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魔法使いの日記

作者: 眠る羊
掲載日:2025/11/04

あなたへ。

私が冒険した証を後世に残すため、日記を書いた


私はあの人たちとは違うらしい。前に聞いたことがある。あの人たちはイセカイジンと言うらしい。


私のは回復魔法と補助魔法に特化している28歳のお姉さんだ。...まだお姉さんだよね?


私はいつも四人で活動していた。

男3女1となんとも暑苦しかったが居心地はよかった。


いつも元気なあいつの名前はアサヒ、コウと言う。

こいつがなんともばかで問題しか起こさない17の子供だ。髪色は金色でなんとも子供っぽい顔をしている。かっこよくないわけではない。


4人の頭脳役はマタギ、ソウヤと言う。白色の綺麗な髪をしており、メガネがトレードマークの22歳の男である。ソウヤがいつも4人をまとめてくれる。私はこいつのことをめがねと呼んでいる。


最後の1人の名前はジョニエルと言う。なんと言うか、とにかく太っている。ご飯のことばかり考えていてあまりつかめない男だ。年は20だというが、その見た目では40過ぎにしかみえない。ジョンと呼んでほしいというのでジョンと呼ぶ。


始まりはおかしな出会いだった。

私が薬草を取りに森へ出掛けていたとき空から降ってきたのだ。本当だよ?

降ってくるなりダイイチムラビトハッケンだのココガイセカイ!と意味不明な単語を発して剣を抜きとても楽しそうだった。意味は分からないし何語を喋っているのかがわからないが内容だけが頭に入ってきてとても不思議な感じだった。

でも今はただ剣を抜いたこと、それが私には怖かった。


この国には誓いがいくつか存在する。

コウに後から聞いてみるとそんなことは全く知らず3人ともすぐに謝罪をしてきたので本当に知らなかったんだろうが、私はとにかく恐怖した。


「この国では女の前で剣を抜いてはいけない」


少々特殊な武装国家で生まれた。

そこでは魔物との戦闘が当たり前となり性別は関係なく子供やお年寄りまでもが誰でも剣を抜いて戦っていた。

戦うのが当たり前そういう環境で育ってきた私だったが実のところは戦うことは嫌いだった。


私が21のときこの国は人に負けたのだ。

武装国家と言えどこの世界の中では見栄を張っても中規模の国なので隣の大国から攻められれば一溜りもなかった。私はそれがとにかく悔しかった。

隣の大国の王はとにかくクズだった。

私達の国を乗っ取ってからはある誓いを作った。


この国では女の前で剣を抜いてはいけない。


そのルールにたいして国民は少し疑問だった。それが一体どんな効力があってなんのために作ったかが分からなかったからだ。だがその返答は最悪な形で返ってきた。


ルールを作り2ヶ月ほどがたったとき結婚をしていた者達が一斉に城に集められた。

私は結婚をしていなかったし、恋人もいなかったのだが興味本位でついていった。

そういう人は多数いたが、女だけが通してもらえた。

なぜかと疑問に思ったが、良しとした。


城ではまず女が全員捕らえられた。そして1人ずつ夫の前で国王に脱がされ性行為をさせられた。ここで大事になってしまったのが誓いだ。抜いてはいけないと言われてもそんなことをされて黙っている男などいない。誰しもが国王目掛けて剣を抜き殺そうとした。


結論から言うと誰も殺せなかった。


女の前で剣を抜くと魔法のような物で身体を蝕まれると聞いたことがある。それは本当のことで助けることができた男はいなかった。

なんとか痛みに耐え、国王を殺そうとした者もいたが、蝕まれていては思うように身体が動かず、兵士に惨殺された。どうやら国王の仲間になれば剣を抜いたりしても大丈夫らしい。


私はあまり胸が大きくない。ほぼないに等しいのだ。顔立ちも女というよりは美形の男の子といった感じであり戦争後ということもあり服装は破れかけの服や男が着るような物を身に付けていた。そのお陰もあって列に混じった乞食だと勘違いされ、何度も何度も何度も何度も殴られたが幸い城からなんとか脱出することができた。

