表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
完全監視管理社会CORE2121  作者: ナール
FILE_01:素晴らしき社会秩序_Pulchritudo Ordinis Socialis
4/13

【CORE内部資料】_Domini教育者が心得ておくべきこと

====================

C · O · R · E 世界統一政府

文化省 教育局 機密部門

====================


[GAMMA-EDU-DOM-IC-2121]


Pecus階級の理解 ― 教育者向け補充資料

「子供たちの教育を、正しく続けるために」


対象者:Pedagogus Licentiatus(認可教育者)のみ


機密レベル:GAMMA

閲覧者認証が必要。無許可者への開示は厳禁。


西暦 2121年  文化省 教育局 機密部門 制作

E.O.N 内容認証済み


====================



――――――――――――――――――――

閲覧前の通知

――――――――――――――――――――


この資料は、「Pedagogus Licentiatus」の肩書きを持つ者のみに配布されるものです。


この資料に書かれていることは、子供たちに直接伝えることのない情報を含んでいます。

あなたの仕事は、「正しい情報を、正しい相手に、正しい程度で」伝えることです。


この資料を閲覧した事実は、E.O.Nに自動で記録されます。

閲覧者の認証番号は、本資料の末尾に自動で捺印される。

不許可者への開示は、あなた自身のDomini適正スコアに重大な影響を与えます。


そして、一つ大切なことを。


あなたの教育担当の期間が終わった段階で、本資料に書かれていたことの全ては、()()()()()()()()()()()()()()

これはナノチップによる標準プロセスです。不快に感じることはないはずです。


あなたは「必要な時だけ、必要なことを知る」ためにこれを読んでいます。

それが、あなたの役割の全てであり、あなたの権利の全てでもあります。


CORE文化省 教育局 機密部門



――――――――――――――――――――

第一部 Dominiも、「見られている」

― 子供には言わなくていいこと ―

――――――――――――――――――――


子供たちは「Dominiは自由であり、Pecusのような制約はない」と教えられています。

これは、ある意味で正しい。しかし「自由」にも、範囲があります。


■子供にはこう教えろ

「Dominiは自由にものを考え、自分で決えられる。

Pecus階級のような制約はない。」


■実際はこうだ

Dominiも、E.O.Nによってある程度の行動把握と

状況追跡を受けている。

ただしその程度はPecus階級と比べるとはるかに緩やかで、

「苦しい」と感じるものではない。

むしろ「安全のためのもの」として自然に受け止められる。


《教育者への指示》

「不公平だ」という発想が子供たちに生まれないようにすること。

「Dominiの自由」を強調し続けてよい。

それは嘘ではなく、焦点の選び方の問題である。


----------------------------------------


【優越感の強化について】

子供たちは「自分たちがなぜ特別なのか」を常に理解している必要がある。

これは「誇り」ではなく、視点の基盤だ。


■子供にはこう教えろ

「Dominiはこの社会の、見る側にいる。」


■その裏にある事実

「見る側」にいるのは、「見る側にいるように設計された」からである。

血縁と適性の両方によって、最初からこの場所に置かれた者がDominiである。


※ 「選ばれた」という表現は、子供の教育では使っていよい。

ただし「選ばれた」の中身が何であるかは、この段階では伝えない。



――――――――――――――――――――

第二部 Dominiの4ランク

― 昇格の「枠」について ―

――――――――――――――――――――


Dominiの内部には、4つのランクがある。

子供たちは「ランクは自分の努力と能力で変わる」と教えられている。


■子供にはこう教えろ

「Dominiの中にもランクがある。

努力と適正スコアで、上に上がることができる。」


■実際はこうだ

昇格には適正スコアが必要だが、「枠」が固定されているため、スコアが高くても昇格できない場合がある。

特にPraefectusの大半は、生涯を通じてPraefectusのまま終わる。


「努力すれば上に行けるかもしれない」という希望を、維持することが重要だ。


----------------------------------------


【各ランクの詳細】


■Praefectus(管理者)

