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107ユウリと会いました

誤字脱字報告ありがとうございます。修正しました。

 いつも拙作Six Sense Onlinを遊んでいただいてありがとうございます。


 今回、プレイヤー:黒天狗様率いるパーティが王都ビフロストに置いてハイドルートを攻略いたしました。条件が揃いましたので公表させていただきます。


 今回攻略されたのは王都保護ダンジョンの一つ「裁きの天秤ダンジョン」ダンジョンを経由する「裁きの天秤ダンジョン・裏」ダンジョンのボス「アンラッキー・デーモン」が討伐されました。「裁きの天秤ダンジョン・裏」ダンジョンの解禁条件を公表します。


①「裁きの天秤ダンジョン」ダンジョンのボス「ラッキー・エンジェルフィッシュ」を一回以上討伐して  いる。

②「裁きの天秤ダンジョン・裏」ダンジョン内で特定のポイントを通過している。

③王都ビフロストでNPCとの会話で条件を満たしている。

④ビギの村、セカの村、サズの村、フォウの村で特定の称号を獲得している。

⑤王都冒険者ギルドで総合ランクが一定以上である。

⑥ハイドルート用Cクエストを一定数クリアしている。


 必須条件を①②とし、③~⑥までの条件を二つ以上満たしている場合、ハイドルート用フィールド「裁きの天秤ダンジョン・裏」ダンジョンに入る事が出来ます。


 今回解放されたシステムとして王都地下に第二都市インディが解放されました。詳細はシステム担当NPCよりお聞きください。

 今後もSix Sense Onlinをよろしくお願いします』


 おお、ついに偽王国騎士団がやったのか。王都の地下に第二都市ね。非常用の防空壕のイメージがある。俺も頑張らないとな。何を頑張るのかは不明だが。まずはユウリに会いに宿屋から出てビギの草原へ向かう。


「その鶏は俺の獲物だっ!ぎゃっ!」

「ぷ。蹴られてやんの」

「牛肉の備蓄が少なくなってるから牛肉を主に狩るように」

「天然の羊毛布団まであと2匹かな」

「一人3匹くらいだろ、足りなければ取りにくればいいよ」

「必殺、天空崩落エアブレイカー!」

「あっぶね。アーツ使うならあっちあでやれあっちで」


 ビギの草原は相変わらず肉を獲ろうとしている人とペットを獲ろうとしている人がいるようだ。


「さて、ユウリは何処にいるのかな」


 問題はワンド・ツリーを改造した木なのでプレイヤーに間違われて倒されないかが心配だ。ワンド・ツリーを探しながら、見つけたワンド・ツリーに手を突っ込んでみる。


「ギュアアアア」


 戦闘になってしまった。この方法では駄目なようだ。それでも他にやり方を思いつかなかったので数に注意しながらつついたり逃げたり戦ったりを繰り返す。


「うん?なんだ?」


 何かさっきから目のあたりにちかちかと光があたる。鏡か何かに反射している光のようだ。体を動かしても光が当たるので何かと思って周りを見渡すとある低木の木の隙間から光が反射していた。


「なんだろうこの木は」

「何やってるの、早く小さくなりなさいよ」


 ユウリの声がした。木をよく見ると窓からユウリが顔を出している。俺のあげたサファイアを使って光を反射しているようだ。


「周りに人はいないよな」


 あたりを見渡して確認してから銀のスプーンを使う。


「おじゃましまーす」


 木の中は前よりも人間の住むように作り替えられていた。家具が入ったのが大きな違いなのでそう感じるのかもしれない。


「長く待たせたかな?」

「そうでもなかったわね、ひと月かかるかと思ったけど結構早かったわ」


 現実で2、3日かけたので結構かかったかと思ったがそうでもなかったようで何より。いや。ゲームの方が調整してくれたのかもしれない。


「それで、旅行に行くんだったよな。俺は王都の方にしばらくとどまって修行しようと思っているんだけど、ついていくことはできないぞ」

「構わないわよ、私の目的地もまずは王都にある村々を訪ねることだもの」


 村々って、王都にそんなにあるのか?


