005 古雅咲の相談(2)
「衛くんったら本当に可愛いんですよ。この前も私の手作りケーキをおいしいおいしいってほっぺにクリームつけながら食べてて、本当にもうぺろぺろしたくなって理性を抑えるのが大変でした♪」
「………………」
人の好みというのは千差万別。
そんなのは当たり前だし、口を出すようなことではないと思うんだけど……はたしてこの場合はどうなんだろう。
一応教師として、それとなくノーマルな道に正してやるべきなんだろうか……。
「……あ、あの、咲ちゃん? その、衛くんとは随分と歳が離れているみたいだけど……そこのところどうなのかな?」
「どう……とは? 何か問題でもありますか?」
「いや、その、問題っていうか……ね? 咲ちゃんは三年生だから十五歳でしょ? でも衛くんは五歳……ということは、十歳も差があるわけじゃない。やっぱり、恋愛するならもう少し歳の近い子のほうが――」
「どうしてですか? たかが十歳差じゃないですか。恋愛に歳の差なんて関係ないですよね?」
「ま、まあそうなんだけど……ね? 何ていうか、五歳っていうのがやっぱりっていうか、せめて衛くんがもう少し大きくなってからでも――」
私がそう言うと、咲ちゃんはさぞ不満そうな――というより私の発言が不思議で仕方がないというような表情で答えるのだった。
「は? 男は六歳までが旬じゃないですか」
……この子、もうたぶん手遅れかもしれません。
子供はやっぱり幼稚園くらいがかわいい盛りですよね。
恋愛感情は抱きませんが……。