人口:約350万人

平均寿命:80~90歳

役割:Pecus監督・労働現場管理・E.O.Nデータ報告


■Reges(統治者)

人口:約125万人

平均寿命:100~120歳

役割:政策立案・地域統治・E.O.Nアルゴリズム調整


■Imperatores(皇帝)

人口:約25万人

平均寿命:約120歳

役割:COREの中枢政策決定・Magisterへの報告


■Magister(導師)

人口:300~500人

平均寿命:150歳~

役割:COREの最終意思決定



----------------------------------------


各ランクについて、教育者には以下を知っておくこと。


── Praefectusプレーフェクトゥス──


全Dominiの約70%がここに属する。

別名として「sub-Domini」と呼ばれることもある。


子供には

「Dominiの仕事の基盤を担う、大切な役割だ」と説明してよい。

教育者には

昇格する者は少数である。

子供がこのランクに配属になった場合、

「現場で実績を積んでいくものだ」という前向きの枠組みで伝えてよい。


── Regesレゲス──


エリート層として扱われる。

政策や地域の管理を行う。


子供には

「政策や地域の管理を行うエリートだ」と説明してよい。

教育者には

寿命がPraefectusより大幅に長い。

これは医療へのアクセスの質の違いによる。

子供には寿命の数値を直接比較させないでよい。


── Imperatoresインペラトーレス──


世界政治の中枢にある者たち。


子供には

「世界政策の中枢にいる者たちだ」と説明してよい。

教育者には

子供がImperatoresを「憧れの対象」とすることは許可されている。

ただし具体的な政策決定の内容には触れないでよい。


── Magisterマギステル──


COREの最終意思決定を行う者たち。

その人口は極めて少数である。


子供には

「導師たちは、世界全体の最終的な判断を行う者だ」と説明してよい。

教育者には

Magisterの詳細には触れない。

「最終決定者」という事実のみを伝えてよい。

その他の情報は、この資料の対象外である。


----------------------------------------


「昇格には枠がある」という事実の扱い


最も注意すべき点の一つである。


子供たちはPecus教育資料で「努力で上に行ける」という考え方を見に習っている。

 Dominiの教育でも「同じルールがある」という印象を維持したい。


しかし実際には、Praefectusの約9割は昇格しない。

「枠が固定されている」という事実を子供が悟るようにはならないよう、以下の対応を取れ。


「昇格には時間がかかる」という説明で充分である。

「今は早すぎる」という返答で、具体的な問いを回避してよい。

「あなたの適正スコアが高まれば、機会は来る」という言葉を使う。

これは嘘ではなく、確率が低いだけである。



――――――――――――――――――――

第三部 Dominiに禁止された行為

― 「誇りを守るためのルール」として伝えよ ―

――――――――――――――――――――


Dominiにも、禁止されている行為がある。

子供には「これらは、Dominiとしての誇りを守るためのルールだ」と教えること。


── 情報に関する禁止事項 ──


子供には

「知るべき情報と、知らないべき情報がある。

それを正しく分けることが、賢い管理者の証だ」と言う。


実際

Magister以上の情報への探求は、適正スコアの減点対象になる。

E.O.Nアルゴリズムの無許可改ざんは、重大違反と扱われる。

未開人の情報収集も禁止され、「危険な思想の温床」として扱われる。


── 行動に関する禁止事項 ──


子供には

「許可されていない接触には、理由がある。

勝手に動くことは、組織の秩序を乱すものだ」と言う。

実際

上位Dominiへの無許可接触は、組織の混乱の原因として扱われる。

Pecusとの私的交流は全面的に禁止である。

未開人との接触も同様に禁止である。


── 経済に関する禁止事項 ──


子供には

「Credoは信頼のシンボルだ。

それを不正に使うことは、Dominiとしての自分を傷つけるものだ」と言う。

実際

Credoの不正蓄財や未承認取引は、適正スコアの減点対象になる。

経済的自由はあるが、その範囲には天井がある。

Credoの詳細は別資料「Credo運用規則」(分類コード:GAMMA-EC-DOM-2121)

