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とある離島の保健室  作者: なる。
一学期
5/29

004 古雅咲の相談(1)



 保健室を訪れる生徒たちが最もよく持ちかけてくる相談は、やはりというか何というか恋愛関係がダントツの一位だ。

 中学生といえば思春期真っ盛り。そろそろ異性が気になる年頃なのだろう。

 実際、私だって男の子を意識し始めたのは中学生になるかならないかの時ぐらいだったし、時代は変われどそういうのは同じなんだなあとしみじみ思ってしまう。


 そして本日の相談者、リボンで結われたツインテールが可愛らしい三年生の古雅咲こがさきちゃんもまたそういった類の悩みを抱えているらしい。

 今日はどうしたのかと訊ねてみると、顔を赤らめてもじもじとしながらこう答えた。



 「実は……私、好きな人がいるんです。でもどうやってその人に自分の気持ちを伝えれば良いのかわからなくて……」



 なるほどなるほど。

 初々しくてかわいいにも程がある……!

 これは是非とも応援してあげたいね!



 「そっかー。うん、告白するのって勇気がいるもんね。わかるよその気持ち!」


 「そうなんです……。一応、私なりにアプローチはかけているつもりなんですけど……彼、私の気持ちには全く気付いてくれなくて」


 「おっ、咲ちゃんってば意外と積極的だねー! ってことはその彼とは結構話したりするような仲なのかな?」


 「はい。家が近所で親同士仲が良いものですから、一緒にご飯を食べたり出掛けたりすることは多いですね」


 「うわ、それすっごい好条件じゃない? 親同士仲が良いならうまくいったとき反対される心配も少ないし、一緒の時間が多いってのはかなりのアドバンテージだよ! 今頃その彼も咲ちゃんのこと気になってるんじゃないのー?」


 「そうでしょうか……? 彼、そういうの疎いですから……」



 うーん、咲ちゃんも多少の手応えは感じているみたいだけど、あと一歩が踏み出せないでいるみたいだ。

 となれば、ここは私がその背中を押してあげるしかないだろう!



 「……あ、ちなみにその彼ってどんな子なのかな? それによってはやっぱりこれからの戦略が変わってくるとは思うんだけど」


 「え、彼ですか? 元気で、ドッジボールが大好きで、笑った顔がとっても素敵な男の子ですよ」


 「へー、何だか可愛い感じの子だね。年下?」


 「ええ。新田衛あらたまもるくん、五歳です♪」


 「へー、五歳かあ………………………………あ!?」



 ……背中を押せなくなりました。




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