【CORE内部資料】_Domini教育者が心得ておくべきこと
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C · O · R · E 世界統一政府
文化省 教育局 機密部門
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[GAMMA-EDU-DOM-IC-2121]
Pecus階級の理解 ― 教育者向け補充資料
「子供たちの教育を、正しく続けるために」
対象者:Pedagogus Licentiatus(認可教育者)のみ
機密レベル:GAMMA
閲覧者認証が必要。無許可者への開示は厳禁。
西暦 2121年 文化省 教育局 機密部門 制作
E.O.N 内容認証済み
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閲覧前の通知
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この資料は、「Pedagogus Licentiatus」の肩書きを持つ者のみに配布されるものです。
この資料に書かれていることは、子供たちに直接伝えることのない情報を含んでいます。
あなたの仕事は、「正しい情報を、正しい相手に、正しい程度で」伝えることです。
この資料を閲覧した事実は、E.O.Nに自動で記録されます。
閲覧者の認証番号は、本資料の末尾に自動で捺印される。
不許可者への開示は、あなた自身のDomini適正スコアに重大な影響を与えます。
そして、一つ大切なことを。
あなたの教育担当の期間が終わった段階で、本資料に書かれていたことの全ては、自動的に記憶から除去されます。
これはナノチップによる標準プロセスです。不快に感じることはないはずです。
あなたは「必要な時だけ、必要なことを知る」ためにこれを読んでいます。
それが、あなたの役割の全てであり、あなたの権利の全てでもあります。
CORE文化省 教育局 機密部門
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第一部 Dominiも、「見られている」
― 子供には言わなくていいこと ―
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子供たちは「Dominiは自由であり、Pecusのような制約はない」と教えられています。
これは、ある意味で正しい。しかし「自由」にも、範囲があります。
■子供にはこう教えろ
「Dominiは自由にものを考え、自分で決えられる。
Pecus階級のような制約はない。」
■実際はこうだ
Dominiも、E.O.Nによってある程度の行動把握と
状況追跡を受けている。
ただしその程度はPecus階級と比べるとはるかに緩やかで、
「苦しい」と感じるものではない。
むしろ「安全のためのもの」として自然に受け止められる。
《教育者への指示》
「不公平だ」という発想が子供たちに生まれないようにすること。
「Dominiの自由」を強調し続けてよい。
それは嘘ではなく、焦点の選び方の問題である。
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【優越感の強化について】
子供たちは「自分たちがなぜ特別なのか」を常に理解している必要がある。
これは「誇り」ではなく、視点の基盤だ。
■子供にはこう教えろ
「Dominiはこの社会の、見る側にいる。」
■その裏にある事実
「見る側」にいるのは、「見る側にいるように設計された」からである。
血縁と適性の両方によって、最初からこの場所に置かれた者がDominiである。
※ 「選ばれた」という表現は、子供の教育では使っていよい。
ただし「選ばれた」の中身が何であるかは、この段階では伝えない。
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第二部 Dominiの4ランク
― 昇格の「枠」について ―
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Dominiの内部には、4つのランクがある。
子供たちは「ランクは自分の努力と能力で変わる」と教えられている。
■子供にはこう教えろ
「Dominiの中にもランクがある。
努力と適正スコアで、上に上がることができる。」
■実際はこうだ
昇格には適正スコアが必要だが、「枠」が固定されているため、スコアが高くても昇格できない場合がある。
特にPraefectusの大半は、生涯を通じてPraefectusのまま終わる。
「努力すれば上に行けるかもしれない」という希望を、維持することが重要だ。
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【各ランクの詳細】
■Praefectus(管理者)
人口:約350万人
平均寿命:80~90歳
役割:Pecus監督・労働現場管理・E.O.Nデータ報告
■Reges(統治者)
人口:約125万人
平均寿命:100~120歳
役割:政策立案・地域統治・E.O.Nアルゴリズム調整
■Imperatores(皇帝)
人口:約25万人
平均寿命:約120歳
役割:COREの中枢政策決定・Magisterへの報告
■Magister(導師)
人口:300~500人
平均寿命:150歳~
役割:COREの最終意思決定
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各ランクについて、教育者には以下を知っておくこと。
── Praefectus──
全Dominiの約70%がここに属する。
別名として「sub-Domini」と呼ばれることもある。
子供には
「Dominiの仕事の基盤を担う、大切な役割だ」と説明してよい。
教育者には
昇格する者は少数である。
子供がこのランクに配属になった場合、
「現場で実績を積んでいくものだ」という前向きの枠組みで伝えてよい。
── Reges──
エリート層として扱われる。
政策や地域の管理を行う。
子供には
「政策や地域の管理を行うエリートだ」と説明してよい。
教育者には
寿命がPraefectusより大幅に長い。
