周期表
理科の授業で、水素と酸素が反応すると水ができるということを教わった、という話をしたら、兄が周期表をくれた。
「なにこれ?」
「周期表。」
私の兄は頭がいい、県でもトップクラスの進学校に通っているくせに、学年トップ10には入っているくらいは勉強ができる。
、しかし、コミニケーション能力は絶望的だ。
こちら側が伝えたいことは大体伝わっているようには思うが、兄が何言ってるかはあんまりわからない。
頭が良すぎてこちらの想定を超えるようなことを言ってるのかもしれない。
「それはいいんだけど、これをどうしろと?」
「?、使うだろ?」
「いや、使わないけど。」
「そうなのか。まあ、面白いからもらっておけ。」
「あ、うん。くれるっていうならもらっておくけど。」
せっかくもらったので、とりあえず眺めてみる。
大体一文字か二文字くらいのアルファベットが並んでいる。その下にカタカナで名前っぽいのが書いてある。
そうやってぼーっと見てると、左上に水素と書かれているのを発見した。
あ、今日習ったやつだな、と思って、酸素っていうのもないか探してみた。
酸素は右上の方にあった。
じゃあ次は水を探そうと思ってみたけど、水は見つからなかった。
隅から隅まで隈なく探したが、水という文字は水素のところにしかなかった。
代わりに、金とか銀とかは見つけた。
「ねえ、アニペディア」
まだ近くにいた兄に尋ねてみることにした。
「水素とか酸素はあったんだけど、水は見つかんなかった。なんで水はないの?」
「水は元素じゃないからな、周期表には元素しか載ってないよ。」
「元素ってなに?」
「元素は単位だな。」
「単位?メートルとかグラムとかと同じってこと?じゃあなんで、メートルとかグラムは載ってないの?」
「用途が違うからな。」
ここから知りたいことを聞き出すまで時間がかかったので省略する。
ちょっと何言ってるかわからないこともあったが、アニペディアによると、この世界にある物質をものすごく拡大してみると、原子というものが見えるらしい。その原子の種類の一覧が周期表ということらしいのだ。
原子と元素は違うらしいが、よくわからなかった。あと、元素は単位だと言ってたのも結局わかんなかった。
水が周期表に載っていなかったのは、水という物質は水素と酸素という原子からできていて、水という原子は存在しないからだそうだ。
周期表は並べ方にも理由があるらしいのだけど、それは教えてくれなかった。
面白さも分からなかった。
でも、わからないままというのはつまらないので、いつかわかるようになりたいと思う。
そして、私が今教わっていることというのは、大人が知ってることのほんの表面に過ぎないということをすごく感じた。