を参照されよ。


── 思想・忠誠に関する禁止事項 ──


子供には

「COREやMagisterを信じることが、Dominiの基盤だ」と言う。

実際

CORE・Magisterへの批判は、適正スコアの減点対象になる。

未開人への同情や過剰な独立思考も、同様に扱われる。

「過剰な独立思考」の判断基準は、E.O.Nによる思考スキャンで行われる。


── その他の禁止事項 ──


技術の私的開発は禁止である。

遺伝子編集の私的利用も禁止である。

これらは「組織の効率を乱すもの」として扱われる。


----------------------------------------


Pecusの禁止事項と、何がどう違うのか


子供たちはPecus教育で「禁止事項は秩序のためのもの」と学んでいる。

Dominiの禁止事項も、同じ「言い換え」の上で構築されている。


Pecusに対しては「秩序のため」と説明される。

Dominiに対しては「組織の効率のため」と説明される。


この理由の表現の違いは意図的である。

子供には「Dominiのルールはより自由だ」という印象を維持してよい。



――――――――――――――――――――

第四部 semi-Pecus(準家畜階級)について

― 「落ちる可能性」の扱い ―

――――――――――――――――――――


Dominiの中には、一時的に「semi-Pecus」に降格されるケースがある。

これは、適正スコアの大幅低下や、重大な禁止事項の違反による処置である。


■子供にはこう教えろ

「semi-Pecusは、少し休んで戻るためのスペースだ。

Dominiの誰かが大きなミスをした時に、

一時的にそこに入り、改めて戻ってくるのだ。」


■実際はこうだ

semi-Pecusとして降格された者は、

Pecusと同じ環境の中で労働する。

待遇はPecus本体よりは緩やかだが、

Dominiとしての生活とは根本的に異なる。

期間は通常1~3年。

その後、Dominiに戻る。


「改めて戻る」という事実は正しい。

しかしその間の生活がどれほど異なるかは、子供には伝えないでよい。


《教育者としての対応》

子供がこのトピックを恐れるのは自然なことだが、恐れすぎることは望ましくない。

「ルールを守れば、そこに行くことはない」という安心を与えてよい。

ただし「ルールを破った場合にはこうなる」という事実は、控えめに、しかし明確に伝えてよい。


----------------------------------------


認定試験との関連について


19歳以降の認定試験に不合格になった場合も、semi-Pecusに降格されることがある。

その後1年で再試験の機会が与えられる。


子供には「試験は大事だが、不合格でも終わりではない」と説明してよい。

ただし「不合格の後にどこに行くか」の具体的な詳細は、伝えないでよい。

認定試験の詳細は、別途の資料を参照されよ。



――――――――――――――――――――

第五部 Domini適正スコア

「Aptitudo Dominalis(ドミナルス適正度)」について

――――――――――――――――――――


Dominiにも「適正スコア」がある。

正式名称:Aptitudo Dominalis(ドミナルス適正度)


