104言葉遊びです
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「鎧の話はそれくらいにして、こっちの話をいいか」
ユウキさんとの話がひと段落したのを見計らってサンドマンさんが声をかけてくる。
「小人族の話はどうだった?」
「そうですね、アイテムはいくつか持ってきました。けれど、もう無理みたいです」
俺は以前手に入れた一寸法師の剣(正式名称針の剣)を取り出してみる。
「俺が行った時には村長と、俺の知り合いの小人だけが残っていて、あとはもうひっこしていました」
「引っ越した?」
「なんでも、神様から居場所がばれないようにするようにというお告げがあったそうで、俺にその説明をしたらどこかに飛んでいきました」
サンドマンさんに一寸法師の剣を渡す。
「アイテムもほとんど持っていかれた後で、こんなのしか残っていませんでしたね」
「これはこれでこの大きさとしては品質がいいけども商品にはならないな」
やはり大きさがネックか。
「ところで説明してくれた小人が小人虹鉱という言葉を言っていたんですが、何の金属か分かりますか?」
俺は気になっていた言葉を質問してみる。
「小人虹鉱?初めて聞く名前だ。どういう風な言い方だったんだ?」
「その針の剣をもらった時、小人虹鉱じゃないし、普通の鉄の剣だというような言い方で言ってました」
逆にされたサンドマンさんの質問に答える。
「今のプレイヤーが知っている鉱石にそんな名前の鉱石は存在しないな。他になんでもいいから商売に関係しそうな話はないか?」
「そうですね、あ、そうだ。話をする代わりに、小人族が消えたことを掲示板でもなんでもいいので広めておいてもらえませんか?」
そうすれば楽になる。掲示板に書き込むのは苦手なのです。
「それは構わない。しかし前にプレイヤーの屋台の方に売りに言った人間であるというのはばれているぞ」
「その時聞かれたら話しますよ。別に隠すこともないですし、小人族が引っ越した先は知らないんだから」
教えてもらわなかったから安心だ。
「そうか、それで、その話というのはなんだ?」
俺はユウリとの会話を思い出す。
「機械みたいな機人という種族と小人族が関係あるみたいですね。どうやら俗にいう不思議道具みたいなものは機人からもらったものらしいです」
「それも初耳の話だ」
何故かサンドマンさんが驚いている。初耳だからかな?
「俺の大きさを変えるのにバズーカみたいな原子縮小拡大砲だったか、そういう名前の道具を使っていましたし、そういう店があるのも確認しています」
実際に何か買いに行ったわけではないからジャンクショップなのか電機屋なのか、その区別まではつかない。
「つくづく惜しいな。そういった道具があったら商売ができたのに」
俺も商売という事なら物を小さくして倉庫代を浮かすとか思いつくから、サンドマンさんならもっと思いつくんだろう。
サンドマンさんに後の掲示板の事を任せて鎧を装着した俺は早速図書館に向かった。そこでなんで鎧の性能試しに平原なりに行かないんだといわれそうだが、別に戦うことにこだわってはないし、明日?神殿に行って約束を果たすのに時間つぶしが図書館がちょうどいいというだけだ。
そして翌日。神殿で≪言語≫センスの時と同じように勉強机に向かう俺がいるわけです。
「それでは今日は難しい言葉を勉強しましょう」
何故か勉強することになっている俺の周りには子供たちとメシア、何人かの神官らしい人が話を聞いている。
「この神様達は人間だけでなくほかの種族にも信仰されています。細かく言えばキリがありませんが、例えばドワーフは金剛神、エルフは大地神などです。そのために逆輸入された言葉があり…」
モニカさんの講義を聞いていると≪言語≫センスが上がった。この前よりも難しい話だからだろうか。 でも子供も一緒に聞いているので難しいというほどもないような。
「なあなあ、空旅人の遊びは何か分かったのかい」
勉強が終わるとこの前俺に遊びを聞いてきた子供が話しかけてきた。
「いくつか教えられるけど、先に自己紹介しとこうか、俺の名前はナントという」
「俺はライツっていうんだ」
「あたしはカミラ」
「私は…」
俺の自己紹介に子供たちが一斉に自分の名前を言っていく。実際半分も分からなかった。
「それで、どんな遊びなんだ?」
ライツがせっかちに問いかけてくる。
「そうだな、まずピンポンパンゲームと呼んでいるものがあるな。互いにピン、ポン、パンと順番に言い合っていくゲームで、ピンと言った人が指さした人が次にポンと言わなければいけない。で、ポンと言った人が次の人を指さした人がパンという。パンといった人が指さした人がまたピンというこれを繰り返して、ピンポンパンが言えなかったり指さすのを忘れたりしたらその人の負け。後、何度も連続して同じ人を指名したらいけない。このくらいかな。まずは実際にゆっくりやってみようか」
何人か集まって座る。俺はライツを指さすと「ピン」と言ってゲームが始まった。
