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102神力はつきますか?

感想、誤字報告ありがとうございます。誤字を訂正しました。

「さて、先に俺のパーティを紹介しよう。俺がまず魔術師をやっているミマイルだ。それから戦士をやっているガリオン」


 いかにもな重戦士なプレイヤーがいる。大きな盾も背負っているので盾役という奴だろうか。


「俺と同じく魔術師のセイレン。まあこっちは俺と違って完全に魔術師型なんだが」

「余計なことは言わなくていい」


 ローブに長い杖を持った。いかにも魔術師なプレイヤーだ。


「ほかにもパーティメンバーは居るけど、今回付き合ってくれたのはこの二人だな」

「それはどうも、俺はナントと言います」

「俺、いや私は神官をやっているメシアです」


 メシアのキャラがブレブレだ。


「それで、実際ここ受けたっていうそのクエストをやるんだけど、どういう行動をしたのかを実際に教えてくれないか」


 ここは俺が教えないといけない流れだな。


「関係ないけど神殿でやった行動ですよね。まずは神様にお参りしました。手を合わせただけですが、7柱全部に。そのあと≪言語≫センスを取ったら言語学習のために神官に子供たちが文字を習っている場所に連れていかれまして、その場で上級神官から夜の見回りのクエストを受けました」

「見回りクエストは今もあるのか?」

「メシアはあるといっています。ほらメシア」

「ある。聖なる道具から聖なる力が溢れそうになったら結界を張りなおすという仕事になるので、定期的に見回るように依頼が出ている」


 メシアを突っついて会話に参加させる。


「それならまずは見回りクエストを受けよう。言語の方は後でいい。じゃあ冒険者ギルドの方へ行ってクエストを受けてくるか」

「そうですね、ほら、メシアも行くぞ」

「俺は神殿の方に直にもらうから行かなくてもいいだろう」

「そういう訳にもいかない。団体行動なんだから、そういえば冒険者ギルドで登録したのか?」

「してないな」

「じゃあついでだから登録しておいた方がいい」


 出不精なメシアを引っ張って冒険者ギルドに向かう。


「ナントはメシアとパーティを組んでいるのか?」


 ミマイルさんが俺にそう話しかけてきた。


「いえ、俺は弟のギルドに参加する予定なのでレンジの方に行かないといけないんです。今回はなぜか≪神力≫センスを覚えたのでその検証のために呼ばれたんです」

「そうなのか、メシアがどうも人付き合いは苦手みたいなんでパーティメンバーかと思ったよ」


 行く道にそんな会話をしながら冒険者ギルドに着く。今回着いたのは今まで来たことのないギルドだった。


「クエストの確認は俺たちがやるから、先に登録してきたらいいよ」


 ミマイルさんの言葉に俺とメシアは混んでないような受付カウンターへ行く。ここは全員女性なので同じくらい混んでいた。あまり意味はない。


「いらっしゃいませ、今日はどのようなご用件でしょうか」

「あれ、メシア?」


 メシアは隣で固まっていた。


「何やってるんだ」

「知らない人と話すのは苦手なんだ」

「俺も苦手な方だけど話さないと先に進まないだろう、頑張れ」


 俺はグジラさんのギルドで登録自体はしているので今回はメシアの登録だけである。


「登録でよろしいですか?」

「はい」


 なんだかんだとメシアは話を進めて登録が終了した。


「これで俺も冒険者だな」

「冒険者は仕事を受けてランクを上げていくのがいいらしいぞ」


 常識を軽く話しながらミマイルさんたちを待つ。


「待たせたか?」

「いえ、それで、どうでした」

「受付にも聞いてみたが、依頼はなかった。神官に直接言わないと駄目なようだ」

「そうですか。ということでメシア、あとは頼むぞ」


 冒険者ギルドの方に依頼がないというのはやっぱり信仰的な理由だろう。


「頼むって、どうするんだ」

「神官の誰でもいいけど、夜回りをするクエストを出してもらって、俺たちがそれを受ける」

「よし、それなら戻ろう」


 来るときの倍の速さでメシアは動いたように見える。


「引きこもり体質なんだな」


 俺はそう呟きながらミマイルさんたちとメシアの後を追った。


「そういえば、ミマイルさんは検証パーティを目指していると聞きましたが、情報屋的なギルドとかはこのゲームにはないんですか?」


 リルさんたちに続いて2組目なのでそういうものかと疑問に思う。


「いや、情報屋プレイをしているレイヤーは居るよ。検証パーティは大体がそういうところに属するか、情報を売っている場合が多いな」

「情報って、高いんですか?」

「それはその時々によるよ。例えば、治癒魔術が発見されているのは無料のおまけで話してもらえる。何しろ真面目に修行するなんて方法でしか獲得できないんだから。けど、これがお手軽に手に入るなら高値になるだろうな」


 やっぱり時価というものがあった。俺が知っている情報も売れるのだろうか。問題は俺がβ版をプレイしているわけではないのでどう違うかが分からないのと進んでいないのでそれが売れる情報かどうかが分からないという事だろう。

 そんな話をしつつ神殿に到着する。メシアと、上級神官のモニカさんが表に出ていた。


「こんにちは。今回は夜回りの依頼を受けてくれるそうですね」


 メシアの手際がいいのか、神殿についてすぐ見回りのクエストが受けられた。


「お久しぶりです。メシアに無理を言ったようで、どうもすいません」


 クエストのために出てきてくれた上級神官のモニカさんに挨拶する。


「いえいえ、でも、これからは冒険者ギルドの方に依頼した方がいいのかしら」

「そうですね、人柄を見るか効率を見るかという話ですしね」


 効率なら冒険者ギルドに頼んだ方がいい。いや今回のクエストでの結果次第か。俺が口出す話でもないし保留にしておこう。


「この夜回り自体は月一でやるように決めてあるんですよ」


 それはこれがマンスリークエストとかいうものだと言っているですね。いや大体1時間を1日、4時間だから4日に引き伸ばしているから七四二十八で現実の一週間に一回ぐらいか。ウィークリーというものかな。


