麗剣の魔剣少女
_____あなたは、星の一部。
「…?…………っ」
身体中のあちこちが痛い。魂が削られている気分だ。
_____もう一度、立ち上がって…。
「はっ…、それが出来てたら…ぐっ……苦労しねえよ。」
_____私が、力を貸します。これからあなたは、私の半分。
「っ、なんだ…なんなんだオマエはよ…」
_____どうか世界を…取り戻して…。あなたは…グランディアを…救わなければならない。
「…はぁ?…っ…なんだよ、世界って…グランディアって…何だよっ…。」
_____あなたはもう、知っているはず。あなたが…救うのは______。
そこは魔術都市グランディア。魔術都市、とあるように魔術によって支えられている都市である。
そも、魔術というのは物質のエネルギーを利用し、変換するものである。例えば、モノを燃やすと炎が出るが、魔術を使えば直接炎に変換することが可能である。このような、途中のプロセスを術式によって行うことで、瞬時に様々な事ができるのだ。
この魔術を生活に役立てているのが、魔術都市グランディア。世界の中でも有数の魔術都市だ。
そんなグランディアには、もはや人の住んだ跡はない。
廃墟の数々、壊れた魔術式、活気溢れる街の姿は既にない。
ましてや、その外壁の外を気にするものなどいないだろう。見ずとも知っている。外など無い。全て滅んだ。このグランディア以外は。人類は、既に滅びたも同義。
でも、それでも。地球は輪廻する。
「……んん。」
眩しさを感じ、目が醒める。先程まで、何か夢を見ていたような…
「グォアアアア!」
何かの叫び声を耳が受け取るより先に、その目が異形を映し出した。
「…っ!なんだこいつ!」
気づけば、大量の獣に囲まれていた。その姿はおぞましく、獣らしい距離感をとって佇む。
「グルルルゥ…グォアア!」
獣が爪を立て、一斉に襲いかかってくる。
…あぁ、ここで死ぬのかな…今までの記憶がよみがえ…らない。なんにも思い出せない。走馬灯なんて無いじゃねえか!
獣の爪が眼前に迫る。
「ぅ…うわぁぁぁぁぁ!」
「我が剣は閃光の如く!」
ヒュンッ。
「…っ………?」
目を開けると、自分を取り囲んでいた獣は全て横たわっていた。
「ご無事ですか、旅の人。」
「………は、はい。」
何が起こったのだろう、今の一瞬で。
「安心してください。悪しき獣は裁きました。私の名はレイシア。しがない魔剣使いですが、以外お見知り置きを。」
麗しい見目の少女は剣を鞘に収めつつ、そう名乗った。
「あなたのお名前をお聞きしても?」
「あ…俺の名前は………黒薙です。……うん。思い出せるのはこれだけだけど、よろしく。レイシアさん。」
黒薙の自己紹介を聞いたレイシアは、少し驚く。
「ここらでは聞かない名ですね。なんにせよ、これからはどうぞよろしくお願いします。…それでは、私はまだやるべきことがあります故、失礼致します。どうかお気をつけて。」
そう言い残し、レイシアは再び歩み始める。
しかし、黒薙の横を通り過ぎようとしたそのとき。
レイシアはピタリと歩みを止めた。
「…!まさか、星の…!?いやしかし、でも…」
「どうか、しましたか?レイシアさん。」
10秒程の時だった。まるで時が止まったかのように考え込むレイシア。黒薙はただ、それを見つめる。
「……どうやら、私の目的はあなたのようです。これからはこのレイシアめの力、存分にお使い下さい。黒薙様………いえ、マスター。」
どうも!この作品では初めましてのはずです。あんこです。
と、言うのもですね、新しく「太陽と月のカオスグランディア」という物語を書き始めました。
内容は、はい。現在連載中のあの話とはまた違った雰囲気ですね…。
気が向いたら、読んでいただけると私がめっちゃ喜びます!
あんこ