序章
RPGを、ご存知だろうか?
ここに、一つの巨大な大陸がある。
パラメータと呼ばれるこの大陸には、かつて無数の民族と国が混在していた。
人が集まれば争いも起こる。この大陸は常に利権や土地を求めて、人々の争いが絶えなかった。大陸の戦乱時代である。
やがて疲弊した国々は、争いはもうたくさんだと、同盟を結んだ。
同盟の取り決めは、次の通りである。
一つ。今後、国同士の争いを禁止する。
ただし国同士の合併、物の交流は許可する。
二つ。一つ目の取り決めが五十年間守られた場合、物だけでなく人も国を越えることを許可する。
ただし、移動先の国から許可を得ること。また、移動できるのは二十歳以上という制限を設ける。
三つ。二つ目の取り決めが五十年間守られた場合、二十歳未満も他国への移動を許可する
四つ。これらの取り決めを破った国は、大陸中の国が敵となり、滅ぼされる。
こうして同盟が結ばれた後、ある国は合併し、ある国は滅ぼされた。
更に月日は流れ、同盟締結から百年。大陸は、五つの国にまとまっていた。
三つ目の取り決めである二十歳未満、つまり子供の他国への移動が解禁され、五つの国は留学制度の導入を決定。早速実行に移されることになった。
この物語は、その留学生の一人である――
おっと、失礼。まだこの五つの国の説明をしていなかった。
RPGを、ご存知だろうか?
五つの国の特徴は、RPGのパラメータで例えた方がわかりやすい。
一つ目は、「力の国」。
二つ目は、「魔力の国」。
三つ目は、「かしこさの国」。
四つ目は、「運の国」。
そして五つ目は、「かっこよさの国」。
これは、「力の国」から「かっこよさの国」へと留学した、ある一人の忍者の物語である。