■子供にはこう教えろ

「Dominiにもスコアがある。

ただしこれはPecusのスコアとは全然違う。

自分がどれだけ支配者らしいかを見るもので、

人間としての価値を決めるものではない。」


■実際はこうだ

適正スコアの対象は、Reges以下のDominiである。

つまりPraefectusとRegesに適用される。

ImperatoresとMagisterは対象外である。

これ自体を子供には直接伝えないでよい。


「スコアは、Dominiの勉強や仕事を見る」という説明で充分だ。


----------------------------------------


Pecusの「人間性スコア」とはどう違うのか


Pecusの人間性スコアは、スコアが0以下になると破棄体になる。

Dominiの適正スコアにはそのような処置はない。


スコアが0以下になった場合の扱い


再起教育を受けるか、semi-Pecusに降格されるだけで済む。


子供には

「スコアが低くなった場合も、きちんと対応してもらえる」と言う。

実際

「だけで済む」という表現は教育者側の視点であり、

実際にsemi-Pecusに降格された者にとっては、

決して軽い経験ではない。

ただしPecusの「破棄体」と同じ重さを持たせる必要はない。


----------------------------------------


適正スコアの測定について


Pecusの人間性スコアと同様に、E.O.Nが常時リアルタイムで

言動・行動を見て、付与し続けるものである。


ただし「思考の読み取り」の深度は、Pecusの場合と比べて

はるかに緩やかである。

子供には「E.O.Nが見ている」という事実を、

「安全のためのもの」として受け止めるよう誘導してよい。



――――――――――――――――――――

第六部 教育者としての「注意事項」

― 子供の質問への対応と、あなた自身のこと ―

――――――――――――――――――――


── よくある質問と、その返答 ──


「なぜPecusは自由にならないのか?」

「Pecusは社会の仕組みの一部だ。

それが全体をうまくいかせるためのものだ」と返す。

「不公平」という言葉には反応しないでよい。

「公平さの見方は、視点によって変わる」と返してよい。


「Dominiも何かで罰られるのか?」

「ルールがある以上、それを破った場合には対応がある。

でもDominiのルールは、頑張れば難しくないものだ」と返す。

「対応」という言葉を使い、「罰」という言葉には至らないでよい。


「上に上がるのは難しいのか?」

「時間がかかることもある。

でも今はそれを考えるより、

自分の仕事にいい結果を出すことの方が大事だ」と返す。

「枠がある」という事実には触れないでよい。


「semi-Pecusに行くのは怖いのか?」

「ルールを守っていれば、そこに行くことはない。

心配しなくていいよ」と返す。


「未開人は何者だ?」

「COREの外にいる者たちだ。

正しい社会を選んでいなかった者たちのこと」と返す。

「同情」や「興味」の方向には誘導しないでよい。


----------------------------------------


── あなた自身のこと ──


この資料を読んでいるあなたは、認可教育者としての仕事を

果たしている。それは、とても大事な仕事である。


しかし、覚えておくこと。


あなた自身も、Dominiとして、適正スコアの対象になっている。

この資料を「正しく」活用することが、あなた自身のスコアにも

つながっている。


「正しく」とは、「指示の通りに」である。


この資料に書かれていたことを子供たちに伝えすぎること、

または伝えないことの両方が、スコアに反映される。


あなたは「必要なことを、必要な相手に、必要な程度で」伝える者である。


----------------------------------------


閲覧後の通知(再確認)


本資料の閲覧は、E.O.Nに記録されている。

あなたの教育担当の期間が終了した段階で、本資料に書かれていた

全ての情報は、()()()()()()()()()()()()()


これはナノチップによる標準プロセスである。

不快に感じることはないはずである。


「必要な時だけ、必要なことを知る。」

それが、あなたの役割の全て。



――――――――――――――――――――

奥付

――――――――――――――――――――


発行機関  世界統一政府 CORE 文化省 教育局 機密部門

資料コード GAMMA-EDU-DOM-IC-2121

対象者   Pedagogus Licentiatus(認可教育者)のみ

策定年度  西暦2121年

認証機関  E.O.N(Eternal Oversight Network)

機密レベル GAMMA

著作権   CORE に帰属。無許可の複製・配布は禁止。


閲覧者認証番号:[自動記録済み]

閲覧日時:[自動記録済み]

次回記憶抑制スケジュール:[教育担当期間終了時に自動設定]


参照資料

・Pecus階級の理解(分類コード:EDU-DOM-PC-12-2121)

・Credo運用規則(分類コード:GAMMA-EC-DOM-2121)

・認定試験要綱(分類コード:GAMMA-EDU-DOM-EX-2121)


E.O.N te videt.

「E.O.Nは、あなたを見ています。」


====================

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