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108天井裏から床下へいきます

「ところでさっきから疑問に思っていたんだけど、小人族は村を移動するとそれを知らせなきゃならないのか?」


 門番にも連絡が行くくらいだから目的地を含めて連絡しているんだろう。今回は俺の事も含めているようだ。


「そうね、連絡できる機械があるの、それを使って村長が連絡してくれるのよ」

「それはまたなんで」


 機械ということは普通に電話だろうけれど、なんでいちいち連絡するんだろう。


「それは小人族の秘密だから教えない」

「そうかそれならそれでいいや」


 俺が知っておくことは何かあったかな?


「それで、王都の他の村に行く時も連絡するんだろうけど、俺はどういう立ち位置になってるんだ」

「立ち位置って何が?」

「ただの空旅人のナントなのか何か変な紹介されているとか」

「そうね、私たちを助けてくれる空旅人は貴重だからそういう意味では話を持ち込まれるかもね」


 話って面倒事の間違いではなかろうか。いやこの場合はゲームだしクエストなんだろう。


「俺は小人の村は見物するのがせいぜいで定住できないんだけどな」

「私も旅行するから観光がメインよ。ここで食べるもの食べてから次の村に向かうわ」

「観光って、何するんだ」


 ここは町中だからか外の素材を利用したビギの隠し村とは違って人間の大きめの道具の外装を使って家にしているような雰囲気だ。収納用のただの箱に見えるような家や何かの道具だっただろう部品で作った家がある。窓が無かったら家には見えない。家の数としてはビギの隠し村より少なそうだ。


 何しろ屋根裏にできた村なので中央の光る塔と鐘楼以外名物になりそうなものが無いように思える。


「ここの名物、鐘のプリンを食べるのよ」


 プリンって、ここ、動物を見ないんだができるのか?


「塔の村は向こうで鳥を世話しているの。新鮮な卵が採れるわ。それから、塔の村の下にも村があってね、そこから運び込まれたミルクを使ってプリンを作るのよ」


 ユウリの指さした先には鳥がたくさんとまっている場所がある。小人のサイズで考えると結構遠くにある。何のミルクかは考えないようにしておこう。ここは鳥の世話と入国管理?のために作られた村だというのは分かった。


「村に来た人を出迎えるお菓子で有名なの」


 なるほど、そういうことならおいしそうだ。


「どこで食べられるんだ?」

「宿屋よ。泊まることもできるけど、早く下の村に行きたいでしょ。食堂を使いましょ」


 宿屋の食堂でプリンを頼む。お金はどうするのかと思ったら宝石みたいなものを渡していた。


「小人は物々交換じゃなかったのか」

「そんなの大きな都市に行ったら面倒なだけでしょ。小人虹鉱を硬貨の代わりにしてるの」


 謎だった金属があっさりと目の前に現れた。


「この前も言ってたけど小人虹鉱ってなんだ?」

「さあ。鍛冶をやる人とか機人なら詳しく知ってるだろうけど、私は硬貨の代わりにするぐらいしか知らないわ」


 素人さんに聞いたらこう返事が返ってくるのは当たり前だったな。ユウリは火薬作るのに鍛冶の事は知らないというのも不思議な話だけど、使うのは調合関係のセンスなんだろう。


「俺の分は払うから、後で精算してくれ」

「いいわよこれくらい。宝石もらったんだからそれでチャラよ」


 有難いような借りは作りたくないような気分だ。


 プリンはおいしかったです。何の卵とミルクかは知らないけれど普通においしい。カラメルソースでなく上に果物のソースがかかっている。甘酸っぱいソースもまたプリンに合う。ユウリがこだわるのもわかる。

 さて、他にこの村の名物というと中央の光る塔だと思うんだけど、行かないんだろうか。


「中央の塔はああいうマジックアイテムらしいわ。外の日の巡りに応じて光を変えるのは見ものだけど、私はもう一日見たことがあるし、他の村にもあるわ。それにこの村は全部見たし」


