ノーリーダー・ノーライフ。
ダラッと長い。
理屈がうるさい(´_`illi)
準備部の三人も空気を読んでか今日ばかりは大人しく席に着いている。
そこに菊池と長谷川が加わり、俺の方から召集をかけたメンバー全員が放課後の美術準備室に揃う。
「これで全員揃ったな。まあ、今さら余計な話から入っても意味ないだろうから簡潔に話す。七瀬はしばらく学校を休む」
返事もないが、ざわつきもしないところをみると、これぐらいは皆予想していたのだろう。
「心配はしなくていい。体調の方はもう問題ない。じゃあ、何が問題かってのはもう言うまでもないよな?」
まだ誰も口を開かない。むしろ早く先に話を進めろといったところだろう。
「うん。でだ、まあ、それに伴って生徒会長も降りることになった」
生徒会側の二人の空気が露骨に変わる。
「それは会長のご意思ですか?」
ほら来た。
いつも通りの感情を押さえた様子の長谷川だが、その声には明らかに険がある。
「提案したのは俺だ。しかし、最終的にそれを選んだのは七瀬自身だ」
「どうして私達に一言も相談がないんですか」
そう言った菊池も抑えてはいるが、長谷川以上に菊池の態度には余裕がない。
「仮にお前に相談したらどうした」
「もちろん止めました。会長が辞める必要なんてありません。いつでも戻って来れるように待ちます」
「七瀬もお前達ならそう言うだろうって予想してたし、それに応えるつもりでもいた」
「だったら」
「だから俺が辞めるように言ったんだよ」
「どうしてですか! そんなのって、あんまりじゃないですか!」
「菊池さぁ」
菊池の剣幕に、そう口を出したのは俺ではなく岬だ。
「七瀬が学校休む意味わかってへんやろ」
「わかってますよ! ちゃんと休んで、そしたらまた戻ってきたらいいじゃないですか!」
「ああ、わかってへんわこいつ」
菊池が手元のペンケースをひっ掴むと岬に投げつける。
しかし、相手は岬なので顔面はるか手前でそれはあっさりキャッチされてしまう。
「あなたに……あなたにわかってないなんて言われたくない!」
そう叫ぶ菊池の瞼には、すでに涙が満ち満ちていて今にもこぼれそうだった。
「今のは岬が悪い」
「だって」
「杏ちゃん」
松野にたしなめられ、下唇を突き出す岬。
「菊池も落ち着け。お前の七瀬を思う気持ちはよくわかる。でもな、七瀬は会長を続けたままだと、あいつはずっとそれに責任を感じてしまうだろうし、お前達と約束してしまったら、それに応えようと無理をするのは目に見えてる。少し嫌な言い方するけどな、それは今の七瀬にとっちゃ全部、足枷になっちゃうんだよ」
とうとう貯水量の限界を超え、ぽろぽろと玉粒の涙をこぼす菊池。
結局、とどめ刺したのは俺か……。
「生徒会命のあいつが自分からこの決断を下すという辛さと同時に、それ以上の辛さも抱えていたってことはわかってくれるよな? とりあえず今は生徒会をこの残ったメンバーでどうするかが先決だ」
「せやな、二人で頑張るしかないもんな」
「いや、俺も合わせて六人だ」
「せやな、五人で頑張るしかないもんな」
「この空気の中で、さりげなく自分を除外するのやめろ岬。準備部は元々そういうポジションだろが」
「うちの辞書には不可能という文字しかない!」
「すぐに燃やせ」
ってか、もう辞書じゃないだろそれ。
俺が岬に突っ込んでいると、周りのやりとりを眺めているだけだった長谷川が声をあげる。
「別に手伝っていただかなくて結構です。私と菊池で何とか乗り切りますから」
「何とかって無理だろう」
「ではこの中でオフィスソフトが使える人いますか」
「まぁ、一応使えるが」
俺が手を挙げると、隣りに並んだ三人はなぜか堂々と自分の正面を見つめている。
「え、松野とかパソコンとかものすごく強そうなのに」
「まぁ、お世話にはなります。ただ、普段主にどういうサイトを見ているのかなんてデリカシーに欠けることは訊かないでください」
デリカシーに欠けるようなところを見てるんだな。
とにかく、まずは七瀬のいない生徒会の態勢の立て直しからだが、
