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13弟と話しました

 家での用を済ませていると弟が現れた。


「あれ、いたのか」

「いるよ。ところでどこまで進んだ?」


 ゲームの進捗状況を聞かれたのでそのまま応える。


「まあ王都に行けそうなのは良かった」

「ようやくセンスを整理できる。魔術も使える」

「それは良いけど、やっぱり兄ちゃんの取り方がおかしい」

「そうか?」

「何で剣と盾取ったんだ」

「最初は弓だけで仕留められるとは思わないかったから」


 もし弓をメインにする場合、アーツを完成させた後一気に弓だけのプレイにしようと思っていた。


「そして才能を取りすぎだ。というか魔術使うなら魔術才能もとれよ」


 そうなのか。じゃあとろう。


「まあ兄ちゃんは慎重派な方だからサバイバルとかを取ったのは分かる」


 弟が理解していてくれてなりより。


「で、本題だけど、始まりの村で職業を取れるなんて初めて聞いたぞ」

「そうなのか」

「きっとオープン版での追加だろう。始まりの村じゃ取れないから皆王都に急ぐんだし」


 そうだったのか。


「ところで何で始まりの村をビギの村っていうんだ?名前あったのか?」


 弟が逆に聞いてきた。


「お前には出なかったのか?俺は普通に村で挨拶したりして話したらビギの村に名称が変更したぞ」

「そうか。それが昔からなのか、オープン版からなのかは微妙だな。本来王都のダンジョンで取れる素材が始まりの村で安全にとれるんなら、初心者用に開発する意味がある」


 なんだそれ。


「初心者でも材料取るのは危険なのか」

「危険だな。王都は近くのダンジョンで材料を取る形で、王都のギルドが管理してる。ダンジョンである以上モンスターは出る」

「鉱山じゃないのか」

「鉱石がとれるダンジョンに行くんだ。もし金属がその裏山で取れるなら、モンスターの弱いそっちに行った方は良いかもしれない」


 王都で実際にダンジョンに潜ってみないと差が分からないな。


「危険レベルを調べるタイプのセンスは取ってないみたいだから、取ってくれ。そして調べてくれ」

「お前に情報を聴こうと言う俺も俺だが、調べさせようと言うお前もお前だよな」


 俗にいう検証の仕方なんて知らない。そして何のセンスを取るのか決めるのが増えた。


「ところで、普通職業ってどうとるんだ。てっきり同じようにやればいいのかと思っていたが」


 護衛任務や商品取引で戦士と商人は取れないのか。


「同じと言えば同じだ。戦士系の依頼を受ければ戦士の称号がつくし、商人系の依頼を受ければ商人の称号は付くよ。盗賊はちょっと特殊で、ダンジョンで実際に罠を解除するとかしないといけないけどな」


 そんな物か。


「そういえば、王都に行くにあたって、安くて質のいい武器や道具やを教えてくれ」


 教えてくれれば探す手間が省ける。


「自分で探せ。どっちにしろ今回俺たちのパーティはさっさと賭博都市に行ったから、王都はそんなに詳しくない」


 さすがに都合が良すぎたか。


「魔術でやるか弓で決めるか迷うな」

「兄ちゃんの事だから両方試して出来そうな方をやるんだろう」

「よく分かったな」

「時間かかりそうだから早めに切り上げてこっちに来てくれよ」


 時々材料を集めるのに脱線して先に進まないので注意された。

 いつだったか、鎧の材料になるモンスター素材が取れなくて続けていたら弟がクリアーしてしまったという事がある。


「戦争イベントってどのくらいで起こるんだ」


 前兆があった方が分かり易いんだが。


「さすがに今の時期にはないな。まずギルド結成イベントがアップデートされて、その次かな。β版の時は最終テストでプレイヤーのいる都市に対して魔物の群れが押し寄せてくるイベントがあったから、β版と同じ順でやるならそこで大規模戦を経験させてからギルド対抗イベントだろうな」