 確かに塔から入る出入り口の村だからビギの村からは来やすい。俺は気が向いたらまた来るとしよう。ユウリについて下行きのエレベーターに乗る。


 イメージとしてはおそらく壁の中だろう場所を通って床下に行ったという形だと思う。壁の中に穴開けて大丈夫なんだろうか。


「ビギの隠し村のユウリです」

「おまけの空旅人のナントです」


 床下の村に着くと再び受付を受けてから村に入る。


「おや、上とは違うな」


 中央に光の柱があるのは一緒だし家も人間の道具を利用した家だった。最大の違いはまず光の柱の根元に神殿風の建物があることだ。


「ここは神殿の村。ここら辺では一番大きな神殿がある場所なの」


 神殿の中に神殿があるというのも不思議な光景だ。


「外には人間用だけど神像があるのに、こっちにも神像があるのか?」

「それはそうよ。人間は全部の神様を崇めてるから大きな神殿なんでしょうけど、小人族の守り神は創造神センシズ様よ。他の神様にもお祈りするけどちゃんと神殿を作ってお祀りしないと」


 そういうものですか。現実では正月しかお祈りに行かないのでそんなものだと思ってしまう。


「後ここは今まで動いたことがない村だから、色々と外の事を勉強する施設なんかがあるし、聖なるアイテムなんかも用意できるわ」


 聖なるアイテムとは興味深い。


「聖なるアイテムって何がある?」


 俺の言葉にユウリが少し考え込んだ。


「そうねアンデット除けのお守りとか、悪魔から隠れるお守りとかは有名ね」

「俺が巨大化しても効くんだろうか」

「さあ、それは知らないわ。一度試してみたら?」


 試し方は…アンデットのいるダンジョンにでも行けばいいのかな。どこにあるのかは知らないが。それとも神官の誰かに大丈夫かどうか聞いてみるのがいいのか?知り合いになった神官達の顔を思い浮かべる。ただしメシアは除く。あんまりこういうことに詳しそうにない。


「今日の所は宿泊所に泊まって、明日から他の町に行くための準備をこの町で色々するわ」

「具体的には何をするんだ」

「例えば他のどの村に行くかを決めて必要なものを準備するとかお金を稼ぐとかね」


 ユウリは当分ここに留まりそうだ。


「そういえば俺がここで肉なんかを売るとするだろう。売ることはできるかな」


 上肉とかがまだ残っている。


「売れるけど、どうかしら。空旅人だから巨大な肉の塊になるんでしょ?」

「物を売り買いするところで聞いた方がよさそうだな」


 小人達のお金がどのくらい必要か分からないが売れるなら売っても構わない。また取りに行くだけだ。


「ちょっと聞いてみましょうか」


 先に宿泊所に荷物を置いてくるとユウリは走っていく。俺もその後を追いかける。ユウリが入った建物が宿泊所だろう。外から見るといくつもの箱を重ねて並べたような所だ。


「売り買いの場所を聞いてきたわ。行ってみましょう」


 俺はユウリについていく。ユウリは手に持った地図の紙を見ながら道を歩いて行った。


「あ、迷ったかしら」

「迷ったのか」


 流石に簡単にはいかないようだ。


「それじゃあ誰かに話を聞こう」

「そうね。すいませーん」


 ユウリが通りがかりの小人に話しかけて道を聞いてくれるので俺は楽だ。道は一本通り過ぎていただけのようですぐに地図の通りに進めるようになった。


「壁だな」

「壁よね」


 ユウリは空旅人が物を売ることができる店は何処かと聞いたという。教えられた地図に沿って着いた場所は壁だった。よくある鼠の穴みたいな、小人より大きな穴が開いていて、穴の上に看板がかかっている。


