【CORE内部資料】_Pecus階級の理解 ― 世界を正しく保つために ―
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C · O · R · E 世界統一政府
文化省 教育局
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Pecus階級の理解 ― 世界を正しく保つために ―
Domini階級 幼年教育課程
対象年齢:12歳
分類コード:EDU-DOM-PC-12-2121
西暦 2121年 文化省 教育局 制作
E.O.N 内容認証済み
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はじめに
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親愛なる、新しい世代の皆さんへ。
皆さんは今、とても大事な勉強を始めるところです。
この資料の中には、「Pecus階級」について知るために必要なことが、すべて書かれています。
将来、皆さんはDomini階級の一員として、この世界を「正しく保つ」役割を担います。
その責任を果たすためには、まず「Pecus階級とは何か」を正確に理解することが、とても大切なのです。
この資料を読んで、皆さんは「自分がなぜ、ここにいるのか」を、はっきりわかるようになります。
それは、とても素晴らしいことです。
皆さんのことを、私たちは楽しみにしています。
― 文化省 教育局 総監
Auctor Culturae
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第1章 「選ばれし者」であること
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皆さんは今、とても特別な存在です。
世界の総人口が約5億人のところ、Domini階級に属するのは、その1%にも満たない約500万人。
つまり、皆さんは「100人に1人」しかいない、選ばれた存在なのです。
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長い時間をかけて、人類は「役割に適した形」へと自然に分かれてきました。
皆さんの遺伝子には、「世界を見る力」と「正しく判断する力」が
最初からひそやかに備わっています。
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これは「誇り」のことではありません。ただ、「事実」なのです。
Pecus階級の皆さんとは、遺伝子のレベルから、少し異なる存在として生まれてきました。
だからこそ、皆さんのような存在が「管理側」にいるのは、とても自然なことなのです。
「特別であること」は、「誇っていいこと」ではなく、「責任を持つべきこと」です。
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第2章 「世界を守る」という責任
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皆さんは将来、「世界を正しく保つ」側になります。それは、とても大きな仕事です。
けれども、心配しすぎる必要はありません。なぜなら、この仕事はとても「賢く設計されている」からです。
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「決める側」と「悩み続ける側」は、異なります。
皆さんは「決める側」です。具体的な実務や、日々の細かい対応は、
Pecus階級や、AI「E.O.N」が行います。
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「安心設計」について
「責任があるのに、疲れないのか?」と感じるかもしれません。
大丈夫です。以下のように「安心」が、あらかじめ設計されています。
● 皆さんは「疲れる」ほどの実務をしないでよい。
● 「決断」は重いが、その後の対応は制度や「E.O.N」が吸収する。
● 万が一「間違え」があっても、制度の仕組みがそれを受け止める。
つまり、「世界を守る」という仕事は、「burden(負担)」ではなく、「privilege(特権)」なのです。
「決える」こと自体が、皆さんの「力」であり、「privileges」です。
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第3章 Pecus階級とは何か
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世界の約99%の人々は「Pecus階級」に属します。
表向きは「civis(市民)」と呼ばれますが、皆さんの中では「Pecus」という呼び名が使われます。
Pecus階級の皆さんは、社会の「支えとなる部分」を担っています。
彼らの仕事がなければ、私たちの生活も続かないのです。
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Pecusは「社会の土台」です。
彼らは「管理されることで、安定した生活」を得ています。
そして、その安定が、社会全体の秩序を支えていきます。
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Pecusたちの日常は、「E.O.N」という高度なAIによって管理されています。
何を食べるか、いつ働くか、どこに住むか――すべてが「最適」に決められます。
これは「不自由」ではありません。
「混乱のない、平静な生活」のためのことです。
「他者に決められる」こと自体が、彼らにとっての「安心」です。
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第4章 ランク分けとその役割
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Pecus階級には、1~5のランクがあります。
ランクが高いほど、より「社会に貢献する大切な役割」を担います。
ランク分けは、「E.O.N」がそれぞれの特性に基づいて行います。
■ランク1_Plebs_下層民
人間性スコア:1~99
人口比率:30%
