メディアポリシー。
結局、先方に事情を話してみたところ、
普段の学校での様子も絵としてあった方がいいということで翌日取材を受けることになった。
新聞の取材とは違って写真ではないので、
終始カメラが回っている状況に緊張しっぱなしの七瀬だったが、
それも高校生らしくていい取材だったように思う。
ちなみに撮影は生徒会室で行われ、生徒会のあとの二人も生徒会の風景として映った。
放送時には
『勇気ある美少女生徒会長 星欄高校三年 七瀬朝乃さん』
と書かれたテロップが映像に重ねられた。
「もぉー、見た? 美少女生徒会長なんて、いくら何でもあれはちょっと恥ずかし過ぎるわよねぇー!」
そうやって非難の声をあげる七瀬の顔は、
見ているこっちが笑ってしまいそうなほどに嬉しそうだった。
この後、七瀬のテレビ出演は以外な広がりを見せ、
校長からの指示もあり、校内では番組の再放送時間まで連日校内放送で流れたり、
新聞部から取材を受けたり、普段付き合いのない生徒から遊びの誘いを受けたりと、
本当にちょっとした『時の人』となった七瀬。
しかし、浮かれていられるのもそこまでだった。
番組を見た中に文化祭に来ていた他校の生徒がいたらしく、
七瀬のシンデレラや猫耳画像と共に番組がネットにアップされるようになり、
次第に学校関係者しか撮れないような写真までもが、
競うようにネットの海に撒かれていった。
そのことに学校側が気がついたときには、
すでに回収不可能なほどに広まっていた。
行為は冷めることなくエスカレートしていき、
野次馬が校門前に殺到したり、
七瀬自信いきなり写真を撮られたり、
直接声をかけられるなどということが続いた。
その為、警察に相談し、学校周りの巡回を強化してもらい、
七瀬が帰宅する際も俺や他の教師がバス停まで付き沿うことになった。
皮肉なことに、
七瀬は本人の意図しない形で芸能人のような日々を味わうことになったのだ。