「ぴょん?」
「ポンだよ。これでライツの負け」
「くそう」
「次はライツから始める。さ、どうぞ」
「よし、行くぞ、ピン」
ライツが名前を忘れたが男の子を指さす。
「ポン」
「パン」
「ピン」
ちょっと続いた後俺に指名が来た。
「ぴょん」
「はいナントの負け~」
子供たちが爆笑する。喜んでいるなら何よりだ。
「あと、古今東西と言って、何か一つのテーマを決定してその名前を言い合うというゲームもある」
もう一つゲームを教えてみる。
「どんなのなのそれ」
「テーマを決めてからできるだけ途切れないように次々と言っていくんだよ。魚の名前ならゴウワンサヴァ、アジィというように。詰まったり言えなかったりしたら負け」
「そんなの簡単よ」
「例えば、剣の名前をテーマにしてみようか。テーマを決めたら始まりの合図に古今東西、ゴーという言葉で始める」
こういうのは地方で言い方が変わるので俺がやったので教える。
「行くぞ、古今東西、ゴー。ショートソード」
「剣の名前を言うんだよな。ロングソード」
「えっと、バスタード?」
「えええ。分かんないわよ。花の名前とかじゃ駄目なの?」
「今回は剣の名前だけというテーマだから駄目。でも、できるだけ皆が知っていることをテ-マに使うのがいいな。神様の名前とか町の名前とか。知り合いだけでやるなら花の名前とかでもいいけど」
カミラが降参してゲームが終わった。
「でも剣の名前なんてそんなにないじゃない」
別の事で怒っている。
「それは単にモノを知らないだけだよ。カタナとか、パタ、シャスク、クレイモア…知っている人は知ってる。だから皆が知っている物事でやった方が皆楽しめるというだけだよ」
カミラに説明してなだめる。なだめる?あんまりおさまってないようだ。
「じゃあ花の名前でやってみようか」
仕方ないのでもう一度やってみる事にする。
「古今東西、ゴー。ユーギリ草」
「サイトリウム」
「え、波割草」
「チョウドウ菊」
「これは俺が分からないぞ」
男子の降参でゲームが終わる。
「男子は花の名前が分からない子もいるから、先にテーマは何がいいかを決めておいた方がいいよ。だから遊ぶときそこは話し合いでね」
「はーい」
納得してくれた。
「すいません、ナントさん。この子が一緒に遊べるものはありませんか」
いつの間にか入ってきたラジエルさんが男の子を連れてくる。参加せずに隅の方で本を読んでいた子供だ。
「この子はそこまで話すのが早くないのです。でも、頭はいいのです」
何か昔の自分を見ているようだ。リズムという意味で、俺はこの手のゲームでは負け続けだったから。
「うーんと、それじゃあ最後に紹介するゲームに参加してもらおう。なぞなぞの一種のもの当てゲーム。君は、名前は?」
「トレイル」
「そうか、じゃあトレイル。何か神様の名前を一つ思い浮かべて」
トレイルにお題を出す。俺はライツ達の方を向く。
「今、トレイルが考えている神様の名前を当ててもらう。ライツ達は質問をすればいい。トレイルははいかいいえだけで答える。トレイルは当たったら当たりと言ってくれ」
俺はライツの方に行く。
「じゃあ質問。トレイル、考えている神様は女神ですか?」
「はい」
「こんな感じではい、か、いいえ、でトレイルが答えられる質問をしていく」
「神様の名前だろ。じゃあ俺が行くぜ。それは七大神ですか」
「いいえ」
ライツの質問を皮切りに次々と質問が飛んでいく。
「分かった。シリューズー様でしょう」
「正解」
女の子が名前を当てた。シリューズーって、確か美人の神様だったかな。
「やり方は分かったかい?」
「分かった。このゲームなんていう名前なんだ?」
「さあ。俺たちは名前あてと呼んでたけど」
別の男の子がした質問に俺の記憶から名前を引っ張り出す。
「あと、辞書を使ってやる場合もある。辞書で一つ単語を選んで、はいといいえで答える形だな」
「空旅人はいろんな遊びをやってるんだな」
いや、俺はぼっちだったので実際にやったことはないんだが、それを言っても仕方ないので言わない。 ライツの言葉にそんなことを考えていると部屋にモニカさんが入ってきた。
「あら、まだいたの、暗くなる前に帰らないといけませんよ」
「「「「はーい」」」」
モニカさんに言われて集まっていた子供たちが一斉に散っていった。
「ありがとうございますナントさん。子供たちが無理を言ったようで」
「別に単に遊びの事ですから。ただこれからうるさくなったならすいません」
「それこそ遊びの事ですよ。約束を守ってくれたのがありがたいのです」
そんなものですか。
「それで、ナントさんはこれからどうするんですか?」
「そうですね、王都に腰を据えて金を稼ぎつつ鍛冶などの仕事をやっていこうと思います」
そういえば約束と言えば小人族のユウリの事もある。
「それではまた何かあったら手伝ってもらえますか?」
「手が空いていればいいですよ」
モニカさんの言葉にうなずいて神殿を後にした。




