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好きな子の要求が厳しい

作者: 麦酒

好きになったら一直線!

 異世界人の父と宇宙人の母を持つ僕は、両親から目立たずに過ごせと言われて生きてきた

人混みに紛れるような代わり映えのない毎日、目立つ事は全て禁止されていたので、勉強も運動も適当にするのが癖になっていた

せいぜい日本人離れした赤い髪と、小学生でありながら老人のような死んだ目をしていると言われるのが、僕だった


 だけどそんな平凡な人生に転機が訪れた 

小学校高学年になった際のクラス替えで、僕は運命の人と出会ったのだ!


 その子はちょっとぽっちゃりしたポニーテールの女の子で、いつも本を読んでいた

気が弱いのか、喋りかけるだけでビクっとするような少女だった

偶々席が隣にならなかったら、きっと一生気付かなかったような、地味な女の子だった

始めは何とも思ってなかった、ただ喋ってみると優しい声音が心地良いと思えただけだった


 ――だけど、気が付いた時には好きになっていたんだ!


だから僕は告白した


「優子ちゃん好きです!僕と付き合ってください!」


「やだ、竹田くんかけっこ遅いんだもん」


 振られても諦めきれなかった僕は、その日から猛特訓を始めた

両親を説得して宇宙人のオーバーテクノロジーなトレーニングマシーンを使い、異世界でレベリングまでして自分を鍛えた


 中学一年でようやく結果を出した僕は、改めて告白した


「優子ちゃん、僕は百メートルでオリンピック記録を抜いたよ!だから付き合って下さい!」


「え……嘘」


「本当だよ、これ大会の記録映像と公式記録と新聞記事」


 競技大会でやっと世界新を達成したから、これで付き合って貰えるはず

そう思って改めて告白したのに、優子ちゃんは顔を伏せた


「えっと……ごめんなさい、私は強い人が好きなの……かけっこが早いのが好きなのは小学生までだよ」


「そ、そんなー!」


 諦めきれなかった僕は、三年間山に籠もった

そして高校生になった彼女へと、押し掛けた


「優子ちゃん、宇宙武闘大会で優勝したから、僕と付き合って下さい!」


「……竹田くんだよね?宇宙武闘大会って何?」


「宇宙一強い人を決める大会だよ、これ記録映像と優勝トロフィー」


 謎の宇宙テクノロジーで空中に映し出される映像を見て絶句する優子ちゃん

大会のルールは個人であれば何でもアリなのだけど、決勝戦の相手は惑星サイズの宇宙要塞に自分を繋げたアンドロイドだった

対する僕は自分の身体一つ、下手に改造したら優子ちゃんと一緒に歩けないからね


 宇宙空間で決勝相手のレーザービームやミサイルを気弾で叩き落としながら宇宙要塞と戦っている

おびただしい数の無人戦闘機を掻い潜り、宇宙戦艦の砲撃を叩き返し、拳でバリアを破壊して要塞内部へと侵入すると、出鱈目に気弾を放ち内部を蹂躪して、アンドロイドの女の子を引き摺り出して勝った


「と、特撮かな?」


「木星を破壊したら信じてくれる?」


 浮かびながら手に気弾を収束させると、優子ちゃんも信じてくれたみたいだ

ワタワタと慌てて僕を止めると、ごめんなさいと言うかのように綺麗なお辞儀をした


「……わ、私は頭が良くて、紳士的で優しくて、お金持ちがいいかなーって思うの」


「そ、そんなー」


 明らかに怖がっている優子ちゃんは、僕を諦めさせるつもりで、かなり無茶な要求をして来た

でも、諦めきれなかった僕は、当たり前のように頑張った


 いっぱい勉強した、いっぱい礼儀作法を習った、いっぱい宇宙や異世界でお金稼ぎをした

そして宇宙要塞アンドロイドを引き連れて、やっと目標をクリアした僕は、大学生になった優子ちゃんの前に現れるた

彼女は「あ、やっぱり来たんだ」というような顔をして心底苦笑いをしたけど、僕は白馬から降りると優子ちゃんの前に膝まづいて、その手を取る


「地球の全ての国家を無血革命で支配しました、これで僕の告白を受け入れて貰えるだろうか」


「うん、これ拒否ったら私は殺されるやつよね!」


「それは有り得ません、僕は優子の期待に応える為だけに頑張ったのです、優子が望まないのであるならば、僕はまた頑張るだけです」


「……、分不相応なのは私の方だって気付いてるよね?今の竹田くんなら、私なんかよりもっと相応しい相手が選り取り見取りだよ」


「そうですね、僕も色々と勉強をしましたので、そういう立場に成れたのは理解しているのですが……理解した上で言います――僕は貴女と恋人になりたい!」


「うっ…………もーー!……はい、分かりました降参です、せいぜい幸せにしてください」


「なる程、次は幸せにするのを頑張ればいいのですね」


「……一つ聞くけど、何をするつもりなの」


「運命を操るすべを身に付けようかと……因果律を操る機械を作るか、神を使役出来れば可能でしょう」


「は、はは……出来るものならやって欲しいわ」


「ええ、頑張りますよ」


 数年後、地球に神々が降臨して大騒ぎになるのだが、それは別のお話 

アンドロイドの女の子が地球征服してくれました、因みに白馬も中身はロボットでアンドロイドの端末です

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[一言] 此れ相手の目が死んだねW
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