「王都には王都村が一つあると思ってた」

「違うわよ。王都って人間が呼んでる町は広いじゃない。いくつも村があって暮らしているのよ」


 ユウリがお茶を持ってきてくれた。ありがたや。


「ありがとう、それで、どの村に行くんだ?」

「そうね、まずはサユリに乗って塔の村に行くわ、空から入るならそこが一番楽だもの」


 塔って、王家の城にある塔を含め見張り塔などいくつかある。見張り塔の中に村があるのかな。

 外に出るとルーム・ツリーの揺籠荘をコインに戻してトラベル・ピジョンのサユリが召喚される。


「さあ行きましょ」

「俺も乗って行っていいのか」

「物のついでよ。早く乗りなさい」


 言われてサユリに乗り込む。サユリは大きく羽ばたくと空へ飛び立った。


「これは気持ちがいいな」

「そうでしょ。空を飛ぶのは気持ちいいの」


 ユウリはご機嫌だ。


「こんな事も出来るのよ」

「うわーっ」


 サユリはユウリの指示に従って宙返りを繰り出した。


「おち、おち」

「落ちないわよ。信用なさい」


 こういうのは落ちないと分かっていても体は反応するものだと思う。基本的に俺は絶叫マシンは眼をつぶって口を閉じてやり過ごすタイプなんです。


 そんな事をやりつつ王都の上空に出た。下には様々な建物が見える。


「やっぱりここは人がゴミのようだと格好をつけるべきか」

「何よそれ」

「特に意味のないお約束的なギャグだから気にしないでいい」


 ゴミというか、そう高く飛んでいる訳でもないので人もそんなに小さい訳ではない。今こっちは小人だから逆に巨人の国に来たような気分になる。


「ほら見えてきた。あそこが塔の村の着陸場よ」

「あれ神殿の鐘楼」


 ユウリの指さす先には神殿に備え付けの、時間を告げる鐘楼があった。


「あんな所にどうやって村を作るんだ」


 鐘をぶら下げる場所であり定期的に鐘を突くだけの場所なので余計なスペースはない。


「こっちよ」


 屋根の上に降りたサユリをコインに戻してユウリは更にてっぺんの飾りへと歩いていく。


「ここに入り口があるの」


 教会てっぺんの飾りには扉のようなものが付いていて小人なら入れるようになっていた。


「さ、こっち」


 中に入るとおそらく屋根瓦の下を通って壁に向かっていく通路があった。無断建築じゃないか?


「ここからは楽よ」

「これは?」


 壁と壁の間には隙間があり、そこに入ると階段があった。ユウリは階段ではなくその近くの小部屋に入る。


「ここをこうして」


 これ、エレベーターだ。ユウリは部屋の壁についているボタンを操作する。部屋に聞きなれた気のする音が鳴り始め部屋が下に降りだした。


「エレベーターとは文化的だ」

「機人に作ってもらった機械で上り下りするのよ。非常用に階段もあるけど、こっちの方が楽でしょ」


 それはそうだ。小部屋は結構な速さで下に降りる。チーンと音がしてついた場所は広かった。壁の隙間ではなく屋根裏まで来たようだ。


「はー」


 俺が感心していると人が寄ってきた。その小人は兵士の格好をしている。


「誰だ。身分証明を求める」

「こんにちは。ビギの隠し村から来たユウリです」

「一緒についてきたナントです」

「ビギの隠し村とは珍しい。ようこそ、塔の村へ。案内します」


 ユウリが言った言葉に兵士小人は警戒を解いて、ついてくるように手ぶりして歩き出した。俺達はそれについていく。あの村隠し村なんて名前だったのか。


「ここが塔の村の出入り口です」

「どうもありがとう」

「ありがとうございます」


 兵士にお礼を言って教えられた建物に入る。建物の左右は通り抜けできるからこれは門的な場所だろう。兵士はそのまま持ち場に戻っていく。

 建物の中は通り抜けのできるようになっていた。カウンターが横にあり、そこで受付のような恰好をした小人が手招きしている。


「ようこそ、塔の村へ。ビギの隠し村のユウリさんですね、連絡が来ています」

「はい。しばらくお世話になります」

「そちらはどなたです」

「あ、空旅人のナントです。ついでの付き合いで来ました」

「空旅人のナントさんですか。…隠し村の村長からは連絡が来ています。ようこそ塔の村へ」


 受付さんににっこり笑って挨拶された。


「これはどうもご丁寧に」


 何となく頭を下げ返す。


「ほら、早くいくわよ」

「おのっ」


 何故かユウリに尻を蹴っ飛ばされた。受付さんが笑っているのを背後に聞きながらユウリについて扉を開く。

 扉の向こうには中央に光る塔?を中心に何軒かの家が立ち並ぶ村があった。


「村だな」

「村よ。なんだと思ってたの」

「いや、王都は広いから小人もある程度町を作ってるんじゃないかと思ってた」


 この場所は屋根裏と思うが窓がない。中央の塔が光っていなければ真っ暗で生活できないだろう。


「町みたいに大きなものを人間の家の中に作ったらすぐにばれるでしょ。町があるのはずっと遠くの、人が来ない場所くらいなものよ」


 つまりここは人が来たらビギの隠し村みたいに逃げ出す事を考えてこの規模なのか。


「今日は何処に泊まるんだ」

「宿があるからそこに泊まりましょ。そこで次は何処に行くか相談しましょう」

「次って王都には他にも村があるのか」


 町が細かく分散している形に見えるな。


「あるわよ、図書館の村とか王城の村とか…」

「図書館の村に是非行こう」


 それが図書館にある村なのかどうかは分からないが貴重な本がありそうだ。見せてもらえるかどうかは別として。


「へぇ、ナントって本が好きなの?」

「金があれば図書館並みに本をそろえたいくらいには好きだな」

「ものすごく好きなのね」


 何か呆れられたような気がする。


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