「こんな店初めて見たわ」

「『空旅人用売買所 空の落とし物』。駄洒落かな?」

「なんでもいいわ。入ってみましょ」


 観光というのは意外なものを発見するとか変わったものを見るとかいうものも観光だと思う。そういう意味で小人族としても珍しいと思うこの店は観光している気分になる。


「ごめんくださーい」


 俺は声をかけて穴をくぐって中に入る。店の中はカウンター以外何もない部屋だった。


「らっしゃい」


 そういって出てきたのは鼠だった。鼠の店だったのか。どおりで入り口が穴だと思った。


「お客さん、空旅人なのかい」

「どうも、空旅人のナントというものです。店主さんですか?」

「いや、俺は店員さ。店主は奥にいるよ。売買は俺でもできるがどうする?」

「構いませんが、取り出すのはどうします?元の大きさで出した方がいいと思いますが、そうするとどこかで一回人間の姿にならないといけないんですが」


 鼠の店員はポロポリと頭をかいた。


「そうか。じゃあ店の奥に来てくれ。そこで大きくなってもらう。おうい、店長、お客さんだぞ」

「ふああい」


 鼠の店員が大声を張り上げると眠そうな声と一緒に小人が頭を出す。店長らしい。


「店長、客だ。空旅人の客だから奥に行くぞ、鍵をくれ」

「ふおおい」


 店長から飛んできた鍵が鼠の頭に命中する。


「ったく、仕方ねぇ。お客さん、こっちに来てくれ」


 鼠の店員に案内されて扉をくぐると、そこは真っ暗な部屋だった。


「ここでどうしろと」

「あわてるな、明かりをつける」


 店員の取り出した道具は見た目ロケット花火だった。糸を引っ張るとロケット花火と同じように光の玉が飛んでいく。花火と違うのは上空で止まって漂い、周囲を照らす明かりになった事だ。


「どこだここ」

「ここはもう使われてない、知られてない部屋だな」


 俺の思わずつぶやいた言葉に店員が答える。そういう意味ではなく、部屋は出てきた穴の周辺は綺麗にされているが埃を被った道具が散乱している。使われていない部屋なんて下手したら鉄の処女でも転がってそうで怖い。そして食品を出すのにこんな埃だらけの場所でいいのか。


「ここはバリアーが張ってあるからそれ以上進めないけどもあっちからこっちは見えないようになっている。ここはいつも掃除してるんだ」


 流石にまずいと思うので出すのかどうか聞いてみたところそんな答えが返ってくる。つまりバリアーが埃を防いでいるから大丈夫という話だった。バリアー張るなら部屋全体を張ればいいのに。


 そんな疑問は置いておかれてこのバリアー内の掃除した場所で巨大化するように言われた。まあ一回やってみよう。銀のスプーンを取り出して巨大化する。ユウリと鼠はつぶされないように端に寄っていた。


「はあっくしょん」


 やっぱり埃がバリヤーの中にも舞っているんだな。くしゃみが出た。

 それはともかく俺がアイテムとしてランスホルスの上肉を取り出すと鼠は飛びついてくる。


「これ、上肉じゃないか。これを売ってくれるのか」

「そうですが、問題はありますか?」

「何も問題はないといいたいが、これ一つしか買えないな。上肉は質がいいから一定量以上買うとなると対価がない」

「小人虹鉱でいいですよ」

「いや逆に小人虹鉱は量がそんなにないからな、これに足りるほど渡したら通貨がなくなるほどだ」


 鼠の店員の反応から肉が希少なのは分かった。


「空旅人は肉なら結構持っているからそんなに高くはないと思いますよ」

「それでも今はそんなに外の上肉はないからな。交換するものが難しい」


 話が長くなりそうなので俺は小さくなる事にする。


「店長、ちょっと来てくれ」


 俺が小さくなってユウリの隣に戻ってくる間に店長が引っ張り出されて来た。


「確かにすごいけど、凄くないね。これが常の空旅人の売買だとしたら、困ったことになるね」


 ビギの隠し村では魚一匹分とクロココの身のジュースを交換したくらいなのに何が違うのだろうか。


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