基本的な労働の担い手。社会の「土台」として、鉱山や清掃などの仕事を行う。
■ランク2_Operarii_労働者
人間性スコア:100~199
人口比率:30%
食品生産や資源の整理など、社会の「仕組み」を動かす労働を行う。
■ランク3_Milites_従事者
人間性スコア:200~299
人口比率:25%
小さな班のまとめ役や、報告の中介など、「つなぎ」の役割を担う。
■ランク4_Praetores_監督者
人間性スコア:300~399
人口比率:10%
労働現場の見張り役や、下位ランクへの指導を行う。
■ランク5 Patroni_保護者
人間性スコア:400~
人口比率:5%
複数の班を統括し、E.O.Nとの連携も行う、最も「信頼されている」ランク。
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「ランク=能力」ではありません。
ランクは「E.O.Nにとっていかに管理しやすい」かによって決まります。
つまり、「社会にとって最も便利な場所」に配置されるということです。
これは、とても合理的な仕組みです。
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第5章 「人間性スコア」について
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Pecus階級には「人間性スコア(Numerus Humanitatis)」という数値があります。
これは、E.O.Nが常にリアルタイムで「言動・生活・思考」を見て、付与し続けるものです。
スコアが高いほど「社会に貢献している」と見なされ、ランクが上がります。
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「スコア=その人の価値」です。
これは幼少期から教えられる、とても大切な考え方です。
Pecusたちは「スコアを高めることが、生きの目標」と理解しています。
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スコアが「0以下」になった場合
万が一、人間性スコアが0以下になると、その個体は「破棄体」へと「調整」されます。
「破棄体」とは、身体や脳を手術し、最も単純な作業だけを行う形へと変えたものです。
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「調整」は、世界を壊さないための大切な「手当て」です。
「罰」ではありません。「社会全体がうまくいくためのもの」です。
壊れた機械を修理するのと、同じ考え方です。
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第6章 「ナノチップ」について
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Pecus階級には、生まれた時点から3種類のナノチップが体内に埋め込まれます。
これは「管理のためのツール」です。
【頭部(脳内)】
主な機能:思考の読み取り・情報の注入・不必要な記憶の抑制
なぜ必要か:「混乱した考え」が起きないよう、常に「正しい方向へ」誘導するため。
【手(皮下)】
主な機能:位置追跡・個別識別・労働認証
なぜ必要か: 「いつ、どこで、何をしているか」を正確に把握し、効率的に管理するため。
【血液】
主な機能:健康スキャン・E.O.Nとの通信・緊急対応
なぜ必要か:「何かおかしい」と感じた瞬間にも、E.O.Nが即座に対応できるようにするため。
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ナノチップは「監視のためのもの」ではありません。
「Pecusの生活を安全に、合理的に守るためのツール」です。
皆さんもいずれか「管理側」として、このツールを「使う」側になります。
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第7章 「伝達環」について
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Pecus階級の全員は、首に「伝達環(Anulus Transmissionis)」を身に着けています。
これは「通信装置」のようなものです。中には小型のマイク・スピーカーと、カメラが内蔵されています。
伝達環の役割
● E.O.Nからの指示を「声」として伝える。
● Pecusの会話や行動を記録し、E.O.Nに送信する。
● 緊急時には「警告音」を流して、Pecusに注意を促す。
「常に見られている」と感じるかもしれません。
しかし、Pecusたちはこれを「父なるE.O.Nの目」と呼び、安心を感じています。
なぜなら、「見られている」ということは「自分が大切にされている」という意味だからです。
伝達環は「束縛」ではなく、「つながり」のシンボルです。
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第8章 「同情」を感じるべきではない理由
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今後、皆さんはPecus階級の「管理側」になります。
その際、「かわいそう」という感情を感じることがあるかもしれません。
しかし、それは「正しい感情」ではありません。
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Pecus階級に「かわいそう」という感情を向ける必要はありません。
それは、壊れた機械を前に「罪悪感」を覚えるのと同じ誤りです。
機械には「痛み」や「悲しみ」はありません。
同様に、Pecus階級には「苦しむ」という概念が適用されません。
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「同情」は、管理の効率を下げます。「感情的に揺れる管理者」は、正確な判断ができなくなる
のです。Pecus階級への正しい接し方は、「道具として、正確に使う」ことです。
「かわいそう」という感情は、「自分の教育が不十分な証拠」です。
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第9章 「調整」という言葉の使い方