そこからは国を飛び出し隣の小さな村まで逃げた。

名はりーりあ村と言うらしい。その村は温かく余所者の私を受け入れてくれた。


数年たった後村に一枚の紙が届いた。

私の顔が描かれておりその下には(とらえたものには一生遊んで暮らせるほどの地位と報酬金を)

などとかかれている。私が逃げたことがばれていることを知り、恐怖を感じた。

あらかたあの城に居合わせた知り合いが私の情報を売ったのだろう。後から知った噂話によるとあの後城から抜け出せたものはいなかったらしい。私以外は。


村の人達はそんな紙が来ても変わらなかった。むしろかくまってくれた。

4年の月日がたったのち、村長さんの息子が原因不明の病にかかった。なんでも体がすごい暑いのに寒気がして咳が出る。さらに胸がとても痛いらしい。

私はそのような症状は聞いたことも無かったが今まで世話になった村に恩返しがしたいため薬草を取りに行くことにした。


そこであの3人に出会った。

私の前で剣を抜いたため一番最初に国王軍の兵士に見つかったと思った。私は逃げ出そうかと思ったが足がすくんで動かない。直感で理解した。私はもう死んでしまうのだと。

だがその感は外れたらしい。この3人は震えていた私を見ると優しく声をかけてくれた。少し私が落ち着くとコウが切り出していた。

なんでも俺たちは二ホンという別の世界から来たと言う。そのためこの世界のことを知らずおしえてほしいと。

めがねは君を助けるために異世界から来たなど抜かしていたがこれは無視でいいだろう。教えてほしいといった言葉は嘘ではないとわかると教えてあげた。

途中からはこの世界のことってより自分の過去の話をしてしまっていた。時折3人の顔を見ながらしゃべっていると涙を流していた。それにつられるように私も泣きながらしゃべった。決して私から泣いてなどいない。


話が終わるとコウが村に行きたいと言った。めがねが医療に詳しいらしく村長の子供を助けることができるかもしれないらしい。私は迷ったが連れていくことにした。私は少しは薬草を使った薬の作り方を知っているが、専門的な知識があるかというと特に持っていない。


村につくと疑うことを知らないんじゃないかと思うほど簡単に村に入れてくれた。

それとも剣を持った3人組がきたら勝ち目が無いことを悟り、友好的にしておこうと思っているのだろうか。いや、多分前者だろう。私をここまで育ててくれた人たちに見返りのためにした人たちなんていなかった。


めがねは子供のことを診察するとこの病気をハイエンと言っていた。

それが何か私たちにはわからなかったがコウとジョンの顔を見るに重い病気なのだろう。

だが、メガネが言うにはまだ初期症状だったらしく治療を始めた。

私がとった薬草の中にニホンでハイエンに使われるような物と同じようなものがあったらしくすぐに薬を作り始めた。二日ほどたつとすっかり元気になり村長の子供は元気に走り回っていた。


村では感謝の気持ちを込めてその日のうちに祭りが開かれた。私達4人は中央に連れていかれとにかく酒などを飲み、騒いだ。少し経つと私は端のほうに行きちびちび一人で飲んでいた。実際私は何もしておらずめがねがすべてやったのだ。せいぜい薬草が少し役に立ったくらいで。

でも本当に何もしていないコウと一心不乱にご飯を食べているジョンを見ているとそんなこともどうでもよくなってしまう。


しばらくすると3人がこちらへ来た。

この村ではいつもこんなに盛大な祭りをやっているのかとジョンが聞いてきたが私には分からなかった。私が来てから祭りをした覚えがないからだ。

そんなことを考えているとコウが俺たちと旅にでないかと誘ってきた。

それをどこから聞いたのか村の人たちが聞きつけ祭りは一層にぎわった。いつのまにか村長の子供復活祭から私のお別れ会になっていた。

私は行くとなど一言も言っていないが、内心はわくわくしていた。

この村の周辺からもう出ることはないと思っていた私にとってとても魅力的で刺激的な誘いだった。


祭りも終盤を迎えそろそろお開きといったところで私は村の中央の台に上がった。今思えば酒に酔っていたのだろう。

私は中央で一緒に旅に出ることを宣言した。祭りは最後に大盛り上がりをした。


翌日には私達は出発した。

少し会えなくなるのは寂しいがお別れをした。別に泣いてはいない。


それから私達は様々な場所を旅した。


最初は中央都市に向かった。

道中で魔物に襲われたが何とかなった。


次に魔法都市にも行った。3人ともすごく興奮しており子供のように見えて何だか可愛かった。コウは炎、めがねは水、ジョンは岩、私は回復と補助の魔法教室に行った。私だけ量がおかしかったが3人とも基本頭が悪いのでしょうがなかった。


