ランチタイムに、好きなバンドの曲が流れる
ランチタイムとなり、私は彼と席を合わせていると、音楽が鳴ってくる。
放送部の仕事で、ランチタイムにオススメの曲が流れるのだった。
「あ、この曲ー!!」
すぐに気づき、私ははしゃぐ。
スピーカーを指差すと、彼も気づき、うなずいてくる。
「わーい、わーい!!」
子どものように両手を上げて喜ぶと、軽くジャンプする。
音楽を口ずさむと、彼がにこやかに笑う。
「ノリノリなうさぎさんだな」
「それはそうよ。好きな人の曲だもの」
「その通り。…いい曲だな」
彼は聴きいっているらしく、首でリズムを取る。
「ライオンさんも分かるようになってきたね」
「それはそうだ。俺、夜、よく聴いているから」
「そうなの!?」
「ああ。お前と話しながら、コンボがかかっているし」
「全然、知らなかった」
私は大きなショックを受け、岩を頭から落とされたような気分だった。
音楽を流しているのなら、もっとバンドと曲について話せば良かったと悔しがる。
「どの曲が1番好き?」
「そうだな…。あ、あれが良かったかな。ドラマの曲」
「なるほど。どんなところが好き?」
「うーん、そうだな、普通はこう書かないだろうってことが、さらりと書いてあって、共感できるんだよなな。音もCDが新しくなる度に、良くなっていくし」
「良く言った!!」
私は彼の両手を握りしめると、力を込める。
「今から放送部、乗っ取ろうか?」
危ないことを口にすると、彼が顔を顰めてくる。
「やめておけって。スマホで聴くだけにしろ」
「ぶー。せっかく曲が流れたのに。つまらない」
私は不満そうに言うと、スピーカーを指す。
もう違う曲が流れていた。
「私としては、曲を全部、流したいくらいよ。分かるわよね、この気持ち」
「分かるけど、さすがに放送部をジャックするのは、まずいだろう? 大人しく昼を食おうぜ」
周りは可愛い手作り弁当や、焼きそばなど、楽しそうに食べている。
室内は飲食店の中みたいに、色んな香りがして、お腹がぐうと鳴る。
「お昼、食べようか?」
「おう。…あ、唐揚げだ。お前は?」
「私はそぼろご飯。ひき肉と卵と桜でんぶ。綺麗でしょう?」
弁当を見せると、彼は「へえ」と言う。
私が作ってもいいのだが、母親が父親の分も作るからと、毎日、弁当作りをしてくれるのだった。
いつも感謝しながら食べるのだが、今日はどうも音楽が気に食わす、スマホを取り出す。
「悔しいから、音楽を流してもいい?」
「曲を聴くのか? 食べてからにしようぜ」
「もう!! それじゃあ意味がないの。楽しい空間を作るから、美味しいんじゃないの」
私はそう言うと、スマホをいじる。
彼は戸惑っているようで、周りを素早く見回す。
周りは誰も注目しておらず、自意識過剰ではと、私は思ってしまう。
「分かった、分かった。好きにしろ」
「やった!! えっとね…」
私は曲を選ぶと、心地の良い音が聴こえてくる。
ボーカルの声は皆の心を癒すような、優しさが詰まったもので、救われる。
もちろん、他の楽器も、彗星のように、綺麗に流れており、キラキラと輝く星を思わせる。
素敵な曲に、教室にいる人間は誰も、文句を言わなかった。
「いただきます」
「いただきます!!」
私と彼は曲を選びながら、食事を進めていくのだった。