 取りあえずギルド結成イベントがあったらこいつのいる都市に行けば良いか。


「王都は道なりにだよな」

「方向音痴の俺が行けたんだから大丈夫だ」

「お前は道が分からないだけだろう」

「兄ちゃんは細かい道に入って迷子になるんだよな。一本道だから今回は大丈夫だけど」


 からかったらやり返された。


「ところで聞きたい事があった」


 俺は効率のいい金稼ぎを聞いてみる事にした。


「ビギの村、セカの村での金稼ぎで良い場所はないか」

「セカの村ってどこだ?」


 質問に疑問で返される。


「セカの村って、ビギの村から海の方に行ったらある、塩を作ってる漁師村、かな?」


 地図を見た訳でもないので地形はよく分からない。


「そんな村初めて聞いた」

「そうだろう。wikiにも載ってなかったから、きっと新しいフィールドだと思っていた」


 特に意味のない自慢です。


「そこはドラゴンはいないのか?」

「今の所イベントで行って帰っただけなのでまだ調べてない。海での戦いがあったならタツノオトシゴくらいいるかもしれない」

「兄ちゃんの考えはおかしい」


 タツノオトシゴがドラゴン扱いされるなんてよくある話だろうに、何処がおかしいか。


「他の場所も全種類のモンスター見た訳でもないしな」

「ちょっと待て、いったいどこに行ったんだ。」


 どこと言っても、王都に行く以外の場所にしか行ってはいない。


「ビギの草原、ビギの砂浜、カラーズの裏山、セカの村だな」

「セカの村もそうだったがカラーズの裏山も初耳だ。何を知っている、キリキリ吐けい!」


 そこで十手を突きつける真似をするあたり、俺を古いと言うお前も十分古い。弟の追及に、俺は簡単にやった事を説明した。


「ふ~む、もしかして新しいフィールドが追加されたのか?そしてそのダガードックとかのモンスターは本来なら王都のダンジョンに出るモンスターだ」

「そう言えばそうだったな」


 俺もちゃんとwikiで王都の事を調べていたのだ。それをやる前で足止めを食っている状況です。


「すると、もしかして始まりの村からの依頼を受ければ王都に着くまでに戦士なんかの称号が取れて時間の節約になるのかな」

「そういう物か」


 称号は別に意味のない物だと書いてあった。何か変化でもあったのか?そのまま弟に聞いてみる。


「称号は確かに攻撃力が上がるとか、そういう方向には全く効果がない。でも効果が全くない訳でもないんだ。どっちかというと、そういう職業だとはっきり分かるからNPCからその職業専用のイベントを受けやすいとかだな」