何とか皆で習得すると次は海の見えるきれいな街に向かうことにした。

道中には湿地帯がありとても不快だった。二ホンではジメジメシテルと言うらしい。

そこではすらいむの大群に囲まれた。全く強くはなかったが粘液のようなものに触れると服が溶けるらしい。狙われたかのように私だけ当たってしまった。

私は見るなと言っているのにコウとめがねはずっと見てきたことは忘れない。絶対にね。


途中で立ち寄った食の街ではそれはそれは凄かった。ジョンが。大食い大会10連勝中の無敗のチャンピオン相手に圧倒的に勝利した姿はとにかく凄かった。


この時気づいたのだがコウも日記をつけていた。聞いてみると中央都市で買ったらしい。

気になったので私のも見ていいから見せてと頼んだら断られた。それどころか私の日記の表紙に魔法使い日記と書いた。自分で書いたものに名前を付けられるのはなぜかすごく腹が立ったので寝ている間にコウの日記の表紙にあほ日記と書いてやった。中身を見てやろうと思ったがそれは違うと思いやめておいた。


海が見えるきれいな街に行くとその景色はとにかく綺麗で美しかった。海というものを始めてみた私は柄にもなくはしゃいでしまった。

次の日の夜私はコウに告白された。結論から言うと私はコウと付き合った。正直初めて会った時からコウのことなど微塵も意識していなかったが旅をしているうちにコウのことを私も好きになったんだと思う。そう思うとコウが日記を見せてくれなかったのは照れ隠しだったのだろうか。

この街は私のなかで特にお気に入りの街だ。告白されたということを抜きにしてもここは好きだ。


この街を出るころにはめがねに冷やかされた。ジョンが止めてくれたおかげですぐになくなったが後から聞くとめがねも私のことが好きだったらしい。私は少しもそんなことを思ったことがなかったので少し申し訳ない。今度ご飯でも奢ってあげよう。


さらに様々な街へ行った。いろんな場所に行き色んな場所へ遊びに行った。いつまでもこの幸せな時間が続けばいいなと思う。

少し恥ずかしいが最近えっちもした。初めてがなくなるのはとても怖かったけどなんとも言えない気分にさせてくれた。


少しすると私は妊娠していることが分かった。嬉しさと同時に少し怖かった。新しい命を授かるのは怖かった。でもめがねとジョンも支えてくれたおかげで産む決意ができた。

私は回復魔法の応用で妊娠していることが分かったので、通常気づきもしない期間に知ることができたのだ。


ジョンが安全に生むために一旦村に戻ることを提案してきた。

幸い今いる街はそこまで村と離れておらず安全に行けそうだ。

翌日には出発して村に向かった。いつもより少しきつかったが3人の支えもあって何とか乗り越えられた。

ここで一つ誤算があった。回復魔法や補助魔法を使っていたからか出産の時期がすごく早まってしまったのだ。

仕方なく村から一つ離れた中都市で出産することにした。






最近日記を書くことがおろそかになってしまった。理由は赤ちゃんが生まれたからだ。出産の痛みはこれまで経験したことのないものでとにかく痛かったが、いざ新しい命が生まれてくると泣けてきた。泣いてないけどね。

これから私たちはりーりあ村に向かう。落ち着くまで日記があまりかけないだろうが、育児を頑張りたい。


結論から言おう。もうりーりあ村は存在しなかった。

私が育ったこの村は今見る影もなく無くなっていた。

そしてそれは明らかに魔物ではなく人間の手で行われていた。






これが最後の日記になるだろう。

私たちは今から隣の大国に攻め込む。正直に言って全員死ぬだろう。

だがこの赤ちゃんを死なせるわけにはいかない。

だからどうかこの日記を見ているあなたへ。

私達の子をよろしくお願いします。

初めての作品なので何か至らぬ点がありましたらご指摘お願いします。

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