20神殿でクエストです
金が出来たので早速残りのセンスを買っておこうと思う。神殿へ行くとラジエルさんが出てきた。
「おや、いらっしゃい。今日はどうしました?」
「センス屋の方に用がありまして。ところで、神殿って経典とまで難しくなくて分かりやすい神話集みたいな物はあるんですか?」
「我が神にご興味が?」
「神話は好きですね。どの神であっても。信仰は実際目で見ないと分からないので何とも言えないですが」
滝に打たれて修行とか、断食とかはしたくない。
「いえいえ、今までそう言われた空旅人は珍しいですからね。数えるほどしかいません。配布用の神話集パンフレットならいくつかありますから差し上げましょう」
実はまだ文字は読めないんだけどな。何か物凄く喜んでパンフレットをくれた。7人の神につき一部ずつ。パンフレットなので薄い。
「さてセンスは」
センス屋は結構人がいる。この前買えなかった分をもう全部金を使う勢いで買ってしまおう。焼き鳥と鎧を買ったので残りの現金は6万620デン。
≪魔術才能≫が1万デン、ついでに才能系の他の能力≪雷才能≫≪氷才能≫≪木才能≫≪金才能≫も買っておく。ここまでで5万デン使用。≪木才能≫≪金才能≫はどちらかというと木工をするときや鍛冶をするときに使う才能なので鍛冶が上達して欲しい。
≪詠唱≫5000デンで残金5620デン。勝っておかないといけない察知系、今回は≪視覚察知≫が2000デン。残り買う予定なのは≪発見≫なわけだが、予算が足りない。
「今日は沢山買ってくれましたね」
「何とか金が出来まして」
また金策に走らないといけないと思いながら、サンドラさんにお金を渡す。
そういえば文字が見えないのでどうにかしたかった。色々探してみると、≪言語≫が50デン丁度いい、これにしよう。
「≪言語≫を取ったんですか?」
またサンドラさんに後ろから話しかけられた。俺が隙だらけなのかサンドラさんが凄いのか。両方だろうが。
「≪言語≫ってどうやったら上るんだ?」
会話で上がるんだろうか。すると面倒くさいな。
「≪言語≫センスは、本を読んでも上がりますよ」
サンドラさんが教えてくれた。
「本ですか」
「本です。聖書ならありますが読みますか?」
「いや流石に基本にするにはきついです。さっき貰ったパンフレットと、どこかで絵本売ってるか貸し出しかしていませんか?」
聖書はいかにも面倒だ。
「そうですね、読み書きからしないと。じゃあ、神殿で読み書き講座をやっていますのでそこに行きましょう。その後本屋さんに行くか図書館に行けばばっちりです」
図書館。それは素晴らしい。俺は現実世界では電子書籍より実物の本を読むのが大好きなのだ。正確に言えばゲームの中だから電子書籍と変わらないだろうが、手に持ってめくれると言う意味では一緒なので図書館に行こう。
「じゃあ案内しますね」
「え、ちょっと」
図書館に行く気満々だった俺を捕まえてサンドラさんがセンス屋を出ようとする。
「どこに行くんですか」
疑問というより引っ張られる方に声をかける。
「はい、ここが読み書きを教える教室です」
連れて来られたのは少し離れた部屋だった。
「皆さん、おはようございます」
サンドラさんが挨拶をしつつ中に入る。俺も別に悪い事はないので入ってみた。
先生役の人以外子供達でした。
なんだろう、ものすごく恥ずかしい。
「この方はナントさんと言います。文字の読み書きを習いたいと言うので連れてきました」
「それは良いですが、サンドラ、貴方はまだセンスの担当時間を終わってないでしょう。何故離れているんですか」
先生役はサンドラさんより偉い人の様だ。
「初めまして、ナントです」
「あら、まあ空旅人の方にしては珍しい。上級神官を仰せつかっている、モニカと申します」
「変な奴だ」
「バカなのかな」
「正直に言ったら悪いよ」
聞こえているぞ子供よ。
どうもプレイヤーはこんな所に来ないらしい。それはそうだ。普通子供と一緒に勉強はしないだろう。
「ところで、俺は良いですが、空旅人に読み書き講座はやっていないんですか?」
「やっていませんね。皆さん、≪言語≫センスを取ると図書館で熟練度を上げるようです」
それが普通だろう。
「あ、サンドラさん有難うございます、連れてきてくれて」
「いえいえどういたしまして。それじゃあ頑張ってください」
もうここまで来たらやるしかないのでサンドラさんにお礼を言うと、にっこり笑って帰っていった。
「あの子は、本当に実力もあるしいい子なんですが、一度思いつくとすぐに実行するのがたまに傷で」
俺もそんな事を言われた事があるので親近感はわく。
