていないカメレオンと一緒よ!自分でも分からない例えになった。

 ウィップスネークは≪跳躍≫センスを持っていないはずなのに宙を飛んで襲い掛かって来る。

「うわっと」

 盾で慌てて防ぐ。落ちた所を剣で首を落とす。

 初めて狩った。感動が込み上げてくる。


 スネークの蛇革

 スネークの蛇毒

 スネークの毒牙


 音がなってウィップスネークの素材がアイテムボックスに放り込まれた。鞭に丁度いいと言うのはこの蛇革だろう。手に持ってみると結構長い。しかし簡単に鞭になるような物でもなくて、何匹分かより合わせないと鞭の一本分にならないと思う。

 採取ポイントを漁って薬草他のアイテムを採っていく。ビギの平原と変わりはない。この調子なら異常なく終わらせられる。

 事はなかった。

 ある穴をつついていると蛇が頭を出した。ウィップスネークかと思ってそのままつついていたら出てきたのは最低10以上の蛇が絡まって団子になった物だった。流石に悲鳴をあげそうになる。俺は声が出なかった。驚き過ぎると声が出ないと言うのを初体験した。

 別に蛇は嫌いではない。噛まれなければ。蜘蛛、百足も嫌いではない。噛まれなければ。どっちも触らないから同じぐらい好きとも嫌いともいう。


「これは流石に杖では無理か」


 どこか絡まっているのか丸い団子のまま頭だけで威嚇してくる。


「あ、でも弓は当たりやすいな」


 動きもそこまで早くない。ラッキーと思って矢をつがえては打ちまくる。目標固定抜きで当たるのは珍しい。何だか楽しくなって的当てゲームのノリで蛇を全滅させた。


『弓スキル「ダブルアロー」を取得しました』


 結構熟練度が上がったらしく二つ目のスキルを取得。このことから考えるとどうも「目標固定」のスキルを発動させると『命中』のセンスの方にも熟練度が入っているようだ。しかも矢を十本同時に撃っても一本分しか熟練度は入ってこない。伸び方が遅い訳である。


「他にもいないか~」


 蛇団子を探して穴をつつきまくるが、物欲センサーという物が発動したのか団子はなかった。その代わりと言っては何だが、蜘蛛を発見した。木の間にモンスターである巨大な蜘蛛が巣を張って、その近くの茂みに隠れている。基本網にかかる待ちの姿勢らしく、こちらを見ようとしない


「気が付くなよ~」


 ≪隠蔽≫センスを発動。ビギの草原と砂浜ではノンアクティブなので近くに居ても無視される。そのせいで全く使ってないが使わないよりはましだ。というかそういえば使って熟練度を上げないといけない物だった。

 弓を構えて狙いをつける。いつもこの狙いをつける部分で外れるが一本の方が熟練度が良いなら、今なら初めの方のステージだし挽回も効く。狙いを定めて、放つ。

 蜘蛛のお尻に刺さった。今までは当たらない事が多いので大きい的に刺さった分だけましだろう。しかし蜘蛛に気付かれてしまい蜘蛛がこちらを向いて襲い掛かってくる。


「盾っ」


 集中するのに気を取られて盾を出してなかった。間に合った分だけ慣れたと思っておく。


「シャーッシャーッ」


 蜘蛛の鳴き声は聞いたことないが空気の漏れるような声を張り上げて毒針を打ってくるネットスパイダーは網を出して来ない。もしかしてお尻に矢が刺さっているせいだろうか。


「それならそれでよし!」


 初心者の刀を抜いて切り裂く。刀は切れ味という部分で剣よりも高いようだ。虫は装甲が厚くないので効果は抜群。時間はかかったが刀で切り倒した。


「弓を上げる先は長いな」


 じゃあ魔術に切り替えればいいじゃないかと言うだろうが、両方ある程度上げておかないと魔術無効の結界等あったら役に立たなくなってしまう。


「さて、蜘蛛の探し方は分かった。蛇と蜘蛛を探すか」


 幸運にも、というかまず盾で防御という戦い方なのでHPはあんまり減っていない。これなら目標も何とかなりそうだ。

 蜘蛛を探して木の間を探す俺は、何となく子供の頃の昆虫採集の蝉取りの気分で森の中を歩いて行った。


 ここで一つお知らせがあります。このゲームはモンスターが基本6種類出てきます。この裏山にはカラーズ三色、蛇、蜘蛛、犬が出てきます。最初カラーズ三色で3つ扱いと思っていましたが、どうやら違ったようです。目の前にかわいい子猫が日向ぼっこしています。


「おお、かわいいかわいい」


 猫でも犬でも好きなのでこういうのを見るのは楽しい。犬派猫派で喧嘩するほどには深入りしていない。敵として出るならば戦うだろう。しかし目の前ののんびりとした光景を壊したくないので静かに≪隠蔽≫センスも発動させて逃げる事にする。