「えーと、とりあえずは会長を長谷川にして副会長が菊池でいいよな?」
「む、無理です。私、副会長なんか」
「無理だな」
まだ目の端に涙を溜めている菊池を長谷川がバスっと切る。
「うぅーわかってますよ。ダメ押ししなくてもいいじゃないですか長谷川先輩」
「いや、そうではなく無理なのだ。菊池が副会長になるのも私が会長になるのも」
「どういうことですか」
菊池の無垢な質問に長谷川の肺からありったけの息が漏れる。
「菊池、これは最初にお前を書記にした時に説明してるはずだが」
「す、すみません」
役職もらって、うわのそらな菊池の姿が3Dで目に浮かぶ。
「で、どういうことなんだ?」
「生徒会の入りたがる人材がいなかったから私も菊池も無条件に役職に着いてますが、本来会長も副会長も書記も選挙によって決まります。更に一度着いた役職は年度一杯まで変わることができない規則になっています」
「ほんなら今から会長選挙をするってことか?」
「もしくは顧問からの直々の任命か」
そう言った長谷川以外の面子が一斉に俺の方を向くが、それにはすぐに長谷川から修正が入る。
「忘れてるようですが犬村先生は準備部という仮の部活の顧問であり、そもそも準備部は生徒会の元にあるのです」
「つまりポチさんは、バイトリーダー補佐みたいなものですね」
なんでもいいけど、『補佐』はいらなくね?
「そう言えば生徒会顧問っていないのか?」
「去年まではいました。会ちょ……七瀬先輩の現在の担任がその人です」
「なにかあったのか?」
「会ちょ……七瀬先」
「いや、もう会長でいいよ。皆わかるし」
こくりと頷く、長谷川。
「会長はご存知の通り積極的に新しいことに取り組もうとする人です。しかし顧問の先生はどちらかと言うとその辺には保守的な方でした。会長は、去年の文化祭の時点で会長は特設ステージを設けようと企画しました。一度は通った案件でしたが、いざ予算の話になった段階で全部ひっくりかえしたのが当時の顧問、今の会長の担任の先生です。結局特設ステージの話は流れてしまい、そのことでついに我慢の限界が来た会長が校長に直談判して顧問から外させたのです」
なるほど。今回の七瀬のいざこざに担任がどうも無関心な感じがするのもそこら辺の事情があるのかもな。
「なんにしても、顧問どうこう関係なく、こんなタイミングで会長になりたい人なんていないでしょう。だから私たち二人で頑張ります」
結局ふりだしの答えを持ってくる長谷川。
んー、何か引っかかると言うか、もしかしてそれだけのことかと言うか。
「長谷川、七瀬の代わりの会長って欲しいか?」
「正直に言えば必要ありません」
「じゃあ、生徒会の人数が増えるってのは? 一時的にだけど」
そこで長谷川が準備部の面々をひと舐め。岬に視点を止めて、
「バカばっかりならいない方がマシです」
「ああ、わかる。それめっちゃわかるわー」
同意を求められたと勘違いする岬。
刺されてることに気付かないほどのバカってすごい。
「向き不向きは長谷川が決めたらいい。それに人海戦術で何とかなることもあるだろう」
「あの、先程もお話しましたが、会長はもちろん、こんな状況の生徒会にわざわざ入りたいなんて人はいないと思います。いえ、そんなバカな考えをここに来て口にするぐらいなら一層どこか見えないところに行って欲しいとまでは言いませんが」
長谷川の気遣いは染みるな。傷に。
「わかった。そんなバカなことあるわけないだろと、それだけの話だな」
訝しげな表情の長谷川の目が「バカ?」と言っている。
それから、俺はもうひとつだけ考えていたことを長谷川とそして菊池にも提案してみた。
二人のどちらかが否という雰囲気を僅かでも見せれば速攻引くつもりだった。
しかし意外にも二人ともあっさりと首を縦に振ってくれた。
もう……何ていうか……こんな感じで、読んでて退屈な回が続くかもです……。
もう修正作業してこれなんで話をすっ飛ばしたいのですが、それはそれで後々話がちぐはぐになりそうで……。
テキトーに流してください。