「それでは始めましょうか。貴方もそちらの席についてください」
子供に混じって読み書きを始める事になりました。
「あめんぼあおいなあいうえお」
書き取りです。やったのは小学校以来です。
この世界の文字は見た事のある文字で言えばハングル文字か梵字に近いようだ。表意文字なんだが、うねうねと曲がる線で構成されている。
「ようっしゃ、終わった~」
なんだかんだと文字を、基本的な物全部を書いた。生産センスに入れておいた≪言語≫センスが熟練度+30に成程だ。
「なあなあ、兄ちゃん空旅人なんだろ、何か面白い遊び知らないか?」
「遊びねぇ」
紙飛行機、は、この世界では紙が希少なので無理。羊皮紙で折れない。折紙も同じく。コインを使ってコインサッカーとか。いや、道具なしじゃないときついのか。
「どんなのが良いんだ」
「外でも中でもいいけど、俺たちの知らない遊び」
「サッカーぐらいしか知らないな。あれは広い所でやる遊びだし、神殿じゃあ無理か」
俺はそこまで遊びに詳しくない。ゲーム世代なモノで。
「神殿だって広いぜ、案内してやるよ」
「こら、無理を言う物ではありません」
俺を連れ出そうとした悪戯坊主な少年をモニカさんが呼び止める。
「今度調べておくよ」
「ちぇっじゃあ約束だぞ」
少年はそれだけ言うと仲間を連れて出て行った。
「すいません、まだ遊びたい盛りで」
「元気で結構な事です」
病気よりは元気が一番いい。
「ところで、本を読むためにセンスを取られたとか。何の本を読まれるんですか?」
「特に決めてないですね。主に読むのは小説、図鑑、神話そんな物が好きです」
ネタに使えるから。
「神話ですか。それでは聖書をお貸ししましょう」
「いえ、パンフレットを貰ったので先にそれを読みます。聖書みたいなものは読みづらいので熟練度を上げて」
別に信仰の道に入りたいわけではない。しかしよく聖書を薦められるな。宗教勧誘だろうか。
「他に何か御用はありますか?」
「特にないですね、後は明後日に露店に鎧を受け取りに行って、ビギの村でしばらくお世話になると思います」
センスはいくつか取りたいが、まだ金が足りない。
「ああ、レベルアップもしないといけないな」
≪剣≫≪盾≫≪逃げ足≫のセンスは熟練度が最大まで行ったんだった。スキルも覚えたが確認もしていない。村に行ってからでも困らないのでまだ良いだろう。
「レベルアップですか」
「はい?」
モニカさんが俺を見て何か言いたそうにしている。
「レベルアップがどうかしましたか?」
「レベルは特定の仕事をやったら上がると聞いています。どうですか?私の仕事を一つ受けていただけませんか?」
ギルドで受けようかと思ったが、ここで受けるのも悪くはないだろう。
「分かりました。それでは何をやればいいんですか?」
急いでないので受ける事にした。
「はい。お化け退治です」
『レベルアップクエストを依頼されました。受諾しますか?』
ポーンと音が鳴ってウィンドウが開く。俺は迷わずにはいを押した。
そして俺は夜の神殿にいた。ある意味こういった形で夜を迎えたのは初めてだ。日のあるうちに草原や砂浜で戦闘ばかりしていたから。
「こここに、最近お化けが出るんですす」
声が震えてますよサンドラさん。
「お化けなどという不浄な物はさっさと退治するのが良いですが、手が足りなくて困っていたんです」
ラジエルさんがそういうが、二人と俺の3人でどうにかなるのだろうか。
「戦士の役割をする人が捕まらなくて、冒険者ギルドに委託しても塩漬け依頼になっているんです」
別に待っていればやる人はいると思う。今いるのは大体がβ版でそれなりの所まで行った人たちとその人たちに連れられているプレイヤーだから効率を考えているんだろう。弟ももう別の都市に進んでいるのだ。
「お化けが出たら、まず正体を確かめないといけないんです。ナントさん。お願いしますね」
なんだ、俺は壁役だったのか。後ろからサンドラさんがぐいぐい押してくる。こけそうになった。
夜の神殿は不気味で静かだ。なんでも今活動しているのは見回りの役の神官と俺達だけの様で、俺達がこちら方向に来るので見回りは最後の時までこっちには来ないと言う。
「それで、どんなお化けかモンスターか出てくるんですか?」
「見た人は一様に白い影を見たとしか言っていません。実際にどんなものなのかは見てみないと」
「しし白い影何て存在自体おかしいじゃないですかぁ」
サンドラさんの震えが凄い。俺の方を掴んで話さないので俺も震えてしまう。
「白い影ですか。あんなのかな」
