初デート
今日はデートと言う事でそれなりなお洒落はしてきたのだがどうだろうか。ワックスとかを色々やっていたら結局時間がギリギリなってしまった。デートと言えば昨日は撫子がやたらとどんな服装が好きか聞いてきたが一体どうしたんだろうな? まさか好きな人でもできたんだろうか? いやいやいや、あいつまだ高校一年生だし……あ、でも俺の初恋は小学生だな、里香も中学の頃は俺の事好きって言ってたし、別に早くはないのか……なんか複雑である。てか里香遅いなって思っていると背後から声をかけられた。
「大和……待たせたね」
「珍しいな遅れてくるなんて……」
「ふふ、どうだ? 大和の彼女は可愛いだろ?」
振り向いたところにはレースのついた可愛らしいワンピースを着た里香がいた。俺と目が合うとちょっと可愛らしくポーズをとってやがる。この前と言いこいつが私服でこんな女の子っぽい格好をしているだけなのになんでこんなドキドキしてしまうんだろう。そのあまりの可愛らしさに俺は言葉を失う。だってこいつこの前まで制服の上に白衣を着てたんだぜ。可愛くなりすぎじゃないか?
「……」
俺が何と声をかけようか悩んでいると、里香はなぜかポーズをやめて無茶苦茶不機嫌そうな顔でこちらをにらんでくる。あ、この顔まずい。なんだかわからないが無茶苦茶擦れている顔だ……
「彼女がオシャレをしてきたんだからちゃんと褒めろよな、ふん、どうせ私は涼風ちゃんみたいに可愛くないさ」
「いや、なんで涼風ちゃんがそこで出てくるんだよ。この前の事を根に持ってるのか?」
「当たり前だろ、他の女の子ばっかり褒めやがって。一生いじってやるからな」
「へぇー、里香は俺と一生いるつもりなのか?」
「私はそのつもりだけど、大和はちがうんだ……? ふーん、私の事は遊びなんだな、ふーん」
俺が軽口を返すと彼女は唇を尖らして不機嫌そうに言った。そして拗ねたかのように体を反転して俺に背を向けて元来た道を引き返し始めた。え、待ってマジで怒ってるた? 俺はあわてて里香を追いかけて謝る。
「違うんだよ、里香!! その……おしゃれをしたお前が可愛すぎて何て言えばわからなかったんだ……それに俺も一生里香と一緒にいたいと思ってる」
あわてて俺は彼女に声をかけるが彼女は後ろを向いたまま返事は返ってこない。俺が動揺してテンパっていると彼女からようやく一言もらえた。
「はいはい、口では何とも言えるよな。だったらなんか証拠を見せてもらおうかな。私の事を本当に好きだって言う証拠をさ」
そう言って振り向いた彼女はいつものように意地の悪い笑みを浮かべた。その様子から彼女も本当に怒っているわけではなかったのだろう。まあ、マジですねてはいたんだろうが……だが、そこまで言われたのだ。俺だって男をみせるべきだろう。
「俺は里香のすべてが好きだ。いつもは意地の悪いことを言っているけど、俺が困っているとさりげなく助けてくれることが好きだ。あとは料理があまりうまくないのを気にしていて、最近頑張っているところも好きだ。あとは最近気づいたけど俺が長い髪が好きって言ってからずっと髪をきっていないところとかむっちゃ萌えるぞ。あとは……」
「やめろ、公共の場で恥ずかしいことを叫ぶんじゃない!!」
俺が大声で里香の好きなところを叫んでいると顔を真っ赤にした里香がすごい、勢いでこちらに走ってきて俺の口をふさいだ。何が不満なんだろう? ああ、そうか彼女は口ではダメだと言ったのだ。ならば俺にできることは一つしかない。
「え……ちょっと……だからみんな見てるって言ってるだろ……」
俺がそのまま彼女を抱きしめると少しの間に抵抗されたがやがて大人しくなった。良かったようやく機嫌をなおしてくれたようだ。そして俺はさっき言えなかったことを耳元で囁く。
「今日の服すごい似合ってるな。普段の気の強い感じと女の子っぽいの姿のギャップがやばかった。里香の隣を歩けて嬉しいよ」
「ンンンンンーー!! こいつ耳元でそんなことを囁いてぇ……大和……ずるい」
里香のやつなんかキャスターリンボみたいに呻いているけど大丈夫だろうか? 俺がやりすぎたかなと思い、体を離そうとしたが里香が俺の体を抱きしめてそれを阻止する。どうしたんだ? てか色々な部分が当たってまずいんだが……俺が疑問に思っていると彼女は俺の胸元に顔をうずめながらこう言った。
「今の私の顏はやばいから……落ち着くまでこうさせてくれ……」
「あ……ああ、いいけど……」
俺としてはいいんだが、周りの視線がすごい刺さる気がする。あれか、俺の彼女が可愛すぎるから仕方ないのだろう。そうして5分ほど俺達は駅前の噴水で抱き合っているのであった。
ただのバカップル回になりつつある……書いてて楽しいんですよね、この二人