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未定  作者: む
1/3

誕生日

 今日は私の14回目の誕生日だ。

 他の人にとってはただの何でもない一日でも、私にとっては特別な一日だ。

 

 親、兄妹から”おめでとう”と言われて一日が始まり、学校へ行くと、仲の良い友達からこっそりプレゼントをもらったりして、いつもはボーっと聞いてる授業もなんだか今日はちゃんと受けたくなる。


 放課後、部活が始まる前の時間、いつものように図書室へ行く。

 この時間、図書室にはほとんど人がいない。

 何となく目に留まった本を読んだり、司書の先生とお話ししたり、学校のなかで一番好きな場所だ。


 今日は私しか来ていないようだ。

 なんとなく、先生にも私が誕生日であることを知ってほしくなった。


 「先生。私、今日誕生日なんだ。」

 「あら、そうなの?おめでとう。二年生だから、14歳になったのかな?」

 「そう、14歳。」

 

 カウンターに座っていた先生に話しかける。眼鏡をかけていて、若干白髪の混じった、年配の先生だ。人の好さそうな笑みをいつも浮かべていて、私の他愛のない話をいつも聞いてくれる。


 そういえば、ふと気になったことを聞いてみる。

 

 「ねえ先生、私は今日14歳になったんだけどさ、2月29日が誕生日の人って4年に一回しか歳とらないのかな?」

 「あはは、そんなことないよ。」

 「でも、誕生日こないじゃん。」

 「うーん、まあ、誕生日は来ないんだけどねえ。歳はとるんだよ。そもそも、年齢が上がるのは誕生日の前日なのよね。」

 「えっ!そうなの?誕生日に歳とるんじゃないの?」


 なんてことだろう、私は実は昨日のうちに14歳になっていたというのか。


 「なんでそうなってるの?」

 「そうだなあ、生まれた日をスタートにしてカレンダーを一日ずつ埋めていく、って考えるとわかりやすいかなあ。そうすると、誕生日の前日に全部埋まるでしょ。だから、その日に一年生きた、ってことなんだと思うよ。」

 「ほえー、なるほどねー。じゃあ、今日は私にとって新たな始まりの日ってことなのか。」

 「面白い言い方だね。まあ、だから2月29日生まれの人は2月28日に年齢が上がるから、ちゃんと一年で一歳をとるってこと。」

 「そうなんだ。でも確かに、それだとちゃんとみんな歳とれるね。」


 今は年齢が上がるのが嬉しいけど、だんだん歳をとりたくなくなる日が来るのだろうか。

 誕生日は年齢が上がったことを喜ぶ日ではないのかもしれない。

 なんとなく、そんなことを考えながら、先生と部活の時間が来るまで話した。


 「あ、いけない、もう部活始まっちゃう。じゃあ先生またね。」

 「はい、いってらっしゃいな。」


 それから、部活に出て、先生から聞いた話をさも自分が知ってた話のように話して、落ちがうまく着かなくてちょっと滑って、それから、家に帰って、いつももよりちょっと豪華な夕食を食べて、布団に入って今日のことを思い出した。


 特別な一日、私が生まれた日、心の中で”産んでくれてありがとう”と思って、眠りについた。

  

 



 

 

 


 


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