目の前に丁度白い何かが来たので指さしてみた。
「出ましたっ!」
「これが白い影ですか、そう表現するしかありませんね」
本物だった。サンドラさんが腰を抜かして後ろに倒れ、ラジエルさんが興味深々に見ている。
「攻撃してこないし、何だろな、これ」
何となく触ってみた。
「ふぐっ」
『ナントは衝撃を受けた。ナントに100のダメージ』
何かわからない種類のダメージを受けた。
「触ったらダメージが来るなんて、どういう存在だ」
「ほらサンドラ、起きてください。貴方のセンスで確かめないと」
「こ、腰が抜けて動けません」
「大丈夫ですか?」
白い影は攻撃してくる物ではないのでサンドラさんに手を貸してラジエルさんと一緒に起き上がるのを手伝う。
「い、いきまっす。≪観察≫」
センスが発動する。サンドラさんのセンスは観察という様だ。名前から行くと見て相手のステータスなんかを読み取るらしい。センスを発動した途端、腰を抜かして震えていたサンドラさんの背筋が伸びた。
「なんだ、こういう事だったんですね」
「何かわかりましたか」
サンドラさんにラジエルさんが尋ねる。
「これは、聖なる力です」
「聖なる力?」
力だけが独立するなんて事あるんだろうか。
「そうです。この近くには神聖なアイテム置き場があるんですが、溜りにたまった聖なる力が溢れてここに」
「そっちの方が大変じゃないですか!」
ラジエルさんが大声を上げた。
「聖なる物でも溢れるほどあればいつ暴走するか分からないんですよ。神官長に説明してすぐに対処してもらいます」
「そうね、それが良いわ。ふうう、お化けじゃなくて良かった」
何だか来たときと2人が正反対の態度になっている。
「じゃあ俺は見張っていますので、呼んできてください」
何だかなーという気分のまま、神官長をはじめとした偉い人たちが来て、この事件は終わった。スピード解決だ。
「モニカさん、ありがとうございます、早い依頼を紹介してもらって」
「あら、そんな事ありませんよ。急がない依頼でしたから」
つまりモニカさんは正体を見破ってたんだな。流石上級神官だ。
「簡単な仕事でしたけど、依頼料をどうぞ」
『レベルアップクエストを達成しました。
依頼料100デンを受け取りました。
レベルが16に上りました。
レベルアップによりセンスのチェンジが出来ます。実行しますか?』
ランクアップとかクラスアップとか言っていたがチェンジというのが正式名称
の様だ。俺はセンスを選択し、スキルツリー、つまり先にどんな選択があるのかを確認する。
『≪剣≫センス→≪両手剣≫:両手剣が使えるようになる。
≪刀≫:刀が使えるようになる。
≪片手剣≫:片手剣が使えるようになる
≪剣術≫:剣と呼ばれる武器を使う事にボーナス。』
これがセンスのチェンジか。先はちゃんと調べたのでこの≪剣≫センスで例を言うと、武器の名前の物はそのままその武器を使用するためのセンスに置き換わる。
≪剣術≫センスは武器ではなく≪剣≫派生センスの武器をどれでも使う事が出来るが、例えば重い両手剣等には重さで使用に制限がつくので使えない。本人の能力によるようだ。専門的なセンスの方が威力あるスキルを覚えるのでそこは考る事になる。
要は専門技をアーツに組み込みたいなら武器名のセンスに進み、そこから≪両手剣術≫などのさらに専門性の高いセンスに進むという事だ。ちなみに≪両手剣≫の進化先には≪両手剣術≫と≪重剣≫のセンスが分岐するようにまだまだ先はある。
この説明だと≪剣術≫は先がないように見えるが、こちらはこちらで≪真剣術≫や≪神剣術≫などと言った物に進む。センスは融合させることが出来る物もあるので、≪両手神剣術≫なんて夢があるセンスが出来るかもしれない。
『≪盾≫センス→≪小盾≫:小盾を使えるようになる。
→≪大盾≫:大盾を使えるようになる。
→≪盾術≫:盾と呼ばれる武器を使う事にボーナス。』
『≪逃げ足≫センス→≪逃走≫:逃げる行動にボーナス。』
≪逃げ足≫のようにセンスにそんなに選択がない物もある。
『≪剣≫センス→≪刀≫にチェンジしました』
『≪盾≫センス→≪盾術≫にチェンジしました』
『≪逃げ足≫センス→≪逃走≫にチェンジしました』
こんな物だろう。
戦闘センス:≪剣≫≪盾≫≪魔術≫≪逃げ足≫≪命中≫≪杖≫
予備センス:≪火才能≫≪水才能≫≪土才能≫≪風才能≫≪隠蔽≫≪方向感覚≫
生産センス:≪採取≫≪鍛冶≫≪細工≫≪サバイバル≫≪解体≫
外センス:≪合成≫≪木工≫≪調合≫≪弓≫≪修復≫≪雷才能≫≪氷才能≫≪木才能≫≪金才能≫≪魔術才能≫≪詠唱≫≪視覚察知≫