「どういうイベントだ?」


 ちょっと意味が分からない。


「よくあるあれだよ、戦士系だったから受けられる仕事とか、魔法使い系だからもらえる報酬の武器とか、初心者称号の限定のイベントとか」

「ああ、そのタイプか」


 よくある話のパターンだった。


「珍しい所だと、その職業だから駆り出される一種の強制イベントかな。例えば仲良くしてる相手にもよるが、秘密の祭りに誘われるとか」

「どういう祭りだ」

「いあいあ言うやつ」

「いや待て俺は人間をやめる気はないぞ」

「冗談だ」

「分かってる」


 ホラー系は見た事もやった事もない。お化け屋敷が精々だ。ネタとして言っているのは分かる。そういうゲームがあると逃げるだろうな。


「お前はどういう構成にしたんだ」


 俺に距離のある攻撃を頼んだのだから近接戦闘のセンスを獲っているのは予想が付く。


「戦士系と言うか、魔法剣士目指してるな」

「そういのは難しいとよく聞くがどうなんだ」

「プレイヤー次第じゃないか?」


 そういう意味で聞いたわけじゃないんだが。


「やっぱり魔法が使えた方が面白いよな」

「じゃあ兄ちゃんは魔術師になるか?」

「分からん。弓にも惹かれるからな」

「弓だけに?」

「そう弓だけにって字が違う」


 惹かれると引かれるにひっかけたか。


「魔術って、俺は全部取ってから自分の性にあった物を選ぶつもりだけど、お前は何を取る気だ」

「ここで俺のを聞いても兄ちゃんは攻撃方法まではサポートに回らないよな」

「勿論、それが良いというのならそうするけど、今回は最初に指定されたのは遠距離攻撃というだけだしな」


 使う魔術まで指定されてはいない。


「俺もそこまで決めてないな。熱に耐える予定だから水魔術と氷魔術を鍛えるぐらいか」

「ああ、よくあるクーラー魔法を使う予定か」

「どっちかっていうと水の鎧とか氷の盾って感じの使い方だな、もちろんなんかのアーツには使うけど」


 どうせ俺と漫画の技とかのネタは被るだろう。水ならダイダルウェーブとか。


「というか、お前の仲間の傾向を聞いていなかったな、使う魔術とかの意味で」

「まあ、別に隠すことでもないけど、基本パーティは固定されてるぞ」

「そりゃそうだろう。俺は戦争の時だけ入る傭兵みたいな扱いキャラだろう」


 普段はどこかで勝手に暮らしています。


「傭兵って、兄ちゃんは恐らく幽霊ギルド員になるだろうけど、とりあえずギルドには入ってもらうぞ」


 幽霊ギルド員なんているのか。


「というか、入った後は好きなように暮らして良いんだろ?」

「そうだな。兄ちゃんはそうしておかないとこっちが迷惑を被るな」

「どういう意味だ」


 協調性がないのは理解している。


「ま、兄ちゃんもそっちの方が良いだろ」

「まあそうだけど」


 我が弟ながら扱いが酷い。


「そうだな、別に隠す事もないど今のパーティーリーダーがギルドのリーダーになる予定だから、忙しくて穴が開く場合もある。そんな時入ってくれればいいや。他にもギルド員は増えるだろうから出番ないだろうけど」

「それは俺が入る意味があるのか」


 他にギルド員が居るというのなら俺が居る意味はないのではなかろうか。


「戦争は、数だよ、兄ちゃん。どっかでも数こそ正義と言ってたろう」

「言ってたな。主に多数決の場所で」


 知ってる小説の中では数の暴力で敵を倒していたものもあったな。


「話を戻すと、リーダーは典型的な騎士、魔術は使って風魔術か雷、火という感じだろう。盗賊役の奴が闇を中心にと光と、土を覚えていた。あと純粋戦士で二人、魔術はないけど剣を両方とも使う。β版では全属性が使える魔術師が一人いる。これに俺が加わる訳だ」


 全属性が既にいるのか。じゃあ俺が多少属性ずれても平気だな。


「ご飯の準備できたよ~」

「それにしても、β版のプレイヤーとはいえ、もうレンジの街に言っているというのは早いな」

「そうか?ある程度の腕があったら普通だと思うぞ。距離こそ結構かかったけど、モンスターは少ないし」

「あれ、街道では出ないんじゃなかったか?」


 そんな話が掲示板にあったか?なかったか?


「そりゃ、戦士とか魔術師とかの称号を貰うためにレンジに行くキャラバンに乗っかって一緒に行ったからだよ。キャラバンでもなんでも護衛任務がつく話は、必ずリゴブリンなんかが襲ってくる」

