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とある離島の保健室  作者: なる。
夏休み
26/29

025 鳴神なるの夏休み(1)


タイトル通り、夏休み編です。

いつもと若干違う感じになるかもしれません。



 夏休みが始まってからしばらくは部活動があるため出勤していたが、お盆に入ってようやく私にも夏休みが訪れた。

 期間としてはそれ程長くはないけど、長期休暇なんて滅多にあるものではないから十分にありがたい。このような休暇でもない限り実家に帰省もできやしないのだしね。


 というわけで、帰省をするという旨を伝えるために本土にある実家へと電話をかけたのだが――誰も出ない。

 出かけているのかと思い、今度は母の携帯にかけてみたのだが、



 『――あら、なるじゃないの。……え? 帰省したい? 急にそんなこと言われてもお母さんたち今沖縄で旅行中だから帰ってきても誰もいないわよ? それじゃ今から美ら海水族館行ってくるから、もうかけてこないでね。シーサー♪』



 ブツッ。ツー、ツー、ツー。

 電話は切れた。

 私もキレそうだった。


 ……まあでも仕方ない。

 父と母も私と同じく夏休みなのだろうから、旅行にだって行くだろう。私が帰るから行くな、とは言えない。

 若干の寂しさは覚えてしまうけれど、地元にはたくさんの友達だっているのだから問題はない。誰かしらと楽しい夏休みを過ごすことはできるはずだ。

 しかし母のようなパターンもありえるだろうし、一応電話でみんなの予定を聞いておこう。



 『――ごめん、彼氏と予定あるんだぁ〜』

 『――ごめんねなる、子供の世話があるから……』

 『――悪ぃ、あたし会社の同僚たちと旅行行くことになってんだよねー』

 『――遊びたいけど、仕事があるの……ごめんね』



 ……泣きそうだった。

 仲の良かった友達全員に断られるだなんて、誰が予想しただろうか。みんなで結託して私を除け者にしているんじゃないかと疑いたくなる。だがまさかそんなことはありえないだろうし、偶然予定が重なってしまっただけだろう……と信じたい。


 ともあれ、これで帰省する理由というか、意味がわからなくなってしまった……。

 この夏休み、私はいったい何をすれば良いのだろう。一人で部屋に閉じこもってゲームをしたり掃除でもしてろというのだろうか。さすがにそれは寂しい……。


 とはいえ他にどうしたら良いのかも思い浮かばなかった私が早速部屋の掃除を始めたところで、突然来客を知らせるチャイムの音が鳴り響いた。

 いったい誰だろうと思いながらも玄関の戸を開けると、そこには驚くべき人物の姿があった。



 「よーっす、なるちゃん! お姉ちゃんが遊びに来てあげたぞー♪」


 「……え、お、お、お姉ちゃん!?」



 ……私の二つ年上の姉、鳴神ねねの登場です。



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