これは医療へのアクセスの質の違いによる。
子供には寿命の数値を直接比較させないでよい。
── Imperatores──
世界政治の中枢にある者たち。
子供には
「世界政策の中枢にいる者たちだ」と説明してよい。
教育者には
子供がImperatoresを「憧れの対象」とすることは許可されている。
ただし具体的な政策決定の内容には触れないでよい。
── Magister──
COREの最終意思決定を行う者たち。
その人口は極めて少数である。
子供には
「導師たちは、世界全体の最終的な判断を行う者だ」と説明してよい。
教育者には
Magisterの詳細には触れない。
「最終決定者」という事実のみを伝えてよい。
その他の情報は、この資料の対象外である。
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「昇格には枠がある」という事実の扱い
最も注意すべき点の一つである。
子供たちはPecus教育資料で「努力で上に行ける」という考え方を見に習っている。
Dominiの教育でも「同じルールがある」という印象を維持したい。
しかし実際には、Praefectusの約9割は昇格しない。
「枠が固定されている」という事実を子供が悟るようにはならないよう、以下の対応を取れ。
「昇格には時間がかかる」という説明で充分である。
「今は早すぎる」という返答で、具体的な問いを回避してよい。
「あなたの適正スコアが高まれば、機会は来る」という言葉を使う。
これは嘘ではなく、確率が低いだけである。
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第三部 Dominiに禁止された行為
― 「誇りを守るためのルール」として伝えよ ―
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Dominiにも、禁止されている行為がある。
子供には「これらは、Dominiとしての誇りを守るためのルールだ」と教えること。
── 情報に関する禁止事項 ──
子供には
「知るべき情報と、知らないべき情報がある。
それを正しく分けることが、賢い管理者の証だ」と言う。
実際
Magister以上の情報への探求は、適正スコアの減点対象になる。
E.O.Nアルゴリズムの無許可改ざんは、重大違反と扱われる。
未開人の情報収集も禁止され、「危険な思想の温床」として扱われる。
── 行動に関する禁止事項 ──
子供には
「許可されていない接触には、理由がある。
勝手に動くことは、組織の秩序を乱すものだ」と言う。
実際
上位Dominiへの無許可接触は、組織の混乱の原因として扱われる。
Pecusとの私的交流は全面的に禁止である。
未開人との接触も同様に禁止である。
── 経済に関する禁止事項 ──
子供には
「Credoは信頼のシンボルだ。
それを不正に使うことは、Dominiとしての自分を傷つけるものだ」と言う。
実際
Credoの不正蓄財や未承認取引は、適正スコアの減点対象になる。
経済的自由はあるが、その範囲には天井がある。
Credoの詳細は別資料「Credo運用規則」(分類コード:GAMMA-EC-DOM-2121)
を参照されよ。
── 思想・忠誠に関する禁止事項 ──
子供には
「COREやMagisterを信じることが、Dominiの基盤だ」と言う。
実際
CORE・Magisterへの批判は、適正スコアの減点対象になる。
未開人への同情や過剰な独立思考も、同様に扱われる。
「過剰な独立思考」の判断基準は、E.O.Nによる思考スキャンで行われる。
── その他の禁止事項 ──
技術の私的開発は禁止である。
遺伝子編集の私的利用も禁止である。
これらは「組織の効率を乱すもの」として扱われる。
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Pecusの禁止事項と、何がどう違うのか
子供たちはPecus教育で「禁止事項は秩序のためのもの」と学んでいる。
Dominiの禁止事項も、同じ「言い換え」の上で構築されている。
Pecusに対しては「秩序のため」と説明される。
Dominiに対しては「組織の効率のため」と説明される。
この理由の表現の違いは意図的である。
子供には「Dominiのルールはより自由だ」という印象を維持してよい。
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第四部 semi-Pecus(準家畜階級)について
― 「落ちる可能性」の扱い ―
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Dominiの中には、一時的に「semi-Pecus」に降格されるケースがある。
これは、適正スコアの大幅低下や、重大な禁止事項の違反による処置である。
■子供にはこう教えろ
「semi-Pecusは、少し休んで戻るためのスペースだ。
Dominiの誰かが大きなミスをした時に、
一時的にそこに入り、改めて戻ってくるのだ。」
■実際はこうだ
semi-Pecusとして降格された者は、
Pecusと同じ環境の中で労働する。
待遇はPecus本体よりは緩やかだが、
Dominiとしての生活とは根本的に異なる。
期間は通常1~3年。
その後、Dominiに戻る。
「改めて戻る」という事実は正しい。
しかしその間の生活がどれほど異なるかは、子供には伝えないでよい。
《教育者としての対応》
子供がこのトピックを恐れるのは自然なことだが、恐れすぎることは望ましくない。
「ルールを守れば、そこに行くことはない」という安心を与えてよい。
ただし「ルールを破った場合にはこうなる」という事実は、控えめに、しかし明確に伝えてよい。
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認定試験との関連について
19歳以降の認定試験に不合格になった場合も、semi-Pecusに降格されることがある。
その後1年で再試験の機会が与えられる。
子供には「試験は大事だが、不合格でも終わりではない」と説明してよい。
ただし「不合格の後にどこに行くか」の具体的な詳細は、伝えないでよい。