「この前やった大掃除で聖なる力は溢れなくなったんじゃなかったんですか?」


 俺は思い出して聞いてみる。


「それが、なかなか収まらなくて、だからひと月に一回ほどの割合で確認することになったの」


 そういうものですか。でもこれで≪神力≫を獲得しやすくなるかもしれない。


「おーい。ナント、少しいいか」


 何かミマイルさんに呼ばれた。


「夜まで少し時間があるから、夕方に待ち合わせることにしていいか」

「いいですよ。前出発したときは夜になって少したってからでしたから、そこまで急ぐものでもないでしょう」

「そうか、それなら夕方に集合だな。それじゃあ一旦解散ということでいいな。メシアにも伝えておいてくれ」


 そういえばなんで俺がミマイルさんに説明されているんだろう。メシアはどうした。

 メシアはモニカさんの隣でこっちをじっと見ていました。


「ちょっとメシア、なんで話し合いに参加しないんだ」

「え、話してるところに口を出したら悪いだろう」

「話を聞くだけ聞いておいてくれ。いったん解散して、夕方に集合だってさ」


 俺の言葉をふむふむと確認するメシアに、俺は呆れてしまった。


「それじゃあ俺も行くから」

「どこ行くんだ」

「図書館に行くんだ」


 暇つぶしは本屋か図書館が一番だ。


「じゃあ俺は神殿に残るから」

「メシアさん、ナントさんが図書館に行くなら、図書館で神の事が書かれている本を探してきなさい。いつも神殿にこもりきりというのは健康によくありません」


 俺だけじゃなくNPCからも心配されてるってどういう生活をしているんだろうか。モニカさん言葉にメシアも図書館に行くことになった。連れて行くのは別に構わないので連れ立って図書館に行く。


「ここが図書館か、神話関係はどこだろう」

「それは図書館の司書の人に聞かないと分からない。ああ、入り口のここにある本は図書館側が親切にこの世界で必要な知識をまとめておいてくれたコーナーだから先に読んでおくと便利だぞ」

「そうか、ありがとう」


 タイマーをセットして夜になるまで本を読む。一日中呼んだ前と違って昼から夜なので時間はすぐに過ぎた。


「あっと、時間か」


 タイマーが知らせてくれて外を見ると日が沈んでいくところだった。まずい、急がねば。


「メシア、時間だ、急ぐぞ」

「もうそんな時間か」


 初めのコーナーで止まったまま読んでいたメシアに声をかけて急ぐ。

 日が暮れる前には神殿に着いた。しかしミマイルさんたちの方が先に到着していた。


「すいません、遅れました」

「いや、まだ時間はある。神へのお参りは済ませておいた。それで、以前はどんな行動をしたんだ?」

「特別何をということはしていません」


 俺は前の行動を思い出す。


「幽霊だという白い影を確かめるクエストで、幽霊だとおびえるサンドラさんと冷静なラジエルさんと一緒に何かあった時の壁役ということで参加しました。そこでしばらく見回ったら、聖なる物を収めてある部屋の外で白い影と遭遇しました。ラジエルさんの鑑定で聖なる力と判明したので、神官長に報告して終わりです」

「それだけだと遭遇しただけで≪神力≫を獲得したことになるなぁ」


 確かにそうなる。


「聖なる力かどうかの鑑定はどうやってやるんだ?」

「誰か神官についてきてもらった方がいいでしょうか」


 大掃除の時には呪われたアイテムもあったので呪われた力などあったら大変だ。


「いや、鑑定自体は俺も持ってるから、まずはそれで確認しよう」


 俺としてはついてきてもらった方が安心するんだが、メインの検証はミマイルさんなので任せておこう。

 神殿に入るとまだセンスの販売所は開いていた。プレイヤーもそこそこいる。神官は知らない人だ。いざとなればこの人を呼ぶということにしよう。

 夜回りとはいえ今回は聖なる力が溢れているかどうかを確認するだけなので聖なる物を収めた部屋の近くにまっすぐ行く。


「白い影だ」


 前と同じような白い影が浮かんでた。この前はよく見なかったので根元がどこかとよく見ると、部屋の扉から漏れているようだ。


「聖なる力なのは鑑定した。名前もそのまま『漏れ出した聖なる力』だとある」


 そのままの名前だ。


「どうだ≪神力≫のセンスはあったか?」

「いや、ない」

「こっちもだ」


 ミマイルさんの問いにガリオンさん、セイレンさんも自分のステータスを確認しても≪神力≫センスはないようだ。


「さて、するとどうやったら≪神力≫がつくのか、ナント、ほかに何かないか?」

「他にですか」


 あの時やったのは、触ったことぐらいか。それに俺自身は≪神力≫センスを確認できず、神官のラジエルさんが教えてくれるまで隠されていたこともある。


「たしか白い影が特に攻撃してこなかったので触ってみました。ダメージを食らいましたね。後、神官に確認してもらうまで神力がついたという事を知りませんでした。インフォからすると隠されていたそうです」


 俺の説明にミマイルさんたちが相談に入る。


「誰が触りに行く?」

「私が行こう」

「俺も欲しいから触りたい」

「じゃあセイレンとガリオンが触ってくれ。俺はもう≪神力≫がついているかもしれないから触らないでおく」


 相談はまとまったようだ。ガリオンさんとセイレンさんが白い影を触ってはびくっとダメージに反応していた。


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