「へえ、リゴブリンがね、お前は戦ったのか」

「戦ったよ、闘わないと称号が手に入らないだろう」

「それもそうか。お前の事だから戦う時に効率がいいように相手にほとんど押し付けてると思った」

「それは兄ちゃんだろう」

「残念だったな、俺はその場合勝たなきゃいけない時はともかく、普段は逃げてる」


 勝てなくても良いなら逃げる。人生の大事な事だ。


「いやいや、称号は勝たないと手に入らないぞ」

「あ、そうだったか」


 俺の言葉に弟が手を振って否定する。


「称号をゲットするついでに移動するのはβ版をやったプレイヤーで本拠地を六大都市に置く人なら当たり前の行き方何だよ」


 効率的だな。俺なんてジュリアの事がなければ王都で取ってから行っただろう。


「リゴブリンから逃げるとは、流石兄ちゃんは予想からぶれないな、というべきか、リゴブリンごときさっさと倒せと言うべきか悩むな」

「悩まなくても、そこは逃げても良い戦闘だったから逃げた俺を褒めないと。警護対象も居たんだし」

「え、兄ちゃん警護対象が居たのに逃げたのか。良く称号が手に入ったな」


 さっきの言葉からすると確かに手に入らない。今話を聞けば何故手に称号が入ったのかかは俺も分からない。


「う~ん。その前にリゴブリンをちゃんと1パーティ分倒しておいたからかな。ちょっとNPCの子がちょっかい出して、それを助けてから逃げたから」


 そこら辺は分からない。


「ああ、護衛対象の安全を第一にしたからかな?普通全員倒していくから今までなかった事だ」


 おそらくそうだろう。


「それにしても、王都に行ってすぐにレンジに行った方が良いか?」

「いやそれは特にない。別に戦争をやる事が決定する前だったらいつでもいい」


 それを早くいってくれ。


「何だ、てっきりさっさと登録しないといけないのかと思ってた。多少とはいえ急いでたのに」

「兄ちゃんの多少急ぐは普通の人の早足で歩くというような物だからしっかり急いでくれ。亀の歩みというやつだから」

「蝸牛よりは早いだろう」

「蝸牛より遅い亀の可能性が高い」

「アキレスと亀という例えがあってだな」

「言葉遊びではなくて実際に遅いだろう」


 俺が遅いと言われているのは分かった。


「じゃあ王都とレンジでやっておく事は何かあるか?」

「特にないな。強いて言えば、王都でドラゴンの素材を売ってたら買っておいてもらうという事かな」

「やっぱり売ってるのはプレイヤーの屋台か?」

「いや、普通に考えて屋台じゃ売ってないだろう。プレイヤーの屋台は生産職がやってるんだから生産職プレイヤーが使って何か作る方が多いだろう」


 何だ、俺はてっきり素材だけ売る店があるのかと思った。


「素材で売ってるのはNPCの露店とか商店とかだ。普通ドラゴン素材何て売ってないから見ておくだけで良い」

「俺が買って、鎧を作るとかそういう事は良いのか?」

「兄ちゃんが?別にいいぞ。兄ちゃんが買えるほどの値段なら買っても」


 俺にこういうという事は、ドラゴン素材というのは値段がお高い物だと思う訳ですよ。


「じゃあレンジではどうすればいいんだ。まだギルドはないという事は、ギルドホームとしての建物何てないんだろう」

「ないな。止まっている宿屋自体は、俺のパ-ティは同じ『黄金の竜翼亭』って所に止まってる。結構上等な宿屋で、値段も高いから兄ちゃんは泊まりたくないと思うな」

「お前が金を払ってくれるなら喜んで泊まる」

「馬鹿言え、自分の滞在費ぐらい自分で払え」

「ごはんよー」


 まあそう言われると思った。


「それにしても荒野が主な土地何だろう。何を用意すればいいんだ。駱駝と水筒と」

「砂漠と勘違いしてるな。荒野の先には砂漠があるからそういう装備もなくて困る事はない。けれどまだレンジの街で手に入るからそこまで無理して荷物を揃えなくても良いよ、値段は高いけどね。兄ちゃんはそういう所はケチなのは知ってるから王都で揃えそうだけど」


 荷物は王都で揃えた方が良さそうだ。


「そうか、それでも揃えておくとすれば、やっぱり金か」

「それはどの都市に本拠地置いても一緒だろう」

「世の中金が主なんだな」

「いきなり業突く張りになってどうする」

「金稼ぐ手段が今は肉を狩ってから売るという事しかないからな」

「それはそれで十分役に立つと思うな。兄ちゃんは一つの事をし出すと集中して飽きるまでやり続けるから、ほどほどにな」


 ゲームじゃないと絶滅するくらい狩っていくのはいつもの事だったりする。


「レンジはイメージとしてイスラム世界のような風潮があると思うんだけどそこはどうなってる?」

「イスラム世界ってどういうイメージだ」

「豚を食べないとか女性が顔を隠しているとか」

「そういうのは全くない。町としては他の街と変わらないな。食べ物や生産品が違うだけだ。第一、砂漠とか荒野にだけイスラム教徒がすんでいる訳でもないだろ」

「お前はハーレムでも別の家に作ってるかと思ったが違ったか」

「どこの馬鹿がそんな事をするんだ、皆で一緒の宿屋にいると言っただろう」

単なるネタだから気にするな。

「そういう事はゲームとしては今は出来ないからどう考えても無駄と言いう物だ」


 後で出来るようになるのか。


「賭博都市ねぇ。ギルドの方針とはいえ、普段俺は行かないだろうな」

「兄ちゃん博打しないからな」

「運が悪い方と理解しているのに行く奴はいない」

「ブラックジャックとかは計算らしいぞ」

「残念ながらそっち方面の記憶力はない」


 数学は天敵だ。


「お前も別に博打やる方じゃなかっただろう」

「あそこは金があれば何でも手に入る場所があるから、装備を作るのに便利なんだよ」

「金で解決って、稼げる人間でないときついよな。流石ドップギルド」

「トップクラスギルドだな、まだトップには行ってない」

「さっさとご飯食べなさい!」


 兄弟でしゃべり続けていたら母親に叱られた。家から出ている時はともかく家にいる間は食事時間が決まっているので仕方ない。

 今日はもうログインしないでおこう。


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