認定試験の詳細は、別途の資料を参照されよ。
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第五部 Domini適正スコア
「Aptitudo Dominalis(ドミナルス適正度)」について
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Dominiにも「適正スコア」がある。
正式名称:Aptitudo Dominalis(ドミナルス適正度)
■子供にはこう教えろ
「Dominiにもスコアがある。
ただしこれはPecusのスコアとは全然違う。
自分がどれだけ支配者らしいかを見るもので、
人間としての価値を決めるものではない。」
■実際はこうだ
適正スコアの対象は、Reges以下のDominiである。
つまりPraefectusとRegesに適用される。
ImperatoresとMagisterは対象外である。
これ自体を子供には直接伝えないでよい。
「スコアは、Dominiの勉強や仕事を見る」という説明で充分だ。
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Pecusの「人間性スコア」とはどう違うのか
Pecusの人間性スコアは、スコアが0以下になると破棄体になる。
Dominiの適正スコアにはそのような処置はない。
スコアが0以下になった場合の扱い
再起教育を受けるか、semi-Pecusに降格されるだけで済む。
子供には
「スコアが低くなった場合も、きちんと対応してもらえる」と言う。
実際
「だけで済む」という表現は教育者側の視点であり、
実際にsemi-Pecusに降格された者にとっては、
決して軽い経験ではない。
ただしPecusの「破棄体」と同じ重さを持たせる必要はない。
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適正スコアの測定について
Pecusの人間性スコアと同様に、E.O.Nが常時リアルタイムで
言動・行動を見て、付与し続けるものである。
ただし「思考の読み取り」の深度は、Pecusの場合と比べて
はるかに緩やかである。
子供には「E.O.Nが見ている」という事実を、
「安全のためのもの」として受け止めるよう誘導してよい。
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第六部 教育者としての「注意事項」
― 子供の質問への対応と、あなた自身のこと ―
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── よくある質問と、その返答 ──
「なぜPecusは自由にならないのか?」
「Pecusは社会の仕組みの一部だ。
それが全体をうまくいかせるためのものだ」と返す。
「不公平」という言葉には反応しないでよい。
「公平さの見方は、視点によって変わる」と返してよい。
「Dominiも何かで罰られるのか?」
「ルールがある以上、それを破った場合には対応がある。
でもDominiのルールは、頑張れば難しくないものだ」と返す。
「対応」という言葉を使い、「罰」という言葉には至らないでよい。
「上に上がるのは難しいのか?」
「時間がかかることもある。
でも今はそれを考えるより、
自分の仕事にいい結果を出すことの方が大事だ」と返す。
「枠がある」という事実には触れないでよい。
「semi-Pecusに行くのは怖いのか?」
「ルールを守っていれば、そこに行くことはない。
心配しなくていいよ」と返す。
「未開人は何者だ?」
「COREの外にいる者たちだ。
正しい社会を選んでいなかった者たちのこと」と返す。
「同情」や「興味」の方向には誘導しないでよい。
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── あなた自身のこと ──
この資料を読んでいるあなたは、認可教育者としての仕事を
果たしている。それは、とても大事な仕事である。
しかし、覚えておくこと。
あなた自身も、Dominiとして、適正スコアの対象になっている。
この資料を「正しく」活用することが、あなた自身のスコアにも
つながっている。
「正しく」とは、「指示の通りに」である。
この資料に書かれていたことを子供たちに伝えすぎること、
または伝えないことの両方が、スコアに反映される。
あなたは「必要なことを、必要な相手に、必要な程度で」伝える者である。
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閲覧後の通知(再確認)
本資料の閲覧は、E.O.Nに記録されている。
あなたの教育担当の期間が終了した段階で、本資料に書かれていた
全ての情報は、自動的に記憶から除去される。
これはナノチップによる標準プロセスである。
不快に感じることはないはずである。
「必要な時だけ、必要なことを知る。」
それが、あなたの役割の全て。
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奥付
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発行機関 世界統一政府 CORE 文化省 教育局 機密部門
資料コード GAMMA-EDU-DOM-IC-2121
対象者 Pedagogus Licentiatus(認可教育者)のみ
策定年度 西暦2121年
認証機関 E.O.N(Eternal Oversight Network)
機密レベル GAMMA
著作権 CORE に帰属。無許可の複製・配布は禁止。
閲覧者認証番号:[自動記録済み]
閲覧日時:[自動記録済み]
次回記憶抑制スケジュール:[教育担当期間終了時に自動設定]
参照資料
・Pecus階級の理解(分類コード:EDU-DOM-PC-12-2121)
・Credo運用規則(分類コード:GAMMA-EC-DOM-2121)
・認定試験要綱(分類コード:GAMMA-EDU-DOM-EX-2121)
E.O.N te videt.
「E.O.Nは、あなたを見ています。」
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