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星の抑止力

「これからはこのレイシアめの力、存分にお使い下さい。黒薙様………いえ、マスター。」

レイシアはそう言い放つ。

当然、黒薙は状況が読み込めない。

「えっと…どういう…」

そう言いかけたとき、黒薙の背後に魔獣が飛びかかる。

呑み込め、混沌の剣(ブレイドオブシャドウ)!」

「グギァッ!」

「…先ほどの残党のようですが、それもここで片付きました。マスターを傷つける者に容赦はしません。」

物凄い覇気を放ってレイシアは睨みつける。

なぜこんなに麗しい少女が、ここまでの覇気がだせるのだろうか。

「え、えっと、レイシアさん…どういうことですか?」

「レイシア、で構いません。タメ口でも結構です。私はあなたに忠誠を誓う騎士ですので。」

「あ、うん…。レイシア、これはどういう事?忠誠を誓う騎士って、何?」

「紛れもない。あなたは”星の抑止力”。この廃れたグランディアを救い、世界を希望に導くのは、紛れも無くあなた。我々”魔剣使い”は、貴方に忠誠を示し力を貸すもの。そのような関係でございますよ、マスター。」

さも当たり前のことのように淡々と話すレイシア。

「色々、というかほとんど理解できないのだけど、もうちょっと丁寧に…教えてくれないかな。レイシア。」

レイシアは、数秒ほど頭の中でどう説明すべきかを思い描く。

「…分かりました。それでは、まずはこの都市『グランディア』の方から説明致します。」

「グランディア?」

黒薙にとっては当然の反応だ。

「はい。ここはかつて、独自の発展を極めた世界有数の”魔術都市”でした。魔術都市というのは、魔術を利用する人々によって作られた国家の事です。国民の多くが魔術を使うことができ、高度な魔術を学ぶことも出来ます。私の持つこの魔剣も、魔術を利用したものです。」

魔術を利用しているのことは理解するも、そもそも魔術が何かを知らない黒薙は、レイシアに問う。

「独自の発展を極めた魔術都市…。『魔術』について、もう少し詳しく。」

「はい。魔術には、『属性』があります。生命・炎・大地・金・水……そして、太陽と月。この7種類こそが、魔術の基本です。魔術は、属性に応じたものを使用することが出来ます。例えば…『我が剣は閃光の如く(エレクトロン)』は、『金』属性を利用したものです。琥珀の力を借りています。基本は、このようなものですね。」

属性によって区分される魔術。先ほどのレイシア一閃は、魔術を利用したものだ。

しかしここで、黒薙は一つの疑問を感じた。例のグランディアという国家は、どこにあるのか。

「………それで、グランディアは今どうなっているんだ?見た感じ、この辺りに文明の様子はない。いくつか廃墟のようなものがあるけど……まさか、」

間髪入れずレイシアが応答する。

「はい。滅びました。グランディアだけでなく、世界が。むしろ、()()()()()()()()()()()()()()のです。

グランディアは、国自体に強力な結界壁を創って

おりました。”滅び”に耐えられたのも、唯一結界壁があった、グランディアのみです。結界壁があったこの地でさえ、このような甚大な被害を受けています。まさに人類最後の砦が崩されかけている所ですね。」

あまりにもスケールの大きな話の中で、クロなは純粋な疑問が浮かんだ。むしろ好奇心にも近い質問だ。

「一つ、大きな疑問が。この世界は、()()()()()んだ?」

「魔王です。魔王の『力』は地球のサイクルを崩す”滅び”。魔王によって、この世界は壊されました。このままでは、二度と元には戻らない。それが壊されるということです。……しかし、ある方法を除いてですが。」

含みのある言い方だ。

「…ある方法?」

「地球には、永久的に廻り続けるための『防衛機構』が存在します。それこそが、魔王に対抗する唯一の手段。壊された輪廻を取り戻すための、”滅び”の抑止力。」

「抑止力……。じゃあ、それが…。」

レイシアは真っ直ぐと黒薙を捉え、息を吸い込む。

「ええ。あなたです、マスター。あなたこそが、星の抑止力。地球最後の防衛機構。()()()()()()()()ただ1人の人間です。」





___とにかく今は、私達の拠点へと向かいましょう。

レイシアに先導され、拠点へと向かう黒薙。

「…あなたには、まだ星の力が目醒めていません。むしろ、平凡な人間のそれです。今そのことに魔王に気付かれれば、取り返しのつかないことになりかねない。あなたの命が危ないということです。」

「うん…じゃあ、どうすれば?」

「魔王は何かを通じてあなたの名を知り得ているかもしれない。ならばせめて、名前を偽装すべきです。……そうですね、これからあなたは『クロ』。少し安直ですが、名を隠すには十分でしょう。」

新しい名前、クロ。元より、黒薙には名前以外の記憶など無いため、特別思い入れがあるわけでもなかった。

「さて、見えてきましたよ。マスター!」

レイシアが珍しく明るい声を上げるので、クロは一体どんな拠点なのかと無性に気になった。

「…!!」

煉瓦造の建物である。二階建てらしい。大きめの時計塔が併設されていて、居住用以外にも何やら広めの部屋が見られた。

「ここが我らの拠点ですよ。……っと、おーい!!レオはいるかーっ?」

「はいはい、そんな大声で叫ばなくても分かりますよ。おかえりレイ。今開けるから、待ってろ。」

どこからか穏やかな男性の声が聞こえる。どうやらレオと呼ばれた人物のようだ。あだ名だろうか…。クロは周りを見渡すも、特にそれらしき人はいない。

『北門、解錠。セキュリティ維持のため、速やかにお入り下さい』

今度はアナウンスらしき声が聞こえた。声は、先ほどの男性のものである。

「それでは、入りましょう。廃墟を利用したものですが、住み心地には自信があります。」

門をくぐり、敷地に踏み込む。


「ようこそマスター。私達の”ドラグレア・グランド”の本拠点へ。まずはゆっくりとお休みください。」

どうもこんにちは。あんこです。

今回は難しい話が沢山出てきました故、よく分からない方もいらっしゃるかもしれません。

詳しいところは後々分かっていきますが、今回までの内容で分からない所があれば私に聞いて頂ければ。Twitter→@96anmochi

ところで、ここでは軽くこの作品を書こうと思いたった理由なんかを述べましょうかね。

唐突ですが私、昔から「地球」とか、「人類」についてよく深く考えるんですよ。家族もそうなので、夜遅くまで語り合ったりするんですけども(笑)

そんな中でとりあえず導き出した、「地球のサイクル」についてをこの物語を通して書いていけたらなぁ、と思ったのです。

「地球のサイクル」なんて言ってピンとこない人がほとんどだと思います。私の造語ですし、一般的にそんな言葉が使われているのかもわかりません。多分、使われてないでしょう。

分かりやすい所で言うとですね、水です。

水の循環は多くの人が知っていると思います。雨が降り、川になり、海となって、それらが蒸発して雲になる。そしてまた雨が降り…といったものです。このようなサイクルは、地球の多くの現象で言えるのかなぁ、なんて。そんな部分をみなさんにお伝えできるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします。


あんこ

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