「フシャーッ」


 センスを発動させた途端に猫がこちらを向いて戦闘態勢を取った。何故だ。襲いかかってきたのを攻撃したらカウンターでも入ったのか一撃で倒せてしまった。


『獲得アイテム:アクセサリ・キャットの猫尻尾』


 武器にも食料にもならない何かが獲れた。猫じゃらしにでも使おうか。1匹見つければ30匹というのか、何か蛇や蜘蛛よりも猫が目につくようになった。そして基本のんびりとしているようなので逃げようとすると攻撃してくる。俺は攻撃したくないのに。猫だけでなく兎も襲ってきた。

 もしかして逃げようとすると襲ってくるのかも知れない。堂々と目の前を通ってみたらやっぱり襲われた。予想は違ったようだ。

 この猫と兎は両方ともアクセサリ・〇〇という名前で耳と尻尾がドロップアイテムだった。よく見ると尻尾にはフックがついていて腰に付けられるように、耳にはカチューシャで頭につけられるようになっている。変装アイテムなんだろうか。


 そしてスタミナが切れかける。熱中しすぎて気にならなかった訳だが、流石にゲームの仕様は誤魔化されなかった。一人なら昼食を抜くぐらい普段通りなんだが。

 ふらふらと丁度いい開けた場所を探していると河原に出た。丁度いいのでここで食事にしよう。


「ふんふんふーん」


 買ってきた塩を塗りこめ、さらに時々塩を振りながら肉を焼く。ゲームでよく見た見事な肉だ。よしできた。いただきます。


「しょっぱーい」


 今度は塩を塗りすぎたようだ。こういう部分は現実の料理をやったかやらないかだな。ということは俺には無理があるということになる。


「仕方ない。これはいつか料理できる人に材料に使ってもらうとして、何を食べようか」


 二度目の失敗のせいでまずい肉を無理に食べる気がなくなってしまった。何かないかとアイテムボックスを探す。買っておいた焼き鳥がまだ食べていなかった。取り出して頬張る。うまい。以前たべた塩のない肉に比べ物凄くうまい。そして別にちゃんと果物も買っておいた。栄養バランスがゲームの中にあるかは知らないがこういうのは気分だ。野菜ジュースはまだまずそうだし、買う気はなかった。

 そして川から水をすくって飲む。毒の川はまだこんなレベルのフィールドにはないだろう。流れる水は腐らないのは現実の常識だ。普通に飲めた。水道水よりうまいのは気分のせいかもしれない。森の中の涼しい河原、それなりに疲れて日差しは強くない日に、腹いっぱいうまい物を食う。ピクニック気分だ。そう思うとだんだん眠くなってきた。ここはセーフティゾーンではないが、大丈夫じゃないかと思う。それでも危険を考えて大きな岩の下に潜り込んで盾で蓋をする。脚が見えるがこれは仕方ない。

 眠気が限界にきて、俺はゲームの中で初めて眠った。死んだら死んだでその時だ。


 何かの騒がしさで目が覚めた。気分はそれなりにすっきりしている。脳に負担をかけているゲームですっきりしていると言うのもおかしな話だ。騒がしいと原因と思える方向を見れば、何だろう、鳥が何かを突っついている。

 その何かが人型で、いかにもな小人の姿をしているのが目を疑った理由だ。この世界小人がいたのか。

 あ、目があった。

 気付いてしまったからには仕方ない。岩陰から這い出して刀を抜く。それだけで鳥は逃げて行った。俺はそのまま刀を仕舞うと、体をほぐす。現実と同じようにバキバキと音がなっている。変な所にこだわった仕様だ。


「ちょっと」


 さて、百匹まではまだかかる。頑張って狩りを続けよう。


「ちょっと、聞こえてるんでしょう」


 俺は予定を中断される事が嫌いなんだけども、この声を無視する事も出来なくなった。

 助けた小人がこっちを見上げて大声で怒鳴っている。性別は分からない。ややSDよりな、子供体型な種族の様だ。俺は座り込んで掌を向けてみる。乗って来た。


「助けてくれてありがと。わたしはユウリ。あんたは?」

「俺の名前はナント。空旅人というのかな。職業でいえば冒険者をやっているはず」


 魔術士とか商人とか沢山称号があるからどれが職業なのか分からない。職業欄はギルドカードには載らない。


「さっきわたしの事無視してどこか行こうとしたでしょう」

「いや、小人って大体隠れ住むものだと思ったので、見ないふりをしようと思ったんだ」


 百匹狩りを優先したいという気持ちもあったんですが。


「別に隠れてないから構わないわ。鳥に襲われるなんて普通ありえないのに」


 なんだろう。何かイベントの匂いがしてきましたよ。


「そのありえない事の解決をお願いしたの。一緒にお礼もしたいから、ついて来てくれない?」


 どうしても逃げられないようだ。


戦闘センス:≪命中≫≪弓≫≪雷才能≫≪闇才能≫≪金才能≫≪杖≫

予備センス:≪魔術才能≫≪盾術≫≪逃走≫≪視覚察知≫≪刀≫≪サバイバル≫



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