二人の喧嘩
「大和のばかぁぁぁ!!」
その言葉と同時に股間に激痛が走る。最後に見たのは半分涙目でぶちぎれている里香だった。違うんだよ、あの言葉はとっさに出てしまったわけで本気で悪気何てなかったんだ……いそいで追いかけなければいけないというのに、股間がいたすぎてマジで動けない……
「里香……待ってくれ……」
俺の言葉も虚しく、玄関が強引に開けられる音が聞こえた。彼女にはもう届かないだろう。その事実で目の前が真っ暗になるのを感じた。テスト勉強も終わり明日のテストのあとはデートのはずだったのに……
俺は先ほどまであった温もりと唇の感触を思い出しながら己の発言を悔いるのだった。
翌日の学校でのテストを終えた俺は掲示板で点数を探していた。彼女と勉強をしたというのに俺の横に彼女がいないのが何とも寂しいものだ。昨日のあれ以来あっていないし、彼女がスマホをうちに忘れた音もあり、連絡もとれていないのだ。溜息をつきつつも立っていると肩を叩かれる。
「里香か!?」
「残念、大和の親友青木でしたー。ハロー」
「なんだ……青木か……」
「わかっていたけど、その反応はへこむねぇ……それよりも、愛しの彼女と喧嘩しちゃったのかな?」
「なんでそれを……」
俺の質問には答えずに青木は苦笑しながら掲示板の一番上を指さした。
一位 赤城里香 295点
相も変わらず、一位か……やはり里香はすごいなとおもいつつも、いつもよりも点数が低い事に驚く。あいつが5点も落とすなんて珍しいな……
「わかったか? 赤城さんはお前と喧嘩した時だけ点数を落とすんだよ。前喧嘩した時も点数落ちてたっしょ。まあ、教室に入ってきた時も死人みたいな顔して登校していたし、なんかあったんだろうなとは思ったけどさ」
「マジか……俺のせいなのか……?」
「まあ、浮気とかしたとかならともかく、ちがうんでしょ? だったら、大和だけのせいってわけじゃないって、二人とも悪いんだよ。だから、きちんと話し合った方がいいぜ。じゃないと取り返しがつかなくなっちゃうからさ……」
そういうと青木は少し遠い目をしていった。こいつが彼女と別れたこととも関係があるのだろうか? とてもではないが聞くことはできなかった。
「それよりさ、何があったのさ? 親友の俺が相談に乗ってやるよ。気づいてないかもしれないけどさ、大和も結構ひどい顔をしてるんだぜ」
「青木……」
俺は青木の優しさに涙ぐみそうになった。確かにこれは俺と里香の二人の問題だ。だけど、誰かの力を借りてもいいんだと思う。里香と恋人になって幼馴染だったときとは考えられない内容で喧嘩をすることも増えた。今回のだってそれが原因である。それに青木は何だかんだ彼女いたこともあるし頼りになる男だ。力になってくれるだろう。
「今日よかったら飯でも食べないか?」
「いいぜー、おごりならもっと嬉しい」
「ああ、おごるよ。そういう約束もしてたしな」
「やりー!! じゃあ、最高級ステーキがいい」
「ざっけんな!! 里香とのデート代がなくなるだろ」
そうして俺達は食事に向かうのであった。
番外編あと二話ほど続きます。よろしくお願いいたします。
また、新作を書いたので読んでいただけると嬉しいです。
じれじれ系のラブコメです。よかったら読んでくださると嬉しいです。
モテなすぎるけど彼女が欲しいから召喚したサキュバスが堅物で男嫌いで有名な委員長だったんだけど~一日一回俺に抱き着かないと死ぬってマジで言ってんの?~
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