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オトギの国のルイス〜王子様になるために来ました〜  作者: 城壁ミラノ
第3章

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オトギの国へようこそ

 次に魚に塩を振り枝に刺すと、それを地面に刺して焚き火でパリパリになるまで焼いた。


「これ、憧れだったんです」

「THE、冒険ご飯って感じよねぇ」


 ルイスのわくわくに、ペルタとアンドリューも笑って応えた。


「もう、いいかもな」

「いただきます……美味しい!」


 ルイスは川魚を初めて食べたが、柔らかい身とぼよい塩味が、疲れた体を回復させてくれるようで夢中で食べた。

 2匹をペロリと平らげると、チタンマグに入ったスープを飲んだ。


 夕焼けのなか、まったりとした空気が流れた。


「どうだ、ルイス、オトギの国の森は?」


 アンドリューが聞き、ペルタが笑いかけた。


「とても楽しいです。モンスターも見たし……」


 ルイスは一日を思い返し森を見た。


「ドラゴンは、この辺にはいないみたいだけど」


 平らな森から連なる山に目を向けて、あっちにはいるかなと思った。しかし、深い森がそのまま山になっていて、登るのは大変そうだった。中心に城があるはずだが、山の向こうにさらに山があるだけだ。


「この辺は、人がよく歩くからな」


 ルイスは顔を焚き火の方に戻してうなずいた。


「人といえば、この辺にいる冒険者達はみんな、悪い人じゃなさそうですね。危ない感じがないというか」


 隣で野宿している冒険者達も、昨日隣で野宿していた冒険者達も、町を歩いていた者達も。


 なんとなく、観光客な雰囲気もあった。


「まだ、序盤の場所だからでしょうか?」

「そうだろう」

「王子様全員、この辺に居てくれたらいいんだけど」


 ペルタは悲しげに目を閉じたが、すぐに思い直して目を開けた。


「まぁ、どこにでも居てくれるのも、嬉しいけど」

「うん、悪い人ばっかりじゃ困りますもんね。奥に進むとどんなだろう? 来た時の楽しみにしてたから、オトギの国についてよく知らないんです」


 ルイスはわくわくして笑った。


「手に負えないほど暴れる奴はそういない。多くは国王決定戦が始まるまで、無駄な争いは避け、力を温存しているのだろう」

「数年に一度の、イベントみたいなものよね」

「全く、王を決めるのだぞ。それがお祭り騒ぎであきれた国だ」


 アンドリューは生まれた国に容赦なく言った。


「ほとんどの人は、王になるためにオトギの国に来てるんですかね?」

「どうだろうな、冒険を楽しむだけで去る者もいるし、町の住人になる者もいるし」

「僕も、オトギの国の住人になりに来た者ですよ」


 アンドリューとペルタは笑顔になった。


「歓迎する」

「大歓迎よ」


 ルイスは感謝と喜びの笑顔を返した。


 その夜は、ラグに横たわって、満天の星空を眺めながら眠りについた。

 一日目にはなかった動物の鳴き声がよく聞こえた。キェーッという甲高い鳴き声は、昼間見た怪鳥だろうかと一行は警戒した。しかしそれだけで、やはり平穏無事だった。

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