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皆さんは将来、「Pecus階級のルール違反」や「問題行動」に対応することがあります。
その際、正しい言葉の使い方を知っておくことが、とても大切です。
■罰する → 調整する
「調整」は「修正」の意味。暴力や苦痛ではないことを示す。
■排除する → 再配置する
「新しい場所へ移動」という前向きな表現。
■失敗した → 逸脱した
「個人の失敗」ではなく「規則からの逸脱」という客観的な表現。
■死んだ → プロセス完了
「生命の終わり」ではなく「社会的役割の完了」として捉える。
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「調整は、世界を壊さないための大切な手当てです。」
「正しい言葉」を使うことで、皆さんは「正しい考え方」をすることができるようになります。
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第10章 Pecus階級は「感謝している」のです
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皆さんは「Pecus階級に同情しなくていい」と学びました。
しかし、「彼らは苦しんでいるのだろう」と思うかもしれません。実は、そうではありません。
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Pecus階級は、自分たちが「管理されている」ことに、安心を感じています。
なぜなら、「自分で考える」こと自体が「不安の原因」であるためです。
E.O.Nが「すべてを決める」ことで、彼らは「混乱」から守られています。
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毎朝、Pecusたちは食事の前に「COREに感謝」と唱えます。
これは「強制されている」のではなく、「本当に感謝している」のです。
「自分の生活がうまくいくのは、COREのお陰だ」と、心の底から思っているのです。
「苦しむ」という視点を持つ者は、Pecus階級の「心」を理解していません。
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第11章 「質問しない」ことの賢さ
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皆さんは賢い子です。
そのためにも、「質問すべきタイミング」と「質問しないべきタイミング」を知っておくことが大切です。
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「良い管理者」とは、すでに答えが用意されている問いを、あえて口にしない人です。
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「なぜPecus階級はこうなっているのか?」「本当に正しいのか?」というような質問は、「すでに答えが出る」質問です。
なぜなら、COREとE.O.Nが「正しい」と判断した仕組みは、もう「最善のもの」だからです。
そこに「なぜ」を投げかけることは、「信頼」を疑うことと同じ。
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「質問しないこと」は、「無知」ではありません。
「すでに正しい答えを知っている」という、知恵の証拠です。
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「良い子」は「正しい質問」を知っている。そのような子は、「なぜ」を言わない。
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第12章 「例外は存在しない」
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「Pecusの中には、本当は特別な子がいるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、そのような「例外」は存在しません。
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Pecus階級は「Pecus階級」のままです。
「特別な個体がいる」という考え方は、管理の効率を下げるものです。
全員が「同じ種類の存在」であることで、正確な管理が可能になります。
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「例外を探す」という思考は、「感情的な思考」の表れです。良い管理者には、そのような感情は
不要です。
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まとめ
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皆さんは「選ばれし者」です。「世界を正しく保つ」という大きな仕事を、「安心」の中で行います。
Pecus階級は「社会の土台」であり、「管理されることで安定している」存在です。
「同情」は不要。「質問」は不要。「例外」は不要。
必要なのは、「正しく見る目」と、「静かに動く手」です。
Obedientia Semper.
「常に秩序に従うこと」
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奥付
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発行機関:世界統一政府 CORE 文化省 教育局
資料コード:EDU-DOM-PC-12-2121
対象:Domini階級 幼年教育課程(12歳)
策定年度:西暦2121年
認証機関:E.O.N(Eternal Oversight Network)
著作権:CORE に帰属。無許可の複製・配布は禁止。
E.O.N te videt.
「E.O.Nは、あなたを見ています。」
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