113神殿の村の観光ですよ
誤字脱字修正しました。ありがとうございます。
ログインしてさあ図書館の村に出発だ。≪発見≫のセンスを取ったり鶴嘴を用意ししたりするのはまあ後でいいやということで、小人族の村に向かう。
「しかしこの路地はどうにかならないのか」
ごみ箱との隙間に挟まりつつ銀のスプーンを使う。小さくなって目的の穴に飛び込むように入る。
「小さくなると意外と近くの人間が見えなくなるな」
小人化すると、例えればすぐそばの人間の足が大木のように見える訳で、杞憂だと思うが近くに人がいないと確かめてから小人化しているとはいえ見られているような気がする。
「まあいいか、前は右に右に行ったから今度は左にずっと行けばいいんだな」
記憶を頼りに来た道を逆に戻っていく。
「マーク残しておいてよかった」
なんとなく丸っぽい跡を、覚えていた目印ですすみ、思ったよりは早く着いた。何回か道を間違えたのは仕方ないということで終わっておこう。
そういえば待ち合わせ場所とかを決めてなかったな。分かれた宿泊所に行ってみよう。
「すいませーん。ユウリは居ますか?」
表に立っても誰も居ないようだったので、管理人室のような場所にいた人に聞いてみた。
「はいはい、ユウリちゃんね、今は出かけているけど、あなたは誰かしら」
町のおばちゃんといった雰囲気の人が出てきた。
「一緒にこの村に来た、空旅人のナントです」
いきなり来て怪しい人物だという自覚はあるので正直に自己紹介をする。
「ああ、話は聞いてるわ。ユウリちゃんなら今は出かけてるけど、どうする?出かけてる所に行く?」
「いや何か邪魔しても悪いので、表で待たせてもらえたら十分です」
観光に行っているのか食事に行っているのか、俺だったら邪魔されたくないタイプなのでユウリに話を通してからでないとどうこう行動できない。
「じゃあちょっと豆の皮むきを手伝ってくれる?結構多くもらったのよ」
「俺でできるならば」
おばちゃんが声をかけてくれたので暇つぶしにいいと返事する。
「うん、そういえば小人族だった」
豆の皮むきと言って幼いころ親と一緒にやった豆の皮むきを思い出していたわけですが、現在小人族なので豆も巨大化している訳です。
流石に大きいとは言っても小人族の体と同じぐらいの大きさの豆だ。普段なら指一本ぐらいの大きさかな。ファンタジーだな。
「ここに切れ目を入れて引っ張るとスジが採れるわ」
「切れ目を入れるのはこの大きさじゃ無理だな」
初心者の刀を出して切れ目を入れて引っ張る。萼の方を持って引っ張ると引っ張りやすい。額につながっているスジがつっーとくっついてきてとれる。昔やった通りだ。指で萼をつまんでちぎったのを思い出す。
「ほら集中して、できるだけ下の方でスジを取ってね」
「はい」
そんな事をやっているとユウリが入ってきた。入り口から俺が見えたようだ。
「何やってるの」
「待っている間手伝ってくれと言われたから、手伝ってる」
なぜかやれやれというように肩をすくめられた。
「ありがとうね、もういいよ」
「そうですか?終わってないですけど」
「ユウリちゃんと話があるだろうから、それを先にやって、手が空いていたら手伝ってくれればいいよ」
「そうですか、それじゃ先に話してきます」
ユウリに連れられて借りている部屋に行く。
「お邪魔します」
部屋はカプセルホテルかと思いきや民宿の一部屋という感じで、一部屋だが十分に広かった。
「それで、俺は用を済ませてきたけど、これからどうする?」
「そうね、私もここで有名な七神の群像を見たし、名物の干物も食べたから図書館の村にはいつでも行けるわよ」
「なんでこんな場所の名物が干物なんだ?」
純粋な疑問が口を出ていた。
「神様にお供えするのに、地下の村だから生鮮品が好まれるそうなんだけど、しょっちゅう生鮮品がある訳じゃないから、少しでもおいしい乾物を作ってお供えするらしいわ」
そんなものか。
「俺も旅の安全を祈願しておいた方がいいかな?」
俺は神様の像と聞くとそういう発想になる。基本的に正月以外お参りしないタイプなのです。
「お参りするの?付き合ってあげる」
「まあ急ぐことがないなら豆の皮むきを手伝った後に行きたい」
「お人よしね」
「何か途中でやめると気分が悪い気がしないか?申し訳ないとか」
「まあいいわ。じゃあ皮むきが終わった後にお参りに行きましょう。その後は一泊すればいいし」
一泊するほど時間はかかるだろうか?部屋を出て豆を剥きにおばちゃんの所に戻ると喜ばれた。
「手伝ってくれてありがとう。そうそう、ユウリちゃん、壁際のお店から連絡があったわよ。村を出る前に寄ってほしいって」
「壁際のお店って、あそこよね、何の用かしら」
「知らない。俺に何かあるんだろう」
あそこは空旅人用の店だったらしいので俺に用があるんだろうと思う。
豆を全部スジ取りするとおばちゃんがお駄賃をくれた。
「ありがとうね、これで何か買いなさい。ほら、ユウリちゃんも」
くれたのは小人虹鉱だ。小人虹鉱ゲットだぜい。じゃなくて。弟から言われたこともあるので何か分からないかよく見てみる。
『小人虹鉱
小人族の間で貨幣代わりに使われている金属。小人達しか発掘場所を知らない』
俺は鍛冶のセンスを持っていても鑑定のセンスを持っているわけではないからこんなものだった。≪サバイバル≫センスは動いていないようだ。サバイバルとは関係ないんだろう。
「それじゃ神像にお祈りに行きましょう」
「分かった」
観光旅行らしい行動だ。ユウリについていくと大きな道に出た。左右には露店や屋台が並んでいる。
「なあユウリ、このお駄賃はどのくらいな物が買えるんだ?」
左右の店を見ると色々と買いたくなる。現実では我慢の一択な訳ですが。
「それくらいじゃあお菓子を一つ買ったら終わりくらいね」
そんなものだろうと思っていた。しかし小人虹鉱の価値がよく分からない。
「何か欲しいの?買ってあげる」
「いや、欲しいといえるものはないな」
男としては何度もおごられると気分が滅入るのですよ。
「あれが七神の像よ」
ユウリが指さす方には巨大?な像が7体立っていた。小人の体からすると見上げるような像ではあるが、おそらく俺の元の身長ほどもない。ビギの村近くにあったあの祠の創造神の像の方が大きいような気もするがそれは言ってはいけないのがお約束だろう。
「ここは神殿の村だから巨大神像があるの」
「ははあ。あれ、これもしかして神殿の土台の石に彫っているんじゃないか?」
崖のような大きな石に沿って彫っているというどこかの仏様のような状態だった。
「ここのご利益は、ここに一度くれば他の神殿の村全部を巡ったのと同じくらいご利益があるって話よ。専門的なご利益はそれぞれの神殿の方がいいみたいだけど」
「どこにでもあるんだな、そういう話」
何処も観光客集めには苦労しているんだな。この場合観光客とも違うか。
「まあいいや、せっかうお駄賃をもらったから、これをお賽銭にしよう」
「へえ、熱心なのね、寄付金を出すなんて」
「別に熱心でもないけどな。人から案内されたりして神様にあった場合、取り合えず拝んでおこうというだけで」
賽銭箱があるのが和製ファンタジーらしいといおうかなんといおうか。何はともあれ一体ずつ拝んでおく。この時特に願いは込めてない。挨拶するイメージだ。それがいいとTVでやっていたのです。
「金で思い出したんだけど、宿泊所とかのお金はどうしているんだ」
俺が肉を貨幣に両替しようと思ったら結局できなかったわけだからユウリがどうやってお金を工面しているのか気になる。
「まだ大丈夫よ。これでも旅行に行くと決めた時から神殿にある村にはちょくちょくきて働いてたから」
アルバイトをしていたようだ。
「俺も働かないといけないな」
この場合クエストで貨幣を求める形になる。ギルドが小人族にあったかな?
「今回はいいらしいわよ。お肉を寄付してくれたお礼に宿泊所はタダですって」
それはユウリだけなのか俺もなのか後で確認しないといけないな。
「それじゃ、壁際のお店に行きましょう」
「ああ、それもあった」
壁際の店と言われてすぐに道が分かる訳でもなかったので壁の方を目指して歩く。
「ちょっと、そっち側の壁じゃなかったでしょ」
目指した壁が間違っていたようだ。ユウリと一緒に歩いて目的地に着く。
「ごめんくださーい」
「はーい」
穴に向かって声をかけると中から鼠の声がした。
「おやいらっしゃい。待ってたよ」
鼠の店員が店の中へと迎えてくれた。
「あ、来たんだね」
「どうも、何か御用があるとか」
「御用というか、肉のお返しを用意してたんだよ」
宿泊所を無料にするだけじゃなかったのか。
「はいこれ、これは出したら1回だけ融通を聞かせてくれるっていう紹介状みたいなだよ。これをあげる」
「何か結構大層な物に見えるんですが」
「そんな大層な物じゃないよ。お金を借りるとかはできないから観光でちょっと普段見られないところに行けるというくらいかな」
それは観光をする分にはちょうどいい紹介状だ。
「ありがとう、本当にうれしい」
ユウリが喜んでいるなら何よりだ。
「ところで、肉が駄目なら働いて貨幣を手に入れないといけないんだろうけど、それはどうなったんです?」
俺の持ちこんだ肉がきっかけでそう決まったような話だったので気になって店主に聞いてみる。
「それは人間でいうギルドみたいな組織を作って仕事を割り振りするような形になったよ。ここもギルドへ作り替える予定なんだ」
ギルドができるというのも不思議な話だな。
「あと、ここでの宿泊所のお金はタダにしてもらったから、何泊してもいいよ」
いえもう一泊したら出発です。
「明日には出ようと思っています」
「そうなんだ、君がいると何か面白そうなことになると思ったんだけど」
「図書館の村に行きたいんです」
俺のゆるぎない固い意志である。
「それじゃあ、またいつか」
「そうだね、またいつか」
挨拶をして宿泊所に戻る。
「すいません、俺の泊まる部屋はありますか?」
「あるわよ、ユウリちゃんの隣でいい?」
「はい」
宿泊所のおばちゃんに部屋を尋ねるとそんな返事が返ってきた。
「それじゃあユウリ、また明日」
「そうね、お休み」
ログアウトするわけでもないので昼夜が変わるだけだけども寝るのは気持ちいいと思いながら、ベッドに入った。いつもの宿屋とも違った触感で気持ちいいな。意識が飛んだような気がして目を開けるともう朝である。
「さて、今日からが本番だ」
ついに図書館の村に行けるんだ。ワクワクする。




